世界銀行は30日、ロシア経済の主な原動力である家計消費が過去最高のペースで減少していると指摘した PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By ANDREY OSTROUKH
2015 年 10 月 1 日 07:02 JST

　【モスクワ】世界銀行は30日、ロシアの経済見通しが悪化し、来年もマイナス成長が続く可能性があるとの見方を示した。

　世銀は基本シナリオに基づく予想として、2015年のロシア成長見通しをマイナス3.8％、16年をマイナス0.6％と見込んだ。6月時点ではロシア経済が今年2.7％縮小した後、来年には0.7％のプラス成長を回復するとの見通しを示していた。

　世銀は報告で「対外環境の悪化が短期的な成長見通しに深刻な難題を突きつける」とし、「政策をめぐる高い不透明感が広がっており、ロシアの見通しは対外要因の展開だけでなく、厳しさを増すマクロ経済と財政状況へのロシアの対応能力にもかかっている」と述べた。

　世銀はロシア経済の主な原動力である家計消費支出が過去最も大幅なペースで減少しており、リセッション（景気後退）の深刻さを表していると指摘。また、投資需要も3年連続で縮小しているとした。

　原油価格が基本予想の1バレル＝53ドルを大幅に下回って推移することを想定した「下限」シナリオでは、今年の国内総生産（GDP）成長率をマイナス4.3％、来年をマイナス2.8％、17年をゼロと予想した。

　一方、「上限」シナリオの予想はロシア政府の見通しに近く、今年のGDP成長率をマイナス3.1％、来年をプラス1.3％と見込んだ。