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緩和継続で進む日本経済の「腐食」 最低賃金上げ過去最大 小売販売連続増 TPP外食消費者メリット 外国人労働者軽視
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/299.html
投稿者 rei 日時 2015 年 7 月 29 日 11:53:34: tW6yLih8JvEfw
 

緩和継続で進む日本経済の「腐食」

リチャード・カッツ 米オリエンタル・エコノミスト・アラート代表

[東京 28日] - 米国でジャパン・ウォッチャーとして知られるリチャード・カッツ氏(オリエンタル・エコノミスト・アラート代表)は、日本が当面優先すべきは財政再建よりも経済成長であり、そのためには生産性向上が急務だと語る。

ただし現実には、日銀緩和の継続が市場から本来退出すべき「ゾンビ企業」の延命を可能にし、日本経済の「腐食」リスクを高めてしまう可能性があると警鐘を鳴らす。

同氏の見解は以下の通り。

<財政再建より成長を優先すべき>

ギリシャ問題を受けて、より大きな公的債務を抱える日本への警鐘を最近よく耳にするようになったが、債務の性質の違いを考えれば、当面そのような心配はしなくてよい。確かに日本の借金ははるかに巨額だが、対外債務が多いギリシャとは対照的に国内でほぼファイナンスされているからである。

その意味で、安倍政権が6月末に閣議決定した骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2015)の方向性は間違っていない。財政健全化の前提として実質2%・名目3%以上の経済成長を見込むことに対しては成長見通しが甘過ぎるとの批判も多いようだが、経済成長なくして財政再建が望めないことは、他国の教訓が示していることである。

こう話すと、非現実的な高成長頼みの姿勢では、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)黒字化という国際公約を果たすことができないとの声が聞こえてきそうだ。だが、その目標を守れないからといって、日本が即座に危機に陥るわけではない。より重要な目標は成長率を高めることであり、PB目標達成のために財政再建ばかりを優先して景気を圧迫するのは本末転倒だ。

米国の財務省も4月に公表した半期為替報告書で日本について、「急速な財政健全化を早期に強調し過ぎると、日本の景気回復や改革に水を差す」と指摘している。たとえPB黒字化の公約が守られなくても、少なくとも米国が問題視することはないだろう。

日本の経済運営の大きな方向性としては、まず成長率の向上で税収を着実に上げ、その次の段階で財政再建を本格化すべきだ。2014年4月に実施した5%から8%への消費増税が景気を大幅に冷え込ませた失敗を忘れてはならない。

<日本の産業界が抱える2つの問題>

ただし、アベノミクスの目指す成長優先の方向性が正しいとしても、各論では適切な政策がとられているわけではない。2017年4月に10%へ消費再増税することを決めてしまっているのは大きな過ちだ。

また、日本の最大の課題は生産性向上だが、現在の「第3の矢(成長戦略)」のメニューだけで実現できるとは思えない。政府による規制緩和・撤廃もさることながら、何より民間セクターそのものが自助努力で生まれ変わっていくことが肝要だ。

具体的には、大きく分けて2つの変化が必要となろう。1つは、何をやらないかを、日本企業の経営者たちが決断することだ。多くの企業が相変わらず、あまりにも多くの事業を中途半端に手掛けている。

長年言われていることだが、選択と集中の発想で、戦略的にカーブアウト(事業の切り出し)を進めていくべきだ。例えばソニーはあまりにも長きにわたってテレビにしがみつき過ぎた。もっと早い段階で(分社化を)決断すべきだった。

2番目に重要なポイントは、競争がなければ、競争力は向上しないということだ。日本経済の大きな問題は、産業の新陳代謝が悪いことだ。例えば過去何十年間も、電機産業のトップに新規参入企業は現れていない。対照的に米国の電機産業では、トップ20社のうち半数近くは30年前に存在すらしていなかった企業だ。安倍政権も産業の新陳代謝を側面支援するような視点から、成長戦略のメニューを再考すべきだ。

<緩和継続がゾンビ企業の延命を招く恐れ> 

日本経済について、もう1つ大きな懸念を挙げれば、黒田日銀による金融緩和の継続で超低金利状態が長期化し、新陳代謝がさらに悪化する可能性があることだ。言い換えれば、市場から退出すべきゾンビ企業の延命が可能になるなどして、日本経済が次第に腐っていく恐れである。

資本には本来、コストがかかる。だから、賢く使わなければならない。もし現在のような低金利が続き、タダ同然で得られるならば、愚かに使うだけだ。十分に客がいないところで不必要な店を作ったり、必要なリストラを企業が回避したりするだろう。

