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毎日の「サラダ油」が認知症を進行させる! アルツハイマー病の「真犯人」とは?
http://www.asyura2.com/15/health17/msg/335.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2015 年 9 月 23 日 09:16:43: KqrEdYmDwf7cM
 

https://twitter.com/leonardo1498/status/646178922623713285
http://toyokeizai.net/articles/-/84957
山嶋 哲盛 :脳科学専門医
2015年09月21日

私は脳科学専門医として、金沢大学大学院医学系研究科で脳の神経細胞に関する基礎研究を行っています。それと併せて、金沢大学附属病院や市中病院などで、脳の病気に苦しむ患者さんの診療も行っています。

40年ほど臨床医を続けてきて、ここ数年、実感していることがあります。それは、症状が完成した認知症の患者さんだけではなく、その予備軍がものすごい勢いで増加しているということです。

なお、本記事でいう「認知症」とは、世界的に最も患者数が多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)を念頭に置き、それを中心に述べていくことをご承知おきください。
アルツハイマー病の「真犯人」とは?

アルツハイマー病の原因としては、ここ半世紀近くもの間、脳内に蓄積する「アミロイドβ」という物質の関与が強く疑われていました。「タンパク質のゴミ」であるアミロイドβが脳内に蓄積し、老人斑(アミロイド斑)として沈着し、やがて神経細胞が死滅していくという「アミロイド仮説」が有力視されてきたのです。
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Meguro K. et al. Arch Neurol.2002:59:1109-1114より作図

しかし、10年ほど前から、アルツハイマー病の研究者の間では、「アミロイドβ犯人説」に疑いの声が高まってきました。

では、アルツハイマー病の根本原因とは、実際のところ、何なのでしょう? 私は、「ヒドロキシノネナール」という毒性物質こそが、アルツハイマー病の原因物質であるという新説を立てています。

ヒドロキシノネナールと聞いても、みなさん、ピンとこないかもしれません。ヒドロキシノネナールの「ナール」というのは、「アルデヒド」の別名で、実は両者は同じものです。

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「アセトアルデヒド」という言葉を聞いたことはありませんか? これは二日酔いの原因物質です。アセトアルデヒドであれば24時間以内に分解されて体外に排出されるので、さほど問題はありません。しかし、ヒドロキシノネナールは体内に残り、少しずつ蓄積されていく非常に厄介な代物なのです。
認知症患者の脳では神経細胞が死んでいる
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ヒドロキシノネナールは大事なキーワードです。覚えづらいので正確に暗記しなくても、「ヒドロちゃん」とでも呼んで記憶にとどめておいてください。

ヒドロちゃんは端的にいえば「毒」です。サラダ油の主成分であるリノール酸がセ氏200度前後に加熱されると、ヒドロちゃんは急激に増えます。

これが体内に入ると、まるでドミノ倒しのように細胞膜のリン脂質を酸化し、ついには、神経細胞だけではなくあらゆる臓器の細胞を死に追いやります。

そうなると、脳の神経細胞は死んでしまい、最終的には「海馬」という「記憶の指令センター」が萎縮してしまいます。
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海馬の萎縮は、認知症の大きな特徴です。認知症の人の脳をMRIやCT検査(断面像として描写)で調べると、脳自体が萎縮していなくても、海馬は必ず小さくなって隙間が空いているのを確認することができます。

つまり、サラダ油を取るという行為が、体内(特に脳内)にヒドロちゃんを蓄積させ、熱ショックタンパク質70(脳の神経細胞の生存に必須のタンパク質)を酸化損傷させます。その結果、神経細胞が死滅し、海馬が萎縮するという悪循環につながってしまうのです。

そこで、私が診療において、患者さんたちに強くお勧めしているのが、「脱・サラダ油」生活です。

具体的には、家にあるサラダ油は捨て去り、原材料ラベルにサラダ油を原料とする「植物油脂」「食用植物油」などと書かれている市販品は口にしない生活です。サラダ油のみならず、それを原料に作られたマヨネーズやマーガリン、ドレッシングなども口にしないことです。

みなさん、「そんなの簡単!」と思うかもしれませんね。でも、いざ実践しようとすると、意外に難しいことに気づくはずです。

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試しに、スーパーやコンビニで、惣菜や加工食品、スナック菓子やデザートなどを手に取ってみてください。

