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コラム:イスラム国が人質焼殺映像で得たもの
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投稿者 eco 日時 2015 年 2 月 10 日 18:17:29: .WIEmPirTezGQ
 

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0LE0FQ20150210
コラム:イスラム国が人質焼殺映像で得たもの
2015年 02月 10日 15:54 JST
Peter Van Buren

[9日 ロイター] - 数週間前、世界の大半の人は日本の首相が過激派組織「イスラム国」と戦う国々に対して2億ドルの「人道支援」を約束したことを知っていただろうか。

日本人2人がイスラム国に数カ月間にわたり拘束されていたことを、あるいはヨルダン軍パイロットも拘束されていたことを知っていただろうか。そしてヨルダンが2005年以降、自爆攻撃に関与した国際武装組織アルカイダ系の女性死刑囚を収監していたことを知っていただろうか。

今なら世界中がそうしたことを知っている。イスラム国は日本人の人質2人とヨルダン軍パイロットを殺害し、メッセージをインターネット上で拡散し、それによる戦略的利益を得た。

<イスラム国が成し遂げたこと>

イラクでは先月、2287人が殺害された。同時期にシリアや他の「対テロ戦争」地域で何人が犠牲になったのかは誰にも分からない。すべてがほとんど何も変わっていないようにも見える。だがイスラム国は、世界のメディアを巧みに操作してあのように身の毛もよだつような方法で3人の人質を殺害し、以下のような成果を上げた。

●イスラム国は米国の同盟国2国に屈辱を与えた。日本とヨルダンは共にイスラム国との交渉を模索したが、結果的に脆弱で無力であることが露呈した。

●だんまりを決め込んだ米国も、同盟国にとって無力であることが示された。

●米国の主要なパートナーであるアラブ首長国連邦(UAE)は、昨年12月のヨルダン軍パイロットただ1人の拘束を受け、米国がイラク国内での捜索・救助態勢を強化するまで空爆作戦への参加を中断していることが明らかになった。これに対し、米国は対策強化を直ちに発表し、現場での人員を増強した。イスラム国との戦いは米国の作戦では決してないという疑わしい主張を維持するには、同盟国をゲームに参加させておくことは極めて重要だ。UAEが参加していても、米国が空爆の約8割を実施しているとみられる。

●日本とヨルダンの両政府は人質殺害を受けて報復を誓ったが、イスラム国との戦いという泥沼に足を踏み入れてしまった。一方、国内では米国の戦争とみられている戦いを支持することの妥当性をめぐる議論が表面化している。保守主義である日本の安倍晋三首相はこの機を逃さず、論議を呼んでいる日本の平和憲法の改正を遂行しようとしている。初めは血気にはやるものだ。報復の名の下で、さらに何人の自国民の死を容認できるかはまだ分からない。飛行服を着た男らしいイメージのヨルダン国王は、かつて同じように飛行服に身を包んだジョージ・W・ブッシュ元米国大統領と同じように映るのだろうか。

●ヨルダンはイスラム教スンニ派の女性死刑囚を処刑したが、同死刑囚は殉教者となり、彼女の大義に新たな声を与えたことになる。

●イスラム国は、果てしなく動き続けるエンジンのような報復のサイクルを新たにスタートさせることに成功した。限られた有志連合を束ねるのに苦労する米国は、この泥沼の深みにはまることを余儀なくされる。オバマ米大統領は、ヨルダンへの支援を年間6億6000万ドルから10億ドルに増額するとすでに発表している。

●イスラム国は野蛮極まりない映像を世界に流し、暴力的な聖戦主義を信奉する者たちに見せた。イスラム国の関心は、その映像を見て衝撃を受ける人ではなく、それを見て彼らの戦いに参加しようとする人にあるのだ。

<主義の戦い>

イスラム国はこれが「主義の戦い」であることを理解している。主義や思想は爆撃でダメージを受けることがないことも分かっている。そのような戦いでは、本質的に勝ち負けは存在しない。ただ壮大な戦いに苦しむだけだ。

フランスの風刺週間紙「シャルリエブド」襲撃事件の容疑者は、2011年に死亡した米国出身のイスラム教説教師アンワル・アウラキ容疑者の影響を受けたとみられている。アルカイダの勢力が低下したにもかかわらず、そこからイスラム国が分派している。死人がこの世のおぞましい行為に影響を与えているということは、イスラム国の戦闘員を駆り立てる本質的な考えに取り組まなければ、この問題は終わらないということを示している。

<問われる米国の「テロとの戦い」>

ヨルダン以外のアラブ諸国の大半は、イスラム国が公開した映像に対し、断固たる態度は示すものの行動は起こさなかった。そもそもイスラム国への対応は依然として米国の手に委ねられているが、米国は自身の中東でのプレゼンスがまさに戦いの悪化を招いていることを理解しているようには見えない。

ロバート・ペイプ、ジェームズ・フェルドマンの両氏は、共著「Cutting the Fuse: The Explosion of Global Suicide Terrorism and How to Stop It(原題)」で、1980─2009年に中東で起きた2100回の自爆攻撃を調査し、その大半が米国による介入が動機であったと結論付けた。

米国の「テロとの戦い」の実績は悪い。イスラム国が公開した映像はそのことを改めて証明しているにすぎない。主義や思想を撃ち倒すことはできない。それに勝るもので負かすしかない。イスラム国は悪い考えがひどく効果的であることを証明してみせた。9・11(米同時多発攻撃)から13年以上が経過した今、米国側は何を示すべきかを問う必要がある。

*筆者は米国務省に24年間勤務。近著に「Ghosts of Tom Joad: A Story of the #99 Percent」など。
 

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