こうした問題は過去25年間と同様、日本経済の緩慢な腐食というかたちで表れてくるだろう。金利の急騰やそれに伴う市場の自信喪失など突発的な危機が発生するとは思わない。実際、そうした警告は長年続いているが、危機は起きていない。しかし、だからこそ、日本人は経済がゆっくりと腐っていくことの恐ろしさを理解できないのだろう。

*本稿は、7月16日に行われたリチャード・カッツ氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

*リチャード・カッツ氏は、オリエンタル・エコノミスト・レポート&アラート代表(編集長)。ニューヨーク大学スターンビジネススクール助教授、米外交問題協議会特別委員会委員などを歴任し、現職。日本に関する著作が多く、日米関係や日本の金融危機について米国議会で証言も。
 
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最低賃金、平均18円上げ 過去最大、景気を反映 各地で16〜19円
産経新聞 7月29日(水)8時21分配信

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は29日、平成27年度の地域別最低賃金の改定について全国平均の時給で18円引き上げ798円とする目安をまとめた。目安通り引き上げられれば、26年度の16円増を2円上回り、14年度に現在の方式になって以来、最大の引き上げ幅となる。

 景気の回復傾向に加え、安倍政権が大幅な引き上げに意欲的なことが影響した。2桁の引き上げは4年連続。

 最低賃金は都道府県ごとに決められ、小委員会が示した各地の上げ幅の目安は16〜19円。

 最低賃金は全ての働く人が企業から受け取る賃金の下限額で、パートやアルバイトら非正規労働者の時給に影響する。

 労使代表らが参加する小委員会は28日午後から目安とりまとめに向けた審議を開始。徹夜の協議の結果、都道府県を経済規模などに応じてA〜Dの4ランクに分類して示す引き上げ額の目安は、東京などのAは19円、静岡などBは18円、岡山などCと青森などDはともに16円となった。

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http://jp.reuters.com/article/2015/07/29/special-report-subaru-side-idJPKCN0Q21IZ20150729?sp=true

6月小売業販売額は前年比+0.9%、3カ月連続増加
 7月29日、6月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年比0.9%増の11兆4570億円となり、3カ月連続の増加となった。20日撮影(2015年 ロイター/YUYA SHINO)
 7月29日、6月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年比0.9%増の11兆4570億円となり、3カ月連続の増加となった。20日撮影(2015年 ロイター/YUYA SHINO)
[東京 29日 ロイター] - 経済産業省が29日に発表した6月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比0.9%増の11兆4570億円となり、3カ月連続の増加となった。

季節調整済み前月比は0.8%減となった。

業種別にみると、衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、自動車小売業、医薬品・化粧品小売業が増加となった。機械器具小売業、各種商品小売業、燃料小売業、その他小売業は減少した。

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TPPで牛肉輸入の外食などメリット、消費者は選択の幅拡大 
[東京 29日 ロイター] - ワイン通から「コストパフォーマンスが高い」と評価されているチリワイン。その裏には関税引き下げというからくりが大きな働きをしていることは案外知られていない。

日本は2007年9月、チリと経済連携協定(EPA)を締結。ワインにかかっていた15%ないし1リットル当たり125円の関税が、12年間かけてゼロになる段階的引き下げの過程にある。

その結果、2013年にはチリワインの輸入量が10年前の約5倍に急増。フランスに次ぐ第2位の輸入先となった。日本でのワイン消費量の増加と関税引き下げの方向が見事に合致した結果とも言える。

今回の環太平洋連携協定(TPP)が妥結に至れば、多くの輸入品の関税引き下げが実現される。消費者は、ゆっくりしたテンポながら、値下げでTPPの恩恵を感じることになりそうだ。

<牛肉輸入価格、為替や相場で大きく変動>

外食産業にはコスト低減として効きそうだ。中でも38.5%と関税が高い牛肉は、調達コスト低下効果が大きくなると予想される。

ただ、関税引き下げのタイムスケジュールが不透明なほか、国際的な商品市況の動向などが価格を左右するため、各社は様子見となっている。

吉野家ホールディングス(9861.T)の河村泰貴社長は、TPPについて「追い風になることを期待する」と話す。同社は輸入する牛肉のうち80%以上が、38.5%の高関税が課せられている米国産を使用している。

国内メディアなどの報道によれば、米国産牛肉の関税は10年超かけて38.5%から10%程度に引き下げられる。また、豚肉は1キログラム当たり最大482円の関税を50円前後にするという。

関税引き下げが実現すれば、商品価格への反映が気になるところ。ただ、「輸入する際には現地での相場に関税や船賃、為替の影響などが加わる。関税が下がった分、イコールで商品価格が下がるメカニズムにはなっていない」(河村社長)と説明する。

