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尖閣占拠より恐い南西諸島・食の道の遮断 国民を守れない自衛隊:自衛隊が守るのは何?
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投稿者 蟲 日時 2015 年 3 月 04 日 13:39:08: VXoEun45fU5tI
 

尖閣占拠より恐い南西諸島・食の道の遮断

国民を守れない自衛隊:自衛隊が守るのは何?

2015年3月4日(水)  森 永輔

集団的自衛権の行使容認を決めた昨年7月の閣議決定を受けて、5月の連休明けから安全保障法制の議論が始まる。何を議論するべきなのか? 重視すべきポイントは何か? 海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏に聞いた。
(聞き手 森 永輔)
昨年7月の閣議決定を受けて、具体的な法制の議論が5月の連休明けから始まる予定です。ここで重視すべきポイントは何でしょう?

香田:大きく3つあると考えています。1つは、個別的自衛権に基づく武力行使をいつ発動できるようにするかです。集団的自衛権の行使容認に注目が集まり隠れていますが、個別的自衛権の発動要件が実は重要ポイントです。第2は集団的自衛権の行使容認がもたらす抑止力向上に関する議論。そして第3は集団的自衛権の行使容認がもたらすメリットとデメリットをしっかり比較することです。


香田洋二(こうだ・ようじ)
元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)。1949年生まれ。1972年に防衛大学校を卒業し、海上自衛隊に入隊。統合幕僚会議事務局長、佐世保地方総監、自衛艦隊司令官などを歴任し、2008年に退官
グレーゾーンは外国なら即座に軍隊が出動

第1のポイントは聞いたことがないポイントです。説明していただけますか。

香田:閣議決定に際して安倍政権は、武力行使が認められる新しい3要件を提示しました。

【安倍内閣が提示する新しい3要件】
(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他の適当な手段がないこと
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
 個別的自衛権について、この新3要件の(1)をどのように解釈して、具体的にどう運用するかがこれまで議論されていません。

 冷戦期は東西の武力紛争が最終的に人類の破滅をもたらす米ソの熱核戦争につながることが明確に理解されていました。このため、両陣営の対立は先鋭でしたが、実際に武力を行使することを避け、抑止が両陣営の政策の中心となり、実際の武力衝突の問題を深く考える必要はありませんでした。しかし、中国や北朝鮮の脅威が高まってきたことから、現実に武力を行使しなければならなくなる蓋然性が高まっています。これが冷戦時と全く異なる点であり正反対の情勢です。この問題を真剣に議論する必要があります。

 特に、現状では我が国の自衛権発動の要件がいわゆる本格的かつ高烈度な事態発生時に限定されているため、より蓋然性が高いものの、この要件に合致しない事案に対して自衛権を発動した対処が大変に困難となっています。このことは我が国が直面している現在の安全保障環境と、従来からの自衛権発動の解釈が明らかにかい離し始めていることであり、両者の差を縮める、すなわちこの敷居を低くすることが必要です。

グレーゾーンの事態にも自衛隊が対応できるようにするためですか。

香田:グレーゾーンというのは、国連憲章の考えである高い烈度の武力攻撃を外国から受ける「有事」ではないが、「平時」の治安を担う警察や海上保安庁の能力では対応できない恐れがある状況です 。

 武装漁民が離島に上陸するケースがよく議論に上ります。武装漁民という言葉自体が我が国の造語でありよく分からないものですが、彼らが警察力を上回る武力を有する場合、今までのように警察力で対処しようとしたら、警察の機動隊などの対処部隊は全滅することも考えられます。

 同時にこのような事案は我が国の自衛権発動要件の原点となっている国連憲章51条でいう外国・外部勢力による高烈度の武力行使には当てはまりません。このため警察力で対処できない事態であるにもかかわらず、自衛権の発動すなわち防衛出動を下令する対象ともなりません。我が国の法制度上の大きな盲点あるいは欠陥となっており、これをグレーゾーンと呼んでいます。

 この自衛権発動に関わるグレーゾーンという概念は憲法9条を擁する日本に固有のもので、ほかの国にはありません。

 例えば多くの国で、暴力団やチンピラは国内法で日頃から規制が可能な上に、違反行為を認めた場合には警察が対処します。外国軍隊は当該国の法律を適用した規制ができませんし、ましてや外国の国家意思に基づいて行動する相手は、当該国の国内法執行機関である警察対処の枠外ととらえ、当然軍隊が応じます。

