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「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会」に行ってまいりました(八木啓代のひとりごと)
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/289.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 21 日 20:05:06: igsppGRN/E9PQ
 

「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会」に行ってまいりました
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-741.html
八木啓代のひとりごと


 TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会に行ってまいりました。
 http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/11/151013_setsumeikai_annai.pdf

 平日の昼。交通の便が良いとは言えない世田谷区民会館。しかも応募は電子メールのみ。

 TPPを注視しているのは、地方の高齢の第一次産業従事の方が多いのではないかということを考えれば、13日にWeb上で告知して16日締切という非常に短い応募期間といい、霞ヶ関周辺の交通アクセスの良い場所はいくらでもあるでしょうに、まるで、たくさんの「一般の方」には来てほしくなかったかのような感じです。

 それでも会場に着きますと、三点の資料と内閣官房の封筒を渡され、すみやかに座席に。1000人の会場に700人ぐらいの入りです。

 渡された資料は、「環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉の大筋合意について」というパワーポイント資料をプリントアウトしたと思われるもの。さらに、「TPPにおける関税交渉の結果」、「農林水産省作成資料1」「我が国の工業製品関税(経済産業省関連分)に関する大筋合意結果の概要」という4点。
 
 これらはすべて、今日の段階で、内閣官房のサイトで公開されているので、ぜひ、ダウンロードされることをおすすめする。
 http://www.cas.go.jp/jp/tpp/dantai.html#osujigoui-setsumeikai

 今回のTPPにより我が国のFTAカバー率は22.3%から37.2%に、政府はさらに、今後、そのカバー率を高める予定と説明される。物品関税だけではなく、サービス・投資の自由化を進め、知的財産・電子商取引などで新しいルールを構築するものであり、その範囲は、21分野30セクションに及ぶ。

 渋谷審議官によると、TPPによって、日本の高級農産物や今治タオルなどのブランド製品が海外に積極的に輸出できるということだ。しかし、高級農産物やブランド商品というのは、日本の農業や中小企業生産品の中の、成功したごく一部にしかすぎないわけで、それ以外の産品はどうなるのかというのは、多くの人が突っ込みたいと思った点だろう。
 
 さらに、日本の農業が「輸出産業である」という前提でのSPS衛生植物検疫処置の説明。
 しかし、実際には、日本の農産品の価格に強い国際競争力があるとは思われないからこそ、日本の農業が大きな打撃を受けることになるであろうというのが、日本の農業団体の懸念であることを考えると、微妙である。

 ここで、渋谷内閣審議官は、ベトナムやマレーシアでの外資進出規制の撤廃などをあげ、こういった国々に進出しようとする中小企業にメリットがあることを強調。さらにテレビで見た話として、TPPに期待する中小企業があったことを話されたが、ここで「テレビで見た話」を例に出すかなあ。

 個人的には、日本からベトナムやマレーシアに進出できるスーパーやコンビニというのは、どう考えても、渋谷審議官の言う「中小企業」ではなく、大手資本である気が。

 となると、日本の大手資本のチェーンがベトナムやマレーシアの小売店に大打撃を与える可能性があるわけで、その場合、大手日本企業には確かにメリットがあるけれど、ベトナムやマレーシアの国民にとって果たして良いことなのか。日本が、弱い国の産業に大打撃を与える「加害者」になる可能性もきわめて高いわけですね。

 一方で、TPPは政府調達分野にも開かれているので、日本の政府調達分野に、今後、アメリカの企業が進出できるというわけです。

 現在の工業生品は、部品調達地と組立地が違うことはままあるわけだが、そういった生産品は累積ルールが適用される。つまり、部品調達地での割合が30%、組立地での付加価値を20%とすれば、累積で50%を超えるので、TPP域内では特恵税率を受けられる。

 さらにTPPによって、税関手続きの簡略化が説明された。現状では、貿易相手国の怠慢や嫌がらせなどで税関手続きが遅れることがあるのだそうだ。

 一方で、テレビでは間違った情報が多いと渋谷審議官。

 たとえば、ISDS条項。

 日本に進出しようとする外資企業が、日本政府を訴えられると誤解されているが、実際には、「その国ですでに投資を行っている企業が、その国の政策や法令によって損害を被った場合に、訴えることができる」ということにすぎない、と。

