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過去には数千億円の相場を演出 「最後の大物」摘発で 仕手の世界に幕が下りる(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/519.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 06 日 10:48:25: igsppGRN/E9PQ
 

過去には数千億円の相場を演出 「最後の大物」摘発で 仕手の世界に幕が下りる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44548
2015年08月06日(木) 伊藤 博敏 現代ビジネス


■「兜町の風雲児」と呼ばれた男

東京地検特捜部の「秋の陣」になると言われているのが、長く「兜町の風雲児」と呼ばれた加藤ロ氏(74)が、化学メーカーの新日本理化(東証一部)で行ったとされる株価操縦事件である。

証券取引等監視委員会が、今年3月11日、金融商品取引法違反(風説の流布)の疑いで、株サイトを運営する「般若の会」を強制調査しており、現在、関係者の事情聴取が急ピッチで進められている。

「般若の会」の代表が加藤氏で、情報発信の株サイトが「時々の鐘の音」である。もともと信仰心に厚く、神社仏閣から道端の道祖神にまで手を合わせるという加藤氏だが、2011年11月1日、「時々の鐘の音」に「再びの邂逅」と題した、般若の会の立ち上げを伝える記事を投稿。「般若とは『仏の智慧』を意味します」としたうえで、加藤氏は会の趣旨をこう説明した。

「仏の智慧を学ぼうとする同好会ですので、会費を徴収する際、皆様からお金をお預かりするようなことも一切、行っておりません。秘密の会員も存在しませんし、会費を払ったら特別の情報が貰えるということも絶対にありません」

しかし、中身は十分に生臭い。加藤氏はこう買い煽った。

「そして『今日の今』2011年――東日本大震災によって株価が200円台で低迷し、空売りが異常に膨らみ、兼松日産農林のときと同じように大相場になる雲行きを呈してきた銘柄があります」

兼松日産農林は、1995年の阪神・淡路大震災の後の株式市場閉塞時、加藤氏の仕掛けで急騰した銘柄である。その“再来”を予言、見事、その通りになった。東日本大震災の直後に66円の安値をつけていた新日本理化株は、加藤氏が書き込みを始めた頃から上昇基調を描き、12月8日の取引時間中に915円と年初来高値を記録、9ヶ月で13倍以上に“大化け”した。

ネットの書き込みが「風雪の流布」に該当し、株価操縦をもたらしたというのであれば、ネット上は「風雪の流布」だらけ、である。それを証券監視委が、特捜部への告発を前提とした特別調査課で取り上げたのは、相手が加藤氏だったからだ。

■数千億円の大相場を演出

能や狂言の主人公である「仕手」から転じて株式市場で相場を操る人間たちのことを「仕手」と呼んだのは、株価を示すケイ線上を踊る姿が、危うく、しかも一時の存在とはいえ、「相場の主人公」であるからだ。

加藤氏は、仕手を演じ続けた。70年代後半、誠備投資顧問室を主宰、傘下の投資家を糾合、ヂーゼル機器、宮地鉄工などで仕手戦を演じ、いずれも急騰させて証券市場を賑わせた。だが、「大手証券が相場をリード、一般投資家を食い物にしている」といった挑戦的な言動が「証券秩序への反逆」と捉えられ、特捜部のターゲットとなって81年2月、脱税摘発を受けた。

捜査の過程で、加藤氏は大物政治家や宗教法人代表らが含まれる秘密会員の名を、決して明かさなかった。それが投資家筋に評価され、カリスマ性がさらに増した。バブル期後半には、東急電鉄、本州製紙などで、竹井博友、安達建之助、小谷光浩といった著名投資家グループに加え、広域暴力団稲川会二代目の石井進会長の資金まで集め、投下資金数千億円の大相場を演出したのだった。

上がれば買い、買うから上がるのが仕手戦における上昇相場である。それはある意味で簡単だが、相場が大きくなればなるほど「売り」のタイミングが難しい。そこに虚々実々の駆け引きが生まれ、裏切りもあれば騙しもある。「人でなし」と誹られようと、勝てば官軍、何十億もの儲けがもたらされ、負ければすべて失って地獄が待ち受ける。

それが仕手戦の怖さではあるが、その魅力にハマれば、脱出は難しい。そんな天国と地獄の投資の世界に誘う天才が加藤氏で、東急電鉄、本州製紙の後も、兼松日産農林、ルック、日本カーボン、そして新日本理化などで相場を張り続けた。それは、証券市場の透明度を高める役割の証券監視委にとっては、引き続き証券秩序への反逆であり、加藤氏は許しがたい存在だった。佐渡賢一委員長が、3期目の最終年度を迎える前に、「加藤退治」に着手したのも分からないではない。

しかし、デビューから40年近くが経過、「風雲児」も老いたし、体はガタガタである。糖尿病に腎臓病を抱え、都内の病院に長期入院しており、週に3度の透析のあとは、ぐったりと動けず、事件化しても長期拘留には耐えられそうにない。仕手戦は裏切りの連続だが、側近やファミリーなどの結束は固く、加藤氏を追い込む決定的な材料は、まだ出ていないという。

■大物たちの捜査も視野

ただ、「風雪の流布」は入口で、特捜部は、加藤銘柄の動向と、そこに投じられる資金の流れ、加藤氏関与の裏付け、そして、加藤氏に連動、5億円を預けていた首相経験者、東京五輪招致に功績のあったアマスポーツ界の大物なども視野に入れている。

ファミリーの結束が災いとなり、加藤銘柄のひとつである中堅流通の大株主欄の8位に息子、9位に夫人が登場、借名口座を疑われるなど、脇の甘さを見せつけている。「大学で金融工学を教える息子の将来に何かあっては」と、そこは加藤氏の弱みになろう。

いずれにせよ、特別調査課の案件になった以上、特捜部への告発は避けられず、逮捕等の事件化は、加藤氏の体調次第と言われている。そして、立件の有無にかかわらず、加藤氏は、早晩、証券界から離れることになろう。それは、「仕手の時代」の終焉を意味する。もちろん、どこまでいっても株の世界は「切った張った」の鉄火場で、現代の主流は、5円のボロ株を10円にしようとする「資本のハイエナ」と呼ばれる連中だ。

だが、それはもはや、ケイ線上をみんなの注目を集めながら踊る加藤氏のような仕手ではない。ひとつの銘柄に投資家の欲望をぶち込み、彼らにかりそめのロマンを感じさせ、自分を主役にドラマを演出する「仕手の時代」は、加藤氏を最後に終わるのである。


 

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