残りの９％が“インスパイヤー（触発）度”であり１％が“偶然度”だね。
＜アートディレクター・佐野研二郎氏＞のデザインコンセプト『「Ｔ」をイメージしており、「円」はすべてを包みひとつになった世界、「赤」はひとりひとりの赤いハートの鼓動を表現し、「和の力の象徴」としてデザインした。』に即して言えば…

理由１。
先ず「Ｔ」を図象化したという発想の共通点まではひとまずは許容できる。
が、何故“黒い柱”なのか？のイメージコンセプトが「全ての色を混合（吸収）したイロ」＝「和の力の象徴」というのはかなり“無理”がある。
所謂“減算混合”では“濃いグレー”になり“クロ”にはならない。現実には理想的なインクがないので“ＣＭＹ＝三原色” を重ねても真正の黒にはならないのである。（そのため、印刷では黒 (K) のインクが補助的に使われている。）
所謂“加算混合”で白になるというのは科学的な発見・分析・検証によって証明されているが、“減算混合”で黒になるというのは、あくまでも人工的な“仮説（理想論）”であり、実証された試しは一度もない。
そもそも“黒”という色は“光が無い或いは光を反射しない”という意味・イメージであり、＜オリビエ・ドビ氏＞の劇場ロゴ・デザインのキーコンセプトが「地球上の暗黒に光りをあてるのが劇場“Ｔ”である」ってことなのさ。

理由２。
イメージ「円」である。
このデザインのどこから「すべてを包みひとつになった世界・円」を感じられのであろうか？単に「四角に区切られた空間の中の“楕円”」でしょう？ってことさ。
要はさぁ、デザイナーとして「すべてを包みひとつになった世界・円」を表現するのであれば、構図全体が、力強い「真円」になってなけりゃ、表現もインパクトも
ヘチマも無いんじゃないの？
構図全体を「真円」にすると、＜オリビエ・ドビ氏＞の劇場ロゴに“クリソツ・パクリ”モロバレになっちゃうもんねぇ？

理由３。
行き当たりばったりの杜撰な“色彩設計”である。
左辺上部・右辺下部の“長辺アール・二等辺直角三角形”の色が“金と銀”になってるのだが、「デザインコンセプト」では、何等言及がないのである。
何故“金と銀”にしたのか？何故“銅”が無いのか？ここにこそ“パクリ”の露呈がある。要は、白黒反転だけでは誤魔化しようが無いから、安易に“金・銀”にしちまったんだよ。だから、赤丸のカラーコンセプトには“ハートビート”だなんて
もっともらしい理屈がつけられているが、この“金・銀”には何等の言及がないのである。

理由４。
そもそも論に立ち返れば、“ＴＯＫＹＯ　２０２０”（意味）と“五輪マーク”（イメージと色彩）は、既にデザイン上の必須要素である。
ってことは、わざわざ「Ｔ」を持ち込む意味はないし、無駄な重複なんだよ。
だから上半身と下半身がデザイン的に重複捻転しちゃうんだよ。