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4年目の朴槿恵(上)急旋回する韓国外交 対北朝鮮で中国と距離(中)「独断」で波紋、分裂やまず(下)進まぬ改革 財閥頼み再
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/717.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 2 月 29 日 05:55:04: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


4年目の朴槿恵
(上)急旋回する韓国外交
対北朝鮮で中国と距離

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(64)が25日、就任4年目に入る。北朝鮮の脅威増大や国内経済の低迷で岐路に立ちながらも、外交・内政での強硬姿勢が際だつ。「ポスト朴」を決める大統領選を来年に控え、レームダック(死に体)化と闘う1年になる。


 「1つの問題で中韓関係が一瞬のうちに破壊されることもある」。23日、中国の邱国洪駐韓大使は韓国最大野党「共に民主党」代表を国会に訪れ、警告した。米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備に向けた米韓協議入りへの抗議だ。「THAAD問題がなければ既に(北朝鮮制裁の)新しい国連決議が採択されていただろう」と語った。同党が明らかにした。

連呼から一変

 16日の朴氏の国会演説を聞いた外交筋の間で「失望だ」「いや、怒りだ」と話題をさらったのも中韓関係だった。

 「戦闘服」と呼ばれる襟を立てた紺のスーツ姿で登壇し、時折、拳を握りしめて金正恩(キム・ジョンウン)体制への強力な制裁を訴えた25分間の演説で「中国」を口にしたのは1度きり。中国を8回連呼し、共同歩調を迫った1月の新年記者会見とは様変わりした。

 「北と腹を割って対話すれば彼らは約束した部分は守ろうと努力する」。朴氏はこう語ったことがある。野党時代の2002年に平壌で金正日総書記と会談した感想だ。自らの体験が、安全保障を基礎にしつつ対話を通じて緊張緩和を進め、核放棄を促す看板政策「韓(朝鮮)半島信頼プロセス」の下敷きになった。

 成否の鍵を握るのが中国だとみた。習近平国家主席と信頼関係を築き、昨年9月に中国の軍事パレードに参加したのも「北朝鮮問題が大きな理由」(韓国政府関係者)だ。訪中を終えた機中で「中国と速やかに韓(朝鮮)半島の統一論議を始める」と意欲を示した。

 北朝鮮の挑発への対応は「中韓蜜月」の試金石となった。が、中国高官が平壌入りした当日に北朝鮮はミサイル発射を予告。この3日後、中国はようやく中韓両首脳の電話協議に応じた。核実験から1カ月もたっていた。北朝鮮包囲網を呼びかけた朴氏に、習氏はつれなかった。韓国外交の急旋回が始まった。

 ミサイル発射予告と同じ日、韓国は米国からTHAADの協議開始を提案された。ミサイル発射当日の7日、朴政権は協議入りを宣言する。「THAADは自国の監視が真の目的」と韓国をけん制してきた中国と距離を置き、米韓同盟強化に大きくカジを切った。

 保守層にも評価の声があった南北経済協力事業の開城(ケソン)工業団地の操業も「韓国が制裁の先頭に立つ」と全面中断に踏みきった。強気を支えるのは国内世論だ。聯合ニュースとKBSが14日発表した世論調査では、THAADの韓国配備に67%が賛成。「中国などの立場を考慮し配備すべきでない」と答えた26%を大きく上回った。

 朴政権の外交は「北朝鮮」が回転軸だ。シナリオの大幅修正や反対勢力との鋭い対決もいとわないのが朴槿恵流。野党は4月の総選挙に向けて朴氏が支持基盤の保守層結束や経済失政への批判回避のために「半島の危機をあおって政治利用している」と非難する。


「日米韓」足並み

 振幅の激しい外交・安保政策はリスクと背中合わせだ。米韓は3月7日から過去最大規模の合同軍事演習を韓国全域で展開する。21日の朝鮮中央通信によると、正恩氏は首都平壌を敵の侵攻から守るのを目的とした大連合部隊の訓練と空軍の飛行訓練を現地指導した。

 韓国外交通商省東北アジア局長を務めた趙世暎(チョ・セヨン)東西大日本研究センター所長は、朴政権の外交を「どうしても偏ってしまう。一見、矛盾しているような圧力と対話を同時並行で使いこなす硬軟の外交が足りない」と評する。

 国連安全保障理事会の決議案採択に先立ち日米韓3カ国は厳しい北朝鮮制裁で足並みをそろえた。朴氏が安倍晋三首相と互いに歩み寄って懸案の従軍慰安婦問題を合意に導いた昨年末の外交成果にほかならない。ジェットコースターのようなめまぐるしい外交が続く。

(ソウル=峯岸博)

[日経新聞2月24日朝刊P.6]


(中)「独断」で波紋、分裂やまず

 「突然決めたならもっと詳しい説明が必要だ」。16日、韓国国会の控室。演説前のあいさつに訪れた朴槿恵(パク・クネ)大統領に、最大野党「共に民主党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表は南北協力事業、開城工業団地の操業中断の経緯をただした。


 今はライバル政党トップの金氏だが、2012年の大統領選の際は朴氏の政策ブレーンだった。大企業に偏った経済構造を見直す「経済民主化」の公約を立案し朴氏の当選に貢献した。だがその後、経済政策を巡り溝が生まれ、朴氏とたもとを分かった。金氏は21日、中小企業との懇談会で朴氏を「昔のように大企業を重視している。これでは(経済民主化は)できない」と批判した。

