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「弱肉強食奨励」から「共生重視」への転換(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/15/senkyo180/msg/763.html
投稿者 笑坊 日時 2015 年 3 月 01 日 22:06:44: EaaOcpw/cGfrA
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-65f9.html
2015年3月 1日

川崎で発生した少年殺害事件と経済政策を直結させることは控えるが、日本でいまもっとも深刻な問題になっているのが「格差」の問題である。

かつて日本には、「一億総中流」と呼ばれた時代があった。

中間所得階層が非常に厚く存在したのである。

企業の社長でも法外に高い所得を得ない。

多くの労働者が正社員として処遇され、経済成長の恩恵を所得の増加で享受できた。


ところが、1980年代頃から状況が大きく変わり始めた。

世界の政治においては、サッチャー・レーガン・中曽根という、新しい流れが強調されるようになった。

経済政策における「自由主義」の思潮が強まったのである。

資本主義経済の根本には「自由主義」が置かれた。

各経済主体が、自己の利益極大化を目指して行動することにより、最適な資源配分が実現し、経済全体の効率が最も高まる。

政府の経済活動への介入を極小化することが経済発展を促すと考えらえた。

しかし、経済活動の結果である果実の分配についても、市場原理にすべてを委ねる結果、分配の格差は拡大の一途を辿った。

「格差拡大」は「自由主義」経済政策の必然の結果であることが明らかになったのである。

「格差拡大」は超過生産を生み出し、深刻な経済活動の崩壊を周期的に引き起こしてきた。

他方、下流に押し流された人々は、生存の危機に晒されるようになった。


20世紀に入って、基本的人権として「生存権」が重視されるようになった。

経済の体制においても、「自由主義」を軸とする「資本主義」の経済体制に対する新しい試みとして、経済活動の結果である果実の分配を政府が人為的に定める「社会主義」の体制が一部の国で導入されるようになった。

他方、資本主義を採用する国においても、結果における果実の分配において、政府が積極的に介入し、「結果における平等」を重視する「修正」が広範に実施されるようになった。

また、経済の安定的な成長を実現するためには、経済活動に対する政府の積極的な関与が重要であるとの経済政策上の新たな主張が支持されるようになったのである。

20世紀は、この意味で、経済政策における

「自由放任」から「政府の介入重視」

「市場原理」から「所得再分配重視」

の方向に、経済政策の基本方向が根底から修正された時代であった。

この流れが再逆転し始めたのが1980年代である。

「結果における平等」の重視が、経済の活力を低下させているとの主張が一世を風靡し始めたのである。

20世紀の国家モデルである「福祉国家」が攻撃の標的とされた。

それはとりもなおさず、「結果における平等」を重視する「所得再分配政策」を否定するものであった。

各種経済的規制の撤廃が主張され、「結果における平等」をもたらすための経済政策が全面的に否定されるようになったのである。

これが、新自由主義の新しい思潮である。

そして、現実に、英国、米国、日本において、この「新自由主義」経済政策が積極推進された。

その結果として、かつて「一億総中流」と呼ばれた日本社会が、世界有数の「格差社会」に移行したのである。

この変化によって利益を得たのは誰であるのか。

この経済政策は、一体、誰のために実施されてきたものであるのか。

結果を見れば一目瞭然である。

資本の利益だけを優先し、社会を構成する市民の利益が犠牲にされてきたのである。


フランスの経済学者であるトマ・ピケティは、長期にわたる所得分配の事実を膨大な検証作業によって明らかにした。

その結果、資本主義経済の下での分配の格差拡大は、長期的な歴史の事実であることを明示したのである。

日本における格差は大きくないと主張する者がいるが、この主張はピケティ氏の実証によって否定された。

日本における所得上位10%の所得全体に占めるシェアは40%を突破した。国際比較上も、日本が格差社会のトップグループに入っていることが裏付けられたわけである。

日本の厚生労働省が相対的貧困率のデータを発表するようになったが、ひとり親世帯の貧困率が極めて高いことが大きな特徴になっている。

他方、日本における社会保障支出においては、機能別分類の「家族」に該当する分野への公的支出が世界最低レベルで推移している。

つまり、日本社会においては、急拡大している経済的弱者に対する対応が、国際比較上も極めて貧困な状況にあるのだ。

社会を構成するすべての人々の生活がしっかり支えられることを重視するのが「福祉国家」の理念であると言えるだろう。


ところが、日本においては逆に、社会を構成する人々のなかで、相対的に弱い立場に置かれた人々が増加することも、その人々が苦しい状況に置かれたままでいることも、放置、あるいは積極推進されている。

