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「統治者がつくった反日」の重いツケ 呉善花氏インタビュー(上)  思考停止の韓国 「韓国外交はなぜ異様か」
http://www.asyura2.com/15/senkyo187/msg/366.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 24 日 09:17:21: tW6yLih8JvEfw
 


「国交正常化50年 日韓のいま」

「統治者がつくった反日」の重いツケ

呉善花氏インタビュー(上)

2015年6月24日(水)森 永輔

1965年の日韓国交正常化から50年が経った。
これを機に、冷え切っている両国の関係を改めて“正常化”したいところだ。
しかし、拓殖大学の呉善花(オ・ソンファ)教授は「非常に難しい」と断じる。
韓国の歴史に刻まれた、「反日の土壌」は容易には変わらないからだ。
反日の土壌はいかにして出来上がったのか。
日韓国交正常化から50年を迎えました。これを機に、李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が2012年に竹島に上陸して以来停滞している両国の関係を改めて“正常化”したいところです。

 まず、今の日韓関係をどのように評価されていますか。


呉 善花(オ・ソンファ)
評論家、拓殖大学教授
1956年、韓国に生まれる。83年、大東文化大学に留学。東京外国語大学修士課程を修了。90年、『スカートの風』がベストセラーに。著書に『反日・愛国の由来』『なぜ「反日韓国に未来はない」のか』『侮日論』など多数。(写真:新関雅士、以下同じ)
呉:国交正常化から50年の間で、最悪の状態だと思います。しかも、朴槿恵(パク・クネ)大統領が今後、簡単に方針を変えることはないでしょう。さらに、仮に、他の人が大統領になっても変わるのは難しいと思います。

かなり厳しい情勢ですね。それは、なぜですか。

呉:韓国の歴史に刻まれた「反日の土壌」があるからです。最も古くから続いているのは華夷思想。これに、反日教育が重なりました。金泳三大政権を初めとする文民政権が親北朝鮮に政策を転換する中で、反日がさらに加速しました。朴槿恵大統領について言うと、反日教育を受けて育ってきたことに加えて、彼女の個人的な性格と国内の政情が、反日をさらに徹底したものにしています。

順番にご説明いただけますか。

朝鮮は日本を教え導く立場にある

呉:華夷思想は、中国で発生した世界観です。中国は「中華」、すなわち文明の中心。周辺の国は「夷」、中華から感化・訓育を受ける対象であるという考え方です。韓国は、この中華思想に基づくヒエラルキーにおいて、「朝鮮諸国は、中国の忠実な臣下であり、正当な継承者である。日本を教え導く立場にある」と自らを位置づけてきました。竹島問題であれ、慰安婦問題であれ、本来なら朝鮮民族の下に位置する日本人が、朝鮮をバカにして行っているとみなし、反発を感じているのです。

確かに、仏教は朝鮮を経て日本に伝わりました。6世紀半ばに百済の聖明王が日本の欽明天皇に仏像や経典を伝えたとされています。

呉:そうですね。儒教もそうです。

 ちなみに、正当な継承者であるとの認識は、中国の清王朝にも向けられていました。清は満州民族が建国した国で、漢民族の国ではありません。朝鮮から見れば、清王朝は「夷」が立てた国であるわけです。なので、表面上は服従していても、心の中では「朝鮮が中華の正当な後継者である」として清を見下していました。

 華夷思想をベースにしたヒエラルキー重視に加えて、韓国には潜在的なエスノセントリズム(自民族優越主義)があります。朝鮮民族は優れた存在、日本は「生来の野蛮で侵略的な資質をもった民族」と見なす考え方です。神功皇后による三韓征伐、豊臣秀吉による朝鮮侵略、明治の征韓論、韓国併合などを「一連の」ものと捉え、その原因が日本民族の資質にあると断じています。

朴槿恵大統領の父・朴正熙時代に広まった反日教育

華夷思想の上に反日教育が積み重なっているわけですね。

呉:はい。戦後、韓国は「反日」を大義名分として建国されました。反日独立運動家だった李承晩(イ・スンマン)が米国の支援を得て権力を掌握したからです。韓国の憲法は前文で「三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承するとうたっています。三・一運動というのは1919年にソウルで行われた大規模な独立運動です(本誌注:日本は1910年に韓国を併合していた)。大韓民国臨時政府は、李承晩らが設立した組織です。