 歴史教科書の国定化、従軍慰安婦問題の日韓合意、開城工業団地の操業中断……。国論を二分する国政課題で矢継ぎ早に結論を出した朴氏。だが、いずれも十分に根回しをした形跡は見えず、反対勢力は朴氏の「独断」と反発している。

 23日の国会。共に民主党は政府・与党が成立を目指すテロ防止法案の採決阻止へ長時間演説を始めた。政府に批判的な人物の監視に悪用される恐れがあると、ある女性議員の演説は10時間を超えた。朴氏は「どこでテロが起きるか分からない状況下で経済は発展できない」と譲らない。

 「ISも同じようなことをしている」。昨年11月に労働組合がソウル中心部で実施した大規模デモで、朴氏は覆面をしたデモ隊を過激派組織「イスラム国」(IS)になぞらえて批判。覆面をかぶった暴力デモを厳しく取り締まる姿勢を示した。信念を貫く徹底した原則主義は敵対勢力からの攻撃を招き、時には味方さえも遠ざける。

 それでも朴氏の支持率は衰えない。北朝鮮に対抗する強気の姿勢も評価され、昨年1月に20%台に下がった支持率は最新の世論調査で40%前半まで盛り返した。歴代大統領の多くが同時期にレームダック(死に体)に差し掛かる時期だが、父の朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の時代を経験した60代以上の岩盤支持層が底堅く支える。

 来年12月の大統領選まで2年足らず。「ポスト朴」の候補に潘基文(バン・キムン)国連事務総長の名前が挙がるが、与野党に有力候補が見あたらないのも追い風だ。もっとも、直面する課題は深刻さを増している。

 非正規労働者は昨年8月時点で627万1千人と過去最高を記録。今年1月の失業率は前年同月比0.1ポイント低下の3.7%だが、15〜29歳の若年は9.5%で、0.3ポイント上昇した。格差は広がる一方だ。「貧富、男女、世代、企業――。我々はすべての不合理な格差と戦う」。1月、新党の結党大会で国民の党代表の安哲秀(アン・チョルス)氏は格差を解消できない政権を批判した。

 韓国で与野党が雌雄を決する総選挙(4月13日投開票)まで2カ月を切った。朴氏にも政権3年間の評価が下され、4年目以降も求心力を保てるかの分水嶺となる。

(ソウル=加藤宏一)

[日経新聞2月25日朝刊P.6]


(下)進まぬ改革 財閥頼み再び

 朴槿恵(パク・クネ)大統領がこの3年、政策関連で最も多く発した言葉は「経済」でした――。25日に就任4年目を迎えるのを前に韓国大統領府は23日、演説などの分析結果を発表した。言及は1万7千回以上。「統一」や「安全」を大きく上回り、いかに経済に心を砕いてきたかを訴えた。

 頻繁な経済への言及は思うように成果が出ないいらだちにも映る。経済は振るわない。輸出は1月まで13カ月連続の前年割れ。2015年の実質成長率は2.6%で潜在成長率を下回った。「第2の『漢江の奇跡』をなし遂げる」と公約に掲げた高度成長とはほど遠い。

 朴氏は当初、内需企業や中小・ベンチャーの育成を通じた成長モデルを描いていた。サムスンや現代自動車など一部の大企業の輸出に頼る経済構造はもろい。財閥の不正や格差拡大に不満を募らせる世論への配慮もあり、大企業への規制を強めて公正でバランスのとれた構造を目指す「経済民主化」を掲げた。

 財閥の系列企業間の不透明な出資関係や取引を規制する新法を策定したほか、全国17自治体にベンチャー支援拠点をつくるなど、実行に動いた。だが、新たな芽が育つ前に屋台骨の大企業が不振に陥り、朴氏の目算は狂った。不安定なウォン相場や中国など新たなライバル企業の台頭が、大企業の経営を直撃したのだ。

 「事業環境は悪くなる一方なのに、会社からは短期成果を求められ耐えられなかった」。昨年末に退任したサムスン系列企業の元幹部は話す。韓国の看板企業であるサムスンでさえ、今や高収益を上げるのは半導体など一部だけ。他社の状況は推して知るべしだ。

 苦しいときの財閥頼みとばかり、朴氏も大企業重視に回帰している。昨年8月、横領で収監されていた崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長の特別赦免は象徴的だ。財閥オーナーの赦免には「有銭無罪」など冷ややかな声が多く朴氏も否定的だった。野党は「経済活性化を口実に公約違反をした」と批判する。

 赦免の約10日後、崔会長は傘下企業の式典に朴大統領と並んで出席。10年で最大46兆ウォン(約4.2兆円)の投資を表明して「期待」に応えた。他の財閥も相次ぎ投資や採用の拡大を表明したが、景気減速は止まらない。

 一向に浮上の兆しが見えない経済。政財界やメディアでは「韓国も日本の『失われた20年』と同じ道を歩んでいる」と、危機を訴える大合唱が上がる。

 朴政権も課題は認識している。サービス産業育成に向けた規制緩和など、新たな施策に取り組む。だが、激しい与野党対立で法案が通らない。与党は国会議席の過半を占めるが、担当委員会などで5分の3がないと強行採決できないためだ。4月に総選挙を控え、強引なことをやりにくい事情もある。

 「朴政権の方向性は正しい。問題は実行力だ」とみる経済専門家は多い。残る任期は2年。手腕を振るえるチャンスはもう多くない。
(ソウル=小倉健太郎)

[日経新聞2月26日朝刊P.6]

 

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