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中国にふさわしい役割を与える時:ハビエル・ソラナ(元EU上級代表)
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/492.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 15 日 05:08:27: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: アメリカを裏切る欧州の代償:AIIB参加問題 投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 15 日 05:04:46)


『ニューズウィーク日本版』2015−4・14
P.31


「中国にふさわしい役割を与える時

オピニオン:多くのヨーロッパ諸国も参加するAIIBは既存の国際的枠組みと対立するものではなく補完するもの

ハビエル・ソラナ(元EU上級代表)


 過去20年の戦略地政学的な変化のなかで最も重要なものは、中国の台頭だと言っていい。これまで欧米諸国は、中国に認められるべき影響力をろくに認めてこなかった。しかし、その姿勢も変わっていくかもしれない。

 いま中国はアジアやアフリカ、中南米諸国との関係を深める手段として、2国問協定に依存している。3兆8400億ドル外貨準備高に支えられ、途上国に対して1次産品と引き換えに多額のインフラ投資を行っている。

 しかし2国問協定があるにもかかわらず、中国の国有企業は国際的に最良とみなされるこうした商慣行に従わないことが多い。欧米諸国は中国に対して、国際標準にかなう多国問プロセスを導入するとともに、国際社会へ利益を提供する努力を今以上に行うよう求めてきた。

 だが習近平国家主席の最近の外交政策が何らかの兆候なら、変化の時は迫っているのかもしれない。昨年11月に北京で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に向けて大きく舵を切った。アジアとヨーロッパを結ぶ現代版シルクロードを形成するという「一帯一路」構想の下、400億ドル規模のシルクロード基金も設立した。

 国際社会で影響力を拡大するための中国の取り組みは、今のところ功を奏しているようだ。先月末の締め切りまでに、51カ国がAIIBに参加を表明している。


今年こそ絶好のタイミング

 この地政学的な変化は、アメリカにとっては敗北と受け止められている。しかし、そこには根本的な誤りがある。

 中国が主要な国際金融機関を「迂回」する決断を下した要因は、それらの機関を率いる先進諸国が中国に対し、その経済力にふさわしい役割を与えなかったことにある。

 例えばアジア開発銀行(ADB)では、日本とアメリカの議決権数はそれぞれ全加盟国投票権数の約13%だが、中国は6%に満たず、総裁は常に日本人が務めている。世界銀行の総裁は常にアメリカ人、IMF(国際通貨基金)の事務局長は常にヨーロッパ人だ。

 IMFについては、10年に20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で中国の出資割当額の増額が合意されたものの、米議会が批准を拒んでいるために改革が進んでいない。

 こうしたなか、多くの欧州諸国がAIIBに参加するのは前向きな展開だ。AIIBを既存の各機関と対立するものではなく、補完する存在にすることにつながるからだ。

 それでも欧米諸国には、一層の努力が求められる。欧米の指導者が開かれた姿勢を示さない限り、中国主導の機関や制度に多国間主義や説明責任に関する国際的な慣行を受け入れさせ、労働や環境についての国際基準を遵守させることはできない。

 そのプロセスに踏み出すには、今が理想的なタイミングだ。EU、アメリカと中国が今年、共通の利益を目指して歩調を合わせることができれば、中国で来年開かれるG20首肘禦式議を最大限に活用できる。

 中国が多国間主義を取り入れ始めたことは、国際社会にとって朗報だ。今後ヨーロッパには、そして特にアメリカには、中国の戦略面への不信感を克服することが求められる。
 中国と共にこのプロセスを形づくるチャンスを無駄にしてはならない。その恩恵をできる限り広く井有できる方向へ進むべきだ。」

 

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