パッケージの裏の原材料表示を見てみましょう。かなりの確率で「植物油脂」「食用植物油脂」という表記を目にするはずです。これらはサラダ油でできています。

意識して観察してみると、サラダ油を使った加工食品があまりにも多いので、きっとびっくりするでしょう。
加工食品に多い、隠れ「サラダ油」に要注意!
『サラダ油をやめれば認知症にならない』(SB新書)。上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

問題なのは「植物油脂」「食用植物油脂」「ショートニング」など、加工食品やスナック菓子などに紛れ込んでいるサラダ油です。

たとえば、コンビニやスーパーに並ぶパン、ポテトチップス、それに天ぷら、フライ、カツ、串揚げなどの惣菜……。また、冬にコンビニでおでんでも買うとしたら、がんもどき、さつま揚げはサラダ油で揚げられています。

では、自炊して家でカレーでも作ろうと思えば、市販のルウにはしっかり「植物油脂」が含まれています。カレールウの原材料表示を見ると、だいたい最初に書かれているのが「植物油脂」「食用植物油脂」です(原材料の成分は、通常、多い順に表記されています)。マヨネーズも同様に、原材料に「食用植物油脂」「菜種油」などとあります。

インスタントラーメン、カップ麺も「ノンフライ麺」を除けば、サラダ油で揚げられています。

ほかにも、スーパーやコンビニで売られているケーキ、プリン、シュークリームなどには、高価なバターの代わりに、「植物油脂」がよく使われていますし、食パンや菓子パン、デニッシュ類の多くは生地を練りこむときにマーガリンが練りこまれています。また、クッキー、ビスケット、パイには、さくさくとした食感を出すためにショートニングが使用されています。

デザートやパン類、デニッシュ類、洋菓子を買うのなら、原材料表示に「バター」と記載されているものを選ぶようにしましょう。

そんな「見えないサラダ油」を避けるには、自分の口に入れるものは自分で作るという基本方針でいくのが、健康を守るために非常に大事です。手作りであればどんな油を使うのか、自分でセレクトできるからです。

脳と体にいいという理由で、私が積極的にお勧めする油は、次の5つです。

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@ ごま油(太白か低温焙煎)
A高級米油……揚げ物か炒め物に使用
B オリーブオイル……炒め物か加熱しないでそのまま使用 
C えごま油
D亜麻仁油……酸化しやすいのでドレッシングなど生食で使用

価格は、ごま油は1t当たり2〜3円、米油は1t当たり3〜5円、オリーブオイルなら1t当たり10円程度、えごま油、亜麻仁油は5〜10円を目安とします。品質のよい製品は、手間と時間をかけて低温圧搾して作られるため、大量生産はまずできません。すると、価格は当然ながら高くなります。

また、使用量を考えて、酸化が進まないうちに開封後1〜2カ月以内に使いきれる分量を購入します。
30〜50歳代の食生活が予防の要

認知症を恐れるなら、有効な手立ては、サラダ油をきっぱりとやめてしまうことです。もしもあなたが30代、40代で、「認知症なんて20年、30年先の遠い将来の話だし。私には関係ないね!」なんて考えているのであれば、その認識は直ちに改めてください。

認知症の代表格であるアルツハイマー病についていえば、発症は65歳以上の高齢者に多いのですが、発病は、実は20年以上も前の40代から始まっています。

仮に、45 歳で発病した場合、ゆっくりゆっくり進行し、65歳で何らかの症状が出て発症します。その後、70歳くらいで正式に認知症と診断され、確定診断された患者の場合、その余命は平均するとおよそ10年なので、だいたい80歳で死を迎えることになります。これが、最もポピュラーなアルツハイマー病の生活史となります。

つまり、発病と発症の前、30〜50代をどう生きるかによって、発症の時期を遅らせることができるか、できないかが決まるのです。
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たとえば、30代、40代前半から気をつけていれば、認知症の”発病”を45歳から55歳に遅らせることができるでしょう。

では、50代になって初めて気をつけだすのではもう遅いかといえば、そんなことはありません。たとえ、50代ですでに”発病”していたとしても、”発症”を少なくとも5年は遅らせられると考えると、実際には70歳前後での発症となります。

