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安保法制を考える(2)〜法的安定性と国民の不信感〜NPO国際地政学研究所理事長柳澤協二
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/154.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 02 日 02:45:30: Mo7ApAlflbQ6s
 


2015年09月29日 (火) [NHK総合]
視点・論点 「安保法制を考える(2) 〜法的安定性と国民の不信感〜」
NPO国際地政学研究所理事長 柳澤協二

 先般、安保法制が成立しました。この法制を巡る国会の議論を振り返ってみれば、政府と野党の主張が全くかみ合わなかった印象があります。
 その象徴ともいえるテーマは、冒頭から対立した法案の名称をめぐる議論です。政府は「平和安全法案」であると主張しましたが、野党からは「戦争法案」という声が上がっていました。
 そもそも、戦争とは何かということを考えなければなりません。

戦争とは、一言で言えば、武力をもって国家意思を強制することです。武力以外にも、経済的に追い詰めるとか、国際世論によって孤立させるなどの強制の手段はありますが、究極の強制である武力を使う場合が戦争です。

 相手が武力を使わないようにする手段にも、経済力や世論など、様々なやり方がありますが、武力を使おうとするのを止める最後の手段は、やはり武力です。相手が武力を使えば、それよりも強い武力によって目的以上の損害を与えることをわからせる。それによって、武力の使用を思いとどまらせる、これを、抑止といいます。

 すなわち、抑止とは、相手がどうしても武力に訴えるならば、より強い武力を使う意思と力があることをわからせることによって、武力を使わせないという発想です。一種の脅しであり、力の論理です。

 それは、戦争に巻き込まれないことを意図したものかもしれません。その意味で「平和法案」という言い方もできるでしょう。しかし、その方法としては、武力を使う覚悟によって相手を威嚇するわけですから、「戦争法案」という言い方もできるわけです。
戦争と平和とは、力の論理で見た場合には、まさに同じコインの裏表なのです。

 安倍総理は、アメリカの船を守れば抑止力が高まって、戦争に巻き込まれなくなる、と言いますが、別の見方もありえます。アメリカの船を守れば、それを攻撃する国にとって日本も敵国になり、かえって日本に対する攻撃を招くかもしれない、という見方です。

ですから、国会で議論しておくべきだったのは、力による抑止がどこまで有効か、力にだけ頼っていては、かえって危険になることはないのか、ということだったと思います。

 ところで、戦争とは何かについては、別の捉え方もあります。これまでお話ししてきたのは、国家の視点で見た戦争です。

 市民の視点で見た戦争とは、殺し、殺され、生活を破壊されることです。今私たちが中東やアフリカで目にしているのは、まさにこうした悲惨な現実です。

今回の法制では、自衛隊の活動が広がり、こうした暴力から住民や他国軍隊を守ることができるようになります。しかしそれは、自衛隊が海外で武装勢力と戦い、殺し、殺されることですから、民間人を助ける目的であるとしても、市民の視点で言うところの戦争にほかなりません。これまで、海外で一人も殺さず、殺されていない自衛隊のあり方が変わります。

大切なことは、平和という言葉ではありません。平和の中にも欺瞞や妥協、抑圧や差別はあります。同様に、戦争にもそれなりの理由はあります。

市民の命を守るために軍事的な行動も必要でしょう。一方、我が国は、すでに難民の命を守るための経済的支援を行っています。日本もアメリカと同じように武装勢力をやっつけるのか、あるいは人道支援に徹し、和平を仲介しようとするのか、どちらが日本にとってふさわしい貢献なのか、を考えなければなりません。つまり、ここでの問題の本質は、世界に向けて、どのような日本の国家像を発信するかということだと思います。

国会論戦の中でかみ合わなかったもう一つの点は、どこまで政府の判断に任せるのか、という問題です。今回の法制では、政府が存立危機事態と認定すれば、我が国が武力攻撃を受けていなくても、集団的自衛権によって武力を行使することが可能になります。それはいったいどのような事態なのでしょうか。

これに対する政府の説明は、明確ではありませんでした。もちろん、将来どのような事態が起こるか100%予測することは不可能です。しかしそれは、集団的自衛権を行使する法律を、今、作る必要があるかどうかという立法事実の問題ですから、それを説明できなければ、そもそもこの法律の必要性がないということにほかなりません。また、認定の基準についても、たんに、政府の判断を信用しなさい、ということになってしまいます。

選挙で選ばれた政府の決定を信頼すべきだ、という意見も一理あります。一方、戦争の判断を政府に白紙委任することはできない、という意見も、もっともだと思います。なぜこうした不信感が生まれるのでしょうか。

私は、そのカギは、法的安定性にあると考えます。政府が、法的安定性を尊重し、決して乱暴なことはしないという安心感があれば、国民は政府を信用すると思います。しかし、政府・与党の側から、法的安定性を軽んじるような発言や、批判するマスコミはつぶせと言った発言が相次いだわけですから、多くの国民の不信感をぬぐえなかったのは当然だと思います。

問題は、国を守るためには法的安定性を無視してもよいか、ということだと思います。国防も、税金も、暮らしも、憲法を頂点とする法的安定性の中で運営されています。法的安定性を崩すことは、社会の形を崩すことを意味します。そうなると、国を守るために守るべき国と社会を壊してもよい、というおかしな結論になってしまいます。

