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米国の中東政策(1)冷戦下のドミノゲーム(2)サウジとの相互依存(3)調停から介入へ(4)手詰まりの対テロ戦略
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/565.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 18 日 03:52:39: Mo7ApAlflbQ6s
 


[時事解析]米国の中東政策

(1)冷戦下のドミノゲーム ソ連と影響力競う

 今年7月、米国など6カ国がイランと核開発を巡る合意に達した。米国の中東政策の変化を象徴する動きだ。この機をとらえ曲折に富む米国と中東の関係史を振り返る。

 米国が中東に接近し始めたのはアラビア半島での石油確保のためだ。第2次大戦中、ルーズベルト政権が調査団を派遣。「世界の石油生産の重心は、メキシコ湾―カリブ海から、中東へ――ペルシャ湾岸へ移ろうとしている」(ダニエル・ヤーギン著「探求・エネルギーの世紀」)と判断、サウジアラビア接近を加速した。

 大戦後、中東の英仏植民地では独立の動きが相次ぎ、アラブ民族主義が高まりをみせた。中心にいたエジプト・ナセル政権は当初、米に近づくがアスワンハイダム建設の融資を断られ、一転ソ連に接近。米ソが中東で影響力を競う時代に入る。

 米国は湾岸産油国のほか、欧州からのユダヤ移民が建国したイスラエルを支援。ソ連はエジプトなど軍人出身者が率いる共和制国家に武器を供給し、アラブ・イスラエルの中東戦争が激化する。

 米ソのドミノゲームでは策略が渦巻いた。1950年代にサウジがヨルダンを親米陣営に誘うが、同国では親米のフセイン国王(当時)の意に反し政府がソ連に接近。米は第6艦隊を地中海に派遣し威嚇で親米陣営に引き込むといった具合だ(田村秀治著「アラブ外交55年」)。

 80年代に軍拡競争でソ連経済が傾くにつれて、米国の影響力が増す。米は「和平の配当」として資金援助をテコに、イスラエルやアラブ陣営を懐柔。域内諸国と投資・貿易交流も強めていく。

(編集委員 中西俊裕)

[日経新聞10月12日朝刊P.15]
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(2)サウジとの相互依存 原油と防衛 両面で

 米国は石油大国サウジアラビアと長く政治・経済両面の取引関係を結んできた。契機は1973年の第4次中東戦争だ。アラブ産油国は敵国イスラエルを支援する米国に石油禁輸戦略を発動。以降、米政府は原油の安定供給を求め、サウジが望む軍事面での協力を拡充した(鹿島正裕著「中東戦争と米国」)。

 80年代、イラン・イラク戦争でアラブ産油国の原油輸送が危機にさらされると、クウェートのタンカーなどを米軍用艦が護衛。90年の湾岸危機でフセイン政権のイラク軍がサウジに迫ると、米軍は翌年の湾岸戦争でイラク軍を駆逐した。

 一方でサウジも、原油需要が伸びた際には、米の要請に応え増産するなど市場安定に配慮。米とサウジの間で「原油と防衛の相互依存」が進んだ。

 両者の関係に北米で進むシェール革命がどう影響するか注目される。

 この数年、シェールオイル開発の進展で米原油生産が拡大し、米国が石油自給体制になるとの見方が現実味を帯びた。その中で昨年11月、サウジは石油輸出国機構(OPEC)内の減産要求を抑え価格下落を容認した。

 生産コストの高いシェールオイルが減り、米国の原油生産は8月に1年ぶりの水準に低下。米エネルギー情報局は10月の短期見通しで、2016年末まで減少が続くと予測する。

 サウジが収入減覚悟で原油安を容認するのは、自国産原油のシェア確保が狙いと指摘される。同時に、米国の自給体制確立を遅らせて「相互依存」関係を保たないと、安全保障面で影響が出るとの計算も働いている。

(編集委員 中西俊裕)

[日経新聞10月14日朝刊P.32]
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(3)調停から介入へ 同盟国と調整課題

 米国は冷戦後期から中東和平の調停に大きく貢献した。1978年にはカーター政権が、4度の中東戦争を戦ったエジプトとイスラエルを和解に導くキャンプデービッド和平合意をまとめた。

