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台頭するドイツの右派運動:「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人」:先進国の経済低迷恒常化が生み出す価値観の混迷
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 2 月 08 日 00:43:43: Mo7ApAlflbQ6s
 


『フォーリン・アフェアーズ リポート』2015 No.2
P.56〜60

「台頭するドイツの右派運動
― 「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人」

ポール・ホケノス
作家・ジャーナリスト


ドイツの極右運動ペギーダが動員するデモ隊は「重税、犯罪、治安問題という社会的病巣を作り出しているのはイスラム教徒やその他の外国人移民だ」と批判している。「ドイツはいまやイスラム教徒たちに乗っ取られつつある」と言う彼らは、「2035年までには、生粋のドイツ人よりもイスラム教徒の数の方が多くなる」と主張している。実際には、この主張は現実とはほど遠い。それでもドイツ人の57%が「イスラム教徒を脅威とみなしている」と答え、24%が「イスラム系移民を禁止すべきだ」と考えている。「ドイツのための選択肢」を例外とするあらゆるドイツの政党は、ペギーダを批判し、彼らの要求を検討することさえ拒絶している。だが今後、右派政党「ドイツのための選択肢」の支持が高まっていけば、ペギーダ運動が政治に影響を与えるようになる危険もある。


■ペギーダはイスラムの何を問題にしているのか

 2015年1月にパリで起きた惨劇が、最近におけるドイツのポピュリスト運動を下火へと向かわせることはあり得ない。この右派ポピユリスト運動は「西洋のイスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人」、あるいはペギーダ(pegida)と呼ばれている。パリで銃撃テロが起きた後にペギーダがドレスデンで主催した街頭デモにはこれまでで最大の2万5000人が参加した。

 反イスラム主義集団ペギーダは、「パリの事件からも明らかなように、本質的に暴力的な信条をもつイスラム教徒たちはドイツを脅かし、西洋世界を作り替えようとしている」と主張している。1990年代以降、大規模なイスラム系移民の流入が続き、治安上の懸念が高まっているだけに、この集団はドイツ市民の不安につけ込める状況にある。

 ペギーダを始めとする反イスラム主義組織は「キリスト教ヨーロッパのイスラム化」と「アウトサイダーたちのドイツ社会への浸透」が進んでいると警鐘を鳴らしてきた。
 とはいえ、2014年秋に華々しく活動を開始したものの、パリで流血の惨事が起きるまでには、ペギーダは勢いを失いつつあった。街頭デモは次第に下火となり、むしろ、彼らに反対するデモが勢いをもち始めていた。ペギーダが掲げる大義が多くの人に安定的に支持されていたのは、運動の拠点であるドレスデン東部においてだけだった。
一方、右派政党「ドイツのための選択肢」は内に分裂を抱える不透明な組織であるために、いずれ解体し、政治枠組みの外側に位置する、ペギーダのような極右ナショナリスト運動に吸収されるのでないかと考える人もいた。だが専門家の多くは、ペギーダの主張は論理的矛盾を内包しているために、「運動はそれほど長くは続かない」とみていた。デモ参加者たちは、「重税、犯罪、治安問題という社会的病巣を作り出しているのはイスラム教徒やその他の外国人移民たちで、ドイツは彼らに乗っ取られつつある」と主張してきた。「イスラム教徒と外国人の移民があまりに多いために、普通のドイツ人は自国にいながらも、安心して暮らせなくなっている。このトレンドが続けば、2035年までに、生粋のドイツ人よりもイスラム教徒の数の方が多くなる」。ペギーダはこう訴えてきた。

 「移民を歓迎し、憎しみと偏見を説く集団に反対する」と主張するメルケル首相は「われわれを裏切っている」とペギーダ運動を組織した指導者の一人ルッズ・バッハマンは言う。ベルリンの政党とメディアは(自分たちを抑え込むために)共謀していると彼は考えている。


■イスラム教徒は脅威なのか?

