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食欲が脳に及ぼす影響とは By ROBERT M. SAPOLSKY
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投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 31 日 08:57:10: tW6yLih8JvEfw
 


食欲が脳に及ぼす影響とは
By ROBERT M. SAPOLSKY
原文(英語)
2015 年 5 月 22 日 15:52 JST

空腹であれば食べ物に関連する言葉をより正確に認識する Getty Images
 科学者たちは「欲しい(わたしがこれを得れば、生活の質が上がるだろう)」と「必要だ(これが得られなければ、生活の質が下がるだろう)」という言い方をしばしば区別する。言い換えれば、「欲しい」という言葉は、あなたがまだ何かを試そうと試行錯誤しているときに使われるのに対し、「必要」はあなたがそれに支配されている、つまりあなたにとってそれが不可欠なときに使われる。

 これと同様に、「欲しいもの」と「好きなもの」の間にも、たとえ微妙かもしれないが、同じくらい興味深い差異がある。何かをもっと「好き」になっていないにもかかわらず、もっと「欲しくなる」ことは多々ある。長期目標の達成のために便宜的に使うものがこれにあたる。例えば、「わたしはこういう安物は好きでないが、是非とも欲しいと思う。わたし以上に欲しがる人の大きな潜在的市場が存在するからだ」といった場合だ。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に最近掲載されたミネソタ大学のAlison Jing Xu氏のチームの論文は、脳の回路の機能がこの「欲しいもの」と「好きなもの」のロジック(論理)をいかに混乱させ得るかを明らかにした。つまり、われわれは好きでないだけでなく生活の質の向上にも使えないものを、欲しくなるというのだ。

 簡単なところから話を始めよう。われわれは体内のエネルギーが少なくなると、空腹に感じる。すると、われわれ動物はもっと執拗(しつよう)に狩りをしたり、もっと高い所に上って木になっている実を探したり、もっと長い時間かけて食用可能な虫を探したりする。人間のペットだったら、空になった餌入れをイライラしながら飼い主の足首に押しつけるだろう。つまり、空腹は食料獲得行動を動機づける。

 結局のところ、空腹はまた、われわれの認識をも潜在意識下でシフトさせている。Xu教授のチームは、被験者に画面を見せる実験を行った。画面には文字の組み合わせが一瞬表示された。そして被験者に、その文字の組み合わせが正しい綴りの言葉か否かを即座に答えさせた。すると、空腹の被験者は食べ物に関連する言葉をより正確に認識した。つまり、われわれの基本的、動物的な回路機能(「腹が減ったから食べ物を取りに行こう」)は、文字の読解という極めて高度な人間的タスクをいかに遂行するかに無意識的に浸透し得るのだ。

 しかしXu教授のチームはもっと興味深いことを発見した。単語(ないし非単語)のタスクを遂行している被験者が空腹だと、食べ物に関連する単語のみならず、「獲得」に関連する一般的な言葉(want、obtain、gainなど)の正確さを言い当てる確率も同程度上がった。空腹はわれわれに「食料の獲得」について入れ知恵するだけでなく、「一般的な獲得」についても入れ知恵するのだ。

 同チームはこのような動機の上でのシフトに関する別の証拠も見つけた。チームは被験者77人に食べ物が5つと非食物(食べられない物)が5つ書かれたリストを配り、一つ一つについて、どのくらい欲しいかを評価してもらった。空腹の被験者の欲しい度合いの評価は、食べ物についても非食物についても、満腹群のそれを上回っていた。

 チームはまた、被験者に新種のバインダークリップの話をして、サンプルを配り、いくつ欲しいかを尋ねた。空腹の被験者は、より多くのクリップを欲しがった。

 チームはその後フィールドワークを実施した。その結果、デパートの買い物客は、空腹なときに非食物をより多く購入したことが分かった。

 つまり空腹というものは、ジェネリック(一般的)で不特定な欲求を生じさせる。これは進化の観点からすると理にかなっている。人間が獲得すべき非食物を生産するようになったのはかなり最近のことだ。霊長類の祖先が、おなかがすいたときに間違って食用のシロアリの代わりに非食物を一生懸命探したので子孫に残す遺伝子のコピー回数を減らしてしまった、などという事態はこれまで決してなかった(例えばiPhoneという非食物が登場した今後も、それはないだろう)。状況は変わったのに、われわれの脳はまだそれについていけていないのだ。

 今回の研究において、わたしに衝撃的だった最も興味深い発見がある。空腹は食べられないものへの欲求を強めるが、それをもっと「好き」にはしないということだ。4000個のクリップが欲しいと回答した空腹の被験者たちは、1個で十分と答えた満腹群より、自分たちがクリップをもっと好きになったとは評価しなかった。欲しいものと好きなものは乖離(dissociated)していたのだ。

 この研究の空腹に関する部分からは、日常生活に役立つ教訓が得られる。ランチの直前には高価なクリップを売る店に行くな、という教訓だ。しかし、欲しいものと好きなものの違いに関する発見は、私たちの心にもっと深く響く。空腹は、比喩的であれ文字通りであれ、乖離感(dissociation)を生じさせ得る。つまり、われわれは空腹だと、結果的に満足できないものを獲得する傾向があるということだ。それは、それらの獲得物が空腹の原因とは関係ない上に、それほど好きでもないからだ。

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