 近年の外国過激集団などの一部も警察では対応できないような強い力を持つものがあり、これにも自衛権を発動し、軍隊が応じます。一般的にその国の警察が対応できないような強い力は、国家意思に基づかなければ手に入れることができません。従って、たとえ軍隊でなくても、我が国でよく例に引かれる武装漁民なども含め、国家意思に基づいて行動しているとみなして軍隊が対応します。

 日本は、大規模で本格的かつ組織的なものでないと自衛隊に防衛出動を命令できないため、その条件には当てはまらないものの、警察の能力では対応できない相手に対して、対応する術がないのです。この問題を解決するために、新3要件の(1)のしきい値を現行より下げる必要があると考えています。しきい値を具体的にどこに設定するかは、法律の問題ではなく、政策判断に依存するでしょう 。

領域保全法を定める

香田:いわゆるグレーゾーンに対処するための措置としてもう二つの案が考えられます。一つは“領域保全法”のようなものを制定すること。例えば海上保安庁の任務に領域警備を加え、領海を侵すものに対して武力行使する権利を持たせるのです。この時、外国の公船も対象にします。

 これを実現するには、海上保安庁法を大きく変更する必要があります。現在、尖閣諸島周辺の海域で海上保安庁が実質的な領域警備に当たっています。しかし、領域警備は海上保安庁の本来の任務ではありません。海上保安庁は基本的に警察権を持つ機関で、海上保安庁法(2条)が定める本来の任務は海難救助、海洋汚染の防止、海上における船舶の航行の秩序の維持、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕などです。

 現在の海上保安庁が尖閣周辺海域で行っているものは、我が国の領海を守るという意味の領域警備ではなく、法律に基づいた海上航行の秩序維持などの任務を遂行するため尖閣周辺海域を巡視することにより、結果的に中国公船が我が国領海内に常続的に滞留するのを食い止めているにすぎません。従って、海上保安庁が現在取っている行動は、現在の我が国の政策に批判的な法律家から海上保安庁法違反と責められ、告訴される恐れさえあります。

 さらに、同法25条と同20条を改正する必要もあるでしょう。25条は、同庁が軍隊として行動することを禁じています。また、同法20条は外国の軍艦や公船を武器使用の対象から除外しています。

 私が海上自衛隊のOBなので、尖閣諸島の警備を海上保安庁ではなく海上自衛隊にさせるためにそのようなことを指摘していると思われるかもしれません。しかし、そんなことは決してありません。外国の軍艦以外の公船に対して海自の艦船が対峙すれば、日本が先に軍事行動を起こしたことになり、大変な事態に陥ります。これは現状で我が国政府が取るべき手段でないことは明白です。これを避けるためのアイデアです。

中国が尖閣諸島を本気で奪いに来ることはない

 念のため補足すると、私は、中国が本気で尖閣諸島を奪いに来るとは思いません。尖閣諸島は我が国の領土で、これは国家主権や国家尊厳上最も重要な要件であり、決して外国に奪取されてはなりません。同時に、同諸島が持つ我が国の安全保障上の価値、および一方的に領有権を主張する中国にとっても国民感情上のメリットはあっても、純粋の安全保障上の価値はほとんどないと言えます。

 さらに、中国が海上保安庁が対応できるレベルの島嶼奪取行動を起こした場合は海上保安庁が対処し制圧しますので、尖閣諸島が我が国の法律執行機関が活動する範囲にあること、すなわち我が国の領土であることを認めることとなります。そのような行動を取る可能性は低いでしょう。日本が警察権を行使する機会を与え、それを認めることは、中国にとってマイナスなのです。

 日本が自衛権を発動するレベル(組織的かつ高烈度)の行動を起こす可能性も低いと考えます。中国は口ではいろいろと言っていますが、自衛隊の力を正当に評価し、これと正面切って対峙することは望んでいません。防衛出動が下令されますと、自衛隊はもちろん、日米安保条約に従って米軍も対応することになります。中国はこの事態は余計に避けたいと考えています。

 残るのはグレーゾーンということになります。ここは、新3要件の(1)の敷居を下げる、海上保安庁に領域警備任務と機能を持たせる、といった新たな政策を導入してグレーゾーンの幅を狭めていくことが必要です。

 もう一つの案は集団的自衛権行使容認に反対する人たちが支持している現状維持です。これは抑止力だけに頼るもので、抑止が機能している間は我が国への実害はありません。その意味では、有力な選択肢と言えます。