昨年は、1キログラム1000円を超えた米国産ショートプレート価格。円安も加わり、牛丼各社は値上げ対応を余儀なくされた。河村社長は「新興国の需要が拡大するなか、急に牛(の生産)は増やせない。需給バランスは5年前、10年前とは異なったメカニズムになっている」と指摘。「今も基本的な構図は変わっていない。(価格の先行きは)楽観視できない」状況だけに、商品価格についての言及には慎重だ。

日本は、多くの農産物、乳製品、食品の原材料、半製品などに高率の輸入関税をかけている。楽天証券経済研究所長兼チーフ・ストラテジストの窪田真之氏は「仕入れ価格が下がれば、店頭での販売価格を下げるであろう小売企業よりも、外食やハム・ソーセージなどの加工会社のほうが、メリットは大きくなるだろう」とみている。

ただ、基本合意から実際にTPPが発効するまでには、まだ時間がかかるとみられる。このため「見守っている段階」(日本ハム)という企業が多い。

5割以上の食材を輸入しているすかいらーく(3197.T)でも「今の時点では様子を見ようという段階」。実際に動き出せば、品目ごとにチームを持つ購買部がメリットを得られるように、輸入先を考えていくことになるという。

<コメ・牛肉・豚肉で商品の幅広がる、輸出拡大も>

TPP交渉では、日本のコメの輸入枠拡大も焦点の1つ。米国以外にオーストラリアやベトナムからの輸入枠が設定される可能性もあり、結果次第で店頭に米国産や豪州産の主食用コメが並ぶかもしれない。

逆に日本側も日本産コメの輸出関税について交渉しており、世界で高品質を誇る日本産米が和食ブームとともに海外で普及する可能性もある。

アイリスオーヤマは、TPP妥結を視野に7月8日にコメの海外輸出を開始した。最初の輸出先としてマレーシアを選び、富裕層を狙って日本のブランド米をマレーシア伊勢丹を中心として小売店で販売する。今後は他の国にも販売を拡大したいとしている。

日本ハムは今月3日から、国産鶏肉のブランド「桜姫」のテレビコマーシャル放映を始めた。鶏肉ブランドのCMは過去にあまり例がない。

同社では「特にTPPを意識したタイミングではない」というが、国内市場での「ブランド指名買い」を促したい考え。

鶏肉に関しては関税が撤廃される見通しであり、価格の安い輸入鶏肉に対抗する国産ブランドとして認知されることも期待されている。

一方、米国食肉輸出連合会も、7月1日からテレビCMを含めた米国産ビーフのPRキャンペーン「ビーフといえばアメリカン」を展開している。TPPが妥結すれば、日豪EPA締結時に「オージービーフフェア」が店頭やレストランを賑わせたように、輸入肉の販売促進競争が展開されそうだ。

(清水律子、宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

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「スバル」快走の陰で軽視される外国人労働者
ロイター 7月28日(火)22時28分配信

 7月28日、富士重工業「スバル」快走の陰で外国人労働者が軽視されていることが分かった。群馬県太田市の富士重工業工場前で4月24日撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[群馬県太田市 28日 ロイター] - 今年5月8日、富士重工業<7270.T>が東京で開いた決算説明会。吉永泰之社長はすこぶる上機嫌だった。米国で「スバル」ブランド車の販売が急増しているからだ。

外国人労働者の流入で変貌する太田市、移民と地元住民の交流みえず

現地のディーラーたちに会ったら、「スバル車が足りない」と頭をたたかれるかもしれない。だから、次の米国出張にはヘルメットが必要だろう―。吉永氏からはそんな冗談も飛び出した。

スバルの米国売上高はこの4年間で2倍に増えた。成功の原動力となったのは4輪駆動のスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」だ。米国のドライバーたちを引きつけるのは、同車が持つ走りの性能や手頃な価格、それに社会的責任を果たしている車というオーラ(雰囲気)だ。

「Love Promise」。同社は米国で、そう銘打った企業イメージ戦略を大々的に展開、いまカリフォルニア、ニューヨーク、ワシントンの各州では、「世界に前向きな影響を与える」自動車メーカーとして、スバルを愛用する顧客層が形成されている。

<難民申請者たちが就労>

しかし、スバル車ブームの陰には、同社が喧伝していない別の事実がある。売れ行きが急増している同社の生産が、ひとつにはアジアやアフリカからの難民申請者や安い外国人労働者の存在によって支えられているという点だ。

東京から電車で2時間の距離にある群馬県太田市。同社や部品サプライヤーなどスバル車の主要生産拠点で働く彼らの多くは短期契約の作業員で、賃金の35%程度は彼らを派遣した業者が受け取る。バングラデシュ、ネパール、マリ、中国など様々な国からやってきた彼らは、フォレスターの革製シートなどの部品の多くを作っており、大半の場合、厳しい労働環境に置かれている。