 初代の大統領に就いた李承晩は反日主義を徹底して進めました。対馬を韓国領だと主張する一方、李承晩ラインを設定して竹島を実効支配しました。左派勢力との激しい権力闘争が背景にあったからです。反日の姿勢を弱めれば、反米・親ソ中・従北朝鮮の勢力に民意が移ってしまう懸念がありました。

 この一環として反日教育を始めたのです。国家の政策として、反日=愛国と位置づけました。国家が定めた歴史認識だけを「正しいもの」として、国民に押しつけたのです。

 反日教育が本格化したのは1961年から始まった朴正熙(パク・チョンヒ)政権においてです。経済成長を背景に、中学への進学率が高まりました。これが反日教育の効果を後押しし、韓国民の間に反日を根付かせることになりました。

 日本統治時代を知っている高齢の方は、それが悪いことばかりではなかったことを理解していました。しかし、机上で反日を学習した世代は日本による統治の実態を知ることなく、イデオロギー的に反日になっています。私自身を振り返っても、日本への生理的な嫌悪の情に満ちた強固な反日感情が根付きました。朴槿恵大統領はこうした世代の始まりに位置しています。

桜の木を切り倒し、日本語由来の言葉を禁止

李承晩や朴正熙といった軍人出身の大統領が続いた後、1993年に金泳三が大統領となり、文民政権が始まりました。それでも反日は変わらなかった。

呉:変わらないどころか、文民政権により反日はさらに強いものになりました。

 金泳三は、旧朝鮮総督府の建物を解体したり、韓国各地に植えられていた桜の木の一部を切り倒したりしました。どちらも日本の象徴だったからです。竹島に沿岸警備隊を常駐させるようにしたのも金泳三です。“日本語狩り”も行いました。それまで普通に使っていた「割り箸」「楊枝」といった日本由来の言葉の使用を禁止したのです。

金泳三、金大中(キム・デジュン)の後に登場した盧武鉉(ノ・ムヒョン)時代には「過去の清算」も行いました。日本が統治していた時代に親日行為――幹部として日本軍に協力したり、創氏改名を主唱したりするなど――をした人たちを断罪しました。戦時中に日本に協力した人のリストを作り、彼らやその子孫の財産を没収した。軍事政権時代は、戦時中の状況では日本に協力するのも致し方なかったとして、目をつぶっていましたが、この姿勢を転換しました。

呉:おっしゃる通りです。

「反北」では国民の支持を集められない

李明博氏が大統領に就任し、保守の政権が誕生しました。同政権は日本と良好な関係を保っていましたが、政権が末期が近づくにつれ、竹島に上陸するなど反日が目立つようになりました。これはなぜだったのでしょう。

呉:反北朝鮮の政策が、国民を引きつけるものではなくなったからです。

 軍事政権時代は「反日」と同時に「反共=反北朝鮮」を掲げていました。そして、軸足を置いていたのは「反共」です。彼らにとって親北朝鮮勢力との争いは、事実上の内戦でした。例えば李承晩が大統領になれたのは、彼の反共・親米路線を支持するアメリカが支援したからです。彼は反日の旗を振る一方で、知日派を政権の重要ポストに登用し、親北朝鮮の勢力を排除していました。

 その後、政権に就いた金泳三、金大中、盧武鉉と続く左派文民政権は、軍事政権とは異なり「親北」でした。盧武鉉時代に小学4年生向けに使用された教材にこんなエピソードが載っています――ロミオとジュリエットが川を挟んで引き離されており、そこにいる悪い竜のせいで結婚できない。ロミオとジュリエットは韓国と北朝鮮。川は非武装地帯。竜はアメリカを表しています。南北朝鮮が統一できないのはアメリカのせいだという意味です。

 左派文民政権が親北であったことには社会的な背景があります。当時の韓国はアメリカ化が進んでおり、それに対する反動で「我が民族を取り戻す」という考えが力を得ていました。アメリカ化とは経済格差の拡大、個人主義の普及などを指します。個人主義の普及は、家族を大切にする姿勢とか、年長者や老人を敬う倫理を崩壊させた。こうした流れに対する反発が高まったのです。

