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「甦るゾンビ 「共謀(狂暴)罪」風塵だより57「マガジン9」:鈴木 耕氏」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/268.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 17 日 00:06:05: igsppGRN/E9PQ
 

「甦るゾンビ 「共謀(狂暴)罪」風塵だより57「マガジン9」:鈴木 耕氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/19069.html
2015/12/17 晴耕雨読


015年12月16日up風塵だより57 甦るゾンビ 「共謀(狂暴)罪」から転載します。
http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/24583/

 雲行きが怪しくなってきたなあ…と、寒さに肩をすぼめて歩いていたら、通りの向こうから、ほんとうにイヤなヤツがニタニタしながらやって来るのが見えた。ずいぶん昔、追っ払ったはずのヤツなのだが、また現れやがった。吐き気がする、そんな気分だ。

 かつて好きだった人に再会したのなら気持ちも浮き立つだろうが、金輪際、顔も見たくないし噂も聞きたくないほど嫌いだったヤツにまた出会うなんて、こりゃ「悪夢」だ。

 そんな気分にさせられたのは、かつて3度にわたって国会に提出されたものの、あまりのひどさに大批判を浴びて廃案になった「共謀罪」という稀代の大悪法が、また息を吹き返しそうな気配だからだ。

 今やなんでもやりたい放題の安倍首相、ここで一気に弾圧法も作っちまえ、とでも思い上がったか、またも「共謀罪」(ぼくは「狂暴罪」のほうが似合うと思う)を持ち出す気配なのだ。

 東京新聞「こちら特報部」(11月19日付)が、そのあたりの事情を説明してくれている。

 過去に三度、国会に提出したものの、国民の強い反発で廃案になった「共謀罪」を設けようという動きが、自民党からまた出てきた。パリで起きたテロ事件を受け、国内のテロ対策強化のために必要というが、法曹界を中心に、「悲劇を利用するな」という批判が出ている。

 自民党の谷垣禎一幹事長は十七日の記者会見で、「来年、日本はサミットがある。テロ対策には相当、意を用いなければならない状況になった」と述べ、共謀罪新設を含む組織犯罪処罰法改正の必要性に言及した。
 この説明には違和感を覚える。政府はもともとテロ対策と関係なく、共謀罪新設を目指してきた。そもそもの目的は、二〇〇〇年に国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」批准とされる。

 日弁連共謀罪法案対策本部長代行の角山正弁護士は「条約はマフィアのマネーロンダリング(資金洗浄)対策が中心で、取り締まり対象にテロを含んでいない。現行法で対応でき、共謀罪がなくても批准できる」と指摘する。

 批准のために法整備をした国はほとんどないという。旗振り役の米国ですら、共謀罪新設などを留保し批准している。(略)

 海外でテロが起きると、政府・与党の幹部はしばしば、本来はテロ対策とは無関係の条約批准を持ち出し、共謀罪を含めた法整備に言及する。菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「条約締結に伴い、(法整備を)進めていく必要がある」と述べた。(略)

 もう8年も前になるけれど、ぼくは『目覚めたら、戦争。――過去(いま)を忘れないための現在(かこ)』(コモンズ刊、1600円+税)という本を書いた。実は、その本の中で「共謀罪」に触れていた。つまり、この悪法案が大きな批判を浴びて退場していったのは8年以上も昔のことだったのだ。それがまた、特別秘密保護法(これも悪法中の悪法)施行後1年の今、ゾンビのように墓場から甦ろうとしている…。

 『目覚めたら、戦争。』の中で、ぼくはこんなふうに書いていた。古証文みたいだけれど、今でもおんなじだ。抜粋を再録してみる。

(略)第一の問題点は、なんといっても、その適用範囲が広いこと。

 初期の目的であったはずの「国際組織犯罪」など、いつの間にかどこかへ飛んで行ってしまった。なにしろこの「共謀罪」の対象になるのは、四年以上の懲役または禁錮刑にあたるすべての犯罪だというのだ。その数なんと、六二〇種類にも及ぶという。万引き、窃盗、酒の無免許製造、詐欺、脱税――。ちょっとした犯罪なら、ほとんどが対象になる。これらのいったいどこが「国際組織犯罪」と関係あるのか。

 とにかく複数で「犯罪を相談」したら、それでオシマイ。

 よく例に出されるのだが、住民運動で「マンション建設反対を目的とした抗議の座り込みの相談」をしただけでも、「共謀罪」に問われかねない。むろん、政府や官僚は「そんなことにならないように縛りをかけてある」と言う。だが、そんな言葉が、ましてや政府の言うことが、信用できるだろうか。(略)

 どうということのない酒場でのバカ話の盛り上がりも、逮捕への一里塚にならない保証はない。「あの野郎、アッタマきたぜ、こんどみんなでボコボコにしようぜ」は、完全にアウトだぜ、そこのお若いの。