これは、内なる国家像の問題です。私たち国民は、間違いがあっても強い政府を望むのか、さほど強くなくとも間違いの少ない賢い政府を望むのか、ということです。政府と言えども人間がやることですから、間違いはあります。法的安定性とは、その間違いの幅を最小化するための安全装置だと思います。

衆議院で小選挙区制が導入され、時代の風向きの変化によって議席が大きく変動し、政権交代は容易になりました。一方、多数を獲得した与党が、多様な民意を反映しきれなくなったという現実もあります。したがって、時の政権が、多数の議席を背景に思い切った政策を打ったとしても、それが長期的に見て国政の安定につながるのかどうか、という疑問があります。

今回のように、多数の世論が法案の成立を急ぐことに反対を表明しているとき、多数与党がそれに反して法律を作ったとしても、政権交代によって、それがいつか否定されるのではないかという不安感をぬぐえません。特に、安全保障政策という、国際的かかわりが大きい政策について、そうした不安感を持たれてはなりません。それだけ、政府与党の側で、ていねいな国民的合意形成の努力が求められていたのだと思います。

 多数の反対意見を押し切って法律を通す背景には、今反対していても、国民世論はそのうち忘れて賛成に変わる、という判断があるのかも知れません。確かに、創立当初反対世論が多数だった自衛隊も、今はほとんどの国民が支持しています。

 多くの国民が自衛隊を支持することになった背景には、創設以来60年にわたる歴史の中で、災害派遣で自衛隊が献身的に国民につくしてきたこと、そして何より、自衛隊が海外で一人も殺さず、一人の戦死者も出していない事実の積み重ねがあると思います。

 それこそが、国民と自衛隊の絆であり、憲法9条のもとにおける自衛隊をめぐる法的安定性の根源であったと思います。海外における任務と武器使用を大幅に拡大する今回の法制は、隊員のリスクを高めるばかりでなく、国民と自衛隊の信頼をも崩すリスクをはらんでいると言えるのではないでしょうか。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/228332.html

 

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コメント
 
1. 2015年10月02日 03:50:12 : KzvqvqZdMU
偽善者の文章は わしゃ あんまし読まない主義だ。

どだぃ サヨってのは、「生きる」っていふ ま、修羅場から逃げて、お花畑

住み、お花畑こそが あり得べき世界だ なんていふ アホで ぢつわ悪党な

人間なのだな。 「生きる」という覚悟のなぃ糞人間どもだ。


[32削除理由]:削除人:アラシ

2. 2015年10月02日 04:26:58 : ObVnO52IPY
お花畑に住んでんのがサヨってんだ。
安倍やお前みたいな脳内お花畑がサヨか。
サヨはアブラムシか蛾の幼虫の仲間かな。

3. 2015年10月02日 16:52:59 : LY52bYZiZQ
2015年10月2日(金)
日曜版4日号

志位さん野党協力へ 民・社・生活と会談

インタビュー・姜尚中さん

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-02/2015100203_05_0.jpg
 志位和夫委員長が提案した「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府の実現を」の提案が注目されています。志位委員長は民主、社民、生活の各党党首と会談。各党首の反応や、作家の室井佑月さん、法政大学教授の山口二郎さんなど各界の声、インターネット番組での小林節・慶応大学名誉教授と志位委員長の対談などを特集でお届けします。戦争法で軍事費予算が膨張せざるを得ない実態を告発します。

 新著『悪の力』を上梓(じょうし)した東大名誉教授の姜尚中さん。今の時代をどうみているのか…。

 安倍政権が負担軽減だという沖縄の米軍新基地建設。施設計画が、移設前の1.4倍、191にのぼることが判明しました。スクープです。

 ラグビーW杯、日本決勝T進出なるか―。元日本代表の平尾剛さんに聞きました。

 鼓(つづみ)などに使う「調べ緒」をつくり61年。五世家元の山下雄治さんの「技と心」に迫ります。

 遺族が公開した日中戦争に従軍した兵士の日誌。そこに記された生々しい虐殺の実態を日曜ワイドで。

 健康らいふは遺伝性大腸がん。

 戦争美化の教科書の使用をとりやめさせた住民、教員のとりくみをリポートします。

 「ひと」は俳優のイッセー尾形さん。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-10-02/2015100203_05_0.html


4. 2015年10月02日 21:51:48 : LY52bYZiZQ
Domestic | 2015年 10月 2日 21:22 JST

「安保法廃止を」都心で集会

http://s1.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20151002&t=2&i=1083971712&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=PN2015100201002982.-.-.CI0003
「安保法廃止を」都心で集会

 安全保障関連法や原発、沖縄基地問題などといった安倍政権の政策に反対する市民団体が2日夜、東京・日比谷野外音楽堂で集会を開いた。安保法は9月30日に公布されたばかりだが、参加者は「憲法守れ」「安保法の廃止を」と気落ちすることなく声を上げていた。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議している沖縄県統一連の中村司さんが登壇し「戦争法の廃止、辺野古の新基地建設断念、これが主権者たる国民の声だ。オール沖縄の、オール日本の怒りを結集すれば必ず実現できる」と訴えた。

 主催者発表で3千人超が参加。集会後には新橋や銀座付近など都心をデモ行進した。


{共同通信}

http://jp.reuters.com/article/2015/10/02/idJP2015100201002952



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