 実際にはペギーダの言うようなイスラムの脅威は見当たらない。例えば、運動の中心地である(ザクセン州の州都)ドレスデンを例に考えてみよう。ドレスデンの人口に占めるイスラム教徒のそれはわずか0.4%。移民の数も人口の4%と、ドイツの他の都市と比べて非常に少ない。エルベ川周辺でシャリア(イスラム法)が適用されているわけでも、ドレスデンのショッピング街・プラハ通りでヘッドスカーフをまとった女性たちを見かけるわけでもない。

 ドイツで暮らすイスラム教徒は人口の4%程度の350万人。彼らのほとんどは法を順守し、数カ国語を話す、平和的な市民たちだ。その90%が「民主主義は優れた統治形態だ」と考えている。最近の研究によれば、その生産性と納税額からみて、「イスラム教徒たちは、彼らが受け取る社会サービスを上回る歳入を(納税その他を通じて)ドイツ政府にもたらしている」。

 さらに、ドレスデンは雇用のない後発地域ではない。それどころか、数多くのスタートアップ企業と優れた技術系大学を擁するドイツ東部の優等生だ。そして、ドイツの現在の雇用需要はかつてなく高いレベルにある。熟練労働力を必要としているし、短期的にはこれを移民に頼るしかないとエコノミストたちは考えている。長期的にも、ドイツは人口減少を埋め合わせるマンパワーを必要としており、この意味でもおそらく移民が必要になる。しかも、ドイツ東部はキリスト教への信仰が強いわけではなく、むしろ世俗的な地域だ。


■反イスラム主義の台頭

 だがフランスでの悲劇的なテロ事件、ナイジェリアで泣致を繰り返す過激派(ボコ・ハラム)に対する反発、ドイツ生まれのジハーディストの裁判が続いているためか、少なくともペギーダの支持者たちには、こうした現実がみえなくなっているようだ。1月7日、「ドイツのための選択肢」の指導者の一人であるアレクサンダー・ゴーランドは「われわれが警告するイスラムの危険な脅威を無視し、嘲笑するあらゆる者は、(フランスで起きたような)流血の惨事によって現実を思い知ることになる」と警告した。

 ヨーロッパ北部同様に、ドイツもこうした見方が支持される土壌をもっている。インフラテスト・ディマップの最近の調査では、ドイツ人の72%がペギーダの極端な主張を否定的に捉えているとはいえ、22%は共感を示している。ベルテルスマン財団が実施した最近の調査では、ドイツ人がイスラム教徒に対して抱く懸念や不安は過去2年間で急激に高まっている。2010年当時、「イスラム教徒を脅威とみなしている」と答えたドイツ人は53%だつたが、いまやその割合は57%に達している。40%が「ドイツ国内における大規模なイスラム教徒のプレゼンスゆえに、母国にいながら自分が外国人であるかのように感じている」と答え、24%が 「イスラム系移民を禁止すべきだ」と考えている。

 反イスラム主義が大きな流れを作り出している理由の一つは、こうした感情をもつことが、反ユダヤ主義とは違ってタブーとはみなされていないからだろう。パリの新聞社にテロ攻撃があつた1日後、ドイツ最大の保守系日刊紙「ディ・ヴエルト」は、ソマリア出身のオランダの元政治家で、イスラム批判で知られるアヤーン・ヒルシ・アリの長文の記事にほぼ1ページを提供した。「現在のイスラム主義者たちは、影響力のあるイスラムのテキスト (コーラン)と一体化し、(原理主義の)イデオロギーによって突き動かされていることを認識しなければならない。その行動を、彼らを鼓舞する思想から切り離せるという幻想はもう放棄すべきだ」

 この議論は目新しいものではない。エコノミストのティロ・ザラツイン、リベラル派のフェミニスト作家、アリス・シュヴアルツアーを含む著名人、数多くの保守系の評論家も似たような議論を展開している。世論の動向からみても、こうした反イスラム的な立場はすでに主流となっている。