 ただし、今日の問題の前提は、今までのように抑止が十分に機能するものではありません。逆に、何らかの理由により抑止が崩れ、相手国が冒険主義に走る公算が高くなった結果、武力衝突が生起する蓋然性が高まっているとの現状認識の下での、我が国の対処方針のあり方を考えているのです。この観点からは、抑止が破たんし我が国及び周辺で何らかの事案、特に防衛出動に至らないグレーゾーンに属する事案が起きた場合、第2のオプションである現状維持では、日本になすすべはありません。

140万人の島民の生活に打撃

香田:グレーゾーンについては、尖閣諸島に武装漁民が上陸するケースよりもはるかに深刻な事態を想定することができます。

 今から述べる事案に至る外的要件はいろいろあると考えますが、それは別の論議に委ねるとして、南西諸島周辺の公海上で、島々に食糧や生活物資を運ぶコンテナ船が襲われるケースです。種子島から与那国島までに約140万人の人が住んでおり、島民の生活はこのコンテナ船に依存しています。

 ある時、A国の潜水艦が魚雷を撃って、これを沈めるかもしれません。自衛隊の哨戒機のP-3Cが飛んでいくと、現場海域で国籍不明の潜水艦を探知するものの、その艦がコンテナ船を沈めた確証は得られない。


自衛隊の哨戒機のP-3C
 いったんそういうことが起きると、海運会社と船員組合は以降の輸送船の運航を中止し、出航も拒否するようになるでしょう。これは当然です。同時に140万人の生活はどうなるでしょうか。

 しばらくして同様の事態が再び起こります。自衛隊はP-3C による哨戒活動を強めており、A国の潜水艦を1隻探知したとします。今回は音紋照合によりA国の甲級潜水艦と確定します。潜水艦を探知識別したと言っても、海上輸送の安全が確保できずコンテナ船を沈めた相手さえも特定できない現状に変わりはないことから、南西諸島への輸送にあたる海運会社はなく、船員もいないでしょう。

 それでも国や自衛隊にできることはほとんどありません。せいぜい、自衛隊の艦船や航空機による細々とした輸送が限度でしょう。これで所要のすべてを賄うことはできません。その間に島にある食糧や燃料の備蓄量は減り続け、住民の生活の不安は極限にまで高まることも予測されます。最悪の場合、住民は飢えに苦しむようになるでしょう。

 こうした行為は某国にとって、尖閣諸島に上陸することよりもはるかに容易な行為です。日本の施政権下にある領土を攻撃しているわけではありません。仮に探知した潜水艦の国籍と艦級、さらには固有名詞まで特定することができたとしても、魚雷を撃ったのが探知中のA国の潜水艦だと特定することもできない。自衛隊は何もすることができません。これもグレーゾーンの一つです。

目の前の国民を守れない

恐ろしい事態ですね。

香田:この話にはまだ続きがあります。同様の事態の再発を防止するため、日本政府は南西諸島周辺の公海において監視活動を強化し、状況によっては海上警備行動を発令するでしょう。このような状況下でP-3Cが再びA国の潜水艦を探知した時、同機は警告を発します。「本機は先日の日本輸送船撃沈事件を受けた日本政府の措置により警戒監視中の海上自衛隊機です。ここは公海上ですが、先日、日本国船舶が沈められた危険な海域であり、貴艦の安全確保及び無用の疑惑防止の観点から、この海域から去ってください」。

 潜水艦が警告に従って去ってくれれば、それでよし。ですが、それでもその場に残るかもしれない。そこに、国と島民を思い、自らの安全を危険にさらすことを承知の上で志願した船会社が運航し、ボランティア船員が乗船した輸送船が通り合わせる。A国の潜水艦はこれを攻撃します。

 それでも現場にいるP-3Cは発生事案の報告とそれまで実施してきた警告以外何もできません。防衛出動命令が出ていないからです。武力を持って対抗することはできません。同機そのものが攻撃されたわけではないので、正当防衛も緊急非難も成立しないのです。

 南西諸島の島民の窮状を思い、決死の思いで生活必需物資を運ぼうとした輸送船と船員の命は失われ、島々には食糧・生活用品が届かないままとなります。もちろん政府の措置により緊急輸送業務に従事中の海自輸送艦が同じ運命に遭う公算もあります。

