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都市の土地問題:成長のために空間を活かせ 本当のシンガポールモデル アフリカの基本データと市場概要
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/424.html
投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 06 日 00:48:59: tW6yLih8JvEfw
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43428
都市の土地問題:成長のために空間を活かせ
2015.4.6(月) The Economist
(英エコノミスト誌 2015年4月4日号)

世界の巨大都市では土地が有効に活用されておらず、多大な損失を招いている。

西半球一の眺めはいかが?ニューヨーク
米国の都市部の成長を阻む障壁をすべて撤廃したら国内総生産(GDP)が6.5〜13.5%増加する可能性があるという(写真はニューヨーク・マンハッタン)〔AFPBB News〕
 米国の作家、マーク・トウェインはかつて、「土地を買え」と忠告した。「新しい土地が作られることはないから」というのがその理由だった。しかし現実には、土地は特に希少なものではない。米国の全人口はテキサス州の面積に十分に収まるはずで、その場合でも各世帯には1エーカー(4000平方メートル強)以上の土地が行き渡る。

 土地の価格が跳ね上がっているのは、ロンドンやムンバイ、ニューヨークといった大都市で、旺盛な需要に対し土地の供給が限られており、需給のミスマッチが起きているためだ。

 過去10年間に、香港の土地の実勢価格は150%上昇した。ロンドン中心部のメイフェア地区にある住宅物件の価格は、高いもので1平方メートル当たり5万5000ポンド(8万2000ドル)に達する。マンハッタンの住宅地1平方マイル(約2.56平方キロメートル)の価格は、165億ドルだ。

 ここに挙げたような大都市においてさえ、こうした土地の希少性は人為的なものだ。建物の高さと密度に関して規制が設けられており、これが供給を制限し価格をつり上げているのだ。

土地の希少性のウソ

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究者が先ごろ行った分析によると、ロンドンのウエスト・エンド地区では、土地活用の規制がオフィス物件の価格を約800%膨らませている。ミラノやパリでも、こうした規制が約300%も価格を押し上げているという。

 土地の所有者は莫大な価値を手にしているが、その大部分は、競争によってこれらの利益を吹き飛ばすような新しいオフィスの建設がほぼ不可能なことにより生じているものだ。

 不動産市場におけるこうした機能不全の代償は非常に大きい。それは主にこの負担が個人にのしかかるためだ。住宅価格が高いため、労働者は価格は安いが生産性の低い場所に住むことを強いられる。ある研究によると、サンフランシスコ付近のベイエリアの雇用は、仮に厳しい建築規制がなければ、現状と比べて5倍の規模になっているはずだという。

 これらの失われた収入と、活用されなかった人材の潜在能力を合計すると、目もくらむような金額に達する。米国の都市部の成長を阻む障壁をすべて撤廃した場合、同国の国内総生産(GDP)は6.5〜13.5%増加する可能性がある。この増加分は約1〜2兆ドルに相当する。これほどの成長をもたらす政策は、そう多くは思い浮かばない。

 このような問題を抱える不動産市場は、2つの長期的なトレンドの帰結として生まれた。その1つはグローバル経済の要衝としての都市の復権だ。

 20世紀には、移動コストの急落により都市に人を引きつける引力が弱まった。しかし21世紀に入り、デジタル革命により都市の魅力が復活している。

 IT(情報技術)や金融といった知識集約型の産業は、アイデアや専門知識を共有する労働者の集中を成長のよりどころとしている。その結果、ロンドンやニューヨーク、サンフランシスコなどの大都市の経済および人口は再び拡大に転じた。

 しかしこれらの都市も、かつてあったような、流入しようとする人口すべてを住まわせるために周囲に都市圏を広げていく力は取り戻していない。これにはもっともな理由がある。19世紀後半の無軌道な都市の拡大は、犯罪と病気の蔓延を招いた。そのため、グリーンベルトや、区域ごとの土地利用規制が次々と導入された。これが、問題を招く2つ目のトレンドとなった。