 そんな時に周囲を見回すと北朝鮮は主体思想を掲げて、我が道を歩んでいる。文民政権は「北朝鮮のようになりたくはない」けど、その取り組みは評価するべきと考えました。彼らが政権を担った15年の間に、北朝鮮を敵視する民意は急速に衰退。40歳以下の世代には、そういう人はほとんどいないでしょう。

 李明博大統領(当時)を擁した保守の基本的な政策は「反北」です。しかし、反北政策は国民を訴求する力がなくなってしまった。このため、同大統領は任期が終りに近づきレイムダック化するにつれて、反日を強調せざるを得なくなりました。

 これに関連して興味深いのは、2003年に大統領に就任した盧武鉉時代に、民主化=民族主義=親北・反日=愛国という構図が出来上がったことです。

 文民政権にとって、軍事独裁政権と対立してきた自らの立場、すなわち「民主」は是とすべきものです。これまでにお話ししたような経緯で「親北」も是。そして「反日」は当然ながら是。ここから「民主化=親北・反日」は是という考えが出来上がります。そして、なぜか、その対局である「反民主(軍事独裁)=反北・親日」という等式も成立するようになりました。本来なら、国内で民主化を進めることと、親日であるか反日であるかは関係がありません。しかし、盧武鉉時代にこうした捉え方が韓国社会に広まったのです。

後編は6月25日に公開する予定です。

このコラムについて
国交正常化50年 日韓のいま

1965年6月22日、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」が調印され、これを批准したことで国交が正常化しました。それから50年。隣国との関係を改めて考えます。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061900007/062300008/

思考停止の韓国 「韓国外交はなぜ異様か」を木村幹教授に聞く(2)

2015年6月24日(水)鈴置 高史

(前回から読む)

 「思考停止に陥った韓国」を神戸大学大学院の木村幹教授と考える(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

日韓は熟年離婚だ

木村先生は「日韓・熟年離婚論」を唱えておられます。


木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら。(写真:鈴木愛子、以下同)
木村:今の日本と韓国は、子育てを終えてお互いが必要なくなった夫婦と似ています。

 50年前の1965年6月22日、両国は国交を正常化しました。米国の肝いりです。当時は冷戦のまっただ中でした。

 西側陣営を率いる米国は、経済的に脆弱だった韓国をテコ入れする必要があり、その役割を日本に担わせました。韓国は北朝鮮と対抗していましたが、その北朝鮮はソ連や中国を確固たる後ろ盾にしていました。

 それに対し韓国は未だ日本とも国交さえ結んでおらず、頼みの米国もベトナム戦争の激化に伴い、そちらにかかりっきりでした。

 一方、日本の一部にも、もし韓国が北朝鮮に圧倒されれば朝鮮半島南部までがソ連の勢力圏に入るかもしれない――との恐怖感がありました。当時は「釜山赤旗論」などと言ったそうです。

 当時においても、日韓の国民感情はとうてい良好とはいい難かったのですが、ともあれ共産圏に対抗するという共通の目的から国交正常化に踏み切りました。

 それから1980年代序盤頃までの日韓関係はおおむね円滑に推移します。しかし冷戦が終わると、両国の関係を支えていた最大の共通利益が失われることになりました。1990年代以降、日韓の間で歴史認識問題が噴出したのもそれが背景にあったのです。

 こうした日韓関係のあり方は、子供も成長して家を出、一緒に協力しながら住む意味が薄れたため夫の定年を期に退職金を折半して別れる夫婦の姿と二重映しになるのです。

1人当たりGDPで日本を超える

鈴置:韓国は日本の経済的な手助けなどは要らなくなりました。現代経済研究院は「2016年には韓国の1人当たりGDP(購買力平価基準)が日本を追い越す」と2014年12月に予測しています。

木村:韓国の全貿易に占める日本の比率も、2015年1−5月には7.6%に低下しました。国交正常化の年である1965年に34.5%と全体の3分の1を占めていたのと比べ、対照的です。日本向け輸出は国別で5位に後退しました。全くの様変わりと言ってよい状態です。

