どこかのコメントで、「軍は強制連行には関与していない」と言えば、「売春婦の悲劇を否定するのか！」と斜め上の答えが返ってくるというものがあった。

こうした反応は、彼らの住む米英の風土が大いに関係している。
なぜなら、米英では公的機関と売春業者が共存するような歴史が、そもそも無い。
だから、売春婦への非道が見つかれば、その罪は雇用主を飛び越え、なんと国が負うべきとなる。
日本人から見たら「なんと無茶な‥」と思うが、彼らは大真面目だ。
こうした米英と日本との、全く違う反応を、中国韓国はあざとく利用している。

こうした文化慣習の違いが、正しく論じられているとはとても言い難い。
例えば、公的機関が飲食店を管理をするとして、そこで起きた食中毒事件で公的機関が罪を問われることはまずない。それは公的機関と飲食業者が共存してきた歴史があるからなのだ。

こんな簡単なことが解らないのは、理由がある。
それは、米英を先進文化の地と啓蒙してきた朝日新聞に代表される啓蒙紙。それを見て育った進歩的日本人たち。
こうした者達が、にわか米英風の思考を無意識して、その違いに気付きさえもしない。つまりは刷り込みによるもの。
困ったことに、日本の高名な学者さんも、こうした落とし穴に嵌っていながら自覚の無い方がたくさん居られる。

>欧米もある一時期に慰安婦制度を実施していたそうです。

いわゆる公娼（管理売春）制度としてなら私も聞いたことがある。
私が聞いたものでは、結局のところ周辺住民が反対したり、牧師が説伏せて止めさせた‥というものばかり。
ただし、それは戦時のものは除いて。
なぜなら、平時にこそ存在するか否か、彼らの価値観が何処にあるのかが、後の慰安婦問題を糾弾する視点につながるものだからだ。
それも、第二次大戦前後の、敗者日本を裁く側の筆頭となった米、そして英の価値観が何処にあるのかを問題としている。

>戦後の一時期には米国軍隊も日本人の慰安所を利用していた。・・・

それは彼らにとって問題ないこと。
彼らの軍や国が、そうした慰安所の管理に手を出していなければOKだろう。
むしろ喜んで利用したのではないかな。

何も、米欧は一切その種の売春業者と縁が無いとは言ってはいないつもりだ。
同じ人間であり、聖書にも売春婦が登場するように、そうしたニーズがあるのは洋の東西を問わない。
だから当然、彼らは何度もそうした売春業者と共存する瞬間があっただろう。
戦時においてはなおさらだ。
だが、東洋と異なるのは、彼らの価値観はそれを潔しとせず、折に触れて忌避し、否定してきたというところが重要なこと。もちろんそれは平時においてだが。

そして、平時において忌避してきたなら、無理矢理戦時に公娼を用意したとて出てくる結果は見えているというもの。
つまり、非常時である戦時の経緯をどれほど蒐集しようとも、事の本質は見えないということ。

それと、後半のご指摘は宮台さんの資料か‥
彼は、それこそ米欧の刷り込みの最中にある御仁ではないのかな。

みると、「朝日の誤報が意味をなさない‥」とか、
「軍の関与でなく軍の関与不十分こそが問題‥」などという主張は、刷り込みに気付かぬ愚かさそのものにみえる。

軍の関与が不十分なのは、彼が米欧の視座から日本を見ているからに過ぎない。
彼の、不十分とみる視点にこそ、その目の偏りが図らずも露出している。
かりに欧州ではこのように関与したとあるのなら、それは欧州なりの精神性のなせるものであり、日本においては別の形態があったとしてもなんら不思議では無いということ。彼はその片方のみにしか立っていないやに見えるが、如何だろうか。

それと、
賢いのならなおさらに、自らのリベラルな刷り込みを正当化をするソースをかき集めるだろう。
見ると、巧妙に米欧にも慰安所はあったという自説の補強が並べてある。というか、そればかり（笑）。
その持て余す論理能力を駆使してかき集めれば、いくらでも自説に都合のいい典拠をみつけることが出来るものだ。