 90年代はブッシュ政権主導でマドリード中東和平会議を主催。クリントン政権もパレスチナ自治拡大で調停に尽力した。両政権の努力で和平には「創造的で一貫したアメリカの助力が必要」(L・Z・アイゼンバーグ、N・キャプラン著「アラブ・イスラエル和平交渉」)との認識を生んだ。

 ところが2001年の米同時テロ後、米国は「中東を民主化することがテロを減らす」との考えから、調停者より介入者の性格を強める。イラク戦争では米軍がフセイン政権を打倒。ほかのアラブ諸国にも公正な選挙実施や市場経済化を促すことに力を入れた。

 11年の「アラブの春」を経て域内が内戦で混迷に転じると、オバマ政権は中東関与を縮小。「域外から、力のある国を通じて均衡を図るオフバランス政策」(ジョン・ミアシャイマー米シカゴ大教授)に転換し始めた。

 約30年ぶりに外相会談を開くなどイランと接近し、6カ国と同国の核を巡る最終合意を導いたのが一例だ。軍事力も折衝力もあるイランが過激派の動きを抑止するよう期待しているようだ。

 ただ、イランが核兵器開発の野望を秘めると疑うイスラエルは反発している。宗派の違いでイランを警戒するサウジの不満も募る。米は従来の両同盟国とイランとの連携を両立させるという課題を背負い込んだ。

(編集委員 中西俊裕)

[日経新聞10月15日朝刊P.29]
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(4)手詰まりの対テロ戦略 地上軍派遣に慎重

 2001年の米同時テロで、米政府が中東系過激派に抱く警戒感は著しく高まった。もともと中東のイスラム過激派は自国要人やアラブ領を占領するイスラエルを主な標的にしていた。以前にも在レバノン、ケニア米大使館が大型爆破テロに見舞われたが、米同時テロは桁違いの衝撃だった。

 米当局は10年がかりの捜索の末、首謀者ウサマ・ビンラディンを殺害。イエメンやアフガニスタンで過激派をドローン(無人飛行機)で遠隔攻撃する作戦を続けるなど、対テロ作戦を広く中東・イスラム圏で実行するようになった。

 昨年には過激派組織「イスラム国」(IS)がシリア、イラクで大きな脅威として台頭。旧イラク・フセイン政権の軍人らも参加し正規軍並みの戦力をテコに、交流サイト(SNS)でメンバーを募り拡大するなか、米軍の強い介入を期待する声も出た。しかしオバマ政権はイラク戦争で8年間駐留した兵力を11年に撤収。中東への地上軍再派遣に抵抗感が強い。

 マーク・リンチ米ジョージ・ワシントン大教授は「08年の金融危機のころイラク占領や対テロ戦争に踏み込みすぎ、ひずみが出た」との反省があると指摘する(米誌フォーリン・アフェアーズ9〜10月号)。

 地上からの強い反撃を欠くなか「ISは戦略的優位を持つ」(米軍事アナリストのクリス・ハーマー氏)。最近のアフガニスタンのように米軍機やドローンの誤爆で民間被害者が出ればイスラム系過激派を利することにもなり、米国のテロ戦略には閉塞感が漂う。

(編集委員 中西俊裕)

=この項おわり

[日経新聞10月16日朝刊P.27]


 

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コメント
 
1. 2015年10月19日 07:40:43 : jXbiWWJBCA
米国の最優先課題は中国、ロシアの挑発に乗るな!
プーチン大統領のシリア空爆は派手だが長続きしない
2015.10.19(月) 渡部 悦和
ロシア軍、シリアで新型クラスター爆弾使用か 人権団体
シリアのラタキア県にある空軍基地で、ロシアの戦闘機Su30を点検するロシア空軍のパイロットと技術者〔AFPBB News〕
?ロシアが米国の支援するシリア反政府勢力を標的に空爆を繰り返し、米国の中東政策を台無しにしている。この状況は米国のテレビ番組で頻繁に放映され、ウラジーミル・プーチン大統領の決断力やロシアの作戦に対する驚きと関心の高さを示唆している。

?また、アジアでは中国が南シナ海において人工島を建設し、軍事化の動きを進めているし、中国によるサイバー戦の脅威も深刻である。

?かかる状況において、バラク・オバマ大統領の対外政策に対する厳しい批判は米国内のみならず、米国の同盟国や友好国からも聞こえてくる。

?果断なプーチン氏との対比においてオバマ氏は弱い指導者だと批判されやすい。その批判の一部は適切かもしれないが、彼らのオバマ氏批判の多くは的外れであり、もっと冷静で戦略的な議論が必要である。