鈴置:聯合ニュースが「韓国の対日貿易依存度 半世紀で5分の1に低下」(6月18日、日本語版)という記事で報じていましたね。

 韓国の対日貿易の比率のピークは1973年の39.8%。1980年代から1990年代にかけては20%台を維持していましたが、21世紀に入った頃から10%台に。2011年以降は一桁に落ちていました。実際の貿易額も同年以降、減っています。

木村:韓国経済は貿易に頼る比重が極めて高い。貿易面で日本の比重が下がれば、外交面でも日本の影が薄くなるのは当然です。

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貿易と外交の関係に関しては、3年前から木村先生が指摘されていました(「日韓関係はこれからどんどん悪くなる」参照)。

木村:今や、韓国にとって最大の貿易相手国は中国です。香港を含めれば30%前後にのぼります。

鈴置:政治的にも韓国は中国にどんどん取り込まれています。そんな韓国は日本にとって「大陸に対する盾」ではなくなっています。それどころか「中国の使い走り」も始めましたから、日本が韓国に警戒を強めるのは自然です。

 一方、韓国も「もう日本には頭を下げたくないし、下げなくていいほどの力を付けた」と思っていますから、それを確認するための「卑日行動」を繰り返します(「『目下の日本』からドルは借りない」参照)。

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に限りません。李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸とか、天皇への謝罪要求がそれです。

MERSと通貨スワップ

韓国にとって日本は本当に不要なのでしょうか。例えば、通貨危機に陥りそうになった際にドルを借りる通貨スワップを、日本と結んでおく必要はないのですか。

鈴置:通貨危機に陥りやすいことは、依然として韓国の弱点です。興味深いのは、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)が「日本の必要性」を増したことです。

 この流行で韓国では景気の冷え込みが懸念されました。そこで想定外の金利引き下げを実施せざるを得なくなったのです。韓国銀行は6月11日に基準金利を1.75%から1.50%と、史上最低水準に引き下げました。

 韓銀は「景気刺激は財政で」と唱えていました。利下げは極力避けたかったからです。米国の利上げが近く予想され、利下げするほどに米ドルとの金利差から、外貨流出の懸念が高まるのです。

 しかし、MERSという緊急事態に直面したため、引き下げざるを得ませんでした。すると、通貨攻撃を防ぐための日本との通貨スワップが欲しくなるわけです。「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいな話ですが。


軟化する?韓国

韓国には中国とのスワップがあります。

鈴置:中国と結んでいるスワップは人民元建てです(「韓国の通貨スワップ」表を参照)。いざという時に人民元スワップの効き目があるのか、疑う向きが多いのです。中国は人民元経済圏を作るため、自国通貨のスワップしか応じません。ドルスワップを結んでくれるのは、外貨準備が豊富なうえ、お人好しの日本ぐらいなのです。

韓国の通貨スワップ(2015年6月23日現在)
相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年
10月11日 2017年
10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年
10月13日 2016年
10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年
10月20日 2016年
10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年
2月23日 2017年
2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年
3月6日 2017年
3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年
7月17日
<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。
資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)
外相を日本に送って来るなど、韓国の姿勢がやや軟化したかに見えます。日本とのスワップを念頭に置いているのでしょうか。

木村:尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の訪日は、朴槿恵大統領の熟慮の末の決断でしょう。一方、先ほどの鈴置さんの説明は「プロ筋」の話です。そんな複雑な、ことに面白くない話が大統領まで正確に上がっているかは疑問です。

 スワップを巡るテクニカルな議論と、対日姿勢の微妙な変化は、管見の限りでは、連動していないように思います。そもそも朴槿恵大統領は、現在の韓国経済の危さを認識していないのではないでしょうか。

誠実ゲームで巻き返す

では、軟化は何が原因なのでしょうか。

木村:米国の目を意識した「誠実ゲーム」の色彩が濃いと思います。とはいえ、それは米国が韓国に強い圧力をかけているから、では必ずしもありません。重要なのは、安倍晋三首相の米議会演説頃から、韓国国内で日本に対する「外交敗北」が語られていることです。

 ポイントは、慰安婦など歴史問題で米国をはじめとする国際社会が、韓国の政府や世論が期待したほどには意見を支持してくれなかったことです。つまり、そのことが韓国の政府や世論に焦りを生み出している、ということになります。

