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核廃絶を訴えつつ、核使用は黙認という日本政府は平常運転
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/308.html
投稿者 戦争とはこういう物 日時 2015 年 11 月 04 日 10:47:06: N0qgFY7SzZrIQ
 


 昨日は核廃絶を自分で訴え、今日は核廃絶決議を棄権。超大国の機嫌を伺う外交策としては有と言いたいのかもしれないが。客観的に見て、この国の態度はどう見えるのだろうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(引用ここから)
 「核廃絶を訴えつつ、核使用は黙認という日本政府は平常運転」
誰かの妄想・はてな版
 http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20151103/1446563018
政治, 外交, 軍事, 核兵器

日本政府の脳内ではこれが両立しています。昔から*1。

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日本の核廃絶決議案採択 核保有国が棄権 中国は反対
11月3日 13時04分
国連総会の委員会で、核兵器の廃絶を訴え世界の指導者に被爆地への訪問を促す、日本が提出した決議案の採決が行われましたが、欧米の核保有国が棄権したほか、中国は、広島や長崎の被害だけを強調し歴史をゆがめているとして反対しました。
 国連総会の軍縮問題を扱う委員会では2日、日本が22年連続して提出してきた核兵器の廃絶を求める決議案の採決が行われました。決議案は、核兵器の非人道性を強調し核保有国に対してより透明性が高い軍縮を求めているほか、世界の指導者に被爆地を訪れ被爆者の体験に学ぶよう、促しています。採決の結果、156か国が賛成し決議は採択されたものの、これまで賛成してきた核保有国のアメリカ、イギリス、フランスなどが棄権し、中国とロシアなどは反対しました。
 ことし5月にNPT=核拡散防止条約の再検討会議が決裂し、核の保有国と非保有国との対立が深まるなかで、核保有国の間で日本の決議案にも警戒感が広がったものと見られています。このうち中国の傅聡軍縮大使は、決議に反対した理由について「日本はことさらに広島や長崎の被害を強調する一方で、南京大虐殺などの戦争犯罪を認めていない」と歴史問題を強調しました。これに対して日本の佐野利男軍縮大使は「被爆70年の節目に広島や長崎の被害に言及するのは当然で、決議は核兵器の悲惨さを知ってほしいという未来志向のものだ」と中国に反論しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151103/k10010292861000.html
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「これまで賛成してきた核保有国のアメリカ、イギリス、フランスなどが棄権し、中国とロシアなどは反対」てのは、ある意味で安倍外交の象徴的な部分ですかね。

被爆地ご招待に熱心な日本は、一方で、「核兵器の使用禁止や廃絶のための法的枠組みづくり」には消極的。

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「核使用禁止」決議を採択 日本棄権、保有国も不賛同
2015/11/03 11:31 【共同通信】
 【ニューヨーク共同】国連総会第1委員会(軍縮)は2日、核兵器の使用禁止や廃絶のための法的枠組みづくりの努力を呼び掛ける決議案を賛成多数で採択した。唯一の被爆国として賛否が注目された日本は棄権に回った。
 128カ国が賛成し、29カ国が反対、18カ国が棄権した。五大核保有国では米英とフランス、ロシアが反対、中国が棄権した。日本は、米国の「核の傘」に依存する安全保障政策と合致しないと判断したとみられる。
 決議は核兵器の非人道性に関する議論を主導するオーストリアなどが共同提案。「いかなる状況下でも核兵器が二度と使用されないことが人類の利益」だと指摘した。
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015110301001286.html
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核廃絶を訴えつつ、日本の為に核使用することは黙認するという「美しい国」の態度です。

まあ、昔からずっとこうですけどね。

ちなみに五大核保有国中、核の先制不使用を宣言しているのは中国だけ*2ですから、現実的かつ宣言政策的に日本にとって「核の傘」が有効な相手はロシアしかありません。


中共政府は,中共がいかなるときにもいかなる状況においても,核兵器を先きに使用することはないことを厳粛に宣言する。

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPCH/19641017.O1J.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(引用ここまで)

 

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コメント
 
1. 2015年11月04日 23:03:37 : 2wjfIUjky6
福一という取返しのつかないことしておきながら
川内、伊方、高浜と続々と再稼働
こんな国が「核廃絶を訴え」て誰が信用するか
まずは全原発廃炉にしてから物言えと
笑い者になるがオチ

