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史上最悪の農薬は、史上最強の救世主だった リスクとベネフィットの天秤はどちらに傾くのか
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 4 月 27 日 11:59:49: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


研究開発 テクノロジー 農業 医療 学術 健康
史上最悪の農薬は、史上最強の救世主だった リスクとベネフィットの天秤はどちらに傾くのか
2016.4.27(水) 有坪 民雄
マラリア死者、2000年比60%減 蚊帳の配布が奏功 国連
フィリピン・マニラで、蚊帳の中で赤ちゃんをあやす母親(2014年12月7日撮影)。(c)AFP/NOEL CELIS〔AFPBB News〕
 殺虫剤の歴史を調べると、必ず出てくるDDT。なぜ必ず出てくるのかというと、化学合成された最初の殺虫剤であり、それまで天然由来の物質を使ってきた殺虫剤の歴史を塗り替えるほどの、きわめて大きな社会的貢献を果たしたからです。にもかかわらず、DDTは今では農薬の“悪の象徴”のような扱いを受けています。

 改めて、このDDTの歴史を振り返りながら、薬剤のリスクとベネフィットについて考えてみたいと思います。

製品化の功績でノーベル賞も

 DDTとは「Dichloro Diphenyl Trichloro ethane」の頭文字をとったもので、化学構造に塩素を多く含むことが特徴です(有機塩素系)。

 1873年、オーストリアのオトマール・ツァイドラーが書いた博士論文に製造法が記載されましたが、何に有効な物質なのか分からないまま60年以上放置されていました。

 1939年、そのDDTに極めて高い殺虫効果があることを発見したのが、ガイギー社(現ノバルティスの前身の1つ)のパウル・ヘルマン・ミュラーの研究グループでした。ガイギー社はDDTを素晴らしいスピートで農薬用と公衆衛生用殺虫剤として製品化し、ミューラーは、この業績で1948年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 DDTは殺虫性能が高いだけでなく、とても簡単に安価に製造できました。あまりに低コストで容易に作れるので、昔、日本で有機化学を学ぶ学生が実習課題としてDDTの合成実験を行っていたくらいです。

第2次大戦の勝敗をも左右した?

 さて、DDTは農薬としても大いに普及しましたが、公衆衛生分野ではマラリア対策の殺虫剤として普及しまた。熱帯で猛威をふるうマラリアの発生源であるマラリア原虫は、「ハマダラカ」という蚊によって媒介されます。よってハマダラカを駆逐すれば、マラリアは広がることはないのです。

 第2次世界大戦の直前に開発されたDDTは、この大戦で初めて使われることになります。ガイギー社のあったスイスは永世中立の立場から各国にDDTのサンプルを出荷し、これにイギリスとアメリカが飛びついて大量生産を始めました。

 かのロンメル将軍(ドイツ人であるも最後までナチスに入らず、英軍も敬意を表した人物)が活躍した北アフリカ戦線や、日本軍が進出していた太平洋戦線ではマラリア対策が重要だと判断したからです。

 これに対し、ドイツや日本はDDTにあまり関心を持たず、結果として多くの兵士が戦闘前にマラリアで倒れました。マラリアによる兵士の損耗は連合軍の方が圧倒的に少なく、DDTの採用が連合軍勝利の一因として挙げられるほどでした。

 終戦直後の日本では進駐軍が持ち込んだDDTがシラミ駆除のため人体に直接散布されていました。DDTを頭にかけられて真っ白になっている人の写真を見たことがある方も多いでしょう。マラリア原虫のはびこる熱帯の国々では、マラリア対策の切り札として大活躍し、マラリアを撲滅寸前まで追い込んだ国もありました。

救世主が一転、環境汚染のレッテルを貼られる

 しかし、1962年、レイチェル・カーソンのベストセラーである『沈黙の春』が出版されたことで、DDTの評価は一変します。

 DDTは、生物のホルモンの働きを乱す環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)として作用し、虫を食べる鳥にも害があり、土壌にも長期間残留するとされました。また、発がん性にも疑いがかかり、人間の母乳から検出されたことなどから、危険な農薬の代名詞になってしまったのです。そのため1968年には世界各国で使用が全面的に禁止となりました。

 DDTの使用禁止は、もともとマラリア被害が少なかった先進国ではあまり影響はありませんでした。しかし熱帯に位置する発展途上国では大きな惨禍をもたらすことになります。

 次の表をご覧下さい。セイロン(スリランカ)のマラリア罹患数の推移です。当時のセイロンは人口急増期で人口は700〜1100万人程度(年を経るごとに増えている)ですから、戦後すぐには3人に1人、1968年には4人に1人くらいが感染していた計算になります。

『変わりゆく農薬‐環境ルネッサンスで開かれる扉』(深海浩、化学同人)をもとに筆者作成
 1946年、DDTが散布されはじめてからセイロンでは急速にマラリア患者が減っています。そして『沈黙の春』が出版された翌年の1963年には患者数は17人と絶滅寸前まで持ってきていたのです。

 しかし、世界の世論に押されてその翌年にDDTの使用を中止し、4年経つと患者数は元の木阿弥と言える程度まで戻ってしましました。

 この間、何人がマラリアによって命を落としたのか知りませんが、おそらく数万人程度になるでしょう。この命は、DDTをその後も使用していたら、救えた命です。

 世界に目を向ければ、現在各種対策によって半減したとは言うものの、マラリアの患者数は2013年段階でも推定で年間患者数は2億人で、50万人ほどが命を落としています。