 この「外交敗北」の原因の1つは、あまりにかたくな朴槿恵大統領の姿勢にあった、との理解も広がっています。つまり、執拗な歴史問題のアピールによって、逆に米国の専門家の間でも「韓国疲れ」をもたらした、との認識です。

鈴置:最近の韓国紙にはそんな指摘が増えました。2014年3月のハーグでの日米韓首脳会談に、今ごろ言及する記事もあります。「安倍晋三首相が韓国語で話しかけたのに、朴槿恵大統領はそっぽを向いた。これがオバマ(Barack H. Obama)大統領の逆鱗に触れた」との指摘です。

 より詳しく言えば、正直に感情を表す韓国人を利用して、狡猾な日本は自分だけが誠実に関係改善に取り組んでいることを演出した――という敗因分析です。

木村:その理屈に立てば今度は、韓国が日本以上に「誠実」に関係改善に動いていることを見せなければならない、ということになります。外相を日本に送ったのも、そのアピールの1つだと言ってよいでしょう。

 もし、ここで日本が何の譲歩もしなければ、悪いのは問題解決に取り組まない日本だ。だから米国は韓国を支持すべきだ――という主張を展開できるからです。

「慰安婦で相当の進展」

鈴置:韓国の本音が透けて見える記事があります。例えば、中央日報の「尹炳世外交長官が訪日へ、先に手を差し出した韓国……日本に和解圧力」(日本語、6月18日)です。以下はその1節です。

・専門家は今回の決定を通じて関係改善のボールを日本に渡し、日本の前向きな回答に圧力を加える構図を作ることができると述べた。

 朴槿恵大統領もワシントンポスト紙(WP)のインタビューで、日本との関係改善に言及しました。「'Eventually we will face a situation that will be beyond our control.'」(6月11日、英語)で、以下のように語りました。

・慰安婦問題で相当の進展があった。我々(日韓)は交渉で最終段階にある。

「最終段階にある」との発言の意味は?

鈴置:韓国の大統領が米有力紙にそう言っておけば「進展がなかった」時も、日本がかたくなだったと責任を押しつけられる――と青瓦台(大統領府)は計算しているのかもしれません。

木村:その可能性が全くないわけではないと思います。ただ、現在の青瓦台にそれだけの緻密な政治的計算ができるかどうか……。

また、蒸し返す韓国

「相当の進展があった」のですか?

木村:それは今の段階では分かりません。日本政府が求めているのは「最終的な決着の保証」、つまり両国が何らかの合意に達した場合、それを最終的な決着にすると韓国政府が保証することです。でも、国内に強力な運動団体を抱える韓国政府がのむのは難しいでしょう。


鈴置:日本政府は韓国政府がのめないことを見越して「最終決着の保証」を要求しているのではないかと思います。韓国政府が何かを保証しても、反日・卑日が必要になれば、またへ理屈をこねて蒸し返す可能性が高い。その時、脇の甘さを笑われるのは日本ですから、交渉テクニック的にもハードルを目いっぱい上げる必要があります。

木村:ともあれ、韓国が癒和的な姿勢を見せる背景には、国際社会を意識した「誠実ゲーム」で巻き返す意図が、ある程度あると思います。基本的には「熟年離婚」状態なのですから「万一、裁判になった時にも、自らの意見が第三者に認められる」備えも重要だからです。

米韓は仮面夫婦

木村先生の「日韓・熟年離婚論」の一方で、鈴置さんは「米韓・仮面夫婦論」を唱えてきたわけです。

鈴置:「仮面夫婦」という表現は私の専売特許ではありません。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代(2003―2008年)に米国の安全保障専門家の間では「米韓同盟はまだ存在するが、仮面夫婦のようなものだ」と語られていました。

 盧武鉉大統領は北朝鮮にとても融和的で――韓国の保守に言わせれば「北への従属そのもの」で、米国との関係も悪化しました。米韓同盟の打ち切りもあり得ると見る専門家も少なくなかったのです。

 朴槿恵政権は北朝鮮ではなく中国に急接近したのですが、結果は同じで、米国と距離ができています。例えば、北朝鮮の脅威を防ぐために存在する在韓米軍基地を守るための終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)。この配備に韓国は難色を示しています。中国の恫喝のためです。