ロイターは太田市でスバル製造に関わっている22カ国、およそ120人の外国人労働者と面談し、彼らの給与明細書や難民認定申請書なども調査した。そこから浮かび上がってきたのは、外国人労働者が日本の閉鎖的な出入国管理法に縛られ、スバル車のサプライチェーンのなかで人材派遣業者や企業による待遇に苦悩している姿だった。

そうした労働者の1人、ネパール出身の難民申請者であるラカン・リジャル氏(34)は、同社向け車座席を製造する会社で作業中に腰を負傷し、その後に解雇を言い渡されたと話した。他の労働者たちからは、通常シフトの2倍の時間を働くよう圧力を受けた、事前通告無しに即時解雇された、保険をかけてもらえなかった、などの訴えがあった。

ロイターがインタビューした大半の労働者は、群馬県の一般機械器具製造業の最低賃金である時給817円、あるいはそれ以上の賃金を受け取っていた。しかし、2カ所のスバル系列サプライヤーで働いていた十数人のインドネシア人労働者の場合、家賃や光熱費、本国の送り出し機関に支払う手数料を差し引くと、残る手取り額は毎月平均でおよそ9万円、時給にして約409円にとどまっていた。

こうした問題について、富士重工は「取引先の労働環境管理は基本的に各取引先の責任で行っており、当社が直接的に関与することはない」との立場をとっている。ロイターの問い合わせに対し、同社は書面回答の中で、法律や企業内のガイドラインに従うことが同社と取引するための前提条件だ、と述べた。同社はまた、派遣会社の行動を監視する権限はないとし、「ただし当社として、客取引先に、ガイドラインで定める差別撤廃・人権尊重・法令順守に沿った対応をお願いしている」と説明している。

<「灰色」の供給ルート>

同社のサプライチェーンにおける労働実態は、人口縮小で労働市場がひっ迫し、移民労働者に対する法律上の壁が依然高い日本特有の事情が生んだ副産物といえる。同社や系列サプライヤーなど人手不足に直面している企業は、工場の作業員を確保するため、難民申請者やビザ(査証)切れ不法滞在者、アジアからの技能実習生といった「裏口ルート」の移民労働者に頼らざるを得ない。「灰色」の労働市場が存在するおかげで、建設業、農業、製造業などは数多くの外国人労働者を安い賃金で雇うことが可能になっている。

同社は、政府が行っている外国人技能実習制度にそって、339人の中国人を受け入れている。この制度は、発展途上国の労働者に日本の製造現場で産業技術を習得してもらうことが目的だ。

この制度の参加者には、自国の送り出し機関に日本円にして約37万円もの手数料を払い、借金を抱えて日本にやってくる人々が少なくない。日本に来ても、研修先の企業を変更できないという制約に直面する。国連と米国務省は日本の技能実習制度について、今年の報告で、一部の研修生が「いまなお強制労働の状況にある」と厳しく指摘した。

海外からの技能実習生の採用は、労働力不足を一時的に補完する方策として、これまでも農業や繊維産業などの現場では20年以上にわたって続けられてきた。ロイターの取材で、その制度が大手輸出企業によって製造業の作業現場にも組み込まれていることが明らかになった。

富士重工と系列サプライヤーにとって、製造拠点である太田市で十分な労働力が確保できなければ、大きな問題が生じる。過去20年あまりで最も厳しい人手不足が続く中、外国人の雇用がその重要な対策となった。

スバルのサプライチェーンにおける外国人作業員の数について公式のデータはない。しかし、ロイターが各企業、派遣会社や労働者らへの聞き取りにもとづいて把握した外国人作業員の数は、太田市内にある富士重工の部品サプライヤー4社で、少なくとも約580人にのぼった。これら4社で働く合計およそ1830人の30%にあたる規模だ。

「灰色」労働市場からスバル系列メーカーに流れ込む労働者の中で、最も大きな比重を占めているのが難民申請者だ。日本において、難民資格を求めている外国人は大きく二つに分けられる。数が多いグループは、半年ごとの資格更新を条件に日本での就労が許可されている人たち。一方、入国者収容所から仮放免され、そうした許可無しに働いている難民申請者もいる。日本の法律は、こうした仮放免者であっても、難民申請が審査されている間は国内滞在を認めているが、就労は許していない。

就労できない仮放免者が暮らしていくには、親族や友人、地元の慈善団体などからの生活保障を受けることが必要だが、それができず「違法な」労働に走る例は後を絶たない。小川秀俊・外務省領事局外国人課長は、仮放免を長期間の拘束を避けるための人道的な措置だとする一方、出国を命じる判決がでたら「出国するのが本来あるべき姿だ」と語った。