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みなさん、30代、40代は、認知症になるにはまだまだ若いとお思いですよね。でも、決して、心配しなくていいというわけではありません。確かに先のことではありますが、サラダ油にまみれた生活を続けていれば、脳内にはヒドロキシノネナールの蓄積が進む一方です。そして、真綿で首を絞めるように、神経細胞は時間をかけて1個ずつ確実に死滅していきます。

実は私は、若い世代や子どもたちにこそ、「脱・サラダ油」生活を実践してほしいと願っています。ファストフードやスナック菓子、サラダ油で調理された料理を食べ続けていると、ヒドロキシノネナールは知らず知らずのうちに、少しずつ少しずつ体内に蓄積されていきます。

むしろ、中高年よりも若い世代のほうが「サラダ油」漬けの生活にどっぷりとはまり込んでいるため、将来的に見た蓄積度合いは深刻かもしれません。
発症年齢に近い50代でも悲観する必要はなし

そして、発症年齢に近い50代の方は「発症までもう時間がない、遅かった……」と悲観することはありません。

50代でもまだ認知症の魔の手から逃げ切れる可能性は十分にあります。仮に”発病”していたとしても、”発症”するまでの年齢を遅らせ、できるだけ時間稼ぎをして、自身の健康寿命を平均寿命に少しでも近づけるように努めればいいのです。

認知症は、最初は勘違い程度の物忘れやちょっとしたうっかりミスから始まって、緩やかな長〜い下り坂を下りていきます。そして、確定診断がつく頃には、まさに1年ごとに加速して転げ落ちるような状態……「あの人、誰だっけ?」「あれ、ここはどこだっけ?」となってしまいます。だからこそ、認知症は早期発見、早期治療が大事なわけです。

そもそもは発病しないことがいちばんですが、仮に”発病”していたとしても、”発症”をいかに遅らせ、健康寿命を引き延ばせるかが重要なのです。
 

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コメント
 
1. p4rhfeEDdk 2015年9月24日 12:25:18 : 0z67EmqID7VG6 : ElRsE6clTk
高齢者のアルコール依存症の患者に認知症患者が多くみられる。
アセトアルデヒドが、アルコール性認知症の一つの要因?と考えられているので、
ヒドロちゃん原因説がかなり有力か?

ただ、安価な植物性油脂を避ける生活は非常に難しい。
今後の医療費、介護費の増大を考えれば、やはり、バターの自由化は必要?
どこの国だか忘れたが、酪農家を守るための税金の関係でマーガリンよりバターの方が安かった。


2. 2015年9月24日 15:38:51 : OO6Zlan35k
http://diamond.jp/articles/-/78828
ニュース3面鏡
2015年9月24日 夏目幸明 [ジャーナリスト]
脂肪摂取量が同じでも心臓病罹患率に大差!
データが語る「良い脂」「悪い脂」
論文を読むのが日課という「めんどくさいお医者さん」、東京大学病院の地域医療連携部にいる循環器専門医・稲島司氏。世に流布する「健康的なイメージ」と、科学的に「効果が証明されたもの」を区別する方法を提案している。

夏目 先生、最近、近所に旨い焼肉屋さんができたんです。久々に一杯、いかがですか?


脂肪の摂取割合が同じなのに、デンマーク人とイヌイットでは、明らかにイヌイットに心臓病は少ない。理由は、食事から摂取している「脂」の種類の違いにあるという
稲島 いいですね。でも肉ですか……。魚のほうが体にいいんですが。

夏目 根底から覆しますね。

稲島 ええ、同じ脂でも魚の脂は、心臓病のリスクを減らす可能性が高いんです。

夏目 何となくイメージ通りですが、牛肉や豚肉と魚で、そんなに違いがあるんですか?

なぜイヌイットは明らかに
心臓病のリスクが低いのか

稲島 じゃあ、下の表を見てください。簡単な比較です。

夏目 簡単って言いながらいつも難しいんですよね……。って、今度は本当に簡単だ!


