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[戦後70年 日本のかたち](13)消費税という怪物:ウソとゴマカシで導入した消費税制度が「失われた20年」の元凶
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/920.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 9 月 30 日 19:16:28: Mo7ApAlflbQ6s
 


 消費税制度は巷間言われているような「歳入不足対策」・「社会保障制度の持続性確保」・「財政危機対応」とは無関係である。

 消費税制度は、円高傾向や関税引き下げ風潮のなか、輸出企業の競争力を引き上げることを目的として導入され、増税されてきたものである。

 いつかは崩壊するバブルだったが、引き金になったのは89年の消費税導入であり、日本経済を「デフレスパイラル」に引きずり込んだのが97年の消費税増税である。

 そして、ようやく円高が解消され回復の兆しもあった日本経済を再び低迷に引き戻したのが昨年(14年)4月の消費税増税である。

 昨年4月の消費税増税を決めた13年9月の政策判断は、12年秋からの円安傾向を踏まえれば、TPPなど関税引き下げ措置が迫っているとは言え、完全に誤ったものである。

 17年4月に予定されている消費税税率の10%はなんがなんでも中止しなければ、日本経済は成長の軌道を失ってしまうことになる。

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[戦後70年 日本のかたち]
(13)消費税という怪物
「庶民増税」もがく政治 選挙が壁、政変相次ぐ

 1970年代後半から政治を揺るがし続けたのが、財政再建の切り札とされた消費税だ。3%での導入。5%への引き上げ。そして10%への段階的増税――幾度となく政変を生んできた。(敬称略、肩書は当時)


 猛暑日が続いていた8月初旬の東京。元経済財政相の与謝野馨は財務省幹部と向き合うと、白い紙にサインペンでこう書き始めた。

 「財政健全化責任法を制定し、消費税率15%までの引き上げの枠組みを示す」

 古巣の自民党から除名され、民主党政権で入閣してまで消費税10%構想の旗を振った与謝野。この日はのどの周りの手術後で声が出せず、筆談を強いられた。

 首相の安倍晋三は10%実施を2017年4月に延期し、その先の増税論議は封印する。引退した与謝野の「声なき声」も届かない。

 6月27日の民主党福島県連の会合。前首相の野田佳彦を、党顧問の渡部恒三が「なぜ、野田君がこの場にいるのか」と痛罵した。

 12年夏のねじれ国会。野田は消費税10%の法制化に自民党総裁の谷垣禎一の協力を得るため「近いうち解散」を約束した。その年内に不利な形勢で衆院選に踏み切り、民主党を大敗させた。その責任を党長老は忘れない。消費税が残す政治的ダメージはかくも深い。

 場面は高度成長が終わり、高齢化が日本経済に影を落とし始めた1975年に遡る。税収不足から、三木武夫内閣は赤字国債の本格発行を迫られ、財政法の特例法を制定した。責任者の蔵相は大平正芳だった。

 近年、この経緯を調べ直した財務官僚は、赤字国債依存への大平の罪の意識の深さを痛感した。大蔵省は多年度の発行を認める立法を検討したが、大平が「1年限り」で譲らなかったのだ。単年度特例法の慣行は2011年度まで続いた。

 首相に就いた大平は79年、「一般消費税」導入を訴えて衆院選に臨んだ。ただ、自民党からも異論が噴き出し、投票日の前に撤回を余儀なくされる。選挙敗北が党内抗争を呼び、80年に反主流派の造反で内閣不信任決議の可決に至る。大平は衆参同日選挙に打って出た直後に急死した。

 鈴木善幸内閣の「増税なき財政再建」路線を経て、次に増税に挑んだ首相は中曽根康弘。レーガノミックスにならい、中間層減税を軸に「シャウプ勧告以来の税制大改革」を目指した。

