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若者絶望、つけ込むイスラム過激派 失業率4割「ここを出る」  朝日新聞
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投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 4 月 06 日 17:46:25: mY9T/8MdR98ug
 

 ベルギーの首都ブリュッセル西部のモランベーク区の地下鉄の改札口を出ると、自動小銃を持った警察官4人がじっとこちらを見た。近くの警察署玄関は鉄柵で囲われ、重武装した警官が見張っている。そばには数十メートルごとにイスラム教の礼拝所モスクがあり、周りはアラビア語の看板も目立つ。

 モランべークは、ベルギーの捜査当局が1月、国内で大規模テロを計画した容疑でイスラム過激派グループの拠点とみられる計6カ所を捜索した街だ。

 捜索は国内各地で行われ、ベルギー東部ベルビエでは、当局との銃撃戦の末、モロッコ系の移民2世、カリ・ベンラビ容疑者(23)が射殺された。同容疑者はモランべークで生まれた。地元紙によると、銃撃戦で死亡したもう一人の容疑者と、逃走中の首謀者のアブデルアミド・アバウド容疑者(27)もモランべークの出身だという。

 19世紀前半の産業革命以降、モランべークでは街の東を通る運河沿いに工場が多く建設され、労働者が移り住んだ。1960年代半ばから、不足した労働力を補うため政府が受け入れるようになったモロッコ人が住むようになった。モランべーク区によると、現在は住民約9万5千人のほぼ半数がモロッコ系だという。

 国の統計によると、モランべークの住民の12年の平均年収は、国全体の6割の約1万ユーロ(約130万円)にとどまる。区は「ブリュッセルの自治体で下から2番目に貧しい」と説明する。失業率は30%近く(国平均8・5%)で、若年層になると4割を超えるという。

 モランべークに住むハサンさん(28)は、ベンラビ容疑者の幼なじみだった。親しみを込めて、容疑者を「カリ」と呼ぶ。「カリ」はモロッコ人の一般的な家庭に生まれた。高校卒業後、スーパーの配達員を半年やったものの契約を切られ、その後、窃盗などで逮捕されるようになった。

 その「カリ」が1年ほど前、突然ハサンさんに電話をしてきて、告げた。

 「ここには何もない。俺は出て行く」

 ハサンさんは後に「カリ」がフェイスブックに掲載した写真で、シリアに渡り、過激派組織「イスラム国」(IS)に加わったと知った。ハサンさんは、「カリ」がいつ過激なイスラム教の思想にのめり込んでいったのか、見当もつかなかったと語る。ISは2月、英字機関誌「ダビク」に、射殺された「カリ」たちの写真を「英雄」として掲載した。

 ハサンさんも高卒で、生活は楽ではない。昼は公共施設、夜も警備員として働いている。「イスラム教は平和の宗教」だから、シリアに行こうとは思わないが、「カリ」の絶望は理解できる。「この街で生まれ、学歴も、職も資格もなく、この先、将来が良くなるという希望もない時、どうやってここから抜け出せるのか」

 過激派の戦闘員になりたいという若者の相談に乗るブリュッセルの中央モスクの説教師モハメド・ガライエ・ンディアイさんは「良い学校に行けず、就職できず、犯罪に手を染めた若者に過激派戦闘員のリクルーターが目をつけて、『殉教者になれば天国に行ける』と誘っている。これは宗教ではなく、社会の問題だ」と指摘する。(ブリュッセル=吉田美智子)

 ■住宅街の会社で武器取引

 カリ容疑者ら、過激派戦闘員は自動小銃などで重武装していた。1月の仏連続テロやベルギーのテロ未遂事件などで、専門家らは「ベルギーが武器調達先になっている」と指摘する。

 モランベーク近郊。比較的静かな住宅街の一角にその電気工事会社の作業場があった。元従業員の男性(26)は作業場を指さし、「ここで武器取引をしていた」と証言した。

 男性は、3年前の夕方、2人のチェコ人が通常の資材搬入のような格好で車のトランクから毛布にくるまれた自動小銃を運んでいたという。「AK47(自動小銃)が6丁以上あった」と話す。会社の経営者の40代の男性が「副業」でやっていたのだという。経営者に聞くと、ベルギーに住むチェコ人が東欧から武器を仕入れ、車で運んで来ると教えてくれたという。自動小銃は1500ユーロ(約19万6千円)で買い、3千ユーロで転売するというが、売り先については口を閉ざした。経営者はブリュッセル南西の高級住宅街に住んでいるという。

 男性は「工事の仕事をやっていると東欧系の労働者と接する機会が多い。そこで武器取引の接点を持ったのではないか。取引を見たのは1回だけだが、今もやっていると思う」と話す。

 「経営者は普通の人で、武器は売るが使ったことはないはず。中産階級の彼は、摘発のリスクも少ないと思う。武器市場は、どこかに集中してあるわけではなく、分散して存在する」とも語った。

 経営者に取材の依頼をしたが、拒否された。

 一方、フランスでは移民が多く住むパリ郊外で容易に武器は手に入ると人々は口ぐちに言う。パリ北西の町セルジーに住むコンゴ共和国系の男性は武器取引の仲介ができるという。「自分でなくても、移民街に住む者は大抵、知人をたどれば行きつく」と話す。「旧ユーゴスラビアの人たちの武器が一番質がいい。自動小銃も手に入るが、銃弾が手に入りにくい。短銃は数百ユーロだが、強盗に使われた銃は半値以下になる」と語った。(ブリュッセル=杉山正)

 ■訓練受け帰国、脅威に

 ISなどの過激派組織で戦闘に参加したり、軍事訓練を受けたりした人々が帰国後にテロを起こす事件が相次ぎ、国境を越えた脅威が広がっている。

 国連安保理の専門家パネルの報告書は、ISなどに加わった外国人戦闘員の規模は「100カ国以上からの2万5千人以上」と指摘している。

 チュニジアからは最大の3千人以上がISなどの過激派組織に加わっている。AFP通信によると既に約500人が帰国したという。北アフリカで治安がよいとされていた首都チュニスでは、3月に日本人3人も犠牲になった博物館襲撃事件が発生し、実行犯は過激派組織が勢力を伸ばす隣国リビアで軍事訓練を受けていた。

 また、欧州連合(EU)各国からは過激派思想に共鳴してシリアに渡った人々は3千から5千人とされ、1千人近くが既にEU内に戻っているという推定もある。(杉山正)


4月5日 朝日新聞 朝刊より
 

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