<「仕事に行けないならクビ」>

難民申請者や技能実習生として日本にやってきた外国人労働者は、いまどのような状況に置かれているのか。スバルの製造拠点である太田市でロイターがインタビューした人々の言葉を聞いてみよう。

ネパール出身のリジャル氏は、自身を含めた難民申請者や他の外国人労働者とともにスバルの下請けメーカー、日本発条(ニッパツ)<5991.T>で働き、毎日手作業で数百個のヘッドレストに革を押し込む仕事をしていた。生産ラインで作業する者の多くは、爪がはがれ、一日の仕事が終わると過労のために拳を握れなくなる者もいた。

同氏は今年1月、起床時に激しい腰の痛みと右足のしびれに襲われた。ニッパツを紹介した派遣業者から、仕事に行けないならクビ、という最終通告を受けたという。動くこともままならず、職を失った。

病院のカルテによると、リジャル氏は椎間板ヘルニアで3月12日に手術を受けている。現在、地元病院の治療費とネパールにいる仲介業者への支払いで約9000ドルの借金があるという。

「ネパールにいる妻とスカイプで話すときは3分で切り上げる」と9歳の娘をもつ同氏は話す。「妻の泣き声を聞くのはもう堪えられない」

ニッパツは、ロイターの質問に対し、同社工場で難民申請者を直接雇ったことはなく、質問は労働者を集めた派遣会社にすべきだと話した。ニッパツの企画本部広報部課長、斉藤浩明氏は電話での取材に「これは派遣会社の問題だ。うちは直接雇用しているわけではない」と答えた。

リジャル氏を紹介した派遣会社、ヒカリ商事を運営する仲松英邦(オズワルド・ナカマツ)氏は取材に対し、解雇による脅しを否定、リジャル氏が帰国して治療することを望んだとし、彼が政府からの離職手当を受け取れるように解雇したと語った。これに対し、リジャル氏は、帰国の意思を示したことはないといい、一切の給付を受けていないとしている。

これについて、富士重工はロイターへの書面回答で、リジャル氏には、もともと腰に持病があり、本人から「自国にもどって手術する」との申し出が派遣会社にあった、と指摘。「日本発条での作業による発症ではなく、労働災害には当たらない」との認識を示した。

<欲しいのは「人間としての待遇」>

スバルの系列メーカーで働くバングラデシュ人のアブ・サイド・シェク氏(46)は「違法労働」の状態にある。入国者収容所から仮放免されている立場ながら、同氏は週に6日、1日最大12時間もダッシュボード部品や他の内装パーツの塗装作業を行っている。彼自身がスマートフォンで撮った自分の写真には、塗料の臭いを防ぐためにマスクをしている姿が映っている。その場所については本人が特定しないことを希望した。

同氏は、ダッカの裁判資料の英訳によると、本国で爆発物に関する法律違反で起訴された。難民認定申請書で、同氏は容疑がねつ造であり、野党のメンバーだったために標的にされたのだと主張している。法務省の書簡によると、2度目の難民認定申請は2012年に却下された。同氏はその後も再度申請し、最終判断を待っているという。

常に入国管理局の監視下にあり、ひっそり暮らしてきたと同氏は話す。だが、仮放免されている難民申請者は、帰国もできず、働く事もできないという事実上、身動きが取れない状況にある。

「私には働く権利も保険もない。正式な住所もなく銀行口座もない。日本政府にとって私は存在しないのと同じだ」。

「日本にいなくてはならないし、そのためには食べ物を買う金が必要だ」。他のバングラデッシュ人と同居しているシェク氏は言う。「私が欲しいのは人間としての待遇だ。犬扱いじゃない」。

これに対し、富士重工は不法移民を雇っておらず、下請けメーカーでもそうした作業員は確認できないとしている。太田市の下請けメーカーはトヨタ<7203.T>や日産<7201.T>、ホンダ<7267.T>など他の自動車大手にも部品を供給している。トヨタも日産も難民申請者を雇っていないと述べたが、下請けメーカーによる難民申請者の雇用についてはコメントしなかった。日産は約50人の技能実習生を雇っていると答えた。ホンダはコメントを拒否した。

<外国人なしでは車ができない>

米国で人気を博すスバル車の成功は、安倍晋三政権が進めるアベノミクス経済政策のモデルケースだ。円安の追い風を受け、スバルの米国内販売シェアはBMWやメルセデスを抜き去った。富士重工の株価は2012年末の時点から4倍も上昇。ロイターが計算したところ、フォレスターは単独で年間36億ドルを売り上げる輸出マシンとなった。