成長の阻害要因となる都市の土地規制

 20世紀の間に、これらの規制は山のように積み上がり、建築許可の取得は雨降りの午後にタクシーをつかまえるよりも難しくなっている。ロンドンでは、新たな建築物が一定方向からのセントポール大聖堂の眺めをさえぎることを禁じる厳格な規制がある。

 また、シリコンバレーのマウンテンビューにある本社敷地内に社宅を建てるというグーグルの計画は、社宅の住民が飼うペットが、付近に住むフクロウの群れに危害を与えるかもしれないとの理由から反対に遭っている。

 密集度の低い地区に住む地域エゴの強い人々は、照明の明るさから駐車スペースまであらゆること関する都市計画の規制に乗じ、新たな建設計画を阻止することができる。

 これには良い面もあると、多くの人は言う。大都市を縦横に走る道路や鉄道は、増え続ける人口によりすでに限界に達しつつある。不動産価格を抑えれば、現時点でも中間層に手の届く数少ない富の蓄積への道筋の1つが損なわれる。公的空間と街の歴史的遺産を保つためには、細心の注意を払って開発に取り組むアプローチが最も確実なやり方だ。

 エコノミストの好きにさせたら、ニューヨークのセントラルパークもあっという間に舗装されてしまう、というわけだ。

 このような主張は、地元の都市計画に関する会合では支持を得るかもしれないが、より詳しく検証してみると、説得力を失う。

 まず、家の所有はそれほど平等なものではない。多くの世帯は、活気にあふれる地区の家は高すぎて手が出せないのが現状だ。沈滞傾向にあるデトロイト都市圏の持ち家率が71%と、好況に沸くサンフランシスコの55%を大きく上回っているのは、決して偶然ではない。

 大都市で家を持つ人を増やすために、高層ビルを林立させる必要はない。サンフランシスコでは今の2倍の人口を抱えることも可能で、それでもマンハッタンと比べると人口密度は半分ほどにとどまる。

間違った土地政策を正す2つの方策

 市街化調整に関する規則は、成長を続け、多くの価値を生む都市の社会的利益と、この成長が時に人々に押しつけるコストのバランスを取る方法として編み出されたものだ。

 しかし土地利用の規制は、この利点を上回る有害なものへと変貌を遂げた。すなわち、このメカニズムのせいで、土地の所有者は望外の不当な収入と、自らの資産を他者が統制することを阻む手段の両方を手に入れたのだ。

 公私の利益の間の健全なバランスを取り戻すことに向けてささやかな手順を踏むだけでも、その見返りはかなりのものになる。政策立案者は、以下に挙げる2つの点に注力すべきだ。

 第1に、都市計画に関する決定は、必ずトップダウンで行うようにしなければならない。地区レベルで決定が下される場合、土地利用の規則は厳しくなりがちだ。都市圏全体の人口が増えたとしても、個々の地区が受ける利益(雇用や税収の増加)は、不利益(眺望の阻害や道路渋滞)を下回る。住宅供給に関する決定権を市のレベルに引き上げることで、成長のメリットに重きが置かれるはずだ。

 ある地区で建築に関する規制が実施された場合も、他の地区での規制を緩めることでこれを相殺し、市域全体では予算通りの開発をしていく必要がある。

 第2に、政府は地価に対する課税を強化すべきだ。大部分の先進国において、地価にかかる税金が税収全体に占める割合は小さい。地価税は効率の良い税だ。地価税は脱税が難しい。土地をルクセンブルクの銀行の金庫にしまっておくことはできないからだ。

 財産に高率の税を課せば投資が減退する恐れがあるが、土地に高い税をかければ、未利用の地所を開発する動機付けになる。

 また、地価税は新規参入者の利益につながるかもしれない。新たなインフラが建設されれば近隣の地価が上昇し、自動的に税収の改善につながる。これが環境を整える費用を賄うのに役立つという流れだ。