南シナ海が新たな踏み絵に

木村:韓国は、もはや米中間ではほぼ中立状態にあると言ってよいでしょう。もちろん米韓同盟を破棄する、ということではありません。韓国は米韓同盟を「対北朝鮮限定同盟」とし、維持していきたいのだと思います。

 THAADのように米中双方から突きつけられる踏み絵をどうさばくか、韓国は今後も苦労し続けるでしょう。でも「米中間では等距離」という外交路線を選んだ以上、ある程度は仕方がないことです。韓国人にも一定の覚悟はあると思います。

鈴置:米中対立が深まるほどに、踏み絵は増えていきます。THAAD以上に深刻な踏み絵が南シナ海の問題です。中国はここで暗礁を埋め立て、軍事基地を作っています。米国は日本や欧州の同盟国、東南アジアの関係国を集め非難しています。しかし韓国は対中批判に一切、参加しない。

 WP紙から韓国の姿勢を問われた朴槿恵大統領は「関心を持っている」とだけ答え、米国側に立つ意思がないことを明らかにしました。

 同紙の先ほどの記事「'Eventually we will face a situation that will be beyond our control.'」(6月11日、英語)での南シナ海に関する問答は以下です。

問:南シナ海での中国の動きをどう見るか? 中国はその権利を声高に主張するが。
答:中国は韓国の最大の貿易相手国だ。そして朝鮮半島の平和と安定に巨大な役割を果たす。南シナ海に関し、韓国にとっても航行の安全と自由はとても大事だ。我が国はこの海域の展開を、関心を持って見守っている。状況の悪化を望まない。

韓国は中国の核の傘に?

 中国が南シナ海に軍事基地を持つことの問題は、航行の自由を侵すだけではありません。中国はこの海をミサイル原潜のねぐらにするつもりです。南シナ海の北部に位置する海南島にはすでに原潜基地ができています。

 中国がミサイル原潜を自由に運用できるようになると――つまり、中国が核報復能力を保有すると、核抑止論から言えば米国と対等になります。その自信を背景に、中国はますます高圧的になるでしょう。

 軍事的にも今後、米国と日本は中国のミサイル原潜の恒常的な監視が不可欠となります。冷戦期に世界中の海でソ連のミサイル原潜を常に米国の攻撃型原潜が追尾していたように、オホーツク海で日本の対潜哨戒機がソ連の原潜を見張っていたように、です。

 だから米国や日本が大声で、日米の対潜哨戒を妨害する中国の南シナ海の軍事基地建設を非難するのです。なのに韓国は、非難に加わろうとしない。

 朴槿恵大統領は「中国との経済関係」と「半島の安定役」との理由をWP紙のインタビューで掲げました。でも、中国の核戦力の飛躍的な強化の前に「中韓関係が大事」では反対の理由になりません。米国や日本は「韓国が中国の核戦力拡大に反対しないのは、中国の傘の下に入るつもりだからではないか」と疑います。

 6月3日、米国のラッセル国務次官補が対中非難に加わるよう韓国に求めました。韓国メディアも報じています。KBSの「南シナ海を巡る紛争 米国が韓国に立場表明を要求」(6月4日、日本語版)などです。

「そんな先は分からない!」

韓国は中国陣営に行くつもりでしょうか。

木村:本音を言えば、この問題について韓国人はあまり「考えたくない」のだと思います。多くの韓国人は米国のパワーゲームの中で自分の国が果たせる役割はさほどない、と思っている。だから、あれこれ悩んでもしょうがない。最終的には米中両国が自分たちのことを決めるのだから、その結論を待てばよい――ということになります。

 昨年8月、済州島で開いたシンポジウムで私は以下のように発言しました。「中国の経済成長の速度は鈍化している。加えて人口減少問題もある。国連統計によれば、中国の人口は2100年までの間に4億5000万人も減少する。中国が影響力を拡大し続けるとは限らない。韓国も、この中国リスクを踏まえて立ち位置を決めるべきだ」。

 すると韓国政治学会の長老が叫んだのです。「そんな先のことは分からない!」。驚きました。未来を予測する統計の中で、人口統計は相当に確度の高いものです。敢えてそれを否定する、というのは研究者としてちょっと考えられない。


