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http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0NB05420150420
アングル：英ＨＳＢＣとスタンチャート、増税耐えかねアジア移転視野
2015年 04月 20日 11:33 JST
［ロンドン １９日 ロイター］ - 英政府がこのほど銀行税を大幅に引き上げたのに耐えかね、ＨＳＢＣ(HSBA.L)とスタンダード・チャータード（スタンチャート）(STAN.L)の英大手銀２行がアジアに拠点を移す可能性について検討し始めた。
複数の株主もロイターに対し、移転の妥当性について２行に徹底検証を求めていく方針を示した。２０日に香港で開く投資家会合など、株主会議の場を利用して移転について幹部に問いただす株主も出てきそうだ。
英政府は先の金融危機を経て、銀行の「公正な貢献」を確保するとして２０１０年に銀行税を導入し、これまで８回にわたって引き上げてきた。８回目の先月は３３％の大幅引き上げに踏み切っており、これは５月７日の総選挙を見据えた人気取り政策と見られている。
ＨＳＢＣ株を保有するオールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズの株式責任者、リチャード・バクストン氏は「ＨＳＢＣとスタンチャートが英国に留まる価値は無いと判断するような、痛みの限界に達するリスクは明らかに存在する」と語った。バクストン氏によると、ＨＳＢＣは移転の可能性を検討中だという。
スタンチャートの株式保有比率第２位のアバディーン・アセット・マネジメントは、同行は移転の選択肢を検討すべきだとしている。
事情に詳しい筋によると、経営上層部は既に状況の検証に着手している。ＨＳＢＣは２０１１年に本拠地についての見直しを先送りし、１５年に再検証すると表明していた。同行は現在検証を行っているかどうか、またその時期についてコメントを避けた。
この２行のうち１行に近い筋は「内部では活発な議論が交わされている。投資家やセルサイドのアナリストがこの問題を提起しているからだ」と話した。
ＨＳＢＣの英銀行税支払い額はことし１５億ドルと、予想される利益の約７％に達する見通し。スタンチャートは５億ドル、予想利益の約９％で、両行合わせた納税額は昨年の１５億ドルから２０億ドルに増え、２０１３年比ではほぼ倍増する計算だ。ＨＳＢＣは銀行税を「ロンドンに留まることに対する課税」と呼んでいる。
野党労働党は、政権を握った暁には銀行業界全体への課税を年間８億ポンド増やして４５億ポンド（６８億ドル）とし、この税収を３、４歳児のケアに充てる公約を掲げている。世論調査によると、労働党は与党保守党と互角の戦いを繰り広げている。
バーンスタインのアナリスト、キランタン・バルア氏は、もう一度税率が大幅に引き上げられれば最後の一撃となり、銀行は英国から出て行かざるを得なくなるかもしれないと予想する。
＜状況は流動的＞
ＨＳＢＣは英国と香港という二つの「ホーム」市場を持つ。同行は１９９３年、英ミッドランド銀行を買収した折に香港からロンドンに本拠地を移した経緯があり、今度移転するとすれば香港に戻る可能性が高い。
スタンチャートは１９６９年の設立以来、ロンドンに拠点を置いてきた。移転の場合、既に大半の事業を展開しているシンガポールを選ぶ公算が最も大きい。
アナリストによると、移転コストは１行当たり１５億─２５億ドルと試算される。
ＨＳＢＣは銀行税が引き上げられる前の２月、本拠地として英国が最適であることに変わりはない、と議員に告げている。同行が２０１１年に本拠地の見直しを先送りした際、スチュアート・ガリバー最高経営責任者（ＣＥＯ）は事態が流動的過ぎて合理的な判断ができないと述べていた。
業界筋によると、両行にとってそうした状況はなお続いている可能性がある。両行は収益性の向上やコスト削減、事業売却に取り組むとともに、過去の不正問題への対処や組織簡素化も進めている。スタンチャートの場合は来月、ビル・ウィンターズ氏が新たなＣＥＯに就く見通し。新ＣＥＯは増資を望む可能性がある。
ＵＢＳの銀行アナリスト、ジョン・ポール・クラッチリー氏は「１０年、あるいは１５年後に両行がいずれも英国に留まっているとすれば驚きだ。しかし（移転が）短期的な課題だとは思わない。両行にはもっと大きな優先事項がある」と話した。
（Steve Slater、Sinead Cruise記者）
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