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トルコ 総選挙後も治安の安定は予断許さず
11月2日 17時39分
トルコで１日に行われた総選挙では、与党が過半数の議席を獲得して、単独で政権を担うことが確実となりましたが、クルド人の多い地域では選挙結果に不満を抱く野党支持者と治安部隊が衝突してけが人も出るなど、治安が安定に向かうかは予断を許さない情勢です。
トルコでは１日、総選挙の投票が行われ、地元のメディアは、ことし６月の総選挙で初めて過半数割れした与党ＡＫＰ＝公正発展党が５５０議席のうち３１６議席を獲得して過半数を占め、単独で政権を担うことが確実になったと伝えています。
一夜明け、与党ＡＫＰの実権を握るエルドアン大統領は記者団に対し、「国民の意志の結果だ。トルコは一つの旗、一つの国民、一つの祖国、そして一つの政府の下で一体になり、強くならなければならない」と述べ、国を率いていく決意を表明しました。
トルコでは、ことし６月の総選挙のあと、政府軍が過激派組織ＩＳ＝イスラミックステートやクルド人武装組織への軍事作戦に乗り出し、先月には首都アンカラでＩＳによるとみられる１００人以上が犠牲となる爆弾テロ事件が起きるなど、治安が不安定になっていました。
このため、今回の選挙戦で与党ＡＫＰは、トルコの安定には単独政権が必要だと訴え、治安や経済の安定を求める国民の幅広い支持を集めたとみられています。
ただ、クルド人が多く住むディヤルバクルなど南東部の複数の都市では、選挙結果に不満を抱く野党支持者と治安部隊が衝突してけが人も出るなど、トルコでは治安が安定に向かうかは予断を許さない情勢です。
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与党圧勝とクルド系低迷の背景
与党ＡＫＰが大幅に議席を伸ばした背景には、１３年間にわたる長期政権の下でトルコ各地に強固に築き上げた組織力があります。投票の１週間前に最大都市イスタンブールで開いた集会には、バス７０００台と船１００隻以上を投入して数十万人の支持者を動員しました。与党の支持者には、経済発展を推し進めるＡＫＰの政策の下で恩恵を受けた中間層が多く、治安の不安定化が経済の悪化につながると危機感を持った有権者の多くが投票所に足を運んだものとみられています。
一方、野党のクルド系政党は、前回、もともとのクルド人の支持層だけでなく、エルドアン大統領が独裁的だと反発する若者や野党支持者の幅広い受け皿となりました。しかし、今回の選挙では、ＡＫＰの単独政権の下で安定を望む人たちが、クルド系政党から与党ＡＫＰに流れたとみられています。また、クルド系政党の集会がＩＳによるテロの標的になるおそれがあるとして敬遠する人も多く、支持拡大の妨げになったことも、事前の世論調査やメディアの予想に反して、ＡＫＰの圧勝につながったと分析されています。
ＥＵ「新政権と協力関係を強化」
トルコの総選挙で、与党が過半数の議席を獲得して単独で政権を担うことが確実になったことを受けて、ＥＵ＝ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表は２日、声明を発表し、「ＥＵは新政権との関係を一層深め、すべての分野で協力していく」として、新政権と協力関係を強化していく考えを示しました。
ＥＵは、中東などからの難民や移民の流入を抑えるため、経由地となっているトルコの協力が欠かせず、多額の資金援助と引き換えに地中海の沿岸警備の強化などをトルコ政府に求めていて、今後、協議を加速させたい考えです。
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