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米大統領選、「トランプ現象」どこまで :批判の受け皿にすぎぬ:党の指名、可能性はある:民主党もだが英国労働党の例があるの
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 19 日 03:35:32: Mo7ApAlflbQ6s
 


[創論]米大統領選、「トランプ現象」どこまで

批判の受け皿にすぎぬ フリーダムワークス理事長 アダム・ブランドン氏 


 2016年11月の米大統領選の候補者選びは共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)ら政界の非主流派が勢いづく異例の展開を示す。「トランプ現象」は続くのか。保守派の草の根運動「茶会」の団体フリーダムワークスのアダム・ブランドン理事長と、リベラル派の団体デモクラシー・フォー・アメリカのジム・ディーン代表に聞いた。

 ――共和党の大統領候補の指名争いで問題発言を連発しながらトランプ氏が躍進している現状をどうみますか。

 「トランプ氏への支持は、既成政治へのいわゆる批判票だろう。批判の受け皿だけの候補は何もできないから、私は好きではないし、現在の高い支持率が来年の予備選が始まるまで続くとは思わない。彼が共和党候補の指名を獲得することはないだろう」

 「ただ人気が大きな衝撃を与えたのは間違いない。彼は政治家がこれまで考えていても言わないようなことをすべて言う。注意を払いながら発言する政治家と比べ、有権者には新鮮に映っている」

 「民主党でいうなら、社会主義者を自認するバーニー・サンダース上院議員(74)がトランプ氏と同様の存在だ。民主党員はサンダース氏を真剣な候補とは思ってない。批判の受け皿として楽しんでいるだけだ。これはヒラリー・クリントン前国務長官(67)の候補としての弱さの裏返しだが、もしバイデン副大統領(72)が大統領選への立候補を決断すれば、もっと構図はわかりやすくなる」

 ――共和党内で支持率が高い元神経外科医のベン・カーソン氏(64)や、女性で米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)の元最高経営責任者(CEO)、カーリー・フィオリーナ氏(61)も政治の門外漢です。

 「有権者の既成政治への不満というのが簡単な答えだ。我々も政治を動かそうといろいろな活動家と仕事をしているが、米議会は機能しない。ベイナー下院議長が暫定予算を成立させるために辞任の圧力に屈したのも、議会の機能不全が原因だ。既成の政治家は有権者が望んでいることが分かっていない。だからトランプ氏らのようなアウトサイダーが人気を博している」

 ――二大政党制を採用する米政治が民意をくみ取れていないことになりませんか。

 「茶会系のフリーダムワークスは組織化され、有権者はすでに行動に移し、共和党が担ってきた役割の一部を引き継いでいる。二大政党制はこれからも発展しながら存続するだろうが、政党の重要性はかなり低下している」

 ――支持率で一時首位にあったウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は早々と脱落しました。トランプ氏とのアウトサイダー争いに負けたとの見方があります。

 「実績と人気もあっただけに驚いた。支持率の急落や、資金繰りの問題だろう。共和党のテレビ討論会もいまひとつだったので、資金が集まらなくなった。ウォーカー氏はワシントン政治のアウトサイダーを売り物にしていたが、トランプ氏は完全なアウトサイダーだ。彼は組織に参加したことがない」

 ――ウォーカー氏の撤退はマルコ・ルビオ上院議員(44)を大統領候補に据え、自らは副大統領候補におさまる密約ともささやかれています。

 「十分にあり得るシナリオだ。大統領候補に選ばれた者が副大統領候補を指名する。有権者は大統領候補に大物の政治家、副大統領候補には直前まで敵対していたような攻撃的な人材を望む。ウォーカー氏は撤退した後も攻撃的な姿勢を維持しており、副大統領候補になり得る」

 ――当初は強いとみられていた共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)の支持率は伸び悩んでいます。

 「原因は『ブッシュ』という名前だろう。歳出の肥大化を含め保守派の多くは、ブッシュ兄の大統領時代に問題が起きたと考えている。弟のブッシュ氏が最適な候補だったとしても、有権者は何か違う、新たなものを求めている。(キューバ系米国人の)ルビオ氏は普通の共和党員とは異なる。ブッシュ氏と同じフロリダ州が地元だが、いずれルビオ氏への支持がブッシュ氏を上回るだろう」

 ――あなたが率いる政治団体、フリーダムワークスが支持する候補は誰ですか。

 「支持する候補はいない。これは戦略的な決定だ。大統領選と同時に実施する下院議員の選挙に集中している。好ましいという点では保守派で、ともに上院議員のテッド・クルーズ(44)、ランド・ポール(52)の両氏だ。最終的に指名を争うのはルビオ氏とクルーズ氏ではないか」

 ――次期大統領選を左右しそうな争点は何ですか。

 「経済になるだろう。中東の過激派組織『イスラム国』(IS)との戦いも重要だ」

(聞き手は ワシントン=吉野直也)

 Adam Brandon ワシントンを拠点に約300万人の支持者を抱える茶会系の団体を主導。安倍晋三首相とも面識がある。37歳。

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党の指名、可能性はある デモクラシー・フォー・アメリカ代表 ジム・ディーン氏

 ――来年の米大統領選の論争を予想してください。

 「経済的な不平等が最大の争点となるだろう。米国民の所得格差は1928年以来最大に達している。最低賃金の引き上げだけでなく、有給休暇や医療保険、年金など様々な政策にまたがる問題だ」