Acta Med Scand. 1972;192(1-2):85-94
稲島 1972年に発表された調査ですが、デンマーク人と比較すると、グリーンランドのイヌイットは心筋梗塞などの人数が非常に少なかったんです。

 ここでいう心臓病は、主に「冠動脈」という心臓を囲む血管からくる病気です。心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っていることはご存じだと思いますが、心臓自身が受け取る酸素や栄養は、「冠動脈」から受け取ります。

 カエルなど原始的な生物の心臓は、心臓の中に入っている血液で動いてくれます。しかし、人間の心臓は少し複雑で、心臓から体中に血液を送り出す大動脈から枝分かれした冠動脈によって一旦、心臓から駆出された血液の酸素・栄養が届きます。この冠動脈が狭くなったり閉塞したりすることで、狭心症や心筋梗塞が起きます。そういった心臓病の割合が、イヌイットは非常に低かった、つまり冠動脈の動脈硬化が予防されたというのです。

夏目 心臓病と言っても実際は血管の病気で、動脈硬化からくるんですね。脂はどう関係してくるんでしょう?

稲島 脂肪の摂取割合が多いと心筋梗塞になりやすいことが1960年代には明らかにされていますが、次の図を見てもらうと、食事内容(カロリー%)のうち、脂肪の摂取割合はイヌイットはデンマーク人とほぼ同じだったんです。それにもかかわらず心臓病が少なかった。


夏目 うん、わかりやすい、気がする!

稲島 すると、イヌイットとデンマーク人の間で何が違うのか知りたくなりますよね。その違いこそが、図の右側「血清『脂肪酸』の割合」でした。イヌイットは脂肪酸の中でも特に「EPA(エイコサペンタエン酸)」という、魚やアザラシに含まれている成分が非常に多く、デンマーク人はほとんど「EPA」が含まれていなかったんです。病気の頻度の差は、彼らの食生活の違いからきていると考えるのが自然でしょう。

夏目 あぶらの一種なのに動脈硬化を予防してくれるんですね。

EPAなどをサプリで
摂取しても効果は……?

夏目 とすると、いいこと考えた!よく「EPAが摂取できる!」ってサプリがありますよね?焼肉を食べつつ、あれを飲めばよくないですか?

稲島 いいことを思いつきましたね!では、下の表を見てください。


ω-3 脂肪酸(EPA,DHA)のメタ解析。ギリシア・ヨアニア大学病院による、20の臨床研究(6万8680人)
夏目 今度のは難しいじゃないですか。

稲島 これはω(オメガ)-3脂肪酸と呼ばれる、EPAやDHA(ドコサヘキサエン酸)などを含む脂肪酸を定期的に摂取した人とそうでない人が、心臓病で死亡するリスクをメタ解析したものです。

「メタ解析」というのは、世界中の同様の論文を集めて解析した、といった意味です。上の表は、これまで行われてきた数十人規模のものから数千人規模のものまで20の臨床研究を集め、合計6万8680人の参加者を解析したもの。左側が各々の臨床試験とその参加者と羅列したもので、右側のグラフが結果です。横軸(Relative Risk)の1.0から上に縦の点線がありますが、ここに横棒や四角が重なると「有意差がない」、つまりω-3脂肪酸の効果がcontrol(プラセボと考えてください)と同等だったということです。その結果――。

夏目 ゴクリ。

稲島 すべての臨床試験で有意差がなかったという結果でした。かつ、一番下にOverallと書いてありますが、これらの臨床試験の結果を統合した結果も同様です。すなわち、EPAやDHAを含むω-3脂肪酸抽出物を摂取した結果、心臓病で死亡する割合は変わらなかったのです。

サプリなどの抽出物には
期待された結果が得られないことが多い

夏目 意味なかったの!?これはどう考えればいいんですか?

