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従米官僚跋扈し国過つ 「同盟」から「血盟」への岐路(サンデー毎日)
http://www.asyura2.com/15/senkyo192/msg/414.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 09 日 08:25:05: igsppGRN/E9PQ
 

従米官僚跋扈し国過つ 「同盟」から「血盟」への岐路
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2015/09/20/post-323.html
サンデー毎日 2015年9月20日号


倉重篤郎のサンデー時評 連載68

 歴史とは必然的に選択的である、とは歴史学者E・H・カーの至言だ。過去のどの事実を選びどう編むかによって歴史は変わりうる。歴史というのは個々の歴史学者の視座という限定性を覚悟して付き合うべきだ、との教えである。

 政治ジャーナリズムも同じである。報道主体の立ち位置によってニュースの中身が変わる。某新聞が大ニュースにしたものを別の新聞がベタ(見出し1段)扱いすることもある。特定の政策についてプラス面を強調する新聞もあれば、マイナス面にウエートを置く報道もある。読者は、まず新聞社の立ち位置を知る必要が出てくる。

 今回の安保法制をめぐる報道は、まさにその格好の事例だろう。8月30日の同法制反対の国会包囲デモが翌日の新聞各紙にどう報じられたか。1面で大きく報じ中面で参加者個々の声を拾ったのは朝日、東京、毎日で、読売、産経、日経は中面で扱いは小さかった。

 特に、読売は法制賛成のデモと抱き合わせで掲載した。警視庁発表でも3万3000人集まった反対デモと主催者発表で500人の賛成デモがほぼ同じ扱い(反対デモに関わる記述は11行で写真は縦1・5段、賛成デモは9行で同1段=読売東京本社最終版)だった。

 安保法制に反対する国民的エネルギーの高まりをどう見るか。代議(間接民主)制を補完する直接民主主義的行動の評価を含め、報道主体のニュース判断が問われた局面だが、最初に法制への賛成ありき、の報道ぶりであった。

 読売には、同様の印象を何度か持った。紙面に登場する論客のほとんどが安保法制賛成の識者ばかりで、世論調査の設問も誘導的(池上彰氏の『朝日新聞』7月31日付コラム「新聞ななめ読み」より)との指摘があった。一種のキャンペーン報道とはいえ、バランスを欠いたのではないか。反対3社も逆の意味でアンバランスとの反論もあろう。だが、政治権力の動向をチェックするのが報道機関の役割だとすれば、おのずとそこに違いがあると思うがどうか。

 ◇集団的自衛権はダミー、首相の執念をテコに米軍の後方支援を実現

 さて、同法制審議も大詰めだ。見通しは前号で述べた通りだが、採決を前に今一度、法制の二つの欠陥、一つの背景を整理したい。

 欠陥のうち、法的不安定性については、山口繁元最高裁長官が集団的自衛権の行使一部容認を違憲とする決定的な発言をした(9月3日付『朝日新聞』)。その理由として、違憲としてきた従来の政府見解は、その下で数多(あまた)の予算編成や立法がなされただけでなく国民の大多数によって支持されてきたことによって「規範として骨肉化」されている、とした。骨肉化とは、文学的なれど、ぴったりの表現ではないか。骨肉化したものを変更するにはそれなりの手続き(改憲)が必要であり、閣議決定一つというのは許されない、となる。

 安倍晋三政権が砂川判決と72年政府見解を合憲の論拠にしていることにも、厳しく指弾している。元三権の長がここまで批判するということは、訴訟になった場合、最高裁で違憲判決が出る可能性が濃厚だ、ということであり、その法的不安定性は極まった、と言える。

 なぜその立法が必要かという該当事実の不足については、同日付の『毎日新聞』社説が明解だ。集団的自衛権行使の必要事例として安倍首相が挙げた2ケースが国会審議を経るほどに怪しくなった。

 中東の機雷対応については、現実性が薄いだけでなく、そういう経済的理由が存立危機事態に当たるかどうか疑問が出た。米艦防護は、現実性もさることながら閣僚間で答弁の不一致が生じている。

 これだけの制度変更なのに必要性について具体的で説得力のある説明ができないのはなぜか。そこにこの法制の一つの背景がある。

 集団的自衛権の一部行使容認は一種のダミー(おとり)であって、立法推進者側の真の意図は、世界の警察官として活動する米軍の後方支援を自衛隊に肩代わりさせることにある。安倍首相に集団的自衛権というおもちゃを持たせ、その執念をテコにしてグローバルな後方支援実施法制という実を取る。これが自民党元幹事長・山崎拓氏の見立てである。確かに、重要影響事態法案も国際平和支援法案も一言でいえば後方支援の対象範囲を地理的にも内容的にも(弾薬まで)拡充するものである。

 後方支援とは兵站(へいたん)であり、兵站こそが戦争の勝敗を決するファクターである。世界の警察官として疲弊しつつある米国が兵站部門について自衛隊の助力を得ようとしている。それに積極的に応えようというのがこの法制の本質だ。要は、積極的従米主義なのである。

 その実質的な推進役は外務官僚だ。1990年の湾岸戦争で自衛隊を派遣できなかったトラウマの解消、かつてほど多額なODA(政府開発援助)を配れなくなり、自衛隊派遣を外交カードに使わんとする思惑、戦後一貫した従米路線の中でのさらなる迎合が見てとれる。

 しかし、そこに彼らが好んで口にする「真の国益」があるのかどうか。私は大いに疑う。湾岸戦争についていえば、1兆円を超える血税支援になぜ胸を張れなかったのか。軍事カードの誘惑に負けず、9条カードを日本外交の売りにできなかったのか。むしろ、根っこにある対米コンプレックスに向き合うべきではなかったのか。

 日米同盟はポスト冷戦後、米国の要請で変転を遂げた。2002年の対アフガン戦争では「ショー・ザ・フラッグ(旗色を鮮明に)」、03年の対イラク戦争は「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(陸上部隊派遣を)」。今回は「シェッド・ザ・ブラッド(共に血を流そう)」という段階まできた。

 9条(専守防衛)を前提にした同盟関係が、血を流し合う血盟関係に変質する重大な岐路である。

 

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