 いやいや、それが問題なんですが。

 とはいえ、外国の保険会社の進出により日本の医療が脅かされる可能性については否定。今ある規制については留保されるので安全弁になるとのことです。

 この問題については、その質疑応答でも出たが、渋谷審議官は、「みなさん、NAFTAの例を見て、ISDS条項を心配されているが、濫訴を抑制する項目も含まれているし、今回のTPPのISDS条項はNAFTAのISDS条項とは違うので、大丈夫です」と主張。

 しかし、今回のTPPのISDS条項はNAFTAのISDS条項と、具体的にどこがどう違うのか、という肝心の点についての説明はなかった。(資料にもない)

 確かに、濫訴を抑制するという項目として、被申立国の異議を申し立てられるとか、すべての事業の判断内容を原則として公開する、という規定はあるようだが、たとえば、メキシコでの産廃施設建設が地域住民の反対で中止になったときに、この産廃施設建設企業からメキシコ政府が訴えられて負けたなんていう例があるわけで、なにが大丈夫なのかは、いまひとつ説明不足でよくわからない。

 この他、締結国は、国有企業および指定独占企業が、物品またはサービスの売買を行う際、他の締結国企業に対しても、無差別の待遇を与えること、国有企業への非商業的な援助によって、他の締結国の利益に悪影響を及ぼしてはならない、などという項目もあります。
 
 また、知的財産権については、医薬品の知的財産保護が強化。特許期間が延長され、新薬のデータ保護期間に関わるルールが構築されます。製薬会社が劇的に有利になる制度なんですね。ジェネリック医薬品業界は打撃を受けることになると思いますし、保険診療にも影響してきますね。

 著作権も延長され、70年になります。

(渋谷参事官は、ディズニーの権益を守るためではないかというネット世論は一蹴されました)

 この中に、問題になっている、著作権法違反の非親告罪化が含まれるわけですが、市場における原著作物の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない、ということで、コミケは保護されるようです。ただ、市場における原著作物の収益性に大きな影響を与えるかどうか、というのは恣意的な判断は可能なので、いったん、日本で法改正が行われてしまうと、一部の方が心配しておられるように、「転び公妨」的な運用をされる可能性がまったくないかどうか、というのは、まだわからないところです。
 
 TPPは少なくとも6カ国の国内法上の手続きが完了した場合、署名後2年の期間満了後60日で発効。年内に総合的なTPP関連政策大綱を発表とのことです。

 次いで、農林水産省からの説明。

 関税については、農林水産物の関税については9018品目中約8575品目で関税撤廃。即時撤廃は51.3%。

 しかし、牛肉・豚肉・林産物などには、輸入急増などの場合には、セーフガードを発動して関税を引き上げることできる枠を確保とのこと。

 ただし、セーフガードは、同一産品については二回以上のセーフガード発動が禁止されていることは要チェックです。

 その他、具体的な合意内容の概要は、公開資料をごらんください。 
 http://www.cas.go.jp/jp/tpp/dantai.html#osujigoui-setsumeikai

 全体的に、強調されていたのは、「中小企業の海外進出」「ブランド産品の輸出促進」。
 美しい言葉です。

 ただ、実際問題として、明らかに中小企業ではなく大手企業に圧倒的に有利な制度のように見え、また、ブランド価値のある産品はごく一部でしかないわけなので、それ以外の産品の受けうる打撃については、セーフガードの発動(ただし、同一産品1回こっきり)しかないというのでは、生産者が不安を募らせるのはやむを得ないのではないかという印象を受けました。
 これを補助金で補うということだと、結局、ツケは国民にということにしかなりませんので、今後、注意したい点です。
 ISDS条項についても、日本政府が外国企業に訴えられることはないということが繰り返し強調されていましたが、実際には、すでに各国FTAで、すでに数百件のISDS条項に基づく訴訟というのが起こっているのに、どういう根拠で日本が訴えられることがないと主張されるのかも、まるで、原発事故は絶対に起こらない的な、楽天的に過ぎる見通しのような気がいたしました。まあ、原発事故と同じで、実際に大きなトラブルになったとして、責任取る人はきっと誰もいないんでしょうね。