稲島 実は、抽出物には期待された結果が得られないことが多いんです。以前ご紹介した、ブラックコーヒーを1日に何杯か飲む習慣がある人は糖尿病にかかりにくかったという臨床研究があったじゃないですか(記事はこちら)。でも、クロロゲン酸やカフェインなど、コーヒーの成分を抽出したものを飲んでも糖尿病の予防や治療は期待できないのではないかとお話ししました。

夏目 そのデータ、覚えてますよ。

稲島 それと同じで、畜肉よりも青魚を摂る人は、心臓病が少ない。でも、その原因と思われるEPAを抽出して摂取しても、思われていたような効果がなかったんです。そして、なぜそんなことが起きるか、因果関係ははっきりしていません。

 こういった結果から言えるのは「健康に良い」「○○に効く!」などの表面的な文句を鵜呑みにしないほうが良い、ということなんです。EPAや他のω-3脂肪酸などは、動脈硬化以外に他の効果が期待できるかもしれないですが、他の多くの健康食品などは「飲んでみる」ことはせずに「調べてみる」ことをお勧めします。キーワードを使って医学論文を検索したり、データをあたるのが望ましいですが面倒だと思うので、興味があれば、少なくとも効果を証明した引用の確かな本や記事を読んでいただきたいです。

夏目 じゃあ、仕方ないから、魚をつまみに一杯やりますか。

稲島 いえ、せっかくおいしい店があるなら焼肉にしましょうよ。体に良い悪いだけで食事を決めるのもまたナンセンスで、おいしい食事をいただくことも、人生の重要な楽しみですから。

夏目 なら最初からそう言ってくださいよ!面倒くさいお医者さんだな……。

稲島 でも……。

夏目 でも?

稲島 「食事を楽しむ」なんて言いながら、私には「摂取しない」と決めている脂があるんですよ。肉でも食べながら話しますか。

夏目 ……。(今日も長そうだな)

[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

3. 2015年10月10日 23:58:19 : jXbiWWJBCA
2015年10月10日(土) 週刊現代
「認知症多発の村」の衝撃!
〜江戸時代から解明されていない奇病の秘密と謎
原因は食べ物か生活習慣かそれとも……
いまや「認知症大国」とまで言われるようになった日本。だが実は、遠い昔から、原因不明の「認知症多発」に苦しんでいる人々がいた。この村の謎を解けば、日本中の患者を救えるかもしれない。

急に物忘れがひどくなる
青々とした山並みのふもとには、古びた瓦屋根が点々と顔を出している。集落の真ん中を流れる小川沿いに、少し車を走らせると、ほどなく太平洋も見えてきた。東京から電車と車を乗りついで約6時間。一見、風光明媚な農村としか思えない近畿地方のこの場所には、こんな謂れがある。現地に住む70代男性が語る。

「私より上の世代の人たちは、『この辺りには、昔から風土病があるんや』と言っていました。毎年必ず村のどこかで患者が出て、誰かが亡くなる。それが普通のことでしたね。

手足が震えて動かんようになって、ご飯も自分で食べられなくなり、認知症のような症状が出る人も多い。思えば、私のおじもおそらくその病気で亡くなった。私が子供の頃、父が『おじさんが変なことを言うようになったから、病院に行く』と言って、町の病院へ連れて行きましたから」

高齢化が進むとともに、全国で増え続ける認知症患者。その数は、'12年の時点ですでに460万人を超え、'25年に700万人を突破するとみられる。

その一方で、認知症はまだまだ謎の多い病だ。今なお原因もメカニズムも分からない点が多く、抜本的な治療法は見つかっていない。まして、住む場所によってリスクが変わるなど、まずあり得ない—というのが、医学界の常識である。

だが、脳や神経の専門家たちの間では、この「常識」に真っ向から反する事例が、長年語り継がれ、人知れず研究されてきた。

日本には、認知症が「多発」する地域がある—。

前出の男性は、その地域の中でも、最も患者数が多い集落に生まれ育った人物だ。彼の家族や親戚からも、これまで何人も患者が出ているという。

「『何でなんや』とは思うけど、私たち素人にはどうしようもない。前兆もないんです。『もしかしたら、自分も(病気になるのではないか)』という気持ちはあります。患者が出るたびに、『次は自分かな』と」(前出の男性)

同地の住民には、今もこの病気に悩み、苦しんでいる人が少なくない。本誌は住民の思いを尊重し、また地域の特定を避けるよう、慎重に現地での取材を進めた。

この地域にみられる特殊な病気は、正しくは「紀伊ALS/PDC」と呼ばれる。「ALS」とは「筋萎縮性側索硬化症」、そして「PDC」とは「パーキンソン・認知症複合」の意味。つまり、紀伊半島の一部でしかみられない、ALSとパーキンソン病・認知症が合わさった、不可解な病気ということである。