2. 2015年11月05日 07:34:31 : jXbiWWJBCA
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安全保障 米中がアジアで激突すればどちらが勝つか?米国ランド研究所「米中軍事スコアカード」から見えた新事実
2015.11.5(木) 渡部 悦和

米韓両軍の年次合同軍事演習「フォール・イーグル」に参加する米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」(手前、2015年3月12日撮影、資料写真)〔AFPBB News〕
米国のバラク・オバマ大統領は、中国の南シナ海人工島建設問題でようやく「航行の自由作戦」(FONOP: Freedom of Navigation Operation)の実施を決断した。 
大統領の決断に従い、米海軍のイージス艦ラッセンは、10月27日、中国が建設した人工島周辺12カイリ内を航行した。この航行自体は海洋法上認められている自由航行権の行使であり、国際法上も全く問題のない行動であるが、中国側は激しく反発している。 
そもそも根拠の全くない九段線に依拠した南シナ海における領有権の主張は論理的に破綻しているし、人工島周辺12カイリを自らの領海であるとの主張についても海洋法上否定されている。 
米海軍の作戦は極めて妥当なものであるが、これに対して中国が今後さらに軍事的に反発をエスカレートさせていくか否かが注目される。 
バラク・オバマ大統領がFONOPを決断する際には、国防省などが様々なシナリオを列挙し、数多くのシミュレーションを繰り返し、最悪のシナリオにも対処できることを確認して決断しているはずである。 
米国の国防省が実施したシミュレーションをうかがい知ることはできないが、「米国と中国がもしも南シナ海で紛争状態になったら、どちらが有利であるか?」を知りたくなる。 
この素朴な疑問に対して答えてくれるのが、ランド研究所(RAND Corporation)が最近発表した「米中軍事スコアカード」(“The U.S. - CHINA Military Scorecard”)という報告書である。 
この「米中軍事スコアカード」は400ページを超える労作である。我が国にとっても南西諸島の防衛を考える際に数多くの示唆を与えてくれる貴重な研究である。 
この大作については日本でも一部紹介されてはいるが、孫引きのような紹介で直接この大作を読み込んだとは思えない文章である。本稿においては、直接この大作を読み理解し、そのエキスを紹介したいと思う。 
結論部分の要約
まず結論を紹介したい。図1「米中軍事スコアカード」が結論であるが、一言で言えば「2017年の時点ではまだ米国の軍事力が全般的な優位を保持するであろう。 
しかし、中国本土に近い台湾紛争シナリオでは厳しい状況になり、人民解放軍(以下PLAと記述する)の航空基地攻撃能力や対水上艦艇攻撃能力が米軍に対して優位となる。 
中国本土から遠いスプラトリー諸島紛争シナリオでは米軍が全般的に優位である」ということである。その他の結論は以下の諸点である。 
●PLAは、1996年以来、長足の進歩を果たし、全般的にPLAが米軍との能力差を縮小させている方向だが、総合的な能力において米軍事力に追いつくまでには至らない。しかし、中国本土近傍を支配するためだけであれば米軍に追いつく必要はない。
●PLAは、紛争の初期において一時的および局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。特定の地域紛争におけるこの一時的および局所的な優勢により、PLAは米軍を撃破することなく限定的な目的を達成できるであろう。
●戦場までの距離と地形は米中双方の緊要な目標達成に重大な影響を与える。中国本土に近くなればなるほど米国に不利となり、米国の軍事行動に対し大きなマイナスとなる。
●中国の戦力投射能力*1は低いままであり、米国は中国沿岸から遠く離れた地域におけるシナリオではより決定的な優位性を維持している。PLAの事態対応能力と戦闘に勝利する能力は、戦闘機およびディーゼル潜水艦の無給油での行動半径を超えると急速に低下する。中国から長距離離隔した作戦は常に中国にとって不利に働く。
●しかし、中国の戦力投射能力は向上していて、中国沿岸から離れた地域における相対的戦闘力は変化しつつある点に注意が必要である。
●日本にとって深刻なのは中国の準中距離弾道ミサイル(「DF-16」射距離1000キロ、「DF-21C」射距離2500キロ)で、在沖縄米軍基地のみならず日本の全体を射程内に収めることができる。
なお、図1は米中軍事スコアカードの全体像を示すが、緑色が濃くなればなるほど米軍が有利であり、黄色は米中互角、肌色は中国有利を示している。この図でも明らかなように、米軍には台湾シナリオよりもスプラトリー諸島シナリオの方が有利である。 
図1「米中軍事スコアカード」