国民の生活を守るための自衛隊が、国民が攻撃されるのを目の前にして何もできないわけですね。

香田:そうです。これは、自衛隊法において自衛隊の任務が「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛すること」と定められているからです。自衛隊が守る対象は領土・領空からなる「国」でありますが、当然国民や財産などまで含まれていると考えられます。

 ただし、このような具体的事態を想定した場合、我が国の領域以外にある「国民」の取り扱いは明確ではありません。先年のアルジェリアでの邦人殺害事件、古くはイラン・イラク戦争の時にタンカーが攻撃され我が国の船員が死亡した時において、我が国政府は「憲法9条」を理由に、自衛隊の海外派遣はもとより、防衛出動を発動することの検討さえしなかったと思います。従って、このことから現状では領海・領空の外にいる日本国民を日本国・自衛隊が守ることはできないと考えることができます。

 この点について米国は、所在にかかわらず国民や施設・財産も含めた大きな意味での「国益」を守るとしています。だから、中東の過激派「イスラム国」に自国民が殺害されるようなケースが起きた時に、相手の国にまで乗り込んで救出を試みる行動を取る場合があるのです。あるいイスラム国に対する現在の爆撃はまさにこの方針の具体化です。もちろん、すべての要因を判断して何もしないというケースがあることも当然です。ここに国益が存在するのです。

仮に国の外にいても国民を守る、離島に暮らす人たちの暮らしを守る、ということを可能にするとしたら、どんな法律が必要なのでしょう。

香田:自衛隊の任務を定める自衛隊法3条に「国民」「国民生活」を明記するのが一つの方法だと思います。自衛隊法で定める防衛対象である「我が国」に我が領域外に所在する国民も含めるとすれば、憲法9条の精神も考慮したうえで邦人救出のような海外派遣も自衛隊の任務とすべきだと考えます。具体的には自衛隊の任務を我が国の防衛とともに「その所在を問わず我が国民や財産及び国民生活の防衛」という趣旨の文言にするのが筋でしょう。

想定外の状況に対処するのが抑止力

安全保障法制に関する議論の第2のポイントは抑止力ですね。

香田:はい、集団的自衛権の行使を容認することが抑止力の向上につながることに関する議論が欠けているとの印象を持っています。

 現実を言えば、日本が集団的自衛権を行使しなくても日米同盟は機能します。我が国に関わるたいていの事態は米軍だけで対処可能です。詳しく申しますと、両国の軍事作戦上の任務は、独立国であり、同盟相手国である我が国の責任としての自衛隊の防勢作戦と、米軍の攻勢作戦という「盾と矛」の関係が明確にされています。この枠の中での米軍の任務は米軍だけで自己完結するという意味です。

 しかし、安全保障の世界は何が弱点になるか分かりません。自然災害と異なり、相手がありますから。こちらがどんなに綿密な準備を事前にしても、すきが生じることもあれば、間違いが起こることもあるでしょう。何が弱点になるかは事前に特定することができないのです。そして、自らの予期せぬ弱点をさらけ出し相手に付け込まれた時に、米軍といえども窮地に陥ることはあります。このように米軍が進退きわまった時に自衛隊が補えるようにするのが集団的自衛権です。

 この観点から、新3要件の(1)を特定の事例にしか適用できないものにしてはいけません。

 新3要件の(1)を広く解釈することに懸念の声が上がっているのは知っています。しかし、集団的自衛権は権利ですから、行使することを容認したからといって、いつでも無制限にあるいは自動的に行使するわけではありません。しかし、いざという時に発動できるようにしておくことが抑止力につながるのです。中国や北朝鮮が米軍の弱点を突きにくくするのです。

抑止力は「認識」の問題が大きいと思います。日本が集団的自衛権の行使を容認することを、日本が抑止力だと思っても、中国がそう認識しなければ抑止力にならないのではないでしょうか。

香田:その点は明快です。日本の防衛力は大変優れており、中国は自衛隊の実力と日米共同体制を日本人以上に正当に評価し、恐れています。自衛隊が単独あるいは日米共同で双方が出てくるかもしれない状態は確実に抑止力として機能します。そして、日米が共同して事に当たる時に米軍がさらけ出すかもしれない弱点、能力において劣る中国軍はまさにこの弱点を狙い勝機をつかみたいわけですが、この弱点を自衛隊が集団的自衛権を行使することで補うこととなれば、中国が冒険心を実行する意図は弱められ、その結果抑止力が高まるのです。