?本稿においては特に以下の3点を指摘したい。まず、米国には世界の諸問題すべてを解決する能力はないし、それを米国に要求することは酷である。

?第2に、ロシアのシリアでの軍事活動は、一時的に米国の面目をつぶす形になったが、プーチン大統領による軍事力の行使は、ロシアの国益に基づく冷静な判断ではなく、冷戦終結後に米国をはじめとする西側諸国から受けてきた屈辱を晴らし、ロシアが大国であることを世界に示したいという感情に基づく不適切な判断である。

?航空機や攻撃ヘリに対する兵站の困難さ、反政府ゲリラによる反撃と相まって、いずれ失敗するであろう。米国内では、お手並み拝見という意見が一定の支持を得ている。

?第3に、いずれの国の対外政策も、国益に基づく優先順位に基づいて戦略的に遂行されるべきものであるが、オバマ大統領はそれを守っているので、慎重な対外政策と評価されやすい。

?米国の対アジア太平洋重視という決定は米国の死活的に重要な国益に基づいている。シリアを含む中東の優先順位およびウクライナを巡る欧州の優先順位は、米国の国益の観点で評価すると低く、中国への対処を最優先にすべきである。

米国は万能なスーパーパワーではない

?米国はもはや世界のあらゆる問題を解決できる万能なスーパーパワーではないという事実を忘れてはいけない。米国単独では諸問題の解決は難しく、世界中の協力が不可欠である。

?しかし、多くのオバマ大統領批判論者の主張を聞いていると、「米国は、すべてに対処せよ。アジアの中国にも、中東のイスラム国にも、ウクライナやシリアで軍事行動を繰り返すロシアにも対処せよ。それも言葉ではなく強い行動で対処せよ」と言っているに等しい。

?この主張はあまりに米国の力を過大評価しているし、外交政策が国益に基づく優先順位で実行されることを忘れており、強い行動が軍事力の行使を示唆している。とても評価できる批判ではない。

?オバマ政権の外交政策は、ジョージ・Wブッシュ元大統領が無謀にも引き起こした2003年のイラク戦争をはじめとする米国の対テロ戦争の失敗を教訓にしている。

?イラク戦争が示した現実は、米国には軍事力で他国の政権を崩壊させる力はあるが、ブッシュ氏が目指した自由と民主主義を中東に強制することもできないし、破壊した国家を再建させる力もないという事実である。

?そして、イラク戦争こそパンドラの箱であり、その箱から、現在の邪悪なイスラム国の台頭、アラブの混乱(当初はアラブの春と言われていたが実態はアラブの地獄である)、シリアやイラクからの大量の避難民が発生したのである。

オバマ大統領の対外政策の特色

?前述の反省を基にしたオバマ氏の対外政策は慎重であり、極力軍事力の使用を避ける、やむを得ざる場合には空軍戦力と海軍戦力を使用する。地上戦力の使用は最後の最後まで避けている。

?そもそも、オバマ氏は、大統領就任以来、外交よりも主として内政に焦点を当ててきたが、彼の外交政策は、第1にジョージ・Wブッシュ氏が始めたイラク戦争とアフガニスタン戦争を終結させることであり、新たな戦争を始めないことである。

?第2に世界経済を安定させるために多国間の努力をリードすることであり、米国の経済を復活させることであった*1。

?私はオバマ氏の対外政策そのものは適切であると思っている。何よりも過半数以上の米国人が彼のイラクおよびアフガニスタンからの撤退を支持している。しかし、多くの批判者が主張するように、その政策を実行する際における断固たる態度・信念・情熱に欠ける点などは問題である。

?また、「地上部隊を投入しない」「米国の手段や能力を越えた資源の投入をしない」「米国はパートナーなしには単独でやらない」と否定形で語り、かつあまりにも早くに正直に本音を語り、手の内を相手に見せてしまう点も批判されている。