「弱肉強食容認」、「弱肉強食奨励」の姿勢が、政策において明示されているのである。

悲惨な少年事件の背景に、この国のこうした深刻な現実があることを見落とすわけにはいかない。

 

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コメント
 
01. 佐助 2015年3月01日 23:01:43 : YZ1JBFFO77mpI : 439YTZK3Rc
格差拡大と弱者切り捨て
それは、古典派経済学者たちは「経済学の目的は、貧しさから開放し、格差をなくし、失業をなくし、国と企業と個人を富ませるため」であるという理想を抱いていた。だが、ケインズの前提反転思考革命によって、理想や義務から解放された。実力社会と格差拡大の社会である。

ケインズは次のように反転させた。
(1)「雇用」について古典経済学は、「完全雇用(労働の需要と供給が必ず均等する)」を前提にしている。だが非自発的失業者(首切られ賃金が低下しても働きたい人)と自発的失業者(賃金よりも仕事の内容を第一に選択する人)が発生するため、完全雇用を前提とするのは誤りである。
(2)「利子」について古典経済学は「貸付資金の需要と供給の均衡が利子を決定する」ことを前提にしている。だが、利子は、流動性の低い投資&貯蓄よりも、流動欧の高い投資&貯蓄を選好して決定される。(日銀のゼロ金利を知ったらどう言うだろうか?)

ケインズは(日銀のゼロ金利と正社員から派遣労働を知ったらどう言うだろうか?)

ケインズ理論は、社会主義国家を除く、世界の経済学者の75%を改宗させた。ケインズの、古典経済学の定説・常識の前提を反転させた理論は、限界効用学説とよばれている。つまり証拠を提出する義務(前提)を反転させると判決は反転するということ。


資本主義的な自由市場経済は、需要と供給の変化を決定する人間の嗜好を「必要悪」と考え、新しい商品を次々に発売して、人為的に流行を発生させようと行動する。そのために、売れない商品を過剰に発生させる。そして、企業レベルでは見切り・縮小・倒産を発生させて市場は均衡を回復する。これが「神の見えざる手」の正体なのだ。資本主義経済は国家が干渉せず自由放任しても「神の見えざる手」によって需要と供給の均衡が回復することに期待し続けてきた。

社会主義計画経済は、需要と供給の変化を決定する人間の嗜好をブルジョア的頽廃として否定したため、消費財産業に壊滅的打撃を与えた。そのため、乞食は解消できたが行列は解消できなかったので、社会主義の計画的な生産原理を資本主義の自由な市場原理に反転すれば、ユートピアが実現する、と思考を反転しために自己崩壊した。

このように、どんな経済システムも政治システムも、あるレベルではプラスでも、他のレベルではマイナスになる。だから、どんな人間集団のシステムも、そのマイナスを最大限に縮小抑制し、プラスを最大限拡大伸長させることが必要である。

そしてマルクスは、私的生産所有システムそのものが、過剰生産を必然的に発生させると主張し,マルクス主義者は、万年恐慌発生論者となった。

マルクスが資本論を書いた英国や明治の日本では、女子供の重労働は当たり前だった。そして、参政権は金持ちに限定されていた。だが、女子供の重労働は禁止され、参政権は婦人にまで拡大される。戦後の政治革新は福祉厚生制度の採用だった。三百年以上の長期政権も、40 年ごとに改革され80 年ごとに革新されたが、最後は停滞し自己崩壊する。

