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(時時刻刻)教科書、強まる政府主張 領土の記述、大幅増  朝日新聞
http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/758.html
投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 4 月 07 日 18:51:12: mY9T/8MdR98ug
 

 安倍政権の「教科書改革」で初めてつくられた社会科教科書は、領土問題や近現代史で政府の立場がより一層強調されることになった。学校で使う教科書を選ぶ作業も変わるとの見方も出ている。子どもたちが手にする教科書が様変わりしようとしている。

 「国の方針を反映させるには、記述を大幅に増やすしかなかった」。今の教科書と比べて最も様変わりした、日本の領土問題に関して、社会科の教科書をつくった8社の大半は、取材にそう答えた。

 例えば、地理は全社が北方領土(北海道)、竹島(島根県)、尖閣諸島(沖縄県)をめぐる問題に2〜3ページを割いた。今の教科書では尖閣の記述はわずかで、領土問題全体で1ページ弱の扱いが大半だった。

 文部科学省は今回の検定前、「学習指導要領解説」に竹島と尖閣を明記し、日本政府の立場を教えるよう求めた。「韓国と主張に相違」を教える程度だった竹島は「韓国に抗議を繰り返している」点も追加。記述無しだった尖閣は「日本が支配し、領有権問題は無い」ことを理解させる――となった。解説は教科書づくりの際、各社が何を取り上げるかの参考にするため、検定前の段階で記述が増えた。

 ただ、いずれの社も、日本の主張を載せる一方、周辺国の主張を詳述した社は一社もなかった。

 「執筆者が内容をいじれる雰囲気ではなかった」。ある教科書を担当した大学教授は振り返る。別の大学教授は「領土の扱いが大きすぎる」と出版社に指摘したが、変更を拒まれたという。「領土問題は歴史のごく一部。生徒が過大な印象を持たないか」と心配する。出版社の間でも「日本の主張だけで紙幅がいっぱい」との声が多かった。

 領土以外でも、検定申請前に現行教科書から表現を変えた事例もあった。

 日中戦争の「南京事件」について、帝国書院は「諸外国から『日本人の蛮行』と非難されました」という現行本の記述を「日本人の蛮行」を削りながら脚注に移し、「調査や研究が続いています」と加えた。担当者は「改めて根拠などを検討して判断した」。また、太平洋戦争などをめぐる歴史認識について「近隣諸国からきびしい目が向けられています」が、「諸国から意見も出されていますが、より友好な関係を築くことが望まれています」に。担当者は「対立をあおってはいけない」と話す。

 こうした出版社の対応について、ある出版社で歴史の執筆をした大学教授は「以前より文科省の意向を気にするようになった」と漏らす。今回から検定関連資料が文科省のホームページで公開される影響もあげ、「なるべく検定で修正されない本をつくって申請したい雰囲気を感じた。自主規制が進んだ印象だ」と話した。

 ■採択に首長の声、記述影響

 実際に学校で使う教科書は各地の教育委員会が選ぶ。その手続きが8月ごろにあるが、昨年の地方教育行政法改正で教委制度が大きく変わり、首長の意向が反映される可能性が指摘されている。

 教科書から政治的な影響を排するため、これまでも自治体のトップではなく各教委に採択の権限が与えられてきた。その仕組みは今も変わらないが、昨年の法改正で、首長と教委が教育方針について話し合う「総合教育会議」が置かれることになった。

 「『領土に関してより詳しい教科書を選ぶ』くらいのことは決められます」。昨秋、全国の首長約20人を前に文科省幹部が新制度について説明した。集まったのは、政権の教育政策に賛同する首長でつくる「教育再生首長会議」のメンバーたち。ある出席者によると、秋に2回あった会議は、多くの時間が「教科書選び」の議論に費やされたという。

 教育の政治的中立を保つため、新制度でも「総合教育会議は個別の教科書を選べない」ことになっている。だが、教育会議の方針にどう具体性を持たせるかは各地の判断。教科書に関する首長の考えが強く反映された方針となれば、「教委の採択を左右する可能性はある」と文科省幹部はいう。首長会議の一人、東京都品川区の浜野健区長は「日本の伝統・文化をしっかり学べる教科書が必要という考えを入れたい」。

 さらに、文科省は今年1月、過去の通知をまとめた「留意事項」を各地の教委向けにつくった。「教員の投票で教科書が決定されるなどの手続きは適当ではありません」など。自民党内には以前から、「教職員組合の意向が採択に影響している」とみる声が根強く、首相直属の「教育再生実行会議」の委員が省幹部に「再度、通知の説明を」と働きかけていた。

 こうした「環境変化」を見越して、ある出版社担当者は「保守層の方から見てもおかしくない内容にした」と明かす。国が無償給付する教科書(社会)は1冊約750円。例えば、人口約52万人の宇都宮市の場合、採択されれば約1千万円の売り上げに。関連の問題集や資料集、教師向け指導書の販売も見込まれ、採択の動向は各社の経営に影響する。

 ある出版社版(歴史)を執筆した大学教員は「南京事件や領土をめぐる表現の違いだけで、採択が決まる事態が広がらないか」と懸念する。

 ■<考論>「不都合な真実」へ誠実に

 樋口修資(のぶもと)・明星大教授(教育行政学)の話 よりバランスのとれた教科書で、子どもが多角的に考えられるようにするのが検定基準改正の趣旨。今回の検定はおおむねこれに沿ったものと見ることができる。たとえば日本の戦後処理について、政府見解に基づく記述が盛り込まれていないと指摘されたある教科書は「賠償などの問題は解決済み」という政府の立場を加えつつ、軍や企業からの被害をめぐり「補償を求める動きが続いている」との記述は残した。政府見解と異なる見解を認めないというものではない。

 ただ、領土問題では、相手国の見方はほとんど見られず、なぜ問題化しているかが分からない。相手の言い分を知り、どうすべきか考える問題解決型の学習にはこれではつながらない。

 「南京事件」の被害者などについては具体的な記述を避けるケースがあった。基準改正で萎縮し、自己規制したとすれば残念だ。「不都合な真実」でも誠実に向き合い、その反省の上に立って未来を構築する姿勢を、検定する側も発行者も堅持すべきだ。


4月7日 朝日新聞 朝刊より  

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コメント
 
01. 2015年4月07日 18:53:25 : HsI9nm9lac
>「執筆者が内容をいじれる雰囲気ではなかった」

怯えて最初っから主張しないときはたいていこの表現が使われるね<雰囲気


02. ダイナモ 2015年4月07日 18:54:26 : mY9T/8MdR98ug : Kr2S1L17Og
自己保身。

03. 2015年4月07日 20:53:55 : YxpFguEt7k
茂木健一郎氏
「「竹島は日本の領土である」と淡々と言うのは、官房長官の職務であり、政府高官は評論家ではないのだから、理解できる。
しかし、「竹島は日本の領土である」と判を押したように言うのは、教育者の職務ではない。教育者の職務は、領土紛争はいかに生じるのかを普遍的に子どもたちに理解させることだ。」
https://twitter.com/kenichiromogi/status/585211754235461633

対話が途絶えて… 誤解が誤解を生み… 疑心暗鬼が生じ…
武器商人が陰謀を仕組む。


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