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ギリシャ危機の原因は社会保障でなく緊縮策の悪循環とドイツの2倍超に突出する軍事費=独仏からの武器購入
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/169.html
投稿者 tk 日時 2015 年 7 月 07 日 21:38:00: fNs.vR2niMp1.
 

http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150706-00047298/

ギリシャ危機の原因は社会保障でなく緊縮策の悪循環とドイツの2倍超に突出する軍事費=独仏からの武器購入

井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者
2015年7月6日 16時42分

ギリシャで、財政緊縮策の受け入れを争点に行われた国民投票は、緊縮策への反対が61.29%と、賛成の38.7%を大きく上回りました。チプラス首相は「民主主義が勝利した。ギリシャ国民は、ヨーロッパと、持続可能な支援策を交渉する力を与えてくれた」と述べています。

一方、日本のマスコミは、ギリシャの年金はじめ社会保障への公的支出が多すぎる放漫財政だから赤字が膨らみ財政危機になるのだというような論調が目立ちます。本当にそうなのでしょうか? いくつか客観的なデータを紹介しておきます。

まず、OECDによる公的社会支出(社会保障への公的支出)の国際比較です。ギリシャ危機は、2009年10月から始まっていますから、2009年前後のギリシャの公的社会支出(対GDP比)を見ると、下の表になります。

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上の表を見て分かるように、ギリシャ危機が始まる前の2007-2008年の公的社会支出は21.9%で、OECD34カ国平均の19.6%よりも多いですが、フランスやドイツなど11カ国の公的社会支出の方がギリシャより多いのです。そして、直近の2012-2013年はギリシャは上から15番目に後退しています。

それから、やたらと攻撃されているのがギリシャの年金ですが、下の表にあるように、公的社会支出の中から年金(対GDP比)だけを取り出して比較しても、2009年の数字で、イタリア、フランス、オーストリアよりもギリシャの年金は低くなっています。

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ニッセイ基礎研究所の前田俊之金融研究部長は、「ギリシャの年金制度が特別に恵まれたものとは思えません」として、ギリシャで赤字が膨らんだ原因はじつは社会保障制度の弱さと、緊縮政策による悪循環にあるとして次のように指摘しています。

ギリシャの民間企業ではあまり企業年金が発達しておらず、退職金もせいぜい給与の一年分が支払われる程度(中略)また、健康保険制度や失業保険制度も十分整備されていないことから、比較的若いうちにやむなく離職する人々が年金に依存する割合も高い(中略)年金受給者の45%が必ずしも十分な額の年金を受け取っているわけではない(中略)二つ目の原因として挙げられるのはギリシャ経済の急激な悪化です。図表4は雇用環境の急速な変化を示しています。ギリシャの失業率は現在27%程度と言われていますが、これは2010年と比べても2倍を超える水準となっています。また、若い世代での失業率はさらに高く、賃金水準も大きく低下しています。この結果、年金制度を支えるはずの掛け金収入が大きく低下し、それが年金収支の悪化、そして政府の財政負担につながっていると考えられます。緊縮策を打てば打つほど年金の収支が悪化する。これがもう一つの悪循環です。

出典:ニッセイ基礎研究所の前田俊之金融研究部長「何が問題か?叩かれるギリシャの年金制度」
ニッセイ基礎研究所の前田俊之金融研究部長「何が問題か?叩かれるギリシャの年金制度

逆に、ギリシャで突出しているのが軍事費です。下の表は、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所のサイトに掲載されている世界各国の軍事費データベースから、EU28カ国の軍事費(対GDP比)を抜き出してみたものです。

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上の表を見てわかるように、2000年から2014年まで毎年、ギリシャの軍事費はEU28カ国のトップです。なんとドイツの軍事費の2倍以上の税金をギリシャは注いでいるのです。

この問題について、英紙デーリー・テレグラフや英紙ガーディアンなどが、「軍事費抑えれば財政危機なかった」として次のように指摘しています。
EU各国の責任論浮上/ギリシャへの武器大量輸出/「軍事費抑えれば財政危機なかった」

