原子力規制委員長　「（司法には）事実誤認がある」
http://tanakaryusaku.jp/2015/04/00011003
2015年4月15日 21:59　田中龍作ジャーナル

「こんな議論をいくらやってもしょうがない」「裁判の世界に任せたい」… 田中委員長は福井地裁の決定について突っ込まれるのを嫌がった。　＝15日、　原子力規制庁　写真：筆者＝

　「緩やかに過ぎ、合理性を欠く」。福井地裁から真っ向否定された原子力規制委員会の規制基準。

　一夜明けたきょう、田中俊一委員長は定例記者会見に臨み、「規制基準を見直す考えはない」「（裁判所の決定には）事実誤認がある」と話した。

　『週刊金曜日』が「ユルユルな基準でドンドン再稼働が止められる事態になっても（基準を）見直さないのか？」と質問した。

　田中委員長は「見直す考えはない。かりにそうなった場合（あちこちの裁判所で再稼働を止める判決、決定が出た場合）、社会的に考えることはあるかもしれないが、今ただちに変えようとは思わない」と答えた。

　筆者は「規制委員会の基準は（福井地裁の決定によって）科学的に否定されていますよね」と尋ねた。

　田中委員長は「（福井地裁の決定には）事実誤認がある」と答えた。

　フリーランスの上出義樹記者が「事実誤認とはどの箇所か？」と畳みかけると、田中委員長は「給水施設、外部電源・・・」と幾つか挙げた。

福井地裁は「本件原発の安全性は確保されていない」と判断し、再稼働を差し止めた。＝14日、福井地裁前　写真：筆者＝

　厳しく追及したのは『週刊金曜日』とフリーランスくらいだった。

　某テレビ局の記者は業界の立場を慮る質問をした―

　「規制基準を一生懸命守ってクリアした事業者、関西電力の立場に立ってみれば再稼働のスイッチを押せないことになった」「ハシゴが外されてしまうと、業界としては今後何を守っても再稼働できないとすれば、彼ら（業界）はどうすればよいのか？」と。

　きょうの記者会見で、田中委員長はいつものように「世界最高レベルの安全基準」と自信を示した。

　「（福井地裁の決定は）行政やその他の手続きに差し障りがあるものではない」「粛々と進める」などとも述べた。

　監視役のトップである原子力規制委員長がユルユルの規制に満足しているようでは、「安全神話・第二幕」が開きそうだ。

コメント
01. 2015年4月15日 22:58:24 : FW37DEd3J6 プールと全電源と沸騰型の配管の地震への危険性も、指摘せず、何が、原子力規制委員長だ。
02. 2015年4月15日 23:31:44 : YxpFguEt7k 「給水施設、外部電源・・・」 詳しく知りたいです。何をどのように誤認をしているのか？
03. 2015年4月15日 23:33:44 : aQq0UGoaxY 「業界から利便を得ている記者」が業界の立場を慮るのは構わないが、業界は福島のメルトダウンした地中の核燃料を始末できるのかね。 毎日モクモクと法律違反の放射性物質を垂れ流している東京電力を、原子力規制委員会の田中委員長は放置し続けるのかね。
04. 2015年4月15日 23:56:29 : Oaz7BPiWRU 『＜田中原子力規制委員長クン＞、ついこの前、キミは「新規制基準は原発の安全性を担保するものでは無い。」って言ったよね？』 今回の判決は、キミ達、ヘドロ官僚族＆シロアリ利権構造の“曖昧模糊・無責任体質”に対する鉄槌・警告なんだよ。 キミ達の言う“世界最高レベルの安全基準”」の根拠はどこにあるんだい？科学技術的に論理的に全面開示してごらんよ？単なる“キャッチフレーズ”を振り回したって“劣悪商品”は誰も買わないって。 キミの選択肢は二つしか無い。 前言撤回して、「新規制基準は原発の安全性を全面的に保障します。」って大見得を切って居座るか、「すんまへん。」って言ってその座を去るかだけである。
05. 2015年4月16日 12:40:43 : IJjjrLkBu1 　　 事実誤認も何も、法廷闘争なのだから、原告、被告双方があらゆる証拠を法定に出し、使える法律を引き出しから持ち出して明るみに出し、司法の裁定を仰ぐことが全てである。 　　従って、事実誤認が明白であるならば、法廷闘争をする以上、事実誤認の部分について控訴なりして準備書面のどこを判事が見て誤認をしたのか、証人の発言のどこを聞いて判事が誤認したというのか、そこを指摘し、再度準備書面を作るしか無いだろう。無論、認められるように事実を創り上げる事はもっての外だが。 　　あたかも裁判所の判断が間違っているかのような、司法の存在より行政が上位にあるような田中委員長の物言いには、驚くしかない。 　　彼は恐らく、法廷闘争というものを良く知らず、悔し紛れに発言したのだろうが、訴訟であるから権力の側が負けることもあるのが普通の国であろう。 　　しかしながら、これまでは司法判断は常に「行政の作為、不作為には一切の誤謬無し、瑕疵無し」との判断で有った。納税者が憲法や基本法の理念や原理原則を引き出しから出して法廷でかざして判事に精査を求めても、「行政（国）は間違っていない」として、殆ど原告側となった納税者の準備書面は判断の材料とはされず、専ら検察、検事側、いわば国側の準備書面を絶対としていたのである。 　　三権分立システムとは、立法府で代表者による血税の使途の優先順位を法律を可決し、それを事務方である行政府が執行する、そして立法府による基本法が、憲法理念を無視していなかったか、いなかったとすれば、通達や行政指導による国の作為、不作為が、基本法の原理原則に忠実に行政官によって行われたか、それを厳しく精査するのが司法府の役割である。 　　従って、行政執行過程で行政の作為、もしくは不作為が、憲法理念や基本法原則を逸脱していると判断すれば訴訟を起こす権利と義務を、国民納税者は有するのである。こうした中で、原子力規制委員会の判断はあくまでも行政実務の一環であり、最高法規の憲法理念を超えるものでも、基本法原則との精査が不要なものでも無い。訴訟に応じて資料として提出した以上、審理の結果は解らないのが当然だ。 　　ここを勘違いしてはならない。田中委員長はそれでも規制委員の中では最も原発の危険性に危機感を持っていると認識していたが、このような発言には非常に落胆する。
06. 2015年4月16日 15:23:44 : E1mvv7ObLU ＞「世界最高レベルの安全基準」 これこそ、事実誤認。 違うと言うならば、証明してほしい。 川内原発に関して、学者が否定する火山噴火予知を、九電と原子力寄生員会は、できると想定している。
07. 2015年4月16日 18:33:46 : w7SikJBrCI 「世界最高の給水施設」---真水を用いております。 「世界最高の外部電源」---周波数50ヘルツも使っております。 意味がわからん。 それよりも、基準地震動が370⇒550⇒700に引上げられたのに、設計変更、補強工事がされていないというそのことを質問してもらいたかった。
08. 12301230 2015年4月16日 23:37:14 : IQw5WQoNcdY9c : PIs3cSftxY >>0 田中俊一 氏は、使用済み核燃料の処理をも考慮に入れて、安全基準を設定していない。 他方、地裁決定は、その点をも重視している。 誤解ではなく、田中俊一氏が、考慮すべき事項を考慮しない姿勢が、問題だと糾弾されているのだ。 使用済み核燃料の処理は、現実に長年うまくいっていないことは、周知に事実だ。 田中俊一氏は、この糾弾にどう答える。 田中俊一氏は、委員長にむかないと自認せざるを得ないのではないのでしょうか。
09. 2015年4月17日 04:16:15 : F3NYj0Ya7A 　田中利権アメーバー！ （『税金むしゃぼる』集団の　屁理屈汚物）自分の臭気は自己保存本能で匂わない、そうだ。　破廉恥の極まり。 　 　人間？
10. 2015年4月17日 04:19:41 : QULbOvy7cA 「新規制基準は原発の安全性を担保するものでは無い」by田中俊一原子力規制委員長 「規制基準を見直す考えはない」ってことは、規制基準を見直す権限があったのですか？ てっきり決められた基準を審査するだけの組織かとダマされてました。（’−＾＊）０k