フォレスター人気のおかげで、富士重工は営業利益率で日本の自動車メーカーのトップに立った。また安倍首相の経済政策により、輸出企業が円安の恩恵を受けて利益を伸ばす顕著な例となった。

規模の大きい競合他社とは違い、富士重工は海外で販売する自動車の約80%を日本で製造している。このメード・イン・ジャパンを貫く姿勢が、同社や約260社の下請けメーカーの多くが太田市の工場群で部品需要を満たすのに困難をきたす原因となっている。

太田市の清水聖義市長は「外国人がやらないと、現実に、車は部品から何から絶対できない」と指摘。市長は過去、同市を外国人労働者特区に指定するよう申請活動をしてきたが、実を結んでいない。

清水市長はインタビューで、ロイターが把握している移民労働者の過酷な実態について認識していないとした。ただ、派遣業者が労働者を国の社会保険に加入させないと、市が支払う生活保護など福祉手当の財政負担が増えかねないとの懸念を示した。

政府は2010年、難民資格の希望者に対し、認定申請書を処理する間、6カ月更新の就労許可を与えることを決めた。それ以来、申請件数は4倍に跳ね上がり、昨年は5000件を記録した。ネパール、トルコ、スリランカの出身者が特に目立つ。しかし過去4年間の承認件数は毎年20数件にも満たない。

法務省入国管理局の丸山秀治氏は、外国人が日本の入国管理システムの抜け道を利用していると批判し、「最近は難民申請すれば働けるというような話に広まってしまっている」と話す。

自民党の河野太郎議員は5月28日、外国から「安い労働力」が入ってくるのを許さないという政府の方針は「大きなウソ」だと批判した。同議員は日本の移民政策には「裏口」があるとし、「裏口のドアを閉め、就労許可の発行を始めるべきだ」と述べた。

2010年に始まった「難民認定」申請者への暫定的な就労許可は、本来、人道的措置として実施されたが、それが今、スバルの下請けメーカーのような企業に割安の労働力を提供する手段へと姿を変えている。

<派遣業者のあり方にも論議>

外国人労働者の「需要」が急増する中で、その恩恵を受けているのが派遣業者だ。太田市では、同社が生産規模を増大するにつれ、下請けメーカーが外国人の短期契約作業員を手配する数十の派遣会社に一段と依存するようになった。

トヨタの大規模リコールが起きた際に品質管理を監査する外部委員会のメンバーを務めた長田洋・文教大学教授は「派遣業者を使うメリットは、企業が都合の良いときに雇用を減らせることだ」と指摘する。

日本では250万人以上の派遣労働者が数千社の派遣会社に登録している。大手派遣会社は企業に代わって短期契約の労働者を募集するが、より小規模な業者は労働者を直接雇って工場やオフィスに送り込む。近年こうした業者は増加傾向にあり、太田市のような製造業の町にある人手不足の工場に労働力を提供している。

太田市には1100社の派遣会社がある。1台のバンと分厚い連絡先リストを頼りに1人で運営する業者から、レストランの奥や車庫をオフィスにした家族経営の会社までさまざまだ。その多くが外国人労働者をターゲットにしており、トルコ語、スペイン語、中国語などで書かれた看板が太田市や隣接する大泉町の道路沿いに点在する。

リジャル氏をニッパツに送り込んだヒカリ商事を経営する仲松氏は、日系ブラジル人の来日ブームがあった1980年代後半に日本に移り、すぐに自動車部品メーカーに労働者を供給する人材斡旋業を始めた。

仲松氏によると、ニッパツに派遣しているのは約90人。ヒカリ商事では11人の正社員が働き、26台のバンと作業員宿泊する75部屋がある。同社はニッパツの工場に近い敷地に新しい4棟の寮を建設中だ。「ニッパツへの対応で忙しく、別の会社に人材を派遣する余裕はない」という。

同氏は各作業員の時給のうち約500円を受け取っていると話す。90人の作業員が週50時間働くと前提したロイターの計算によると、同社はニッパツへの人材派遣によって年間1億円以上の収入をあげているとみられる。同氏はこの額についてのコメントを避けた。

工場作業員自身が人材斡旋をすることもある。大手サプライヤーのある作業員は、ロイターに対し、自分が見つけ、紹介した作業員ひとりについて、毎月1万円を手数料として受け取っていると話した。

地元工場への労働者供給契約を勝ち取るために、斡旋業者は厳しい競争を繰り広げている。仲松氏以外の4人の業者は、契約を確保するために工場の管理者や本社担当者に飲食の接待をしたり金品を贈ったりしなければならない、と語った。