行使容認のデメリットばかりが強調されすぎ

第3のメリットとデメリットの比較とはどういうことですか。

香田:集団的自衛権の行使を容認した場合、当然のことながらメリットとデメリットがあります。一方、これを容認しなかった場合にもメリットとデメリットがあります。この4つをしっかり比較検討する必要があります。昨年7月に閣議決定がなされた時、一部の新聞は「認めた場合のデメリット」ばかりを強調していました。私はこれに大変、不安を覚えました。

それぞれの場合に、どんなメリットとデメリットがあるのでしょう。

香田:集団的自衛権の行使を容認した場合のメリットは、日米同盟体制の信頼性の向上と抑止力の向上です。この場合のデメリットは、昨年前半に反対論者の方の多くが言われた米国の戦争に巻き込まれるリスクがありそうですね。ただし、米国の戦争に参加するかどうかは我が国民・政府が決めることであり、このような国家の一大事を受動的に判断するということ自体、論議のすり替えと思います。他国の戦争に「参加する・しない」は集団的自衛権容認とは全く異なる、国益判断に立脚した国民の意思決定の問題です。

 行使を容認しなかった場合のメリットはほとんどありません。せいぜい今述べた「見せかけ」の巻き込まれのリスクが低くなることでしょうか。行使を容認しなかった場合のデメリットは、同盟国である米国の信頼を失うこと、すなわち我が国が安全保障の基本としてきた日米安保体制・同盟そのものの信頼性が著しく低下することです。特にその行使を容認しない場合において、自衛隊が実施できるにもかかわらず窮地に陥った米軍の援助をしなかったがために米軍・米国民に被害が出た場合の影響は真剣に論議する必要があります。このことは、日米同盟体制を無に帰する覚悟の有無を日本国民に問うことだと思います。

米国は、集団的自衛権を容認するよう日本に強く求めていたのですか。

香田:それはありません。先ほども申しましたように、米国は日米安保の枠組みの中における自らの任務に関してはたいていのことは独力で対処できますから。しかし、例えば、北朝鮮が米国を狙ったミサイルの発射を準備していることを日本が先に察知していたにもかかわらず、これを米軍の直接攻撃につながる恐れのある情報と判断し、これを伝えることができず(集団的自衛権の行使を容認しないため意図的に通報しなかった結果)、米国民や米軍に物理的な被害が生じたら、日米間の信頼は間違いなく損なわれるでしょう。

 一部の新聞の議論は、この点を明らかに軽視していました。あるいは意図的に無視していました。要するに米国政府・米軍は本件を完全に日本国民の判断事項として位置づけています。もちろん同盟相手として集団的自衛権の行使を容認することが「望ましい」とは考えているでしょう。

現代の軍隊の活動の95%は平時の情報収集

香田さんは、平時の情報収集と米軍への情報提供を重視しています。これらを法律で認めるべきだと。

香田:はい。現代の軍隊の活動の95%は平時の情報収集だと言っても過言ではありません。抑止が機能するかどうかは、この平時の情報収集活動にかかっているのです。また、健全な政府の政策判断・意思決定も情報収集活動の成果であるインテリジェスの質とタイミングにより左右されます。抑止が崩れた際の軍事行動は5%程度しかないのです。であるにもかかわらず、自衛隊の任務を定めた自衛隊法3条は平時の情報活動(警戒監視)を任務として定義していないのです。今は防衛省設置法にある「調査研究」を適用しています。

 我が国の安全保障政策・自衛隊運用双方に関わる意思決定の大前提となる情報収集活動は、自衛隊の本任務である我が国の防衛活動と同等あるいはそれ以上に重要なものであり、自衛隊法3条できちんと定義すべきでしょう。シビリアンコントロールあえて言うなら「文民統制」でしょうが、その基本は、軍隊、我が国の場合は自衛隊の任務を法律できちんと定義することから始まるはずです。

 しかし、現在開会中の国会でこの点が議論されるのは期待薄でしょう。防衛省官僚の現役・OB双方と話をすると「法律で定めなくても、現在、情報収集は現実にできているでしょう。ならば、それでよいではないですか」との返事が返ってきます。あえて火中の栗を拾おうとする人はいません。「現実にできているということ」と「シビリアンコントロールの本質」とは異なるはずです。自衛隊という実力集団の本質的な任務を自衛隊法に書かないということは関係者の怠慢以外の何物でもありません。

