なかなか軽妙な語り口で面白いけれども、
はたして、これは安倍氏への非難すればいいだけのお話なのか。

まず断っておくと、その安倍政権による経済運営では大いに問題ありと見るし、
件の安保法制も、あれよあれよという勢いには、まるで違う国かと見まがうばかりだ。

だが、こうした動きには原点、背因があるからこそ出てくるもの。
現政権が安保法制に急ぐその原点、背因は、もう皆が知っているだろう。

ついこのあいだ、中国の東シナ海での埋め立てにＧ７を始め関係国が非難したばかり。
ちょっと前には、事実上の領空宣言とみる防空識別圏の突然の設定もあった。
尖閣諸島海域では、いま現在でも威嚇行為が続いている。

経済はというと、中国は先月先々月と急激な退潮を示す指標が報道されている。
大丈夫だとうそぶくのは、怪しげな経済アナリストやシンクタンクばかりだ。
こうしたニュースが並べば、誰しも領空・領海での不測の事態を危ぶむのではないか。

そして、それを抑止する安全保障の要である米国は、いまリバランスの最中。
中国共産党が知らないと否定する、不穏分子、血気盛んな武装漁民が、尖閣や石垣あたりを占拠する可能性だってあるだろう。

責任ある政府、政治家ならば、こうした事態への法整備を急ぐのは当たり前だ。
こうした事の原点を抜きにして、安倍政権のみを責めるのは片手落ちというもの。
安倍政権を責めるのと同じくらい、中国の力による現状変更を非難し、止めさせようという行動が、なぜ出てこないのか、とも思う。

記事で、安保法制の改訂にみる流れを「そんな嫌な予感がする台風襲来目前の朝・・」と危ぶむが、
本来の台風の襲来と言うのなら、それは間違いなく、かの国の不穏分子や武装漁民の襲来だろうに。

コメントありがとう。さて先の02の、東シナ海での埋め立て → 南シナ海での埋め立て の誤り。

>一方的な見方を用いて、中国の言い分を無視し、悪者だと断罪するのね。

一方的とみるのは立場次第かと思うが、それではなぜ関係国から非難や非難決議が出ているのかな？。
そうした非難決議が出るのは、かの国の一方的に行動したからだとみるが。

領土の主張で食い違うなら、そうした一方的な行動に出る前に、当該国と話しをつけるか、国際法的に白黒をつけ手を用いたらいい。それが国際秩序、ひいては平和を重んじる姿勢だろう。
それを選択しないで、いきなり行動に及んでいるやに見えるが、その時点でアウトなのでは？。

>南シナ海の無人島や環礁は誰のものでも無かったよね。欧米人の領土・領海争奪戦に「先占」という国際法を
>制定したでしょ！中国の鄭和大航海（1371年〜1434年）はヨーロッパの大航海時代に７０年程先んじんており、
・・

なるほど。そうした歴史の視点で言うのなら、もっと別の見方もある。
もっとも、これは貴殿にはご理解いただけないかも知れぬが。

ご指摘の「欧米」の「先占」という国際法が、まことに手前勝手だというのは分らなくもない。
だが、それを言うなら、もっと別に、民族の風土・慣習の連続性という視点がある。

もともとは、大陸の東北沿岸に住んでいたのは日本人と類縁のいわゆる「東夷・夷人」だった。
太平洋の潮に洗われる島々、大陸沿岸はだ。
それは支那が強大化して華夷思想に染まる前の姿にかいま見ることができる。
だからこそ、いまも台湾の人々は日本に親近感を抱いているし、支那沿岸の人々もそうだ。
そして、支那とは本来、崑崙山の麓からひろがる平原、大陸の民だった。
そのように、往古は、大陸の民と、沿岸・島嶼の民として分かれていた。

欧米人の「先占」がけしからんと、もっと古くは支那のものだと言うのなら、
「夷」の祖である日本が、風土・慣習の類縁で沿岸の領有権を主張する、これも一つの意見となろう。
それは、明治の頃の日本の版図が図らずもそれを証しているとも思う。

そうした歴史談義はさて措き、
法的根拠を明示せよと右手で挑みつつ、左手で粛々と係争地に橋頭堡を築く、という姿は、それこそ血を流す戦争を招いている、いや、既に血を流しつつある行為とみるが。

>あなたは圧倒的に騙されている。
>安倍は中国のことなど全く意識していない。

興味深いご意見だ。
だが、私も、知る多くの人々も、領土をめぐる不測の事態を危ぶんでいるのだが。

>日本が中国に攻められても彼は日本を見捨てる。
>そうじゃなくて彼はアメリカのために中東に自衛隊を送りたいんだ。

なるほど、その論理でなら確かに大いに問題があるだろう。
けれど日本を、その総理大臣が見捨てるとは、にわかには信じ難い。
もしそうなら国民がそれを替えているだろう。

戦争放棄を謳う憲法もそうだが、いつまでも外部強制的な縛りで、国は正常に発展し得ない。
ネガティブリストで縛られた個人が、その自由な活力の芽も摘まれるようにだ。
そして、ネガティブリストは、あいつは悪人だと指差すことに通ずるだろう。

もう、そうした戒めで縛る段階を、日本は卒業しようという段階にきたと思うがどうだろう。
その先にあるのは、信頼だ。
まず信頼が先にあり、それに適わないと判断したなら、取替えれば良い。それが民主主義だろう。
安倍氏の、その経済運営では大いに批判があるし、その運営の（見た目の）強引な印象は否めないけれども。