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シルヴァー・デモクラシー(silver democracy)というコトバの日本での危険きわまりない使われ方
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/271.html
投稿者 五月晴郎 日時 2015 年 5 月 20 日 03:36:20: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://suinikki.blog.jp/archives/30779289.html

古村治彦の酔生夢死日記

2015年05月19日

 古村治彦です。

 2015年5月17日に維新の党(大阪維新の会)が求めていた、大阪市解体(再編)に対する賛否を問う住民投票が行われました。結果は賛成、反対が拮抗しましたが、反対が1万票ほど多く、いわゆる「大阪都構想」は否決されました。これによって、橋下徹市長は政治家からの引退を表明しました。

 今回の住民投票の分析でよく聞かれるのが「南北問題」と「シルヴァー・デモクラシー」です。住民投票の結果、賛成が多かったのが大阪市北部の各区、反対が多かったのが南部の各区という地図が示され、「福祉に自分たちが払っている税金が無駄遣いされていると感じている金持ちが多い北部は賛成が多く、福祉に頼りきりの貧乏人が多く南部は反対した」という主張がなされています。しかし、もっと詳しく投票結果を当てはめていくと、一概にこうした過度に単純化した図式は当てはらまないのだそうです。

 もう1つのシルヴァー・デモクラシーは、世代別の賛成と反対の割合を挙げて、「若い人たちは賛成が多かったが、高齢者たちは反対が多かった」という主張になっています。そこから「現状維持を好み、自分たちの利益しか考えない老いぼれたちと抑えつけられるかわいそうな若者たち」という世代間分裂を煽るような言論がなされています。マスコミに出ているような影響力のある一部電場芸者の皆さん方で、都構想に賛成だったような方々がこのような分析を鼻高々で語っているなぁと私は感じています。

 こうした過度な単純化によって、改革の敵として「貧乏人」と「老人」がフレイム・アップされ、これらが憎悪のターゲットにされようとしています。私はこうした動きはとても危険だと考えます。まず何より、国民の中の分裂と敵対関係を煽るような言論は何の利益にもなりません。それでは貧乏人や老人には参政権を与えないと言うのでしょうか、福祉を与えないと言うのでしょうか、お前らは邪魔だから死んでしまえと言うのでしょうか?

 私はこうした言論はあらかじめ用意されていたんだろうと思います。成功した場合のシナリオと失敗した場合のシナリオがあったんだろうと思います。賛成した場合は「思い切った改革を求めているのが民意だ。だから国政レヴェルの最大の改革である憲法改正をやるべきだ」という主張がなされたでしょう。今回は失敗した場合のシナリオが採用されているんでしょう。それは「改革を進めたい人たちがいるのに、それを邪魔する既得権者たちがいる、それが貧乏人と老人だ」ということだと思います。小泉純一郎元首相が使った、「抵抗勢力」というレッテル貼り(レイべリング)して吊し上げて叩き潰すというやり方と同じです。

 改革を進めたい善の「金持ち」「若者」と抵抗勢力である悪の「貧乏人」「老人」という過度に単純化した勧善懲悪の物語にしていくんでしょう。

 シルヴァー・デモクラシー(silver democracy)という言葉、特にアルファベットの方をインターネット検索していただくと、日本の高齢化社会と民主政治体制(デモクラシー)の関係、投票に占める高齢者の評が占める割合が大きいために改革が進まない、後ろ向きというアメリカ系の日本研究者たちの論文のタイトルがたくさん出てきます。日本の広告会社、シンクタンク、自民党が一緒になって、「これは使える」ということで、この言葉を意図的に「輸入」して使っているのではないかと私は考えます。

 しかし、本来のsilver democracyというのは19世紀にアメリカの農民たちから起きた大きな動きを象徴する言葉でした。アメリカの農民たちは19世紀、自分たち自身が鋳造した銀貨を正貨として流通させようという運動を起こしました。それを支持したのが、民主党の大政治家ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(William Jennings Bryan、1860―1925年)でした。この運動こそは下からの民主運動でした。そうした立派な言葉を日本国民の間に分裂と対立を招くために使うというのは愚かしいことです。

 私が1つ興味深いと思ったのは、政治家・橋下徹の師匠的存在で、彼を支えたのが堺屋太一であるということです。堺屋太一は経済評論家として有名ですが、現在の60代後半(1947年から1949年くらいまで生まれの人々)を指して、「団塊の世代」と名付けたことでも有名です。今回の住民投票の結果で「敵」としてこの団塊の世代もフレイム・アップされている訳ですが、堺屋は最後の最後までこの世代を利用し尽くして、「自分の利益となるように、美味しくいただいた」と言うことが出来るでしょう。

 私は、住民投票後の「失敗の場合のシナリオ」は次のようになると考えます。「現状に不満を抱え、改革して“美しく、とてつもない”日本を作りたいと考えている人々がいる。一方で、日本が抱える問題の原因となってきた人々(貧乏人と老人)がいる。彼らがいる限り、日本の閉塞感と衰退を何とかすることはできない」と煽り、改革(究極の改革である憲法改正)に賛成しない人間たちをマージナル化していき、憲法改正にまで突き進む、と。大変危険な方向に日本は流れていると私は考えます。

 改革という名前の「革命」に知恵もなく熱狂し、踊らされた後に来るのは「地獄」であるということは歴史が証明しています。

(終わり)  

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