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突然の「人民元切り下げ」は何を意図しているのか? 〜マーケットの反応と中長期的な展望(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/666.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 8 月 13 日 13:00:40: igsppGRN/E9PQ
 

突然の「人民元切り下げ」は何を意図しているのか? 〜マーケットの反応と中長期的な展望
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44703
2015年08月13日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■人民元は今後も断続的に切り下げられる

8月11日、中国人民銀行は対ドルレートでの事実上の人民元切り下げを発表した。市場関係者にとって、これは全く予想外の出来事であり、この日、世界の株式市場はほぼ全面安の展開となった。

7月9日付けの同コラム(『ギリシャ問題よりもっと怖い!「中国株バブルの崩壊」』)で、筆者は、中国の政策当局が、中国株の暴落を起点とした金融危機を未然に防止するためには、中国人民銀行による量的緩和(QE)政策が必要であり、そのQE政策が効果的に機能するためには、人民元の(大幅)切り下げが実施される必要があると書き、切り下げの可能性がある点を指摘した。

統計で確認することは困難だが、今回の人民元切り下げに先立って、すでに中国人民銀行は、QE政策を実施しているとの話が一部から伝わっていた。筆者が伝え聞くところによると、中国人民銀行は政府系の金融機関に対して、地方債の購入を通じて資金を供給し、政府系の金融機関は、その資金を政府系のファンドに融資し、政府系金融機関が中国株を購入することで、株価を下支えしている。そして、その規模は現時点で1兆元に達し、不十分であれば、さらに4兆元程度まで上積みする腹積もりであるらしい。

つまり、このようなQE政策が機能するためにも、中国当局は、人民元の切り下げを行う必要があったのだと考える。いくらQE政策を拡大させても、為替レートを固定したままでは、中国当局は非不胎化介入を余儀なくされ、流動性供給は相殺されてしまうからである。

株式市場に直接、資金が注入されたとしても、別のところで資金が吸収され、それが信用収縮を起こしてしまえば、瞬く間に株価に波及してしまう。このところの中国株市場が非常に高いボラティリティを伴って上下動を繰り返している理由は、そこにあったのではないだろうか。

そう考えると、今回の人民元レートの切り下げは、うまくいけば中国株市場のボラティリティを幾分低下させる可能性がある。ただし、昨日の切り下げ幅はわずか2%なので、今後も断続的に切り下げ幅を拡大させなければ十分な効果は得られないだろう。よって、逆にいえば、人民元は今後も断続的に切り下げられる可能性が高いと思われる。

■今回のマーケットの反応は「条件反射」

ところで、人民元レートの切り下げに対する昨日の市場の反応は、筆者の考えとは裏腹に、全世界的にネガティブなものであった。

その反応の理由としては、以下の2点が指摘されているようだ。

1) 人民元切り下げによって、中国経済の低迷が再確認されたこと
2) 人民元安による自国の輸出への悪影響(通貨高懸念による輸出減)

1)については、今回の切り下げ自体とは直接的な関係はない。当コラムでたびたび指摘してきたように、中国経済の潜在成長率の低下(従来の実質10%超の"高度経済成長路線"から3〜4%程度の"安定成長路線"への転換)は経済の発展段階から考えて「必然」である。しかも、これは、経済のサプライサイド(供給要因)から生じる「構造問題」であり、財政出動や量的緩和といった金融政策でこの流れを止めることはできない。

この点は、多くの市場関係者は理解済みかと思っていたが、海外も含め、市場関係者の多くが、いまだに中国経済の「需要サイド」のみを重視しており、単純な景気循環ばかりに目を向け、金融財政政策による景気の底打ちを期待している点は、筆者にとってはある意味、驚きであった。

中国経済についての短期的な問題は、高度成長から安定成長への移行期において、過剰な資産価格変動による構造調整の増幅を如何にして軽減するかという点であり、その意味では、人民元の切り下げは本来、プラス要因となるはずである(一方、財政支出拡大の効果は極めて小さいはずである)。

次に2)についてだが、日本の場合、2015年1-6月期において、人民元建ての輸出比率は全体の0.8%、輸入比率は0.7%に過ぎない。よって、今回の人民元切り下げが直接、貿易、ひいては輸出産業の業績に大きな影響を及ぼすとも考えにくい。

また、人民元切り下げによる中国企業のドル建て債務負担の増加とデフォルトリスクの拡大を懸念する声も聞かれる。だが、これが理由で、中国株市場が再び崩れた場合、中国人民銀行は、企業の社債を購入することによってQE政策を拡大させればいいのであって、現時点で大きな懸念材料になるか否かは疑問である。