 質疑応答のあと、終会となりましたが、広い会場の中、拍手をしたのが一人だけだったというのが、ある意味象徴的な説明会でした。

 この会場で出会った石川公彌子さんと、お茶でもいかがとロビーに出た途端、人目を惹く美女二人「見るからに一般参加者」という風情だったのが珍しかったのか、テレビ東京、毎日新聞、NHK、読売新聞の取材を受ける。あんまり変な切り取り方をされてなければいいんだけど。
 
 お仕事聞かれて、最初、「自由業です」と言っていたのですが、途中で、「音楽家です」と具体的に言ったら、たいへん驚かれてしまいました。

 音楽家が、国の行く末に関心を持つって、めずらしいことなんでしょうかね。


お知らせ
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-741.html


 

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コメント
 
1. 2015年10月21日 20:39:39 : YxpFguEt7k
「広い会場の中、拍手をしたのが一人だけだった」

ここで笑いました。


2. 2015年10月21日 22:28:45 : jXbiWWJBCA
関税撤廃対象外のうち116品目は関税削減 農林水産品で
2015/10/21 22:00
 農林水産省は21日、環太平洋経済連携協定(TPP)で関税撤廃の対象外となった農林水産品の443品目のうち、116品目が関税削減になると発表した。牛・豚肉やワカメ、コンニャクイモといった品目は関税を削減する。

 牛肉は現在38.5%の関税を段階的に下げ、16年目に9%に削減。10.5%の関税がかかっているワカメは発効と同時に8.9%に下げる。関税を維持した品目でも新たに輸入枠を設定したものもある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H4O_R21C15A0EE8000/


3. 2015年10月21日 22:49:39 : bwEaAxJTT6
新聞テレビは非関税領域に関することは取り上げない。意識的にかそれともつんぼ桟敷なので愚の根も出せないのか。農業の事ばかり騒ぎ立てている。マスコミ報道の逆に真相が隠されている。

4. 2015年10月22日 01:02:34 : Gfw9bcVZyg
>ISDS条項についても、日本政府が外国企業に訴えられることはないということが繰り返し強調されていました

訴えられる前にグローバル企業の都合にあわせた法改悪をやるってことか?
知らぬ間に得体の知れない遺伝子組み換え食品食わされたり、医療費が鬼のように値上がりしていたりというのは勘弁してくれ。


5. 2015年10月22日 02:25:55 : mAGhEd4E5U
>>4
それが正解でしょうね。
カンベンしてほしいですけど。

6. 2015年10月22日 07:39:45 : eo2rMcwjfM
4さん正解 推測出来る最大最悪がTPP。

7. 2015年10月22日 08:07:32 : sasafwR0zI
ブランドというのは、希少価値があるから「ブランド」であって、あっちこっちにゴロゴロしていれば、それは「一般品」というべきでしょう。

そしてごく一部のブランド品の輸出が「有利になる」という理由だけで、大多数の国民が不利益を被るような条約を、しかも「嘘つかない」など「ブレない」などという嘘八百を並べ立てて選挙民を騙した安倍政権は許し難い。

あとで国民が「そんなの聞いていない」「嘘言うな」と言っても後の祭り。

この渋谷審議官という輩が責任を取るわけでもない。この審議官は「ブランド品」を買うことが出来る一部の側の人間だ。国民を騙し、塗炭の苦しみに陥ろうが、この審議官はのうのうと満額の退職金を手にして、今も老後も笑いが止まらないでしょうな。

政治家は選挙で選ぶことが出来るが、官僚はそういう訳にはいかない・・・

この国の真の悪である官僚を退治するには、多少手荒な革命を起こすしかないのではないだろうか。


8. 2015年10月22日 21:14:45 : jzEmONdjwU
子供だましのような説明会、八木さんお疲れさま。

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