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TPPで何が変わるのか〜食と農と暮らしへの影響〜:グローバル企業の利益拡大にプラス、人々の雇用、健康、環境にマイナス
http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/444.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 11 月 12 日 14:14:30: Mo7ApAlflbQ6s
 


2015年11月10日 (火)[NHK総合] 
視点・論点 「TPPで何が変わるのか(2) 〜食と農と暮らしへの影響〜」
東京大学教授 鈴木宣弘

 TPP(環太平洋パートナシップ協定)の「大筋合意」は、我が国では「歴史的快挙」で、ビジネス拡大のバラ色の世界が広がるかのように報道されていますが、冷静に考えれば、TPPで国民の仕事を増やし賃金を引き上げることは困難です。ベトナムの賃金は日本の1/36です。投資や人の移動の自由化は、日本人の雇用を減らし、賃金を引き下げるでしょう。端的に言うと、グローバル企業の利益拡大にはプラスで、人々の雇用、健康、環境にはマイナスなのがTPPです。米国でも、巨額の政治献金を受けて企業利益を代表する共和党と労働組合や市民団体や環境団体の声を代表する民主党との国論二分の対立になっています。

 医薬品の特許が早く切れると薬が安くなりますが、特許の保護期間の長期化を米国製薬会社が執拗に求めて難航したことに、「人の命よりも巨大企業の経営陣の利益を増やすためのルールを押し付ける」TPPの本質的側面が示されています。米国企業が日本で健康や環境被害を起こしそうな設備で操業しようとしているから、それを規制しようとすると、企業側に国際法廷に訴えられ、それによって生じる企業利益の損害賠償を請求されるという異常な訴訟も可能となっています。健康や環境よりも企業利益が優先される危険があります。

 とにかくTPPを妥結することが目的化していた日本は、他の国が「よくそこまで譲れるね」というほど譲りました。日本の唯一の利益ともいわれた自動車については、域内での部品調達率が55%以上でないとTPPの関税撤廃の対象とならないとする厳しい原産地規則を受け入れましたが、TPP域外の中国やタイなどでの部品調達が多い日本車はこの条件のクリアが難しいのです。また、米国の大型車の25%の関税は29年間現状のままで、30年後に撤廃するという気の遠くなるような内容です。

 農林水産物で、高関税を課してきた国民の基礎食料として重要なコメ・麦・乳製品など5品目は交渉から除外すると国会決議しながら、関税撤廃や関税削減をしてしまい、自動車でもほとんど恩恵がないという合意内容で、日本の経済的利益を内閣府と同じモデルで暫定的に試算してみると、表のように、控えめに推定しても、農林水産物で1兆円、食品加工で1.5兆円の生産額の減少が生じる一方、自動車でも、むしろ生産額の減少が生じ、全体で日本のGDP(国内総生産)は、わずか0.07%しか増加しない可能性があります。

 政府は農林水産業への影響は軽微であり、国内対策を少し行えば、国会決議は守られたと言えると主張していますが、内閣府のモデルでも1兆円の損失が見込まれるのを軽微とは言えません。

 最も深刻なのは畜産です。輸入牛肉価格は大幅な関税削減で2割程度下落します。豚肉は価格の安い部位を中心に4割程度の価格下落が見込まれます。収入が4割減ると、表のように、今でも1,000頭以上の大規模層のみが黒字の養豚経営において、TPP後は、大規模層も含めて全面的な赤字に陥ることが見込まれます。同様の事態が他の畜産・酪農経営にも生じます。米国などの牛肉・豚肉・乳製品には、日本では認可されていない成長ホルモンなどが使用されており、それが心配だと言っても、国内で生産農家がいなくなってしまったら、選ぶことさえできなくなります。

 牛・豚肉ともに生産費を市場価格が下回った場合の赤字の8割を政府と農家の拠出金から補塡する仕組みがありますが、市場価格が下がる分、政府の補塡額を増やす必要が生じるのに、これまで補填に使っていた関税収入が1,000億円近く減るために、財源がないという事態に直面します。