 しかし、ここにも「お目こぼし」がある。自首したり内部告発した人の刑は軽減する、という規定があるのだ。しかし、内部告発なんてこんなところで使う言葉じゃない、これは企業の不正や官公庁の談合など、権力への対抗手段つぃて使われる言葉だ。この法律では「チクリ」である。

 つまり、チクったヤツは無罪、チクられた人は有罪。そういうこと。これでは、ほとんど密告社会、監視社会である。

 権力にとって都合の悪い連中をやっつけるため、ある集まりにスパイを潜入させ、議論をムリにでも過激な方向へ煽動する。そのうえで、会合の様子をスパイは警察へタレ込む。集まっていた人たちは、一網打尽。スパイは内部告発だから罪には問われない。それこそ権力側の思うツボ。

 権力に逆らう連中は、いつだって御用にできる。考えてみると、権力側にとってこんなにオイシイ法律はない。

 この「共謀罪」について、保坂展人衆院議員(注・現世田谷区長)に話をうかがったことがある。彼は、国会の審議で次のような、呆れた答弁を返されたことがあるという。

 「たとえば、何かを話していて、その話題については何も言葉を発しなかったけれど、目配せでウンウンと同意を示した、というような場合はどうなるのか」という問いに、「時と場合によるが、共謀罪に問われることもある」と、法務省の役人が答えたというのだ。(以下略)

 これを現在に当てはめてみれば、その怖さが分かるだろう。

 例えば、沖縄・辺野古で続く米軍新基地建設反対運動。現状でも、機動隊や海上保安庁職員の凄まじい強圧的な取り締まりが問題になっているけれど、本体工事着工が迫り、それでも抗議活動がおさまらなければ、安倍政権は徹底的な弾圧に出るだろう。もしそのとき、共謀罪のような法律があったなら、「共同謀議(みんなで運動の仕方を相談した)」で一網打尽、ほぼ全員をパクることだってやりかねない。

 だがこの「共謀罪」、官僚たちはきちんと諸外国の事例・法令なども調べていたのだろうか。それついて本書の中で、ぼくはこんな呆れた事実も挙げていた。

(略)二〇〇六年五月一七日付け「東京新聞」に、次のような驚くべき(というより呆れ果てた)記事を見つけた。

―見出し―
 「議論尽くした」というが―
 乱用・拡大解釈
 共謀罪 尽きぬ懸念
 海外の適用範囲 調査不足

―記事―
「『わかりません』と言われて、『ああ、そうですか』。そんな口頭でのやりとりしか、していなかったんですか」。十日の衆院法務委で民主党の川内博史議員(注・当時)が、外務省国際社会協力部の辻優参事官(注・当時)の答弁にあきれたように問い返した。(略)

 民主党の修正案は(略)「適用対象を、懲役・禁固五年を超える犯罪」として、対象犯罪を約三百に絞り込んだ。また適用するのは「国境を越えた国際的な組織的犯罪」に限るという縛りもかけている。だが、こうした修正は条約の趣旨に反する、というのが政府の立場だ。

 では既に共謀罪を備えている締約国に、懲役・禁固四年以上の罪はどれほどあるのか。冒頭の川内議員が聞いたのは、そんな素朴な疑問だった。

「大使館の書記官が、英米、カナダの政府担当者に質問しましたが、『把握していない』と言われました」――。辻参事官の答弁は、法案を審議するための基礎的データさえ、極めて不十分なことを露呈させた。(略)

 どうだろう。冒頭に挙げた東京新聞の指摘は、8年前にぼくが抱いた危惧とほとんど同じではないか。批准のために法整備をした国はほとんどないにもかかわらず、日本だけは権力者による政治利用のために、不必要な弾圧法を作ろうとしているのだ。
 
 安倍内閣とは……
 特定秘密保護法で国民の目と耳をふさぎ、
 集団的自衛権行使という憲法違反の安保法制で戦争へ加担し、
 マスメディアをアメと鞭で支配下に置き、
 消費増税で庶民の首を絞め、
 軽減税率などという言葉のペテンでみんなを騙し、
 一方で大企業優先策の法人税減税や労働者派遣法改悪をし、
 社会保障費や介護手当は削り、
 原発再稼働に邁進し、
 危険な原発売り込みや武器輸出を自ら率先して行う「死の商人」、
 そんな政策に反対する者は“狂暴罪”で一網打尽を狙う……。
 これが安倍内閣の本質である。

 1年の締めくくりに、こんな文章を書かなければならないのはとても息苦しい。来年は、改憲を巡って、もっと辛い年になるかもしれない。

 でも、ぼくのような老人でも、黙って退場するわけにはいかない。だから、やれることはやり続ける。

※記事を引用する場合は出典の明記「マガジン9:http://www.magazine9.jp/」をお願いします


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すずき こう

すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)など。マガジン9では「風塵だより」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。

 

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