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負けたのは香港−選挙制度改革否決でも  
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投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 19 日 20:43:12: tW6yLih8JvEfw
 

負けたのは香港−選挙制度改革否決でも

By ANDREW BROWNE
原文(英語)
2015 年 6 月 19 日 17:41 JST 更新

「否決」と書かれた横断幕が立法会の外に掲げられた Associated Press
 香港のいわば非公式な国歌ともいうべき「獅子山下」という歌は1970年代にヒットしたテレビドラマのテーマソングだが、ともに努力・忍耐し、共通の夢と大志のもと、ひとつになろうと香港市民に呼びかけている。

 「獅子山の下の同じ舟に乗り、私たちは共に舟を漕(こ)ぐ」と、広東省出身のアイドル歌手だった故・羅文(ロマン・タム)さんはこの曲を切々と歌った。

香港議会が選挙改革案否決、中国政府に痛手
 香港の議会に当たる立法会は18日、政府が提出した次期行政長官の選挙制度改革案を否決した。改革案は2017年の選挙で「一人一票」の普通選挙をうたっているものの、その内部に組み込まれた仕組みによって立候補者に対する事実上の拒否権を中国政府に与えるものだった。


2002年に死去したポップアイドルの羅文(ロマン・タム)さん Reuters
 中国は本格的な民主主義による面倒な不安定さを避けることで、政治の秩序と支配を維持しようと試みたものの、皮肉なことにその反対の効果を生み出した。香港の選挙制度改革案をめぐる議論は、かつてはその社会的なまとまりや隣人愛を誇っていた香港社会に深い亀裂をもたらした。

 世論調査によると、香港市民の意見は「何もないよりはまし」的な妥協として改革案を受け入れようとしていた人たちと、改革案はごまかしだと捉えていた人たちの間で二分されていた。

 同時に、改革案をめぐる論争は香港と中国の中央政府との違いを浮き彫りにした。その違いとは1997年に英国から香港が返還された際に中国のケ小平が打ち出した「一国二制度」の枠組みのなかで取り除かれたはずのものだった。この一国二制度のもと、香港には高度な自治権と報道の自由、公民権が認められたからだ。

 中国の目には、香港は統治しにくくなったとしか映らない。民主化を求めて昨年ぼっ発した「雨傘運動」――完全な民主化を要求する学生主導の抗議活動が約3カ月間続き、市内の一部を占拠し、警察当局との衝突を招いた――は香港社会を世代や所得、言語の違いによってますます細かく分断する結果となった。

 香港という「メルティングポット(るつぼ)」は闘争の場になってしまった。かたや中国本土と緊密な関係にある財閥、最近中国から渡ってきた移民たち、そして親中国派の人々。こなた中国本土との結びつきがほとんどない若い世代の香港住民たちだ。

写真で見る香港の選挙改革案否決
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 香港大学が実施した世論調査で、18歳から29歳までの若者の過半数は自分をまず香港人だと認識し、次に中国人だと認識していることが分かった。これは香港と中国本土がいかに離れつつあるかを物語っている。2008年の北京五輪開催中に実施された世論調査では、香港に一番の親しみを抱いていた若者は全体の4分の1に満たなかった。

 選挙制度改革案の採択前に林鄭月娥(キャリー・ラム)政務官は否決される可能性があると警告していたが、それが今、現実となった。政治の停滞が長引けば長引くほど、「移民排斥主義者」のような非主流派の人たちをますます鼓舞することになる。こうした排斥主義者たちは中国本土からの旅行客を聞くに堪えぬ言葉でののしったり、反抗の印として植民地時代の英国国旗を掲げたりしている。彼らは中国共産党によって損なわれてしまったと思っている、かつての中国の伝統を思い出させたいのだ。

 中国共産党はこれまで「多義性」とうまく折り合えたことがない。政治的な結論は交渉で導き出されるものではなく、強制されるものだ。共産党政権のスローガンは「安定性の維持」であり、国内の治安に国防費を上回る予算がつぎ込まれていることがそれを裏付けている。この「敵か味方か」のアプローチ法は周辺地域一帯に騒動をもたらしている。新疆ウイグル自治区の鉄道駅で昨年、刀を持った暴徒が群衆を襲って死亡者が出た事件や、チベットの僧侶や尼僧による相次ぐ焼身自殺などがそうだ。

 こうしたことを考えると、中国政府が選挙制度の大幅な変更に同意する可能性はほとんどない。上層部がこれまで、いくらか柔軟性を示す態度を見せているにしてもだ。

 要は、習近平氏率いる共産党指導部が中央政府に反発する人物の立候補を可能にさせる民主的な仕組みを受け入れる見込みはこれっぽっちもないということだ。

 また、中国政府の観点からすると、中国はすでに十分歩み寄った。立候補できるのは事前にふるいにかけられた候補者のみとはいえ、香港にこれまでなかった普通選挙制度を提示したのだ。実現すれば、候補者には信頼できる政策を提示する責務が生じるはずだ。中国の傀儡(かいらい)では批判を免れまいというのが中国の言い分だ。

 こうなるはずではなかった。英国が1980年代に香港の返還に関する交渉を開始した際、時がたつに連れて中国の自由化が進み、香港との違いが見えなくなるというのが大半の見方だった。だが、違いはかえって際立つようになった。

 香港の民主派は、運の悪いことに、数十年におよんだ自由化の流れを習氏が逆転させつつあるこの時期に、自分たちの見解を主張しようとしているのだ。共産党指導部の見解では、香港は中国の社会システムをむしばもうとする「敵対的な外国勢」の足がかりだ。ここで譲歩することは、国内の反体制勢力を鼓舞することになるだけだ。

 実のところ、南部の広東省には長年、反乱分子の流れが脈々と続いている。清王朝が倒れる契機となった孫文の辛亥革命は1911年にこの地で武装蜂起した。

 だが、民主化への夢が打ち砕かれたことを受け、中国政府に表立って反発することは現実的な選択肢ではない。昨年、数十万人をも抗議デモに動員した民主各派のまとまりは今、疲れ切って分裂している。今後のシナリオとして可能性が高いのは、中国本土との心理的な溝が深まり、香港社会の分断が先鋭化することだ。

 かつて「獅子山下」で歌われていた「香港魂」こそが、18日の選挙制度改革案の否決による犠牲者だ。負けたのは香港だ。

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