 しかし都市計画の改善や地価税は、どちらも実施は容易ではない。その他の不動産資産を除いた土地のみの価格をどのように査定するのかといった、実施上の障壁がある。政治的な障壁をクリアするのはさらに難しい。

 しかし、政治的に厄介な問題は掃いて捨てるほどある。その中でも、解決した者に1兆ドル規模のメリットをもたらすような問題は、ごくわずかなのだ。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43431
中国?アジア・オセアニア
本当のシンガポールモデル
2015.4.6(月) 裴敏欣
【写真特集】シンガポール建国の父、リー・クアンユー元首相
シンガポールの「建国の父」と呼ばれた故リー・クアンユー元首相〔AFPBB News〕
 シンガポールの建国の父、リー・クアンユー氏の死去は、彼が後世に残したものについて、そして恐らくもっと重要なことに、そのレガシーが正しく理解されているかどうかについて熟慮する機会を与えてくれる。

 首相を務めた31年間で、リー氏は独裁主義と民主主義、そして国家資本主義と自由市場との複雑なバランスを取るユニークな統治機構を築き上げた。

 シンガポールモデルとして知られるリー氏独特の統治は、間違って、自由主義経済の上に敷かれた一党独裁体制として位置づけられることが多い。

 シンガポールを豊かな都市国家に変身させたリー氏の成功は頻繁に、自分たちの厳しい社会統制を正当化するものとして権威主義的な支配者によって引き合いに出される。その最たる例が中国だ。

 実際、中国の習近平国家主席はシンガポールモデルに強く感化された改革政策を追求している。容赦ない腐敗撲滅運動、反対派の大規模弾圧、市場志向の経済改革といったものだ。

誤解されたシンガポールモデル

 中国共産党はシンガポールに中国の将来像を見て取っている。すなわち、豊かな資本主義社会において永久に政治権力を独占する姿だ。

 しかし、中国の統治者たちが理解しているようなシンガポールモデルは1度も存在しなかった。リー氏の統治モデル――風刺漫画にされるような類ではなく、真のシンガポールモデル――を真似るためには、中国共産党が絶対に容認しないような民主的な制度を認める必要がある。

 リー氏の政治的才覚の本当の秘訣は、メディアや政敵の提訴といった抑圧的な行為を巧みに利用したことではない。そのような戦術は半独裁体制ではよくある取るに足りないことだ。リー氏が行った本当に革新的なことは、シンガポールを支配するエリート層の略奪的な欲を抑えるために民主的な機構と法の支配を使ったことだ。

 中国とは異なり、シンガポールは、野党が(必ずしも公平ではないが)競争的な自由選挙で争うことことを認めている。2011年に行われた直近の議会選挙では、野党6党の得票率が合計4割に達した。リー氏が創設した人民行動党(PAP)がお粗末な統治のせいで正当性を失うことがあれば、シンガポールの有権者はPAPを政権から追い出すことができる。

 競争的な選挙を定期的に実施することで、リー氏は事実上、政治的な自己規制と責任体制のメカニズムを確立した。

 シンガポールの有権者に、PAPが政権にとどまるべきか否かを決める権限を与えたのだ。

 この執行メカニズムのおかげで、シンガポールのエリート支配層内の規律が維持され、その約束が信頼性を持つようになった。

 残念ながら、大半の国は、シンガポールの多く近隣国が用いたような残忍な行為や抑圧を自国市民に味わわせることなく、市民の幸福を大きく改善させた独裁主義と民主主義のハイブリッド制度を築いたことについて、リー氏に適切な功績を認めることはなかった。