太田市郊外の人材斡旋会社ワイズコーポレーションの丹羽洋介社長は「人材は必要だが、(その調達を依頼する)斡旋業者は選り取り見取り。会社側に決定権がある」と話す。

一方、富士重工は系列サプライヤーと取引する労働者派遣業者を直接監視する立場にはないとしている。ただし、ガイドラインに反した事項があった場合、「取引先に対して是正措置や契約見直しといったペナルティが課されることから、間接的な抑止効果があると考えている」とし、その会社が基準に従うよう改善させることも可能と話す。

<技能実習生は景気下振れ時の保険>

同社は太田市で46年の歴史がある矢島工場の生産を拡大した。約4000人の従業員を2交代制で使い、1日1800台を生産する。同工場で1台のフォレスターを製造するのに約20時間かかる、と工場見学者は説明を受けている。生産ラインの停止後にまもなく再開するという合図に、ベートーベンの「エリーゼのために」がスピーカーから流れるという。ロスした時間にかかったコストを思い出すためでもある。

マフラーや燃料タンクを製造するトップの下請けメーカー、坂本工業の坂本正堂会長は「目下、最大の課題はスバルの増産ペースにしっかりついていくことだ」と話す。

スバルと下請けメーカーが、技能実習生という名の下に数百人の労働者を雇っている。この制度は通常3年間の予定で労働者を送り込むが、スバルの矢島工場でフォレスターの製造作業をしているほとんどの中国人技能実習生は1年更新の契約しかしていないという。ロイターの計算によると、富士重工は中国人実習生を雇うことで、約4億6600万円を節約できたと見られる。これについて、同社はコメントを控えている。

この制度は、2008年に経験したような米国市場の落ち込みが再び起きた場合の保険になる、と子会社のスバル興産の長川光弘氏は話す。「3年と決めると、その途中で景気の下振れがあっても3年の契約を守らなくてはならない。1年の契約であれば途中で下振れが起きても安全。リスクをとらずにすむ」。

スバルの製造拠点に配属されている中国人実習生の多くは20代前半で、毎朝スバルの野球帽をかぶって仕事に向かう。ロイターが入手した給与明細書によると、彼らは週に約50時間、群馬県一般機械器具製造業の最低賃金である時給817円で働いていた。

太田市内に掲示されたスバルの広告や富士重工のウェブサイトに示された同じ工場で働く日本人の常勤期間従業員の賃金水準に比べ、ほぼ半額とみられる。米国スバルによると、インディアナ州ラファイエットのある工場では時給が最高で3136円だという。

ロイターの取材に対し、同社は技能実習生が日本労働者と同等の待遇を受けており、関連書類は中国語に翻訳され、作業員が自由に会話できる環境を整えているとしている。

しかし、一部の技能実習生の証言は異なる。彼らによると、仕事のことをあれこれ話すと、全員が解雇され、中国に送還される、と住み込みの管理人から警告されたという。

同社は太田市のアパートに4人の研修生を住まわせ、給与明細書によると、家賃、光熱費、食費を引いている。彼らは技能実習生になるために中国の送り出し機関に最大37万円を支払うという。彼らはいずれも匿名を希望した。

ある技能実習生は「日本人と同じ待遇を受けられないのは実に不公平だ。中国に帰って自動車工場で働かない限り、ここで覚えたことはあまり役立つと思えない」と話した。

<「私たちには関係ない」>

インド人のモハメッド・シャフィール・カライ氏(28)は難民申請者だが、昨年8月、スバルやホンダに自動車部品を納める池田製作所の工場でベルトコンベヤーに左手薬指の先が巻き込まれる事故にあった。

カライ氏によると、指が切断されるほどの事故だったにもかかわらず、池田製作所のマネジャーは事故後、救急車を呼ばなかった。代わりに、製作所側は派遣業者を呼び、カライ氏は病院に連れて行かれるまで、およそ30分待たされたという。

同社の総務部総務課係長だった中嶋郁夫氏は「我々は止血をし、傷口を抑えるように言った」と話す。八木貞雄総務部長は、同社が斡旋業者に連絡したことは認めたが、救急車を呼ばなかったのは緊急医療事故に該当すると思わなかったからだと説明する。その業者の到着や治療にかかった時間はわからないという。

同社によると、カライ氏の事故が起きたのは、ベルトコンベヤーについている安全ガードが何らかの理由で外れ落ちてしまったため。この事故後、同社は製造ラインの安全性を確実にする方策を講じたとしている。

カライ氏は「すごい量の血が流れ、私は『痛くてたまらない。病院に行きたい、誰かと一緒に行きたい』と伝えたが、彼らは『私たちには関係ない』というばかりだった」と話す。

(Thomas Wilson, Antoni Slodkowski and Mari Saito 翻訳編集:加藤京子、北松克朗)

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最終更新:7月29日(水)8時16分ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150728-00000089-reut-bus_all