 「私は殺されないよ」。中曽根は86年の同日選で自民党を圧勝させると、物品・サービス取引の各段階で課税する「売上税」の創設を87年の国会に提案した。

 だが、選挙中のこんな「公約」が命取りとなる。「国民と党が反対するような大型間接税と称するものは、やる考えはない」

 流通業界などの猛反対に加え、社会党など野党は「公約違反」を指弾。売上税も廃案に追い込まれた。ここから「消費税」導入へ粘り腰で巻き返したのは、中曽根を継いだ竹下登だ。大平と中曽根の下で蔵相を4年務め、歳出削減など増税の地ならしを続けてきた。

 NHKのテレビ小説『おしん』に例えられた辛抱強い政治手法。所得・法人税減税を先に野党に約束するなど手を尽くし、89年4月に消費税3%を実現する。

 後の回顧録で「大平さんの執念が乗り移ったんだよ。(中略)大蔵出身でないあなたに頼むと言われた。それから10年だもの」と語った竹下だが、新税とリクルート事件への逆風でほどなく倒れる。7月の参院選で「ダメなものはダメ」(委員長の土井たか子)と消費税廃止を叫んだ社会党が躍進し、自民党は惨敗を喫した。選挙で問うても、隠しても、審判は厳しかった。


超党派協力 道半ば 国の借金、1000兆円超すが…

 94年9月。社会党本部の玄関から「消費税引き上げ反対運動推進本部」の看板が外された。党委員長で首相の村山富市が、消費税率を3%から5%へ引き上げる決断をしたからだ。徹底反対から現実路線へと転換させたテコは政権交代だ。

 この年2月。自民党は下野し、社会党も加わった細川護熙非自民連立政権は景気対策の所得税減税で財源確保を迫られた。与党実力者の小沢一郎と大蔵省の連携に乗った細川は消費税率を7%として「国民福祉税」へ衣替えを打ち出した。

 社会保障の充実も加味したが、細川は「腰だめの数字」と失言し、社会党などの反対で構想を撤回。連立は崩壊に向かう。すると自民党が「反小沢」を名目に村山を首相に担ぎ、まさかの新連立が誕生した。

 こうなると、減税財源にあてる消費税増税を、村山も認めるしかなかった。「税率を決めずに先送りするのは無責任だ」。党勢は政権担当とともに衰微する。

 3年後の97年に5%を実施した首相は自民党の橋本龍太郎だった。日本経済は消費増税と金融機関の連鎖破綻で大きく揺れた。98年の参院選で自民党はまたも大敗し、橋本は退陣した。

 21世紀に入ると、首相の小泉純一郎は公共事業などの歳出削減にまい進した。「社会保障を考えると、本格増税の時代になる。増税前にやるべきことがある」と見定めていたからだ。5年5カ月の政権終盤には予言めいたセリフも残した。

 「歳出削減を徹底していくと、もう増税の方がいいという議論になる。増税反対を合唱していたドイツでも与野党が一緒になった」

 ドイツではメルケル大連立政権が、消費税に似た付加価値税を税率16%から19%にすると決めていた。

 小泉、福田康夫、麻生太郎各内閣で経財相を務めた与謝野は消費税10%構想を唱え、11年度までの法制化をうたう税法の付則も成立させる。当初は消費税増税を否定した民主党だが、政権交代後、この付則も手伝って10%構想は息を吹き返す。首相の菅直人は与謝野を入閣させ、社会保障財源化する具体案をまとめた。

 菅を継いだ野田は、自民党を率いる谷垣に贈り物をした。一般消費税で挫折した大平が蔵書の余白に書き留めた数々の断章を遺族が清書した「大平覚書」だ。財政再建の志は共通ではないか――。信頼関係の手探りが超党派合意に至った。

 政権担当を目指す政党間で、消費税は選挙の争点にしない。そうも見えたが、安倍は増税延期を14年末の衆院選で問うた。軽減税率問題でも大揺れが続く。

 気がつけば、国の借金は1000兆円を超す。それでも日本の政治は消費税という怪物と向き合う術をまだ見いだせていない。

 編集委員 清水真人が担当しました。

[日経新聞9月27日朝刊P.13]
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負担言わぬリベラル派 中央大教授 宮本太郎氏