 加えて、集団的自衛権の行使を認めてこなかったため、収集した情報のうち、米軍の攻撃に直接結びつく情報は提供することができません。例えば、敵ミサイルの位置、速度・高度、方向といった情報です。

仮に米軍の攻撃に直接結びつく情報の提供を可能にするとして、新法の制定や現行法の改正は必要でしょうか。

香田:法律・立法の専門家ではないため、その点はよく分かりません。米軍の攻撃に直接結びつく情報を提供することはこれまでタブー視されており、議論されてきませんでした。だからこそ、一部とはいえ集団的自衛権の行使を容認するからには、これに関する議論が必要なのです。その結果として、新法に書き込むことになるかもしれないし、不要かもしれない。法律で包括的事項だけ定めて、詳細は政令で決めることになるかもしれません。

共通の作戦がない日米演習

香田さんは、集団的自衛権を行使できないため、自衛隊と米軍による演習が限定的なものになっていることも指摘されています。

香田:今のところ、防衛出動が下令された後に必要となる戦術技量の演習しかできないのです。戦術技量というのは、例えば、目の前にいる敵機を打ち落とすのに必要な技術です。これより“上流”の、戦略情報の共有、相互の任務の確認と付与、投入兵力の決定、作戦や後方支援計画の立案などは、日米が別個に行っています。

上流を伴う演習を行うために、新たな法律が必要ですか。

香田:必要ないと思います。むしろ必要なのは政治の決断でしょう。これは国家政策策定の問題になります。政府は従来、安全保障・防衛の基本にかかわる国家政策を定める国家レベルの政・軍(Pol-Mil)作業に自衛隊を入れてきませんでした。

 自衛隊も策定に関与することができる国家レベルの政・軍に関わる大方針ができ、それを受けた軍事戦略を具現する作戦計画を自衛隊と米軍が作ることが可能になれば、実際に軍事紛争が起った場合に、自衛隊と米軍がより一層の実効性をもって活動できるようになるでしょう。

外国で拘束された国民の救出をどうする

この1〜2月にかけて、中東の過激派「イスラム国」が日本人男性を拘束・殺害した件が注目を集めました。今後も同様の事態が起こることが懸念されています。救出を可能にするための法整備を進める必要があるでしょうか。安倍政権はこれを法制化する方針です。

香田:第1に、「救出活動をしない」ということは決して言ってはなりません。自衛隊も最低限の能力はようやく身につけてきました。ただし、法を整備するには多くの考慮事項があります。特に、国土防衛に特化した防衛組織として自衛隊は60年間をかけて整備されてきました。その自衛隊がこのような全く新たな事態に実際に対応できる十分な体勢を築くには時間がかかると考えています。

 仮に、今何か起きた場合、政府が決心し、国民の大多数が支持をするならば、救出作戦は何とか実施できるでしょう。しかし、例えば我が国から離れた地域では米軍などによる支援は必須となります。

 これを充実させるための体制作りも必要です。まず、救出活動を自衛隊の任務として、自衛隊法3条に明記して本格的な部隊を作り装備を充実させ、このような事態を想定した要員を訓練する必要があります。自衛隊だけで事は収まりません。救出作戦を遂行するのに必要な情報を集める情報機関が必要になりますし、そのためには外務省をはじめ、例えばですが、発生地域の情報に強い総合商社からNGO(非政府組織)まですべての組織・団体と協力することも欠かせません。さらに国連・友好国との協調ももちろん必要です。

 また、救出作戦は今まで封印されてきた国家活動・自衛隊の作戦であることから関係官民のすべてが参加したシミュレーションが必須です。これさえ未経験あるいは不十分というのが現状でしょう。

 また、我が国社会の成熟度から時期尚早と言えるかもしれません。その意味は、この種の作戦においては、国民の間にある程度の犠牲を受け入れる覚悟が必要だからです。救出活動を行っても、全員を無事に救出できるとは限りません。作戦に参加する自衛隊員に犠牲が出ることもあるでしょう。もっと厳しく言うと、全員無事に帰ってくることが望ましいことは言うまでもありませんが、それこそが奇跡であり、各国の過去の同種活動を見ますと相当多くの犠牲者、それも本来救出されるべき人々の犠牲が生ずることが常です。我が国民にこれを容認する覚悟があるのかどうか、また、我が国社会が犠牲者の発生に対してそこまで成熟しているかどうかが、外国における人質救出活動を自衛隊の任務に盛り込み、実施する際のカギになると考えます。