そのために世界信用縮小恐慌の収束を、古い経済学の常識にまかせると、三年ごとに三段階で世界と各国の信用が縮小し、2016〜17年には、株式市場・為替市場・銀行窓口の一時閉鎖が避けられなくなること。その世界経済の傷口が回復するのに、2025 年までかかる。個人の運命が、国家の運命に巻き込まれないことを祈るしかないが,第二次産業革命を、10 年前倒しさせるなら、高度成長路線を復活できる。そうなれば、過去のように、世界大戦という巨大な殺人消費需要の助けを借りなくても、恐慌から脱出することができるし中流階級も復活し格差も是正する。


人類は第二次産業革命へ大胆にシフトすることです。「放射能・CO2を発生させない動力」への転換革命です。すでに実用化されていますが、大企業は既得権益(設備・技術)を失うため、国家から補助金をもらいながら、政府は補助金をばら撒きなが,ゆっくりと進行させたいと考え抵抗し遅延させています。第二次産業革命は、この動力エンジンを、水素発電&電磁波起電力に移行させて発生する。

第二次産業革命に早期シフトした国家は、CO2の発生を75%減らすことに成功すると同時に、世界の技術革新をリードし、全産業を活性化させることができます。又、第二次産業革命に早期シフト企業は、大不況下でビジネスを飛躍できます。抵抗する大企業は解体し再生すべきです。


02. 2015年3月02日 04:49:38 : YxpFguEt7k
ドアホのミクスからの… アベゲドン。

 「ニッポンに『アベゲドン』の危機?」との見出しを付けたのは、スイス通信(SDA/ ATS)だ。これは、安倍晋三首相とアルマゲドン(世界の終わり)を合わせた造語で、英国の経済誌がツイッターでそうつぶやいていたものだ。

日本の経済が失速している理由を二つ挙げる。一つは個人消費の落ち込み。もう一つは、企業投資の低迷だ。

http://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%90%84%E7%B4%99-%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%92%E6%89%B9%E5%88%A4/41122694

消費税増税(勝栄二郎、菅直人、野田佳彦、安倍晋三氏の共犯)は最悪のインパクトでしたね。失策だったことは誰の目にも明らかになりました。

植草氏、がんばってください。応援しております。


03. 2015年3月02日 10:59:11 : zO1LBDQo62
植草先生がついに「格差」と「貧困」の問題に言及されたのは画期的です
ここまで長い道のりでした

市場原理に基づく自由競争が徹底的に貫かれるならば納得しましょう
しかし、日本には格差などない甘えるな、と言う同じ口が特定企業の税金による
救済を強力に支持しているのはどうであろうか

介護等低賃金不人気業種が人手不足だが、市場原理に基づいて賃金が高騰
しないのはどういうわけだ?

市場原理、自由主義、自己責任などと言いながら、現実には自由競争が
不平等・不公正に歪められていることが問題だ



04. 2015年3月02日 19:10:35 : ftkX5EzCns
見せかけの 自由の裏に 無責任

05. 2015年3月02日 22:02:41 : QURRxxLKjs

自分ことだけでなくみんなのことも考えられる人間の育成が大事ですね。

自分ことだけでなくみんなのことも考えられる人がたくさん存在しない限り、健全な社会は成立しません。

昔の国立大学は2年間教養部と云うのがありました。

専攻が理科系でも、教養部の2年間の間に人文科学や社会科学の勉強も単位が必要で、勉強したものでした。

近頃は即戦力とかばかばかしいことを言って、一般教養を軽視しする傾向が私大などは特に目立つようです。

ですから全人的な教育がないがしろにされています。

これでは競争に勝って自分さえよけれ良いと考えてしまう愚か者が増えてくるのは当然のことです。

社会を冷静にしかも科学的に認識していこうとする意志をもっていないと、人間はまたたくまに資本に疎外されてしまうと言うのが紛れもない現実ですから。


06. 2015年3月03日 17:42:34 : RgP1wLICDs

    そうですね。

    人間は類的存在です。

    共生を大事にしたいものです。



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