「ミステリアス・ディジーズ(謎めいた病)」

専門家たちは、皆こう言って首をひねる。長年研究に携わる、三重大学大学院地域イノベーション学研究科・招聘教授の小久保康昌氏が言う。

「『紀伊ALS/PDC』の患者さんには、ALSやパーキンソン病のように体が動かなくなり、歩行や日常生活が困難になるケース、物忘れや意欲の低下といった認知症の症状が出るケース、その両方の症状が出るケースがあり、発症後、数年から十数年で亡くなる方が多いようです。中には10代で発症し、20代で亡くなった方もいました。

また、脳を調べてみると、どの患者さんにも同じような病変が見つかります。アルツハイマー病患者の脳でもみられる『タウ蛋白』という物質が、脳細胞の中に異常に蓄積しているのです」

最初は「水」が疑われた
一般的な認知症のうち、約6割を占める「アルツハイマー型認知症」には、ALSやパーキンソン病など、体の自由が利かなくなる難病とよく似た特徴がある。いずれも「脳細胞の中に、正体不明の異物がたまる」のだ。つまり、この「紀伊ALS/PDC」は、アルツハイマー病と「親戚」のような病気なのである。

「最近は、昔に比べると患者さんの数は減りつつあります。それでも、通常の発症率はALSが10万人に1人、パーキンソン病が1000人に1人といわれていますから、数百人しか住んでいない村で毎年のように患者さんが出るというのは、きわめて頻度が高いといえます」(前出・小久保氏)

「紀伊ALS/PDC」は、遠い昔から、地元では誰もが知る病気だった。住民は、徐々に手足が動かなくなったり、重度の物忘れに襲われたりしても、「これが運命」と諦め、受け入れざるを得なかった。江戸時代前期、1689年に刊行された説話集『本朝故事因縁集』に出てくる、足腰が立たなくなる原因不明の病「足萎え」が、最古の記録とみられる。

本格的な研究が始まったのは、戦後のことだ。きっかけは、紀伊半島から海を隔てて約2500km離れたグアム島南部で、まったく同じ病気が多発しているのが明らかになったことである。

「世界でたった2ヵ所、日本とグアムに、ALSと認知症の『多発地帯』がある」という衝撃的な発見がなされて以来、この謎に国内外の多くの専門家たちが挑んできた。

真っ先に検討されたのが、この地域の環境に、他とは違う「何か」が隠されているのではないか、という仮説である。

まず疑われたのは「水」だ。'60年代に現地調査を行った、和歌山県立医科大学の故・木村潔名誉教授は、こう記している。鮎釣りが趣味だった氏が、地域の主な水源である川を訪れた日のことだ。

〈川に着くなり、私は河原に降りて川底の石を拾い上げ、鮎が主食とする珪藻の付着状態を調べてみたが、あまりにもその貧弱なのに驚いた。(中略)水の性質に問題があるのではないかと直感した〉

一度は沈静化したのに
紀伊半島は、澄み切った「おいしい水」の産地として知られる。しかし、口当たりがよくおいしい水はミネラルの含有量が少なく、長い間摂取し続けると、栄養不足に陥るおそれがある。「水清ければ魚棲まず」と言うが、木村氏は、川の水が異様なほどきれいで、藻や魚もまったく見えないのを不審に思ったのである。

木村氏の直感は当たった。水質を調べてみると、この川の水はミネラルが非常に少なく、特にカルシウムとマグネシウムの含有量が、他の地域の水を大きく下回っていることが判明した。その一方で、同じ病気の多発地帯であるグアムの水も、カルシウムとマグネシウムが乏しいことが分かった。

「この研究結果を受けて、『慢性的なミネラル不足によって、脳神経の細胞が死んでしまうのではないか』といった仮説が唱えられました。そこで、飲料水や農業用水の水源を変えたり、井戸水を使わないようにするといった対策が実際に行われました」(前出・小久保氏)

水だけでなく、食べ物も原因として疑われた。研究者の中には、「この地域の住民は、古くなった干物など、酸化した食べ物を多く摂っているのではないか」という仮説を立てたうえで、各家庭を訪問し、献立を詳しく記録する者もいたという。