公海上の機雷除去は日本にしかできない世界への貢献

中東の問題を考えるとシーレーン(海上交通路)の問題が浮かび上がります。シーレーン防衛について香田さんは、公海上における機雷除去作業をできるようにすべきと訴えています。

香田:そうです。例えば、イランとサウジアラビアの対立が深まり、イランがペルシャ湾に機雷を設置したとしましょう。この湾は浅いので機雷を設置するのが容易です。この事態ではまず、日本に石油を運ぶタンカーが危険にさらされる。

 中東からの石油は日本経済の生命線です。これが途絶えれば、先ほどお話しした南西諸島と同じ状況に日本全体が追い込まれるわけです。それでも海上自衛隊は機雷を除去することはできません。除去すれば、それはサウジアラビアへの加担、イランに対する武力行使と取られるからです。

 「我が国の生存と国民の安寧を守るため」と強弁して個別的自衛権を発動する、といったやり方が考えられますが、過去の経緯を鑑みると難しいでしょう。湾岸戦争の際、日本は国際社会から機雷の撤去を求められました。この時、日本は戦争が終了してから掃海艇を派遣して掃海作業を行っています。法的根拠は危険物除去でした。

 今回、検討俎上に挙げられているケースでは日本のタンカーだけでなく、世界中のタンカーが危険にさらされます。湾岸戦争の時のように国際社会から要請があることもあるでしょう。日本は機雷除去について、米国に次いで、あるいは同等以上の優れた技術と装備を有しています。しかし、今までの法解釈では日本・自衛隊が持つ能力で国際貢献することができない状態なのです。

 私は、こうした状況は日本国憲法の前文が定めた、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」という理想に合わない行為だと考えています。付言しますと、この前文は理想ではありますが、同時に戦後平和国家・日本の国家目標でもあると考えます。憲法9条ばかりが注目されていますが、前文も9条もその重みは同じはずです。この点をもっと議論するべきではないでしょうか。

 国際社会全体が本当に困っている時に、今までの政府の憲法9条に関わる集団的安全保障や武力行使などの解釈、さらには盲目的平和論・巻き込まれ回避論により、まさに世界が必要としている分野で第一級の実力を有する自衛隊の能力を発揮しないことは、果たして前文が明確にしている憲法の精神と合致するものかどうか。今は、そして今回の集団的自衛権論議はまさにこの判断も問われていると考える次第です。

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コメント
 
01. 2015年3月04日 14:07:53 : KzvqvqZdMU
日本の事なかれ主義が中国韓国をつけあがらせて、事態をますます深刻なものにしている。領海や領空を侵犯されれば躊躇なく撃沈・撃墜するのが、国際法に忠実というものだ。

[32削除理由]:削除人:アラシ
02. 2015年3月04日 17:45:10 : GciRKRSy0o
この人p3cが戦闘機やミサイルに狙われる事はまったく考慮していない。ASW(対潜作戦)は探知だけでも非常に時間がかかる。その間の護衛をどうするつもりなのか。対潜哨戒機は速度が遅いのでかなり遠い距離からでもミサイルを撃たれたら逃げられない。まぁ搭乗員には数十分間遺書を書く時間が残されるが、書いても燃えて残らないだろうな。

03. 2015年3月04日 18:01:20 : nJF6kGWndY

>国と島民を思い、自らの安全を危険にさらすことを承知の上で志願した船会社が運航し、ボランティア船員が乗船した輸送船が通り合わせる。A国の潜水艦はこれを攻撃します。それでも現場にいるP-3Cは発生事案の報告とそれまで実施してきた警告以外何もできません。

まあ、ここまで来たら、さすがに平和ボケした日本人も現実を直面せざるえなくはなるが

当面、米国経済と軍事の衰退がさらに進まない限りは、まだ余裕はあるし

中国も、内政分裂でもしない限り、経済制裁もあるから、そう無茶はしないだろうな

>>02

P3Cに乗ってるのは民間人ではないから、当然、有事の覚悟はできてるだろうし

そうなれば自衛権の行使で、その該当潜水艦への攻撃もできる

まあ、公海や日本の領海上でP3Cを落とすということは、ほぼ戦争行為に等しいから 

現時点では超マイナーシナリオだな



04. 2015年3月04日 20:02:35 : SKU8WU0MTo
日中戦争になったらまっ先に狙われるのは日本の原発だろうな。尖閣諸島の警備もいいけど原発をどうにかしてくれ。

05. 2015年3月04日 21:52:07 : 9Y5l8kZOsX
看板通りに、

『 自ずから、隊伍を組んで、衛ずるもの 』

に、嘘・偽り、全く無し!