 ――社会保障に詳しい政治学者として消費税論議をどう見てきましたか。

 「岐路は1960年だ。スウェーデンは付加価値税の前身を税率4.2%で導入。段階的に引き上げ、流動的な労働市場で女性や若年層の就業支援を進めて、90年に25%に達した。受益感を確保しつつ成長との好循環につなげた」

 「日本は池田勇人内閣以降、男性の稼ぎ主が同じ職場で働き続ける仕組みづくりを急いだ。増税して再配分するより所得減税で稼ぎ主を支えた。配偶者控除などの拡充は家族に恩恵を及ぼすため。予算は業界への補助金や公共事業に投入し職場を維持した」

 ――自民党政権と高度成長を支えたシステムです。

 「日本型生活保障は疑似社会民主主義的で、社会党など革新勢力はそこからはじき出されてしまう。政治の対抗軸が専ら外交・安全保障になった。リベラル陣営から負担を増やしてでも社会保障を手厚くする『大きな政府』的な構想が出なかったのも不幸だ」

 「社会保障支出は年金や医療など高齢者向けに的を絞ってきた。少子高齢化が進んで子育てや若者の就労など現役世代の支援も不可欠になれば、減税と公共事業が中心で済むはずもなかった」

 ――消費税は社会保障の財源になったわけですが。

 「悪循環を繰り返していないか。消費増税を言うと選挙に負けるので政治は『増税なき財政再建』に走る。行き詰まると、社会保障を名目に増税を言い出すが、社会保障の充実分はわずかで増税後も受益感は広がらない。そこでまた増税先送りを模索し始める。安倍内閣もこの循環の後半をたどっている」

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3年ごとに税率上げを 慶応大教授 鶴光太郎氏

 ――消費税導入、税率アップは難渋の連続でした。


 「北欧では税を負担すれば社会保障給付などで国民生活に還元されるとの信念が社会にある。日本は増税後どうなるかよく見えなかった。この10年で社会保障に還元する枠組みができつつある」

 「ただ、社会保障の充実に増税分をすべて振り向けるわけにいかない。既に巨額の財政赤字を抱え、今の給付水準を維持するだけで相当な負担増の覚悟が要る。医療のムダ排除など改革も進めなければ持たない」

 ――増税と景気の関係も論争になってきました。経済学者としてのご見解は。

 「8%の消費税実施から10%の実施までの間隔はもともと1年半の想定だった。駆け込み需要や反動減の影響を乗り越えるには、短すぎないか、と当初から気になっていた。経済学的には、毎年1%ずつ上げれば円滑では、と考えられるが、実務上の煩雑さなどで受け入れられない」

 ――では、政治は増税の難しさにどう向き合えば?

 「安倍首相が税率の3%上げから3年の間を置けば、景気に関わらず次の増税に進む、と決断したことは一つの目安になる。これなら、毎年1%ずつ上げていくのと実質的に差がない。年1%ずつなら、民間部門の生産性を向上させて乗り越えていく、という発想も取れるのではないか」

 「その前提に立って、消費税率を3年ごとに2〜3%ずつ、機械的に引き上げていく枠組みをつくれないか。17年、20年、23年と段階的に増税し、団塊の世代が後期高齢者に差し掛かる25年度までに15%まで上げないと、社会保障も財政も持続可能ではない」

[日経新聞9月27日朝刊P.13]


 

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コメント
 
1. あっしら 2015年9月30日 19:24:44 : Mo7ApAlflbQ6s : raK8N6SB3c

※関連参考投稿

「サーバー国外設置の国内事業者は可能だが、国内物販分さえ徴税できないアマゾンから徴税できないことを承知で採った課税措置」
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/135.html



2. 2015年9月30日 20:53:40 : VLEp9xFneg
消費税上げても税収下がるのでは、やる意味ない。
GDP成長率にも直ぐにマイナスの影響あたえるし。


3. 2015年10月01日 07:48:52 : LKXRYf922A
消費税増税したらますます消費が冷え込み景気回復は不可能になる。
税金は、使い切れないほどのお金を持っている人や巨額の内部留保を抱えている大企業から、もっと取るべきだ。
今の政府がやっていることは、まったくの逆。



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