中国の指導者が求めているのは自身の権力の永続だけ

 中国は、かなり踏み込んだ民主主義を導入し、法治の順守を強化することで、このモデルを採用することが賢明だ。

 中国の統治者がシンガポール流の政治機構・慣行を導入することになれば、14億人の中国国民はとてつもなく大きな恩恵を受ける。これは最低でも、野党の結成を合法化し、一定の間隔で競争的選挙を実施し、独立した司法制度を築くことを意味する。

 リー氏を真似れば、中国は大きく飛躍を遂げ、より明るい未来がある人間的で開かれた社会になれるだろう。悲しいかな、少なくとも近い将来は、これが実現する可能性はほぼゼロだ。

 中国の指導者がシンガポールモデルを引き合いに出す時に念頭に置いているのは、自身の権力の永続に限られている。競争的な制度機構に課される抑制を受けずに、政治的独占の恩恵を得たいと考えているのだ。

 リー氏は民主主義の恩恵について懐疑的だったかもしれないが、感情的に敵意を抱いていたわけではなかった。リー氏は、民主主義の有用性を理解していた。

 それとは対照的に、中国の指導者は民主主義のことを、何が何でも無効にしなければならないイデオロギー上の実存的脅威と見なしている。

 彼らにとっては、エリートに一定の規律を課す手段として、ごくわずかな民主主義を認めることさえ自殺的行為と見なされるのだ。

 残念ながら、リー氏はもうこの世にいない。シンガポールモデルのどこが本当に革新的だったのか、リー氏が中国の指導者に説明するところを想像したいところだが、明らかに、その選択肢はない。

 しかし、中国共産党は――たとえアジアの偉大なステーツマンの1人にただ敬意を示すためだけだとしても――全く異なる政策にシンガポールブランドを勝手に使うのをやめるべきだ。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43415 
最後のフロンティア、今こそ知りたいアフリカのこと
第1回 アフリカの基本データと市場概要
2015.4.6(月) 茂木 寿