 数だけで見れば、2015年11月のパリのテロとは比較にならない多数の人々が毎年マラリアによって殺されているのです。

再び マラリア対策での使用を認可

 DDTの使用禁止後、DDTの代わりとなる薬剤の開発も進められていましたが、DDTほど容易に作れるモノはなかなか登場しませんでした。貧しい国に、高コストの薬剤を導入することは難しく、十分な量が使えません。そのため、いったん封じ込まれつつあったマラリアは再び猛威を振るうことになったのです。

 これはさすがに国際問題になりました。DDTを使用禁止にしたことで、どれだけの被害が出ているのか。DDTの使用にリスクが伴うにしても、これまで適切に利用されていなかっただけではないのか。使用禁止にまでする必要があったのか? そんな声がたくさん出てきました。

 一方、使用禁止後もDDTの研究は続けられ、過去の使い方がむちゃくちゃだったことは認めるとしても、過去に言われていたほどDDTは危険ではないとする研究報告も出てきました。

 そのためWHOは、2006年、ついにマラリアの流行している地域に限ってDDTの使用を認める決定を下します。DDTを使用することのメリットとデメリットを比較した場合、メリットの方が上回ると判断したからです。

中途半端な使用があだに・・・

 ではこれで問題は解決したかというと、そうは問屋が卸しません。イタリアや日本では戦後、マラリアや発疹チフスの防除にDDTが使われ、短期間でマラリアを根絶することができました。

 しかし完全に根絶できなかった場合は、ハマダラカに「抵抗性」がつきます。DDTをかけられても生き残った蚊が子孫を増やし、DDTをかけても死なない薬剤耐性をもった蚊が増えてきているのです。

 DDTが効かなくなれば、別の対策が必要です。そこで現在最も有効だと言われているのが蚊帳の使用です。蚊帳に入っておれば蚊に刺されるリスクは大幅に減少します。

 そして、今マラリア対策に用いられている蚊帳には、日本の住友化学の技術が用いられています。住友化学は「オリセットネット」という商品名の蚊帳を開発し、2001年にWHOから使用推奨指定を受けています。ポリエチレンに農薬のピレスロイド(蚊取り線香の成分)を練り込んで糸を作り、その糸でこの蚊帳を作っています。

 住友化学によれば、薬剤を徐々に表面に染み出させる技術「コントロール・リリース」を使うことで表面の薬剤が取れてしまっても内部から徐々にピレスロイドがしみ出してくるため、5年間以上も効果を持続させることが可能だそうです。

過去の教訓があるからこそ

 ちなみに、この技術はタンザニアの企業に無償供与されており、現地で生産することで雇用の創出につなげるなど、さまざまな角度から途上国を支援しています。もともと別子銅山の環境対策会社だった同社の歴史を考えると、牽強付会かもしれませんが、環境問題と向き合ってきたからこそ生まれた技術のようにも思えます。

 そして今回紹介したDDTがそうであったように、最初からリスクとベネフィットが明らかであれば、もっと安全に、そして有効に使いこなすことができたでしょう。

 しかし、現実はそう上手くいきません。だからこそ、過去の失敗から得た教訓を積み重ね、今日の薬剤の登録申請には、大きなハードルが課せられています。

 人や家畜に対する安全性(毒性、発がん性、繁殖毒、催奇形性、変異原性などの試験)、作物や環境に対する安全性(作物や土壌への残留、水産動植物やミツバチや鳥類などへの影響)など膨大な試験をクリアしたものだけが、「農薬」として世に出ることが許されるのです。

 さて、次回は、最後に出てきた、ピレスロイドをさらに取り上げたいと思います。子どもがプールに行って頭にシラミをつけて帰ってくることは、今でもあることでしょう。終戦直後はこんなときDDTが使われていましたが、現代で使われているのは、このピレスロイドです。子供の頭に直接散布する、この薬剤にはどのような安全確保策が講じられているのでしょうか?

【参考】
厚生労働省検疫所 マラリアについて (ファクトシート)
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2013/12181531.html
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46682
 

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コメント
1. 2020年12月15日 21:34:42 : vukwcH5gBc : Mi9ucHk2NnhXQkU=[27] 報告
未来では、これについても電磁波でのコントロールが可能になっているだろう。
大量の蚊(というか昆虫)をコントロールするのは難しいだろうが……鳥などでは既に集団のコントロールが可能になっている。そういったマインド・コントロール的な手法はあまりにも危険なので表には出ないのかもしれないが……
たとえば今が1980年代だったとしたならば、俺も黙って表向きの手法、所謂殺虫剤での退治などについて言及し、協力した可能性も無いではないが、もういい加減2020年なのだよ現在は。本気で電磁波によるコントロールを議論するべき時代に突入しつつある。このHAARP様の電磁波の影響はあらゆるところに出始めている。世界各国が秘密兵器として保有しているのでなかなか表に出ないのだろう。"世界各国"だ。アメリカというだけではない。故に表向き説明のつかない状況というか現象が各地で起こっている。

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