 コメと乳製品については追加的な輸入数量割当を設定します。追加的な輸入分を市場から隔離すれば影響はないと政府は言いますが、それが在庫に回ると需給緩和要因となって価格が下がることは過去のデータからも明らかです。また、ナチュラルチーズの多くも関税が撤廃されますが、これにより、国産と輸入品の価格差が生じ、国産チーズ向け生乳約50万dの行き場をなくしかねない大問題です。

 さらには、重要5品目以外は、ほぼ全面的関税撤廃ですから、ジュースの関税撤廃による果樹農業への大きな損失も見込まれ、さらに、お菓子などの加工品の関税撤廃が食品製造業の空洞化を招き、国産農産物の需要の縮小と地域の雇用の縮小につながる可能性など、広範に影響が及びます。林産物、水産物は、今でも関税があまりないのに、ほぼ全面的関税撤廃で、とどめを刺されるようなものです。

 消費者の価格低下のメリットが強調されていますが、輸入価格低下の多くが流通部門で吸収されて小売価格はあまり下がりません。さらには、日本の税収40兆円のうち1割程度を占める関税収入の大半を失うことは、それだけ消費税を上げるなどして税負担を増やす必要があることになり、相殺されることを考える必要があります。

 政権公約や国会決議で、TPP交渉において守るべき国益とされた食の安全、医療、自動車の安全基準などの非関税措置については、TPPや米国とは無関係に「自主的に」措置したと国民に説明しつつ、米国の要求を次々と飲んでおきながら、結局、TPPの付属文書でTPPのため、米国のためにやったと国会決議違反と認めています。さらなる米国投資家の要求に日本の規制改革会議を通じて対処することも約束されており、際限なく続く日米2国間協議は「アリ地獄」のようなものです。

 食品の安全性については、米国は日本が科学的根拠に基づかない国際基準以上の厳しい措置を採用しているのを国際基準に合わさせると主張しており、例えば、「遺伝子組み換えでない」という表示が消費者を「誤認」させるとして、「遺伝子組み換えが安全でない」という科学的根拠が示せないならやめるよう求める日米2国間協議が想定されます。

 食料を守ることは国民一人ひとりの命と環境を守る国家安全保障の要です。米国では農家の「収入−コスト」に最低限必要な水準を設定し、それを下回ったときには政府による補填が発動されます。農家が所得の最低限の目安が持てるような予見可能なシステムを導入し、農家の投資と増産を促し輸出を振興しています。我が国も、農家保護という認識でなく、安全保障費用として国民が応分の負担をする食料戦略を確立すべきです。関係者が目先の条件闘争に安易に陥ると、日本の食の未来を見失いかねません。

 政府は、「もう終わったこと、既存の農家はつぶれても、企業参入による攻めの農業振興のみ」というような雰囲気づくりを進めていますが、まず、守るべき国益を規定した政権公約と国会決議との整合性の根拠を国民に示すべきです。それができないなら、批准の手続きを進めるべきではありません。

 最後に、TPPのようなブロック経済圏は、そこからはみ出した国の不利益を高め、別のブロックの形成で対抗する対立構造も誘発することも忘れてはなりません。これは、組み合わせは違えども、第二次世界大戦前夜にも似ています。思考停止的な追従と一方での思考停止的な敵対から脱却し、TPPに固執せず、バランスの取れた外交戦略を確立することが重要と思われます。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/231565.html

 

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コメント
 
1. 2015年11月12日 18:05:55 : NBpJ50cVIM

 ほとんど 変わりない  by 大前研一

 TPPで 少しは変わって欲しい  by 愛


 絶対 変わらないぞ〜〜   by 凡人
 
 絶対 変えてはいけないのだ  by 変人
 


2. 2015年11月12日 19:37:03 : Q1AShcAlNU
TPPの影響はすぐには分からない。TPP=農業の問題だけと思っている人たちが結構多い。
「TPPで健康保険が効かなくなる」というと皆目を覚ます。説得力抜群なので是非使ってみてください。

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