以上より、今回の人民元切り下げに対するマーケットの反応は、「条件反射」的な側面が強く、中長期的なスタンスをとる投資家は、この動きに追随せずに冷静に対応した方が良いのではないかと筆者は考える。

■中国政府は、安定成長へのソフトランディングを模索する

ただし、筆者は、中国経済を楽観視しているわけではない。先日、英国の調査機関が、中国のGDP統計と信頼できる経済指標との大きな乖離を指摘したが、この乖離を考えると、現在の中国経済には、非常に大きな「過剰資本ストック」と「過剰在庫」が存在している可能性が高い。

通常、潜在成長率が低下する「移行期」には、適正な「資本ストック」の減少にともなう設備投資(固定投資)の減少が発生するはずである。ところが中国では、少なくともGDP統計上、伸び率の低下がようやく始まりつつあるものの、固定投資の減少局面は実現していない。また、生産指数にも大きな調整がない(6月は前年比+6.8%)。このことは、月次や四半期の統計が存在しない在庫が相当積み上がっていることを示唆しているのである。

そのため、今後の中国経済の焦点は、これらの調整がどの程度のスピードで進行していくか、ということになるのではなかろうか。筆者は、あくまでも中国政府は、安定成長へのソフトランディングを模索するはずなので、これらの調整は緩やかに進行していくだろうと考える。世界経済にとっても、その方がいいだろう。だが、そうすると、中国経済の低迷がその分だけ長引くことを意味する。

そして、この調整が平和裡に進めば、緩やかな構造調整の過程で、生産拠点の他国へのシフトも同時進行していくと考えられる。これは、現在の「中国を中心とした東アジアのサプライチェーン」の再構築の動きに他ならない。この場合中国は、生産拠点から「最終消費地」へと生まれ変わる必要がある。

だが、一方で、中国政府が、構造調整を加速度的に進めようとした場合、世界経済に大きな混乱をもたらす懸念がある。すなわち、中国政府が、断続的に人民元レートを切り下げ、中国企業が、この人民元安を用いて「ダンピング輸出」を行った場合、この「ダンピング輸出」が国際的な非難を浴び、中国は国際的な孤立状態に陥るかもしれない。

その場合、中国国内の経済も「ハードランディング」で成長率の大幅低下となるリスクがある。これは、かつての日本が戦争へと突き進んだ道筋とほぼ同じであり、この動きが始まると、中国国内で対外強硬路線が強まるという世界的な安全保障上のリスクが高まる懸念も出てくる(その意味で、リベラルな方々が懸念する「戦争国家」になりそうなのは、日本ではなく、むしろ中国の方ではないかと考えるが、この問題についてはこれ以上は立ち入らない)。

どちらのシナリオが実現するのかは現時点ではわからない。ただし、後者の悲観的なシナリオが実現する場合には、資源や素原材料の価格が大幅に低下すると考えられるので、商品市況や卸売物価等の動きには注目しておく必要があるだろう。


 