11. 2015年4月17日 09:05:53 : EPkDWNcUos 　地震、火山大国日本で原発再稼動の安全性を保障するには、福島原発事故以後に 再確認されたリスクをも排除できる「絶対的な安全性」「ゼロリスク」を基準にした 評価・確認が必要である。これが、憲法で保障された国民の生存権を確保する唯一の 方法である。 　他国と比較した「世界最高レベルの安全基準」を強調した「相対的な安全性」 を主張しても、電力会社の救済にはなるが、国民安全性の救済にはならない。 　原子力規制委員会は「世界最高レベルの安全基準」であるから、「この結果から 予想されるリスクについては我慢・納得せよ。と国民に強要しているに等しい。
12. 2015年4月17日 13:22:17 : IJjjrLkBu1 　　 １１さんに同意。 　　世界最高レベルの安全基準、という主張は、原発による発電はリスクが大き過ぎる、と考える国民にとっては全くの安心の材料にはならない。 　　例えば、世界最高レベルの安全な乗用車だと言われても、車は車である。乗用車の機能そのものに信頼性を置けない人はそもそも車に乗ろうと思わないだろう。 　　しかも世界最高レベルとしながらその具体的な根拠は無く、地震多発国、よって津波被害も大きい日本列島の海岸沿いに建設し、そもそも以前から世界中で設置して有ったフィルターさえもベントに無いなど、そもそも原発関係者の意識レベルが世界最高ではなかったのであるから、そういう人間が設置した機器が世界最高レベルな訳は無い、と考えざるを得ないのである。 　　ましてや、国土面積から言っても米国は日本の２５倍の面積に１００基だそうだ。比較すれば日本は５４基の２５分の１で良く、４基が妥当ということになる。 　　世界最高レベルの安全基準といえども、４基程度ならいざ知らず、核燃料を抱えたままで５４基が設置されていることを考えれば、国民全員核爆弾の上に寝ているようなものである。世界最高レベルが一基であれば得心の行く者も、それが何十基もあれば疑いを持たざるを得ない。世界一が沢山あるなら世界一では無いことくらい、誰でも解ることである。 　　この期に及んで「世界最高レベルです」とオウム鳥のように詭弁を発し続け、微塵たりとも、判決を真摯に受け止め規制委員会の裁定内容を改めて確認して見よう、という動きが無く、政財官護送船団を代表した発言のみを繰り返す政権党というのは、果たして主権者代表、納税者代表たり得るのか、という疑問の方が先に立つのである。

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