*1=戦力投射能力(power projection capability)は、軍事力を海外に展開し作戦する能力で、空母や長距離輸送機などが典型的な装備品である。
ランドの問題認識
そもそもなぜ、ランド研究所がこの報告書を作成したかについては以下の4点を列挙している。 
(1)1996年から現在に至る中国の軍事力増強の実態は何だったのか。そして、2017年における中国軍はいかなる様相になるのか。
(2)中国軍事力は米国の軍事力にどの程度まで迫っているのか。中国が米海軍、空軍、ミサイル戦力、宇宙ドメインでの作戦能力、サイバー戦能力、核戦力に肉薄する危険性はあるのか。
(3)中国は、台湾および南沙諸島(スプラトリー諸島)を巡る紛争において、どの戦略分野で米国に対する最大の脅威になるのか。
(4)米国は、中国との紛争において勝利するために、いかに前方展開基地を保持し、戦力を動員し、部隊防護し、能力構築をすべきなのか。
4段階の分析
「米中軍事スコアカード」では、戦術、作戦、会戦(campaign)、戦略の4段階で分析するが、中核となる分析は作戦レベルの分析である。シナリオは台湾シナリオとスプラトリー諸島シナリオの2つであり、この2つのシナリオを会戦レベルと呼んでいる。 
作戦レベルでは10個の任務分野(例えば中国の対水上艦艇戦、米軍の中国地上目標に対する航空攻撃など)における分析を行い、10個のスコアカードを作成する。 
なお、作戦レベルの分析における作戦構想としてエア・シー・バトル(現在はJAM-GCと呼称されている)を採用している。この研究を担当した「RAND Project AIR FORCE」のエア・シー・バトルへのこだわりを感じる。 
図2「4段階の分析」
10個のスコアカードの要約
スコアカード1:空軍基地を攻撃する中国の能力
中国は、現代戦における空軍力の重要性に鑑み、前方展開する米空軍基地に脅威を与える弾道ミサイルと巡航ミサイルを開発してきた。中国は今や1400発の弾道ミサイル、数百発の巡航ミサイルを保有している。 
その大部分は射程が1000キロ以下の短距離ミサイルであるが、在日米軍基地に到達する準中距離弾道ミサイルの保有数を増加させている。 
さらに重要なことは、命中精度が向上しCEP(半数必中界)が1990年代の数百メートルから今日では5〜10メートルに大幅に向上し、射距離も短距離(1000キロ以下)から準中距離(1000〜3000キロ)に伸びている。 
RANDのモデルによると、嘉手納基地(台湾海峡に最も近い米国の空軍基地)に対する比較的少数の弾道ミサイル攻撃により、紛争初期の緊要な数日間基地が閉鎖され、より集中的な攻撃の場合は数週間の閉鎖になる危険性がある。 
米国の対抗手段(防空の改善、飛行機格納庫の硬化、より迅速な被害修復、航空機の分散)により、その脅威を減少させることができる。 
しかし、米国の技術的なブレークスルーをもってしても、中国のミサイルの数と種類の増加は、米軍の前方基地からの作戦能力にとっての脅威となる。大部分の米航空機が影響を受けやすい基地か紛争地域からはるかに遠い所から出撃を余儀なくされるため、基地問題は戦場における航空優勢の獲得を複雑にするであろう。 
図3は「航空基地を攻撃する中国の能力」を示し、中国本土に近い台湾紛争において2010年に米中互角になり、2017年には中国有利になる厳しい状況を示している。スプラトリー諸島紛争においては、2010年まで圧倒的に米軍有利であったのが、2017年には米中互角の状況になることを示している。 
図3「スコアカード1」
   なお、参考までにPLAのミサイルの制圧地域の変化を図4に示す。2003年までは沖縄の嘉手納基地を制圧する弾道ミサイルなどはなかったが、2010年以降になるとDF-21Cや爆撃機「H-6」( DH-10ミサイルを搭載)の登場により日本全域のみならずグアムのアンダーソン米空軍基地まで射程内に入ったことが明瞭である。 
図4「中国第2砲兵ミサイルの脅威」
スコアカード2:台湾およびスプラトリー諸島上空での航空戦
1996年以来、米国は「F-22」および「F-35」などの第5世代機を導入してきた。一方、中国は1996年時点で大半が第2世代機であったが、今や第4世代機がPLA空軍の半数に達し、米軍との質的ギャップを縮めつつあるが、肉薄はしていない。 
1996年以来の変化のために米国は、その当時よりも数百倍の作戦上の考慮が必要になっている。米国の指揮官は、2017年の台湾シナリオで開戦から7日間作戦できる基地を見つけるのが困難になるであろう。 
そのため作戦期間を長めに考えなければいけないが、その間地上戦力と海軍戦力は脆弱な状態に置かれるであろう。スプラトリー諸島シナリオでは台湾シナリオの戦力の半分の戦力で対応が可能である 。
図5は「米中の航空優勢」を示し、台湾シナリオでは2010年まで米軍が優勢であったが、2017年には米中互角になることを示す。スプラトリー諸島紛争では2017年まで米軍の優勢が継続する。 
図5「スコアカード2」