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コメント
 
1. 2015年8月13日 13:44:17 : jXbiWWJBCA
チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、実践的な株式投資戦略をご提供します。 (@TakashiHiroki)
プロフィール
2015年08月12日
中国人民元切り下げ - いつも通りの過剰反応広木 隆
ストラテジストとは楽な商売である。過去、何度も書いてきたことを繰り返していれば、それで仕事になるからだ。それは、とりもなおさず、マーケットというものが毎回同じことの繰り返しであるという事実にほかならない。
株式価値はファンダメンタルズで決まるが、そのトレンドの周りを市場でプライシングされる株価が揺れ動く。株価を揺り動かすのはセンチメント(投資家心理)である。センチメントは楽観と悲観の間を揺れ動き、それによって株価がファンダメンタルズから乖離する。それが、多くの場合、魅力的な投資機会をもたらすことは過去何度も述べてきた。今年に入ってからだけでも、原油安、ギリシャ不安、上海株急落、と市場のオーバーシュートを指摘してきた。毎回必ず読者に問うたのは、株価急落を招いたそれらのリスク・イベントが、投資家心理の悪化だけでなく、日本株のファンダメンタルズにまで影響を及ぼすものか考えてほしい、ということであった。
原油安は日本株のファンダメンタルズにとって良いことか悪いことか。ギリシャの債務問題が日本株のファンダメンタルズにどのような影響があるのか。上海株の急落はどうか。すべて、リスクオフ(リスク回避)を招く要因には違いないが、日本経済や日本企業の業績に与える影響は、原油安はプラスであり、後のふたつはほぼ皆無であった。
今回、問題となっている人民元の切り下げについても、同じ問いを発しよう。投資家心理の悪化だけでなく、日本株のファンダメンタルズにまで影響を及ぼすものか考えてほしい。
世界第二位の経済規模を持つ国の為替レートの変更である。無論、経済的な影響は甚大であり、小国ギリシャの債務問題などとは比較にならない。日本経済や日本企業の業績に直接関連する。しかし、そのインパクトは果たしてどれだけのものだろう。
中国の人民元切り下げが、どうして日本株の売り材料となるのか、その理由を見てみよう。
まず指摘されたのは、「通貨の事実上の切り下げに踏み切らざるを得ないほど中国景気の現状が悪いとの見方も投資家心理の悪化につながった」という説。しかし、それならば、単なるサプライズであり、一時的なものである。しかも、いまさら「中国景気の実態が悪い」ということがサプライズになるだろうか。そんなことは周知の事実であり、かねてから世界経済の懸念材料であり続けてきた。事実、上海株が急落し中国政府が露骨な株価維持政策を講じた際にも、実体経済を支える景気対策が必要との声が多かった。まさに市場参加者が望み期待した景気対策が実行に移されたわけで、その意味では人民元切り下げは好材料にこそなれ、悪材料ではないのではないか。
次に考えられるのが、日本企業の輸出競争力の低下という懸念。しかし、中国の輸出産業と日本のそれは直接的な競合関係にない。これがドイツなら話は別である。ユーロ安になればBMWやフォルクスワーゲン、シーメンスのような企業に有利になる。日本の自動車メーカー、機械メーカーは苦戦することになるだろう。しかし、中国が輸出しているのは相変わらず衣料品などの労働集約的な加工品や機械、携帯電話などの通信機器である。中国の自動車の輸出も増加しているが、輸出先は中東やアジアの新興国で日本のメーカーとはバッティングしていない(たとえバッティングしたところで勝負にならないだろう)。

いちばん考えられのが、人民元安による中国の購買力の低下である。これによって日本からの対中輸出は鈍化するだろう。前回のレポートでも述べた通り、「爆買い」を起こしているインバウンド消費も「輸出」の一種であり、外需である。この部分には影響があるだろう。しかし、米ドルにペッグしている人民元は過去2年半あまりの間、対円で大幅に高くなった。1人民元12円台前半だったレートは20円を超え、8円も対円で元高が進んだのである。ここから仮に1〜2円(5〜10%)元安となったところで、たかが知れているのではないか。
人民元切り下げが直接、日本経済に与える影響としてはそれほど大きなものではない。問題は、すでに新興国に波及している点である。インドネシアをはじめ東南アジア諸国の株・通貨が動揺し、97年のアジア通貨危機再燃という不安まで台頭している。タイ、マレーシアなどでは外貨準備が減少している点も気がかりだが、当時と違って経常赤字が過度な外資流入でファイナンスされているわけではないので、97年のような危機には至らないと考える。そもそも危機のきっかけを作ったのは、当時のアジア通貨がドルにペッグしていたからであり、その矛盾をヘッジファンドに売り崩されたからである。フロート制に移行している現在は、通貨が売られて安くなればそれなりのメリット(輸出競争力改善や直接投資の加速期待)も生じるため一方的なフリーフォールは起こらないだろう。
さて、最後の波及経路を考えよう。人民元の下落基調が定着すれば、ドル独歩高の構図は鮮明になる。それがFRBに利上げを思いとどまらせる可能性はあるだろう。米国の利上げ先送り→ドル安・円高と為替に作用し日本株の悪材料になる懸念だ。
しかし、その場合は日銀による追加緩和期待が高まるだろう。人民元安に加えてアジア通貨安で(すなわち構成通貨の下落によって)実効レートでみた円は高くなり、したがって将来の下げ余地が生じている。そこにドル安まで加われば、「円の独歩高」となる。その状況では輸入物価を通じたデフレ圧力がなおさら強まり、日銀が目標とするインフレ率の達成が一層困難となる。また、そのような円高を招くような事態になれば、「インフレ率」そのものの上昇よりも日銀が先行して重視する「インフレ期待」が一段と低下するだろう。昨年に続いて10月の「ハロウィン緩和」第二弾の蓋然性が増すことになるだろう。
そう考えれば、中国の人民元引き下げは、波乱含みの要素を残しつつも、最終的には日銀の追加緩和というセーフネットを引き出すことになり、底割れにはつながらないと考える。
但し - 言わずもがなかもしれないが - これが、新たな世界的な金融緩和競争再燃の引き金を引くことになる可能性が極めて高く、それはすでに萌芽しつつある将来的なバブルの規模を膨らませることにつながるだろう。 
https://info.monex.co.jp/report/strategy/pdf/strategy_20150812_1.pdf

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