 「このことが、民主党の大統領候補の指名争いでサンダース上院議員が予想以上の支持を集めている大きな理由といえる。サンダース氏は約40年にわたり、一貫して経済格差の問題に取り組んできた。クリントン前国務長官も格差是正を訴えているが、この問題に関してはサンダース氏の方が徹底している」

 ――共和党側で実業家のトランプ氏はなぜこれだけ支持を集めているのでしょうか。

 「まずエンターテインメントとしての価値がある。米国の主要メディアはトランプ氏の実業家としての業績の実態を精査もせず、過剰に報道している。トランプ氏は不法移民問題を取り上げることで、ブルーカラー層の共和党員の支持を得た。他候補が弱いことも理由の一つだ。米国民全体が旧態依然の政治に飽き飽きしている現状もある」

 ――トランプ氏やサンダース氏らのような「非主流」の候補が最終的に党の指名を獲得できると思いますか。

 「可能性はあると思う。米国は政治だけでなく様々な面で非常に不確実な時期にあり、善きにつけあしきにつけ多くのことが起こり得る」

 「サンダース氏は序盤に予備選を開く州で支持率が高く、勝てば勢いに乗るかもしれない。資金力に頼らない選挙戦を展開しており、予備選を最初に開くアイオワ、ニューハンプシャー両州では巨額の資金を投入しなくても結果を出せる可能性がある」

 「我々(デモクラシー・フォー・アメリカ)は、民主党予備選で特定候補への支持表明はしない方針だ。会員の大多数が一致して支持する候補がいないのが第一の理由だ。各候補に我々にとって重要な政策への取り組みを促すことを重視している」

 「トランプ氏の場合、独走を続けることはないように思う。共和党には予備選の終盤まで戦える資金力を持つ有力候補が数人いる。それぞれが一定の代議員を獲得し、決着が来夏の全国党大会までもつれ込む可能性もある」

 ――2004年の民主党予備選では、支持率が首位だったハワード・ディーン元バーモント州知事が初戦のアイオワ州党員集会で敗れて失速し、より「安全な候補」とみられたケリー上院議員(当時)が指名を獲得しました。

 「私の兄であるハワードは自分が大統領の器であることを有権者に伝えきれなかったと言っていた。ハワードや08年の予備選初期のオバマ氏のような『非主流』の候補は、ある時点で『大統領にふさわしい』候補に移行できなくてはならないというのがこれまでの定石だった。オバマ氏はこれを見事にやってのけた」

 「今回の選挙に定石はあてはまらないのではないか。有権者は新鮮さを求めており、候補者選びでリスクを取る意思があるように思う。クリントン氏は素晴らしい候補だと思うが、長く政治の表舞台にいるのは事実で、そうした印象を克服する必要がある」

 ――政治経験のない人物に外交政策の決断を任せることを不安視する声もあります。

 「トランプ氏はそもそも公職に就くべきでなく、外交政策を託すというのは問題外だ。重要な決断ができ、専門家に耳を傾ける候補が他にいる。しかし全ての有権者がそれを重視するかは分からない。残念ながら米国の有権者は内向きになりがちだ」

 ――「非政治家」の台頭は米国の政治にプラスですか。

 「米国の政治の最大の問題は、有権者の関心と参加の欠如だ。投票率は常に低迷している。選挙戦が白熱して関心が高まれば、政治にとってプラスといえるだろう」

 「クリントン氏が他候補を攻撃していないのは賢い判断だ。共和党の『主流派』候補であるブッシュ元フロリダ州知事も、むやみに注目を集めようとせず、地道に支持を広げていく方がいい。トランプ氏のようなやり方が尊敬を得られるとは思えない」

 「予備選が始まれば有権者は候補者をもっとよく知ろうとするだろう。有権者が目覚めて、真に選挙の主導権を握るようになれば、いい結果につながる。米国民は思われているよりもずっと賢い」

(聞き手は ワシントン=芦塚智子)

 Jim Dean 04年の大統領選の民主党予備選に出馬したハワード・ディーン氏の弟。市場調査会社などを経て05年から現職。61歳。

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〈聞き手から〉既成政治に不満高まる

 保守、リベラル両派を代表する論客はともに既成政治への不満の高まりを指摘した。米政府の調査によると、金融危機後の景気回復の恩恵は3%の高所得者層に集中する。現状への怒りや将来への不安がトランプ氏やサンダース氏らを押し上げている。

 非主流の人材が最終的に指名を得るかどうかでは見方が割れた。「トランプ氏はすぐに失速する」という多くの専門家の見立ては外れつつある半面、旋風がずっと続くとの予想もなお少数派だ。

 2008年大統領選の1年前。共和党は前ニューヨーク市長のジュリアーニ氏、民主党はクリントン氏が世論調査で先頭を走っていたが、候補指名に届かなかった。世論に翻弄された2人は経験豊富な政治のプロだった。

 核のボタンや地球規模の政策をアウトサイダーに委ねるのか。不安はじわりと増す。内向きが目立つ米国民の世論がどう熟していくのか。世界はあと1年注視しなければならない。

(吉野直也)

[日経新聞10月18日朝刊P.9]

 

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コメント
 
1. 2015年10月19日 08:47:39 : 7pjMYA4PpO
いや、一回の投票で決まる英国労働党の党首選とはシステムが違うからね。ハプニングは起こらんだろう。

それに、労働党の場合は、いわば党の先祖がえりで、コーピンは党内の異端(サンダース・・・「党内」ですらないのか)とか、常識はずれの色物キャラクター(トランプのことね・・・笑)ではないからな。

で爺


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