スコアカード3:米国の中国空域に侵入する能力
中国の防空能力の向上は中国内およびその近傍での米軍の作戦をより困難にしている。1996年においては中国の地対空ミサイルはロシア製の旧式の「SA-2」であったが、2010年には約200基の高性能SAM(SA-10C、 SA-20など)を配備している。 
新式のミサイルはより洗練されたシーカーと200キロの飛距離を有している。より能力のある戦闘機と早期警戒機により中国の統合防空システム(IADS)は手強いものになっている。しかし、米国の侵入能力もステルス航空機と新SEAD(suppression of enemy air defense)機により改善している。 
「目標カバー・モデル」を使用して台湾シナリオおよびスプラトリー諸島シナリオにおける米軍の侵入能力を分析すると、全般的に中国の能力が向上し、中国の改良IADSが米軍の侵入能力を低下させている。 
米国のスタンド・オフ攻撃能力、ステルス、SEADにもかかわらず、台湾対岸地域に低いリスクで侵入し目標を打撃する能力は2017年において非常に低下する。しかし、スプラトリー・シナリオにおける米軍の侵入能力は非常に強力である。 
これは、米空軍力が台湾シナリオに比べより小さな目標でより海岸に近く配置されている中国の航空基地に指向されるからである。 
図6は「米国の中国空域に侵入する能力」を示し、台湾紛争において2017年まで米中互角の状況を、スプラトリー諸島紛争では米軍の優勢を示している。 
図6「スコアカード3」
スコアカード4:中国航空基地を攻撃する米国の能力
中国の領空に侵入することは犠牲を伴うが、特に脅威の高い台湾シナリオにおいては、1996年以来の新世代精密誘導兵器の開発が米国に新たな選択肢とより強烈な打撃能力を付与した。 
米軍はJDAM *2のような全天候の精密兵器を保有しているし、様々なプラットフォームから発射可能な射程数百キロのスタンドオフ兵器を活用できる。
台湾シナリオでは無給油で台湾の対岸にある40か所の中国航空基地を攻撃できる。1996年において米国の航空攻撃で中国の滑走路を平均8時間閉鎖できたが、2010年には2〜3日閉鎖でき、2017年においても同じ2〜3日閉鎖できる。 
スプラトリー諸島シナリオでは同諸島に近い中国航空基地を攻撃できる。いずれの年もスプラトリーのケースではすべての中国の航空基地を最初の1週間閉鎖することができる。 
ただし、対地攻撃においてはスタンドオフ兵器の在庫には制限があることに留意すべきである。 
図7は、「中国航空基地を攻撃する米国の能力」を示し、全体的に米軍の優位を示している。 
図7「スコアカード4」
*2=JDAMはJoint Direct Attack Munitionの略で、直訳すると統合直接攻撃弾。JDAMの誘導装置を装着すると無誘導弾が全天候型の誘導弾に変身させる。
スコアカード5:中国の対水上艦艇戦闘能力
PLAは、陸上に基地を置く米空軍力に打撃を与えることと、米国の空母打撃部隊に損害を与えることを重視している。中国は2000年に最初の軍事偵察衛星を打ち上げ、2007年にはOTH(over-the horizon)レーダー *3を配備した。
OTHレーダーは、中国の海岸線から2000キロまでの目標の捕捉が可能である。中国の宇宙・電子分野の発達は、人工衛星の発射のペースを向上し、高度なISR衛星の配置を可能にした。 
中国のDF-21Dなどの対艦弾道ミサイルは米海軍に新たな脅威となっている。一方、米軍は対抗手段の開発を進め、中国の対艦弾道ミサイルに対する弱点の追求はPLAに大きな脅威を与えることになる。 
対艦弾道ミサイル例えばDF-21Dは、空母キラーとして有名になったが、メディアで言われるようなミサイル1発で米空母を1撃できるという万能の兵器ではない。 
一方、航空戦力そして特に潜水艦は、相手に対しより確実に脅威を与え得る兵器になってきた。1996年から2015年の間に中国海軍のディーゼル潜水艦は2隻から37隻へ急増し、そのうち4隻は巡航ミサイルと魚雷を装備している。 
中国の潜水艦隊は1996年から2017年まで着実に発展を続け、台湾および南シナ海における紛争において米水上艦艇に対し間違いなく脅威となろう。 
図8は「中国の対水上艦艇戦闘能力」を示し、台湾紛争において2017年には中国有利になる点に注意が必要である。 
図8「スコアカード5」
*3=日本語では「超水平線レーダー」と呼ばれ、短波帯の地表波や電離層反射波を利用し、水平線以遠の艦艇等の目標情報を収集するレーダー。
スコアカード6:米国の対水上艦艇戦闘能力VS中国海軍艦艇
中国の水陸両用戦力は1996年から2017年で2倍になる。米軍が保有する中国水陸両用戦力を撃破する能力は1996年から比較すると相対的に少し低下しているが、いまだに強力である。 
中国は対潜水艦用ヘリや船舶を配置してきた。米国の潜水艦が与え得る損害は相対的に低下しているが、2017年における7日間の紛争で中国の両用戦能力の40%を破壊し得る。これは上陸部隊の組織的な統合性を破壊するものになるだろう。 
米国の巡航ミサイル搭載の艦艇・航空機も対水上艦艇戦に参加することになろうが、巡航ミサイルの開発は優先されてこなかった。しかしここ数年、高烈度の戦域のためのミサイルの開発に再び焦点が当たってきた。 
米国の中国水上艦艇に対する能力は相対的に低下してきたが、潜水艦、航空機、水上艦艇による攻撃は、中国の両用戦力と両用戦を実施し継続する能力に大きな脅威となろう。 
図9は「米国の対水上艦艇戦闘能力」を示しているが、すべてのシナリオおよび期間において米軍がPLAを圧倒している。 
図9「スコアカード6」