(『しんぶん赤旗』2012年3月29日付より)

財政危機に陥っているギリシャに対し、フランスやドイツなどが武器を輸出していることが問題になっています。英紙デーリー・テレグラフはこのほど、ギリシャが負債と景気後退の悪循環に沈んでいる時に「武器を輸出するのは全く無責任だ」との識者の声を紹介。欧州連合(EU)諸国の行為は「偽善だと非難されている」と伝えました。(ロンドン=小玉純一)

問題を改めて浮き彫りにしたのは、EU加盟国の武器取引に関する文書についての報道でした。それによると、ギリシャへの第1次融資が合意された2010年、欧州諸国による対ギリシャ武器輸出は約10億ユーロ(1ユーロ=約110円)に上りました。

ドイツのDPA通信は7日、各国の対ギリシャ武器輸出額を、フランス8億7600万ユーロ、イタリア5400万ユーロ、オランダ5300万ユーロ、ドイツ3600万ユーロと伝えました。デーリー・テレグラフ紙は8日、「フランスはギリシャと軍用機6億6200万ポンド(約820億円)分を契約した」と伝え、「フランスの軍需産業はEUの融資によって支援される」と指摘。同紙によると、「11年10月にEUが対ギリシャ第2次融資を交渉したときに、メルケル独首相とサルコジ仏大統領はギリシャ政府に対し、現行のすべての武器契約を履行するよう求めた」といいます。

独仏両国の圧力に関して、米軍事専門紙「ディフェンス・ニュース」は5日、コーン・ベンディット欧州議会議員がメディアとの会合で語った内容を紹介。それによると、09年10月から昨年11月までギリシャ首相を務めたパパンドレウ氏は同議員に対し、「仏独政府は自国の軍需産業との取引に影響が出るほどにギリシャの軍事費が削減されることを望んでいない」と述べたといいます。

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が19日に発表した07〜11年の武器取引量の報告書によると、ギリシャはドイツの武器輸出の13%を占め、最大の輸出先。フランスの場合も輸出の10%を占め、第2の輸出先となっています。

ギリシャの軍事費は過去20年間、国内総生産(GDP)比2%台から4%近く(世界銀行データなど)でした。他方、EU諸国の軍事費は平均して同比約1・7%。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのポール・ヘイドン氏は、英紙ガーディアン電子版(21日)で、軍事費についてギリシャとEU平均を比較し、「ギリシャの汚職、脱税、公的部門の大きさを非難することは簡単だが、軍事支出が早く抑制されていれば今の危機を体験しなくてすんだと考えざるをえない」と指摘しています。

『しんぶん赤旗』2012年3月29日付 EU各国の責任論浮上/ギリシャへの武器大量輸出/「軍事費抑えれば財政危機なかった」

こうしたドイツやフランスによるギリシャへの武器大量輸出は、「不当債務」だと指摘するブログ記事を以前、私、書いているので、最後にその一部を紹介しておきます。
ギリシャ財政破綻への処方箋-監査に立ち上がる市民たち、1%による不当債務を99%にツケ回すな

同じ国々が一方でギリシャに高額で武器を売却していたという事実があります。1年前、ドイツがギリシャに金融支援の話を持ちかけたとき、ドイツ製の武器の購入が条件の1つとしてあげられていました。「年金や社会保障は削減すべきだが武器の購入は続けろ」というわけです。ドイツは自国の軍需産業は守り、ギリシャ国民にそのしわ寄せをしたのです。欧州議会議員のD・コーン・バンディット氏は、「我々は偽善者だ。先月、フランスはギリシャにフリゲート艦6隻を購入させた。さらに4億ユーロのヘリコプターや1億ユーロの戦闘機も数機、ギリシャに購入させた。総額は30億ユーロに達する。ドイツは10億ユーロで潜水艦6隻をギリシャに購入させている。我々はギリシャに金を与えて武器を買わせているのだ」と指摘しています。
 

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