外国人労働者の流入で変貌する太田市、移民と地元住民の交流みえず

[群馬県太田市 28日 ロイター] - マドラサ(イスラム教の高等教育施設)で学ぶアフガニスタンの子供たち、5カ国語で行われるカトリック教のミサ、60カ国以上から集まってきた労働者たち─。

ここはニューヨークではない。群馬県太田市だ。「スバル」で知られる富士重工業(7270.T)がエンジン製造で操業を始め、1940年代には戦闘機「疾風(ハヤテ)」の製造を開始した場所だ。近年の外国人の流入はこの町を変容させた。外国人移民への抵抗感がなお強い日本にあって、希少な多文化を誇る町になった。

輸出が好調なスバル車向け部品工場に職を求め、太田市に集まってくる外国人の多くは、難民申請者や借金を抱えた技能実習生たちだ。モスク(イスラム教礼拝堂)や教会の周りに自分たちのコミュニティを作っている外国人もいるが、ロイターのインタビューに応じた人々からは、厳しい仕事や不十分な市当局の手助けに疎外感を感じているとの声も聞かれた。

2012年以来、太田市と隣接する伊勢崎市の外国人人口の合計は1万8000人超にまで増えた。その外国人比率は、全国平均のほぼ3倍だ。同市のデータによれば、人口22万2000人の太田市が擁する外国人の国籍は63カ国にのぼる。同市の中心部にあるスバル工場の南側にはコンクリートの廃墟があり、送金手続きを受け付ける商店がアフリカや中東各国、東南アジア諸国への電信送金を活発に行っている。

いくつかの通りを挟むと、1キロにわたり歓楽街がある。同市の外国人の10%以上はフィリピン人女性で、その多くが「到着ほやほや」の女性をウリにするクラブやバーで働いている。

太田市の外国人たちと日本人住民との間にはほとんど交流がない。同市の清水聖義市長はロイターに対し「外国人労働者がやることといえば、寮と工場の行き来だけだ」と話す。

太田市の中心街は、1週間のうち6日間は静かだ。多くの労働者にとって唯一の休日である日曜日だけは、電車の駅の周りをうろうろしたり、教会やモスクに集まる外国人労働者がみられる。同市のカトリック教会はタガログ語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語の5カ国語でミサを行う。キム神父は韓国の出身だ。

スバルのサプライヤーで働くマネジャーや人材派遣業者によると、同市の自動車産業では、労働者の民族性が職場での序列に大きく影響する。日本人労働者が階層の一番上に位置し、日系ブラジル人がそれに続くという。彼らは特別ビザの資格で他の外国人より日本に長く滞在し、日本語を話すからだ。

その下に位置するのが、難民ビザでの入国者が多い南アジア人。ピラミッド階層の最下部に位置するのがアフリカ人労働者だ。ある現地メーカー幹部は、ネパール、スリランカ、インド、バングラデシュからの難民を特に好んで使う。安い給料で困難な仕事も進んで引き受けようとするからだという。

これについて、富士重工はロイターに対し「慎重に確認したが、そういった事実はなかった」としている。

太田市の郊外では、伝統的なイスラム教の服に身を包んだ男性たちが、礼拝を終えてダルサラーム・モスクからあふれてくる。サフランライスと鶏肉の食事をとりにハラールカフェ(イスラム教の教えに則って調理したものだけを出すレストラン)に向かう。ブルカ(伝統的なイスラム教信者の女性が被るベール)を被ったアフガニスタン人女性は子供たちを教会の隣のマドラサへ連れて行く。

マリやイエメン、アフガニスタンなどの国々から来たイスラム教徒がつくるコミュニティはモスク周辺に根付くと、唯一日本人のイマーム(モスクの集団礼拝の指導者)のアブドラ―氏は言う。

同氏は「ここに来る人々の多くは、日本語や相手の言語を話すことはできないが、共に祈り、寝食を共にしている」と語った。

*本文中の誤字を修正して再送します。

(Thomas Wilson, Mari Saito and Antoni Slodkowski 翻訳編集:加藤京子、北松克朗)

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http://jp.reuters.com/article/2015/07/29/special-report-subaru-side-idJPKCN0Q21IZ20150729?sp=true

 

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コメント
 
1. 2015年7月29日 15:35:31 : YxpFguEt7k
BBC
「ニューヨーク州のファーストフード業界で働く18万人の最低賃金引き上げが義務化される見通しです。州賃金委が、21年末までに時給15ドル(現レートで約1860円)へ引き上げるよう可決。州知事は、働く人が家族を養える年収にするのが目標と」
https://twitter.com/bbcnewsjapan/status/623995522844524544

日本も15ドルまで上げましょう。


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