ナイジェリアの大統領・議会選で投票するグッドラック・ジョナサン大統領(2015年3月28日撮影)。アフリカのGDPの約6割は南アフリカ、ナイジェリア、エジプト、アルジェリアの4カ国で占められる〔AFPBB News〕
 アフリカ地域の経済規模(GDP:2013年)は全世界の約3%となっているが、人口(2010年)は全世界の約15%を占めており、今後も増加が見込まれている。国連の予測によれば、アフリカの人口は2100年には全世界の3分の1以上となる見込みである。
 また、2000年代以降、アフリカ諸国は外資誘致を積極的に進めるなどの施策によって高い経済成長を遂げている。
 今後、投資環境の整備、インフラ整備がさらに進展することが予想されており、アフリカのインフラ市場、消費財市場としての潜在性は非常に高いと言える。
 政治的混乱、内戦、地域紛争、インフラ問題、腐敗問題等、企業が進出する上では、そのリスクが高いのも事実であるが、今後発展が見込まれている国の中には、アジアの新興国の投資環境と比べ、遜色ない国も多く、高い潜在性を有する国も多い。そのため、日本企業にとって有望な進出先となると言える。
 そこで本連載では、今回から3回に分けて、直接投資対象(現地進出)としてのアフリカの将来性について論じたい。今回はアフリカの概要について展望する。
 なお、2回目及び3回目では、アフリカの将来性及び今後発展が見込まれるアフリカの主要国の状況等について、記載する予定である。
アフリカの基本データ
 アフリカ地域には2011年7月にスーダン(共和国)から分離独立した南スーダン(共和国)を含め54の国がある(国際的には承認されていない西サハラ及びソマリランドを含め56ヶ国とする場合もある)。地理的にはアフリカ大陸及びその周辺島嶼国からなっている。
 アフリカ大陸は南北に約8000キロメートル、東西に約7400キロメートルで、地理的・地勢的にも多様性があり、観光資源等も豊富である。また、アフリカには2500以上の民族・部族、2000以上の言語が存在するとされており、文化的にも多様性に富んだ地域である。
アフリカ大陸。アフリカには2500以上の民族・部族、2000以上の言語が存在するとされる(Googleマップ)
 宗教はサハラ砂漠以北ではイスラム教が主流であるが、サハラ砂漠以南においては、キリスト教及び土着宗教が主流となっている。宗教の人口比率はイスラム教が約40%、キリスト教が約45%、その他土着宗教等が約15%とされている。なお、イスラム教とキリスト教の地理的境界線は、東アフリカの海岸線を除き、北緯10度であるとされている。
 アフリカ地域は全世界の陸地面積の20.35%を占める(注1)。人口(2010年:10億3108万人)(注2)も全世界の14.91%を占めているが、2013年の経済規模(GDP)(注3)は全世界の3.14%に過ぎない。また、アフリカ全体のGDPに占める上位4カ国(南アフリカ・ナイジェリア・エジプト・アルジェリア)の比率は57.8%に達している。
 人口については、世界の多くの国で、21世紀初頭から中盤にかけて、ピークを迎え、その後減少するが、アフリカの人口は2100年まで増加を続けると予測されている(注2)。2010年から2100年にかけての90年間の増加率は年率平均1.46%であり、世界に占めるアフリカの人口比率は2030年には19.40%、2050年には25.06%、2100年には35.15%に達すると予測されている(つまり、2050年には全世界の4人に1人、2100年には3人に1人以上がアフリカ人となる)。
アフリカの民主化運動と内戦
 アフリカ諸国の多くは20世紀中盤まで、欧州各国の植民地であったが、1960年代以降、そのほとんどが独立を果たした。しかしながら、国境線が人工的に確定されたものも多く、さらに、アフリカにおいては、歴史的に部族社会が政治・社会の基盤であったことから、独立後の各国の政治運営は多難を極め、内戦・クーデターが頻発することとなった。
 また、独立後から1990年代初頭まで、アフリカの多くの国が東西冷戦構造に組み込まれていたことから、民主化は大きく遅延することとなった。例えば、1960年代から70年代にかけて、サハラ以南において、選挙で平和的に政権を去った指導者は皆無であったと言われている。
 1980年代以降、徐々にではあるが民主化が進展し、1994年には南アフリカでマンデラ政権が誕生した。だが、アフリカ諸国のほとんどの国では、民主化が進展せず、軍事力を背景とした独裁政権が多数を占めていた。また、世界的な資源価格の上昇に伴い、資源の争奪を原因とした内戦も頻発した。
 1990年代に入り、アフリカ各地で内戦が勃発したが、徐々に沈静化した。ルワンダ紛争は1993年、シエラレオネ内戦は2002年、スーダン内戦は2005年にそれぞれ終結した(コンゴ民主共和国、ソマリア、マリ等では内戦・内乱状態が現在も継続している)。
 これらの内戦終結は周辺国の政治・経済・社会的安定に寄与したことから、近年においては、アフリカ諸国の多くが高い経済成長を続けている。
民間ビジネスにとってのアフリカ
 1960年代以降のアフリカ諸国の独立後、欧米・日本等は援助を通じ、アフリカの発展に寄与してきたが、最近では投資・貿易を通じ、アフリカ諸国との関係を強化している。
 特に、欧州各国にとっては植民地経営において深い関係を持っており、アフリカ進出に積極的である。また、米国も2000年代初頭から、アフリカの戦略的重要性の高まりを受けて、アフリカへの関与を深めており、これに伴い米国による直接投資も大幅に増加している状況である。