ご案内のリンクを散見してみると‥

>「⑴軍の要請で慰安所が設置されたこと、⑵軍の直接・間接の関与で慰安婦の管理と移送が行われたこと」

は動かない‥とあるが、
その国際世論では、はたして日本のように、長いあいだ売春業者と共存共栄してきた文化があるのかどうかを問うてみたい。
ちなみに、日本のように共存した文化があるなら、⑴も、⑵においても、責めは負わないだろう。軍に具体的な監禁・強要等の意志が無い限りにおいてだが。
国と業者の間には、互いの裁量範囲までは侵さない暗黙の線引きが当然あったわけで、⑴も⑵も戦時において軍の行使しうる裁量の範囲内という解釈が可能となる。問題とされる監禁・強要等の非道と接続するのは、むしろ軍が手を出せない業者側の裁量範囲にあるだろう。

それと、「知ろうとしない不作為」とか「本人自由意志の確認を怠る不作為」とかは、まさに米欧の視点そのもの。
これは07で述べた、売春婦への非道が見つかれば、その罪は雇用主を飛び越え一足飛びに国が負う‥となってしまうのと全く同じ。
長いあいだ売春業者と共存してきた文化にある者なら、そうは考えない。
ここが、同じ日本人をして慰安婦問題で意見が真っ二つに分かれる原因でもある。いったい宮台さんは何処の地平に立っておられるのやら。

彼が言うところの「見たいものしか見えない〈感情の劣化〉が宮台氏を覆う」とそのままお返ししてみたい。

>>09 aa86V1oKlA 殿
>アメリカや韓国政府は米軍元慰安婦は売春婦だと主張し、日本軍慰安婦は性奴隷だと主張する。
>つまり、「米英では公的機関と売春業者が共存するような歴史が、そもそも無い」は事実に反する。
>米韓政府が行うことは全て正義であり、同じ事を日本がやると非正義だと日本を攻撃すると言う精神構造。

なるほど。仰りたいことは分らなくもない。
戦後日本でなされたＷＧＩＰ（war Guilt Information Prigram：戦争についての罪悪感を日本人に植え付ける宣伝計画）とやらが最近になって出て来たが、その路線を敷いた側と、それによって染められた人達は、米英韓中は正義で、日本は悪という構図で思考するというもの。

確かに、そうした偏向はあるかも知れない。
だが、そんな一時期しか効果のない洗脳プログムではなく、もっと社会文化に根付いた違いが原因だと私は言っている。
つまり、あの時機に、米英本国で公的機関と売春業者が共存した文化があるかどうかを問うている。

>つまり、「米英では公的機関と売春業者が共存するような歴史が、そもそも無い」は事実に反する。

12でも指摘したが、米英の太平洋戦争前後の本国に於いて、国が管理売春業者と共存、つまり例えば保健所が飲食店を管理監督するような共存共栄の文化が育っていたかどうか。その場合、戦時という特殊な状況で試行したものとか、植民地つまり異なる文化圏のものは除いてだ。

米英においてそのような共存形態は、もっと古くはあったらしいがこの時機には懲りて止めていた筈。それが今の「人道観」につながっている。
そのような文化圏の者が、当時の日本の文化を理解出来るはずが無い。

この差は深くて大きいのだよ。
売春婦への非道な扱いがちょっとでも露見したら、日本なら業者が罰されるのだが、彼らはそれを飛び越えて軍や国が悪いと考えてしまうのだ。
ちなみに、日本軍はこのような業者の非が露見したものは処罰している。それにもかかわらず、米欧から見たらやはり軍が悪いと見えるのだよ。露見していない非道まで軍が責任を負うべきだと。
この温度差に気付いていただきたい。

こうした西欧と日本との文化の違いに踏み込むのは、リベラルは嫌うだろうし、保守は米英と敵対する構図を好まないから、いずれも避けて通りたがる。必然的に議論もそれを否定したものとなろう。
だが、この日本と欧米との文化の差に踏み込まずして、その温度差は永遠に埋まらない。
これに気付かず撃沈したのがかの橋下大阪市長だろう。彼らにとって権威ある立場の者がメディア上で風俗の利用を勧めるなどもっての他。