'80年代に入ると、こうした研究成果に加えて、食生活が豊かになったこと、また流通網が発達し、他の地域から農産物が入ってくるようになったことなどから、ミネラル不足が解消したせいか、患者数は一時大きく減った。さらにこの頃、グアムでも同様の理由によって患者数が減り、事態は終息しつつあるかに見えた。

しかし、'90年代以降、再び患者が増え始める。高齢化も相まって、とりわけ認知症の症状を示す患者数は、'85年から'95年の10年間で5倍に激増した。水や食べ物は、数ある原因のひとつかもしれないが、真犯人ではなかったということになる。

一方で、これとは別に、「紀伊ALS/PDC」には不可解な点がもう一つ残されていた。多発地域に生まれた人は、遠く離れた場所へ引っ越し、何年、何十年と過ごした後でも、病気を発症することがあるというのだ。就職を機に地元を離れて東京や名古屋に住むようになった人が、50歳、60歳を過ぎて発症したケースも珍しくなかった。

その地域を離れてからも、まるで「時限爆弾」のように、病気がついてくる—この事実から導き出されるのは、これは「遺伝病」ではないか、という仮説である。

実際に「紀伊ALS/PDC」の患者同士には、血縁関係にある人が少なくない。これまでの研究では、患者の約8割に、その家族にも患者がいることが分かっている。さらに近年、紀伊半島のALS患者の一部には、「C9orf72」とよばれる遺伝子に変異がみられることも判明した。ALSの遺伝子治療を研究する、国際医療福祉大学特任教授の郭伸氏が言う。

「この遺伝子変異は北欧の人に最も多く、その次に多いのがイギリスなど、その次がグアムやニューギニアの人々で、日本人にはほとんど見られません。しかし、紀伊の多発地域に住む患者さんからは、すでに3例見つかっているのです。

推測ですが、遠い昔に北欧出身の人々が太平洋へ出た後、南のほうから黒潮に乗ってグアムや日本の紀伊半島へ流れ着き、この病気の遺伝子を持ち込んだという可能性も考えられると思います」

全国の患者のためにも
やはり遺伝子が真犯人なのだろうか。しかし、前出の小久保氏によれば、そうとも言い切れない。

「普通は、ある地域で病気が多発する場合、必ず多くの患者に共通の原因遺伝子が見つかるものですが、『紀伊ALS/PDC』ではいまだに見つかっていません。つまり、患者全員が同じ原因遺伝子を持っている、というわけではないのです。

また、『他の地域で生まれた人が、この地域に移住してきて発病する』というケースも、数は少ないですが存在します。こうした例は、遺伝だけでは説明がつきません」

環境でもなく、遺伝でもない。しかし、そこでは確かに認知症が「多発」する。この医学史上まれに見るミステリーは、今も人々を悩ませている。前出の男性住民が言う。

「村には、この病気にかからず100歳近くまで長生きする人もいます。でも、その人のお子さんは病気になったりする。

やっぱり、われわれ住民には『解決してほしい』という思いがあります。私の家族や親戚にも、病気になって、あっという間に死んでいったのがようけおりますから」

小久保氏は、病気の正体が分かれば、長年苦しんできた住民への朗報となるだけでなく、一般的な認知症やALS、パーキンソン病といった脳・神経の難病にも、治療の道が開けるのではないかと期待している。

「今後、高齢化が進めば、『紀伊ALS/PDC』のように、認知症と他の難病を併発する患者さんが全国でも増えるかもしれません。この多発地域には、認知症などの脳神経の難病のしくみを解き明かす『鍵』が隠されている可能性がありますから、少しでも研究が盛んになればと思います。

一方で、これまで出てきた仮説は、どれも確たる裏付けが見つかっていないのも実情です。もしかすると、この病気の発病には、まだ知られていない新しいメカニズムが働いているのかもしれません。現在は、原因遺伝子の研究のほかにも、iPS細胞を使った共同研究も進めています」

いつか謎が解けて、認知症を患うすべての人へ、「福音」がもたらされる日が来てほしいものだ。

「週刊現代」2015年10月10日合併号より
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45646



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