■ペギーダとドイツの政治

 ペギーダは反イスラム主義を超えて、これまでさまざまなポピュリストが数十年にわたって主張してきた社会問題、つまり、移民流入による雇用の喪失、外国人による犯罪、(移民による)福祉国家制度の乱用、国家プライド、メディアの偏見、主流派政党の共謀といった問題も取り上げている。

 政治学者のゲジーネ・シュワンを含む、数多くのドイツの知識人たちは、「圧倒的に男性が多いペギーダ支持者たちに共通しているのは、ミドルクラス、ロウアーミドルクラスという社会的地位を失うことを恐れていることだ」 と考えている。
 いまやドイツの富裕層と貧困層の格差はかつてなく広がっており、依然として東部のドイツ人の所得は、西部のドイツ人のそれと比べて低いとシュワンは指摘する。「統一ドイツで自分が直面している現実に失望した東部のドイツ人はすでに政治への関心を失っている」。さらに(地域格差もあり)、東部でオファーされる雇用は、西部における確立された企業による長期的な雇用とは違って、経済が停滞すればレイオフの対象にされるような不安定な雇用が多い。

 たしかに、ペギーダは政党ではないし、政党を立ち上げるつもりもない。だが、この新しい勢力が選挙政治でどのように行動するつもりなのかが次第に注目され始めている。「ドイツのための選択肢」のようなドイツの穏健派ポピュリストが、反ユーロのスローガンだけでは議席を得るのに必要な5%の得票を得られないと判断し、反イスラム主義をプラツトフォームに加えたからだ。ゴーランドのような「ドイツのための選択肢」のリーダーたちは、ハンブルグ、ブレーメン西部の州議会選挙で議席を得ようと、ペギーダ現象だけでなく、パリの新聞社銃撃テロが作り出した流れも自らの追い風にしたいと考えている。

 だがこの政治戦略が成功するかどうかを判断するのは時期尚早だろう。ペギーダの急速な台頭は多くの人を驚かせ、反ペギーダの流れも刺激している。ドレスデンでは反ペギーダのデモに3万5000人が参加し、ライプチヒでも3万人が街頭に繰り出した。キリスト教会の指導者たちもペギーダの主張に反対している。ペギーダのケルン支部の一つがデモを行った際には、それに抗議するために教会側はケルン大聖堂の照明を落としたほどだ。

 ドイツの政治エリート、イスラムコミュニティの指導者、市民社会が自分たちの立場をそれぞれ示す必要がある。この数週間で、メルケル首相率いる広範な民主勢力がそうした行動をみせた。実際、ドイツのための選択肢」を例外とするあらゆる政党は、メルケルとともにペギーダを批判しただけでなく、これまでのところ、スイスが行ったような移民規制の強化など、彼らの要求を検討することさえ拒絶している。メルケルは同じ政党内の他の指導者の言葉を引用して、「イスラム教徒はドイツの一部であり、今後もそうあり続ける」と強調している。

 ドイツ人の大多数はとくに現状に懸念を募らせてはいないが、「少数派の行動が大きな帰結を伴うことになるのではないか」と懸念している。「ドイツのための選択肢」が政党組織としての凝集力を保てれば、西部で州議会の議席を間違いなく獲得するだろう。この場合、ドイツの選挙政治の構図と計算は変化し、メルケル率いるキリスト教民主党には不利な政治環境が生まれる。ペギーダは民主主義を破壊するスパナの役目を果たし、ペギーダ内部の急進右派勢力は今後も難民と移民を脅かし続けるだろう。これまでも、イスラム教徒の家であるモスクや難民センターが、ドイツの極右勢力によって焼き払われている。

 皮肉にも、この環境から自分に好ましい状況をもっとも引き出せるのは、ドイツを含むヨーロッパのイスラム教徒と非イスラム教徒を対立させたいイスラム過激派かもしれない。この不穏な環境が、不満と疎外感を募らせて立ち上がる次の「怒れるイスラムの若者」世代を作り出すことになるかもしれない。


Paul Hockenos ドイツの作家・ジャーナリストで、Joschka Fischer and the Makin of Berlin Republicの著者。


 邦訳文は英文からの抜粋・要約」

 

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