冒頭の記事の、学者達の声明文をみると、
同じ売春業者の扱いでも文化によって違うにもかかわらず、彼らは米英の視座から東洋の扱い方を非難しているだけ。つまり無意識野で自分達の文化に従わないと文句を言っているのだ。それも、明示はしていないが声明文が出たタイミングからして、それが日本だというのは明らかだろう。

かの宮台氏もそうだが、このように米英の視座から日本を見下ろしていることに、なぜか気付けない。
西欧人は戦前の日本の文化なぞ未開人のそれとみているから、言わば自然な反応なのだろうが、宮台氏のような日本人は、やはり明治以来の西欧を先生と憧れる啓蒙紙の影響、そして、先のＷＧＩＰによる報道管制がその偏向度を加速させたとみる。
文明開化からの伝統とはいえ、もうそろそろ西欧を先生と憧れる時代は終りを告げているのかも知れぬ。

さて、では、こうした声明文にどう答えるべきか。

それは、指摘するような不遇な女性達に憐憫の情は抱くけれども、
日本軍は女性達を強制・強要した事実は無いと毅然として答えたらいい。
そこで、日本軍の不作為が結果的に女性達の不遇を生じせしめたと言うのなら、
そこに不作為ありと見、人道上の問題を生じたとみるのは、米欧の価値観ならではのもの。
日本は今は卒業したけれど、往時にあった管理売春業者を許す文化、その長い長い蓄積を、もっとしっかり理解してから語るべきと。

コメントありがとう。

>　インドネシアで「オランダ人女性と現地人女性」を強制（＝連行）して「慰安婦にした」ことは事>実と明白に証明されているんですよ。（韓国朝鮮については「証拠文書がない」と言って言い逃れているが）

ほう。それでは、それが売春業者の仕業ではなく、軍の意志が伴った行為だと証明出来るのかな？

この種の議論は、業者の責任と監督する軍の責任が、いとも簡単に、ごちゃ混ぜにされてしまう。
それが間違いなのは上で述べたつもりだ。

はてさて、業者がやったのではなく、軍が明確な意志をもって、女性達を強制連行した事実があるのかな？。
この場合、先の保健所の例でいうと、保健所の役人が毒料理の提供に関与したとて国が悪いとは簡単にはなりはしない。それと同じで、そこにいた軍人が悪事に参加したというだけでは、軍そのものの意志だとは言えないのだが、その軍の悪事を証明出来るのかな？。

>（老婆心です、老婆では有りません。バカウヨは老婆心は老婆が懐くものと勘違いしているようなので念のため申し添えます）。

はて、こんどは人格攻撃かな。（笑）
だいぶんと困る点を突くことができたかのかも知れぬ。

白馬事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/白馬事件

みると、軍は問題の施設を閉鎖しているではないか。
これでは、軍が明確な意志をもって女性達を強制連行したとは、とても言えない。

ここでは、リベサルさん達が気付いていないポイントを指摘しているつもりだ。
米欧の価値観には、往時の管理売春業者を許容していた日本の価値観を知らないし、今でも知ろうとしていない。
リベラルさん達はそれを戦後の啓蒙紙で学び、いわば借物の色メガネで往時の日本を見下ろしている。

往時の価値観は、簡単に言えば、今の保健所が飲食店を管理監督するのと同じ、たとえ飲食店が毒物料理を出したとしても、それを保健所の一役人が、関与したか、無作為に放置していたとしても、それが一足飛びに国の責任とはならない。
ここが重要な点だ。国の責任とするなら、そこに明らかな意志を証明しなければならない。
ご指摘の「白馬事件」も同じ、現地の軍人がそれに関わったとて、問題の露見後その施設を閉鎖した事実には、軍の明確な強制連行の意志が見出せない。

日本人は、米欧が往時の日本文化をおそらく理解できないと知っているから、刑事責任ではなくて、もっと大きく漠然とした「道義的」心情において、米欧の人々に陳謝した経緯があるかも知れぬ。
だがそれは、国の瑕疵、事の次第を明確にするという意味では、誤解を招く行為だったとも言えよう。