?過早に手の内を明かすことにより、相手(ロシア、中国、イスラム国)から見くびられ、その後の米国各省庁の仕事を困難にしていると言われている。

*1=Ian Bremmer, “SUPERPOWER”, P40

?一方、オバマ氏の対外政策を観察していると、大統領や議会が戦争を選択するか否かを決定する際に自らに問うべき8つの原則を守っているように思えてならない。この8つの原則はコリン・パウエル元統合参謀本部議長・元国務長官の意思決定の原理であり、8つの原則のうちの1つでも引っかかれば戦争を選択してはいけない。

1?死活的に重要な国家安全保障上の利益が脅威を受けているか?
2?明確で達成可能な目標を持っているか?
3?リスクとコストは十分かつ率直に分析されたか?
4?非暴力的な手段はすべて完全に試し尽くされたか?
5?終わりなき介入を避けるために妥当な出口戦略はあるか?
6?米国の行動の結果は十分に考慮されたか?
7?行動は米国民から支持されているか?
8?世界から広範囲な心からの支持を獲得しているか?

?ちなみに、ジョージ・W・ブッシュ氏が決定したイラク戦争は見事に8つの原則すべてをクリアしていない。オバマ氏の軍事力の使用に慎重な姿勢はこの8原則にあると私は思っている。彼の判断として、中東は米国にとって死活的に重要な国益ではないし、地上戦力を投入する際の出口戦略を見出せないし、国民の支持も得られないのである。

?現在の世界の混乱をオバマ氏1人の責任にするのは適切ではない。ある国の問題は最終的にその国民しか責任が持てないのであり、イラクの問題はイラク国民が、シリアの問題はシリア国民しか責任を持てないのである。イスラム国との闘いの最終責任者もイラク国民であり、シリア国民であり、米国民ではない。

オフショア・バランシングが米国の中東戦略

?シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授によると、そもそもイラク戦争以前(特に冷戦間)の米国の中東における伝統的な戦略はオフショア・バランシング(Offshore Balancing)であり、その戦略は上手く機能してきた*2。

?オフショア・バランシングにおいては、中東の秩序をイラン、イラク、イスラエル、サウジアラビアによるバランス・オブ・パワー(当事国間の牽制、相互の抑止)に任せ、米国は軍事力を直接的に中東に配置することなく、オフショア(中東から離れた場所、例えば米本土)から主として外交的に関与する。

?中東のバランス・オブ・パワーが崩れ、米国の死活的に重要な国益が損なわれる時にのみ軍事的に関与をする。関与する際には弱い国を助け、バランスを保つことを原則とする。

?例えば1990年のイラクのクウェート侵攻に際しては、軍事力をもって介入しイラク軍を撃破し、クウェートから撤退させたのが典型例である。

*2=John J. Mearsheimer, “Rebalancing the Middle East, 2008/11/08, News Week

?中東におけるオフショア・バランシングの利点は、費用対効果に優れている点である。中東の当事国にバランス・オブ・パワーを任せることにより、米国の負担を軽減することができるし、中東に米軍を直接配置しないことにより中東諸国の反感を買うことなく、テロなどの危険性もない。非常に実績のある戦略であった。

?しかし、このオフショア・バランシングを放棄し、中東におけるバランスを崩してしまったのがジョージ・Wブッシュ氏によるイラク侵攻によるサダム・フセイン政権の崩壊および米国によるイラク国家再建の失敗である。

?イラクという有力なバランサーをなくしてしまったことにより中東におけるバランス・オブ・パワーが崩れてしまったのである。崩れたバランスの空白をついてイスラム国などの過激暴力集団が活発に活動することになったのである。

?実はオバマ大統領の中東における戦略はオフショア・バランシングに極めて近い。オバマ氏自身はオフショア・バランシングという言葉は使っていないが、それに近い戦略を採用している。

プーチン大統領の一時の栄光といずれ来る挫折

?喧嘩慣れしたプーチン大統領によるクリミア併合とウクライナ東部への侵攻、そして今回のシリアでの空爆そしてカスピ海からの巡航ミサイル攻撃は、米国の虚を突くものであったかもしれない。

?かなりの人がプーチン大統領は優れた戦略家であると評価するが、私はそうは思わない。確かに彼は、リスクを取ることのできる決断力のある指導者ではある。

?しかし、ウクライナ正面での紛争が終了していないにもかかわらず、また欧米諸国の経済制裁および低迷する原油価格による経済危機の状況において、新たな戦端を中東シリアにおいて開いてしまった。

