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英国よ永遠なれ――ただ、その代償には限度がある 総選挙間近、今度はイングランドが連合離脱を考え始める番か
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/555.html
投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 23 日 09:06:37: tW6yLih8JvEfw
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43622
英国よ永遠なれ――ただ、その代償には限度がある
総選挙間近、今度はイングランドが連合離脱を考え始める番か
2015.4.23(木) Financial Times
(2015年4月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英国旗でいっぱいの目抜き通り、ロイヤルウエディングで
イングランドやスコットランドの旗を重ねてできた英国国旗。連合はいつまで存続できるのか〔AFPBB News〕
 スコットランドと英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、UK)の他地域の連合は、どれくらい存続し得るのか――。昨年のスコットランドの住民投票は、この問題を長期的に解決するはずだった。

 実際は解決しなかった。それどころか、スコットランドの政治の変化はまた一から疑念を呼び起こしている。

 しかし、いま問われるのは、スコットランドが連合を抜けるべきか否かというより、むしろイングランドが離脱すべきか否かということかもしれない。

 最近では、5月の英国総選挙でスコットランド民族党(SNP)がスコットランドに割り当てられた59議席のうち56議席を獲得する可能性さえあるように見える。SNPに対する支持は極端に地域的に集中しているため、4%足らずの得票率で全議席の9%近くを勝ち取る可能性があるのだ。

 想定される他党の得票配分を考えると、SNPが労働党のエド・ミリバンド氏をダウニング街(首相官邸)に送り込める可能性は十分ある。

SNPの躍進を懸念すべき理由

 なぜそれを心配する必要があるのか。スコットランドの票は常に労働党にとって重要だった。今回違うのは、SNPが見返りに望むかもしれないものだ。SNPは英国の運命にほとんど興味を持っていない。結局のところ、同党は連合からの離脱を望んでいる。

 SNPの関心はむしろ、スコットランドの利益のために、連合からどれだけ絞り出せるかというところにある。その要求の結果として英国の他地域に害が及んだとしても、スコットランドはこれを二次的被害ではなく恩恵と見なすかもしれない。英国が弱ければ弱いほど、連合内にとどまる魅力が減じるからだ。

 筆者は過度に疑り深いのだろうか? そうは思わない。

 スコットランドの住民投票に向けた選挙運動でSNPが訴えた虚偽の主張の1つは、独立したスコットランドはその福祉制度をただ維持できるだけでなく、改善できるというものだった。この主張は、もともと労働党を支持していた多くの有権者を納得させ、独立、それゆえSNPの支持に回らせたようだ。

 だが、独立したスコットランドが既存の福祉制度を維持することにさえ苦労することは明らかだった。

 独立すれば、不安定な石油収入への依存度が高まるため、スコットランドの財政状況は極めて予測不可能なものになる。

 さらに、新たに独立した歳入の不確かな国家として、英国より高い金利を払わねばならない。

 最後に、資本と熟練労働者の逃避を招くことなく、残る英国諸地域を大きく上回る水準まで税率を引き上げるのは難しいはずだ。

財政的な自立と保護の両立?

 原油価格の下落はそうしたリスクを浮き彫りにした。英予算責任局(OBR)の最新の予想によると、スコットランドの純額ベースの財政赤字は今年度、域内総生産(GDP)比8.6%に達する見込み。対して英国のそれは4%だ。

 これが意味することは、(独立した借り入れ権限は持たないとはいえ)完全な財政の自治権があった場合、スコットランドは財政赤字を残る英国並みにするために、支出を劇的に――場合によっては最大10%――削減しなければならないということだ。

スコットランド首相、独立国家の「青写真」を発表
もう少しで独立を勝ち取るところだったアレックス・サモンドSNP前党首〔AFPBB News〕
 ところが、SNP前党首のアレックス・サモンド氏は、この財政の自治権のロジックを否定している。

 同氏は、スコットランドに対する「不利益」があってはならないという原則――住民投票後に限定的な分権パッケージについて連合維持派の政党と合意したもの――は、完全な財政の自治が実現した場合にも当てはまると訴えている。

 言い換えれば、スコットランドは財政的に自立すると同時に、苦痛を伴う影響からは保護されるとサモンド氏は訴えている。スコットランドは自ら確保する歳入とは無関係に、相対的に高い1人当たり支出を維持できるよう、英国の他地域からの補助金の恩恵を受け続けるというわけだ。

 ちなみに、この訴えは、スコットランドの独立には財政的なリスクがほとんどないというSNPの主張が虚偽だったことを暗示している。

 もっとも、暗黙のうちに虚偽を認めたことがスコットランドの隅々まで浸透したわけではない。

 もしサモンド氏の厚かましい議論が通用したら、絶対に浸透することはないだろう。

 労働党に対するSNPの支持の対価は恐らく、まさにサモンド氏が描いた通りのものになる。スコットランドは財政の自治権とあわせ、英国の他地域による財政保証を手にするのだ。

SNPと取引した労働党政権が誕生したら・・・

 このような一方的な取引は、同等な寛大な措置にあずかれない比較的貧しい地域に住む労働党支持者をはじめ、他の英国有権者の不満をさらに煽るに違いない。労働党がSNPとそのような取引をして労働党政権が誕生した場合、支出と赤字を抑えることは不可能でないにせよ極めて難しいだろう。

雨漏りにネズミ、英国会議事堂の老朽化に警鐘
世論調査によると、5月7日の総選挙の結果、再びハングパーラメントが誕生する可能性が高い〔AFPBB News〕
 支出を増やすべき根拠はある。短期的には、これは意味を持たないかもしれないが、長期的には間違いなく問題になる。

 保守党に関して言えば、スコットランドの自治とバランスを取るために、イングランドの財政的な自治をさらに強く主張するようになるだろう。

 もしイングランドが財政的に独立したら、連合の維持は極めて難しくなる。スコットランドへの財源配分に関するイングランド人の議論を想像してみればいい。

 もしかしたら、この状況は一時的なもので終わり、SNPが恒久的なキングメーカーになることはないかもしれない。

 しかし、もしキングメーカーになったとしたら、連合の安定性は非常に危うくなる。

 ウェストミンスターの勢力バランスが、もっぱら自分がいいとこ取りをすることばかりに関心がある政党に握られる状況は、連合のために支払う価値のある代償には思えない。

 さらに悪いことに、この政党は我が国の成功に興味がない。SNPは唯一、我々から絞り出せるものだけに関心があるのだ。

 筆者は連合の存続を望んでいるが、どれだけの犠牲を払っても存続を望むわけではない。

 もしスコットランドが永遠にその忠誠心をSNPに移したのだとすれば、他地域が言える最善のことは、悲しいが礼儀正しい別れの言葉なのかもしれない。

By Martin Wolf
 

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