慰安婦は麻酔剤

鈴置:私も似たような経験をしました。21世紀に入って中国の台頭が明白になった頃、アジア各国の人々とどう対応するか議論しました。韓国人の答えが印象的でした。ほぼ全員が「考えてもしょうがない」。私はその時、ハタと気づいたのです。

 「日本人は努力すれば外交的な環境を変えられる、と考えている。だが、韓国人はそうは思わない。だから先のことを考えて余計な気苦労をするのはやめ、与えられる状況の変化をとにかく受け入れていこう、と思うものなのだな――」。

 韓国が慰安婦など歴史問題を掲げて世界中を走り回るのも、そうして忙しくしていれば、米中対立の中でどう生き抜くのかという本質的な問題から目をそらせられるからかなあ、と思う時もあります。

木村:中国大陸の王朝が変わっても、朝鮮半島の人々は民族としてのまとまりを維持してきました。もちろん日本人が想像できないほどの、つらい目にも遭いました。でも、大陸で多くの国や民族が消滅する中、状況の変化に適応し、とにかく生き残ったのです。

 今の米中間の右往左往など歴史的に見れば、彼らにとって大問題ではないのでしょう。どうせ米韓同盟だって、未来永劫に続くものではないのですから。

鈴置:思考停止状態にある以上、韓国は国家としての大方針など持ちようがありません。そこで中国に脅されれば言うことを聞く、米国から少し冷たくされれば怒って米大使襲撃事件を起こす――といった、その場しのぎの行動に終始するのです。

 日本との関係改善を望むかのような最近の姿勢も「右往左往」の一環に過ぎません。冷静に眺めることが肝要かと思います。


このコラムについて
早読み 深読み 朝鮮半島

朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/062200002/  

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コメント
 
1. 日高見連邦共和国 2015年6月24日 09:57:32 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk

ごちゃごちゃと、元記事全文引用(しかも劣悪なまでに読み難い)すんなっ!

2. 2015年6月24日 10:05:42 : kFUL3rcfFY
日韓関係を日本目線で、
アヘン戦争・黒船来航以来の近現代の東洋史観で見てたらダメなんだよ。
もっと広く世界史視点で見たら、同じ例がある。
それが『大コロンビア国』の例。でその国がアメリカとの戦争に負けて、
大まかにパナマ、コロンビア、ベネゼエラに分かれた。パナマは実質アメリカに併合。
隣接するコロンビアとベネゼエラは常に仲が悪い(元は同じ国家だったのに)

大日本帝国という国家がかつてあって、アメリカに負けて、北朝鮮、韓国、日本、満州に分かれた
満州は中国に再併合されたが、日本、韓国(北朝鮮)は常に仲が悪い。
問題は、CIAの拠点であり麻薬が蔓延する犯罪率がが極めて高い「コロンビア」になるか
社会主義ぽい路線を目指して為政者もちょっとアレな「ベネゼエラ」になるかの
選択しかない。仲よくしようなどとはいつも期待外れに終わる。

なにもかもひっくるめた現状でいえば、日本はコロンビア化してるわな。
それがいいのか悪いのかはまた別の話。


3. 2015年6月24日 10:16:21 : 8Y6zh2TMhE
隣国同士、仲が悪いのは世界の常識だ。
近親憎悪、文化圏的相反、まあ言い出せばキリがない。
日韓互いの違うところを互いにああだこうだ言い合うのはけして悪いことではない。
問題は言い合うことと、外交とをゴッチャにしてはいけないということだ。
この点において言うなら韓国も日本もどちらも失格だ。

4. 2015年6月24日 10:17:35 : 4luEa9CWQg
中国で8000年、日本も2000年で縄文土器を入れれば15000年を遡ることができる古代史がある。

真ん中にある国としては歴史をねつ造しなければ面目丸つぶれ。
国内で与太話をしているのはいいが、外国と話ができないだろ。


5. 2015年6月24日 17:39:21 : fDG1cWsHyw
>>03

とりあえず韓国はザイニチ強制送還の受け入れと竹島仏像を返し日本人拉致被害者を帰すことから始まらないと

話にならないから

国ぐるみで日本に工作かけておきながら

近親憎悪、文化圏的相反などと摩り替えるな!


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