?経済危機状況下における2正面作戦が成功裏に終了するとは思えない。確かに今回のロシア軍のシリア派遣と空爆等の実施は、オバマ氏を窮地に追い込んだかのように見える。一時的にオバマ氏の鼻を明かしたとしても、最終的にはシリアでの作戦は失敗に終わるであろう*3。

?彼の軍事力の派遣とその行使の根底には欧米諸国に対する恨み・復讐心がある。ロシアが世界の大国であり、ロシアは無視されるべき存在ではないという叫びがあり、ロシアのナショナリズムがあり、ロシアのプライドがある。

?この極めて人間的な感情で軍事力の派遣や行使を決定することがプーチン氏の対外政策の根幹にある。だから彼は優れた戦術家であっても、優れた戦略家ではないと思うのである。

*3=David W. Lesch, “Russia Is Repeating Cold War Mistakes in Syria”, Foreign Policy October 6, 2015

?すでに述べたように軍事行動を開始する際には自国の死活的に重要な国益に適っているか、明確な目標があるか、出口戦略はあるかなどを徹底的に分析しなければいけない。

?シリアのアサド大統領を助けることがロシアの死活的に重要な国益だとは思えないし、明確な出口戦略があるとも思えない。

?容易に想像できることは、航空攻撃のみでは反政府勢力を打倒することはできないし、地上戦力を投入すれば米軍が経験したと同様の損害を被るであろう。だから米国内では「ロシアが中東で作戦したいのであればさせておけ、どうせ失敗するから」という冷めた意見も一定の支持を得ているのである。

米国の対処すべき最優先国家は中国である

?中国もロシアも米国の秩序に正面から挑戦し、自らの主導する秩序を構築しようとしている。プーチン大統領がそうであったように習近平主席の「中国の夢」、「中華民族の偉大な復興」の根底にも日本や欧米諸国に対する恩讐やナショナリズムがある。

?ロシアは、その経済的苦境にもかかわらず2正面作戦を遂行するという愚を犯したために、その攻勢は一時的であろう。しかし、中国は最も警戒すべき国である。

?中国のサラミスライス戦術*4によるアジア覇権の追求は厄介であり、中国の経済的発展が継続すれば対応が益々難しくなっていく。従って、米国そして日本が対処すべき最優先国家は中国であり、ロシアではない。

?マイケル・オースリン*5は、10月8日付けのWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に投稿し、オバマ大統領の対外政策を批判し、「オバマ氏の指導力に欠けた外交政策と信念の欠如から生じる結果を、もはや無視することはできない」と指摘し、中東のロシアにもアジアの中国にも断固として対応すべきであると主張している。

?中国およびロシアに優先順位をつけることなく両国に強く対処すべきであるという主張であるが、私の意見は違う。

?中長期的な中国の国力の増強およびロシアには既に経済制裁を加えていることを考慮し、最優先で対処すべき国は中国であるというのが私の主張である。日本と米国のバイタルな国益を損なう可能性のある国は中国である。

*4=チーズを薄く切った一切れを少しずつ奪っていき、結果としてチーズ全体を奪う戦術。小さな成果を逐次に積み重ねていき、最終目標を奪取する戦術。人工島の建設も薄い一切れである。

*5=Michael Auslinは、アメリカン・エンタープライズの日本部長でWSJのコラムニストでもある。

?オースリンは、次のように主張しているが正論である。

?「オバマ氏は現在、困難な選択に直面している。同氏は重要な紛争地域で世界秩序の浸食が進むのを黙認することができるし、安定を強化するために行動することもできる。どちらの道に進んでもリスクが伴うが、行動しなければ攻撃的なエスカレーションが継続する可能性は非常に高くなる」

?「中国に南シナ海の人工島を軍事化させ、同国が主張する新たな(そして偽りの)領海の内部に米海軍が入り込むのを控えれば、中国政府がさらに広範な主張をする前例作りをお膳立てすることになる。中国政府は恐らく、スプラトリー諸島(南沙諸島)上空に防空識別圏の設定を宣言し、強制執行するかもしれない。同盟諸国が米国の介入を懇願する中で米国が傍観者になっていれば、事態が急速に管理不能になってしまう可能性もある」

?私は南シナ海のみならず尖閣諸島を含む南西諸島にも強く対応すべきだと思うし、中国の不法なサイバー戦にも断固として対応すべきであることを付加する。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44999


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