いちいちくどくど考えない。

最初にここを攻撃するから反撃がある。

しなけりゃ、サンゴ、台風、背乗り、何でも美味く行く。

ちなみに、便乗で仕事を造った、大島・広島のレーダー豪雨。

  電磁推進機研究者談


06. 母系社会 2015年3月05日 10:45:08 : Xfgr7Fh//h.LU : YrVV3nXXFQ

★そもそも、このA国は、何の意図・目的で南西諸島を孤立させるのか?

この潜水艦を操るA国は、孤立させているのがA国だと認めない限り、日本に
対して何も要求できないし、日本も確証がなければ、A国に対して対処しよう
がない。

万一、別の国が撃沈したなら、A国との関係を悪化させ、日本も国際社会
で大恥をかくから。

戦争は、外交で要求を認めさせることができない場合に、軍事力で強制的に、
他国に何らかの要求を飲ませること。

歴史上、このような馬鹿馬鹿しいことをした国などない。

こんな奴が自衛艦隊司令官とは呆れる。

★このアホどもは、かつては、毎年ソ連が攻めてくると言って、北海道に
ソ連軍が上陸した場合、どのように対処するかシュミレーションしていた。

その後の30年間は、毎年、中国は崩壊すると言い続け、毎年、外れても
謝罪もしない恥知らずなアホども。

★そもそも、中国がいきなり、補給が難しい島など占領するはずがない。

中国が日本と戦争をする時は、まず最初に、長距離巡航ミサイルや弾道弾
などで、本土の自衛隊を奇襲・飽和攻撃して、一気に壊滅させるに決まって
いる。

米軍が介入してくる前に、戦争を終わらせる短期決戦しかないからだ。
それで、04さんが原発を危惧しているように、中国は原発を狙う。

しかし、中国も原発を直接攻撃することは不可能。なぜなら、原発を
直接攻撃すると、国際社会から核兵器を使用したのと同じと見なされるから。

しかし、原発に電力を送っている送電線網や、ダム、発電所は攻撃可能。
原発に電力を送っている施設であることは、知らなかったで済む。

それで、原発に電力を送っている送電線網などを攻撃して、一つでも原発
が福一のように爆発すれば、日本は戦争どころではなくなるし、二個目、
三個目の原発を爆発させないようにするため、降伏するしかない。

つまり、日米安保など、何の役に立たない。

★それから、北朝鮮も絶対に日本を攻撃しない。

なぜなら、北朝鮮が日本を攻撃して日本に被害が発生したら、日本は、
先の戦争の賠償として北朝鮮に支払うことになっている1兆数千億円を、
支払う義務が無くなるから。

(日本は、先の戦争の賠償として、韓国に合計1兆数千億円の賠償金や
有償援助をしたから、国交が正常化したら、北朝鮮にも同額を支払うこと
になっている。北朝鮮が拉致を認めたのは、この賠償金を得るためだった)

★100年後、200年後はわからないが、ここ数十年の間に、中国が
日本と戦争などするわけがない。

現在の、中国が直接関わる戦争が一つも無い国際関係の中で、中国は経済を
大発展させることができたのである。

現在の国際関係で、一番得をしている国は米国でも、ロシアでもなく、
中国であることは明白。中国が自ら、この国際関係をぶち壊すことなどする
わけがない。


07. 2015年3月06日 20:46:21 : jaW10oOX1E
戦争を煽り立てれば儲かる奴がいる。

安倍政権を持ち上げていると敵に殺される前に安倍政権に殺される。


08. 2015年3月07日 12:14:45 : FYxRJuplKA
本当に国を国民を守りたいのであれば

最も脆弱な施設である原発をやめること
食糧の自給率を上げること TPPなど最悪
シーレーンがどうしたこうしたという前にエネルギーを輸入先の多角化をはかること。

軍備だけしか頭にない阿呆が何か書いている。


09. 2015年3月28日 13:40:47 : pbNMSXRwUY
母系社会の考え= 母系社会のエゴ
考えがなぜか中国・北朝鮮しか持ち上げていないな。素人ってなぜ好きな国を持ち上げる事しか出来ないのか?
まあ、 母系社会は日本人ではなさそうだから、こんな妄想をここでカキコが出来るのだろうな。


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