 近年においては、アフリカの各国政府も外資誘致を積極的に推進しており、投資環境の整備が進んでいる。また、アフリカ地域には世界最大の地域機関であるアフリカ連合(AU:1963年設立)の他、下記のような経済共同体等の地域機関が結成されており、関税自由化の促進、商業登録等を含めた許認可の簡素化等が進められている。
 なお、ほとんどのアフリカ諸国とカリブ海諸国が加盟するアフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP諸国:77カ国)と欧州連合(EU)は2000年6月、ベナンのコトヌで通商協力を主体としたコトヌ協定を締結し、2003年4月に発効した。現在、EUとACP諸国の各国が経済連携協定(EPA)に向け交渉中であり、今後さらにEUとアフリカ間における貿易促進が図られる予定である。
・南部アフリカ関税同盟(SACU:1910年設立(現存する世界最古の関税同盟))
・アフリカ開発銀行(ADB:1964年設立)
・東アフリカ共同体(ECA:1967年設立・1977年解散・2000年再設立)
・西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS:1975年設立)
・南部アフリカ開発共同体(SADC:1980年)
・中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS:1983年設立)
・政府間開発機構(IGAD:1986年設立)
・アラブ・マグレブ連合(AMU:1989年設立)
・東・南アフリカ市場共同体(COMESA:1993年設立)
・西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA:1994年設立)
・中央アフリカ経済通貨共同体(CEMAC:1994年設立)
・サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD:1998年設立)
 2012年のアフリカへの海外直接投資額は800億ドルに達したとされており(注4)、2000年の水準の約10倍となった。国別の直接投資残高(2011年末現在)は、フランス580億ドル、米国570億ドル、英国480億ドル、マレーシア193億ドル、南アフリカ180億ドル、中国160億ドルとなっており、日本は80.81億ドルで9位となっている。
アジアとアフリカの関係
 アジアにおいては、マレーシアと中国が資源開発を中心とした投資を加速している他、韓国もアフリカへの投資拡大を計画中である。
 日本企業は近年、新興国を中心に海外展開を拡大させているが、アフリカ地域にまで、その範囲を広げている企業は少ないのが実情である。
 日本企業のアフリカ地域への直接投資残高は1996年から2013年にかけて年率平均21.5%の大幅増となっているが、全世界の日本企業の直接投資総額に占める割合は約1.1%に過ぎない(注5)。また、アフリカへの直接投資残高の35.5%を南アフリカが占めている状況である。
 また、アフリカに進出している日本企業数は2013年10月現在、584社となっているが、その内、南アフリカが239社を占めている(注6)。南アフリカ以外で日本企業が20社以上進出している国は、エジプト(51社)、モロッコ(37社)、ケニア(35社)、アルジェリア(23社)の4カ国のみとなっている。
 日本企業の進出は増加傾向となっているが、多くの日本企業にとって、アフリカは遠い存在であり、進出を躊躇する向きが多い。その要因としては、下記のような点を挙げることができる。
・距離的(物理的)な問題がある。(直線距離で最も近いソマリアでも日本から約1万キロメートル、日本との航空便の直行便はない(2015年4月からエチオピア線が就航予定))
・歴史的・文化的にアフリカと日本との関連は希薄であり、日本にとってなじみが薄い。
・独裁国家が多く、政治的混乱が多いとの印象があり、関連情報も相対的に少ない。
・暗黒大陸等の呼称があり、未開かつ貧困に喘いでいるとの印象が強く、マラリア・HIV・エボラ出血熱等の感染症の脅威も高いとの印象がある。
 次回以降は、アフリカの将来性と主要国の概況について見ていく。
(つづく)
【出典】
(注1)United Nations, Statistics Division "Demographic Yearbook 2011"
(注2)United Nations, Population Division, Department of Economic and Social Affairs "World Population Prospects: The 2012 Revision"
(注3)IMF "World Economic Outlook Update, Oct., 2014"
(注4)UNCTAD “FDI Statistics 2012”
(注5)財務省「国際収支状況」及び日本銀行「外国為替相場」よりジェトロ作成した資料(2013年末)
(注6)外務省「海外在留邦人数調査統計(平成25年10月1日現在)」
(本文中の意見に関する事項については筆者の私見であり、筆者の属する法人等の公式な見解ではありません)

 

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