スコアカード7:米国の対宇宙能力VS中国の宇宙システム
2015年1月の段階で、米国は526基の衛星を運用中であり、132基の中国の衛星を凌駕している。しかし、中国は、2009年から2014年には2003年から2008年の間の2倍、1997年から2002年の間の3倍の衛星を打ち上げている。 
米国は、伝統的に作戦としての対衛星兵器の配置に消極的であった。なぜなら米国の対衛星兵器の配置は他国の同様な配置を正当化する恐れがあるし、米軍の軍事作戦は人工衛星に依存しているからである。 
しかし、2002年に従来の方針を転換し、2004年には限定的な対衛星能力(敵の通信衛星を妨害する能力)の予算を承認した。 
米軍は、軍民両用のシステム、例えばレーザー照準ステーションを活用でき、高出力レーザーシステムは中国の衛星の光学センサーを妨害できる。 
実運用上の制約や政治的考慮により破壊的な攻撃を実施することは実際には難しいが、対弾道ミサイル迎撃兵器を対衛星用の運動エネルギー兵器として使用できる。地上作戦を支援するための宇宙の利用では米国はリードしているがその対衛星能力の点では、開発途上にある。 
図10は「米国の対宇宙能力VS中国の宇宙システム」を示しているが、米国の対宇宙分野での自制もあり2003年まで中国が有利であったが、2010年以降の米国努力により米中互角になっている。 
図10「スコアカード7」
スコアカード8:中国の対宇宙能力VS米国の宇宙システム
中国は広範な対宇宙能力を追求してきた。2007年には高度850キロにある自国の衛星に対するミサイルテストで同衛星を破壊し、その対衛星能力を実証した。この実験により、この高度に存在する米国の多くの低軌道衛星は脆弱であることが明らかになった。 
2014年7月には弾道ミサイル迎撃試験を3度実施したが、対衛星兵器の試験と同高度であり、その技術も対衛星兵器に必要な技術である。しかしながら、最終的には政治的考慮、エスカレーションの危険性、中国システムの宇宙ゴミに対する脆弱性により、衛星に対する運動エネルギー兵器の使用は抑制されるかもしれない。 
より厄介なのはロシア製のジャミングシステムと高出力軍民両用のラジオ送信機である。これらは米国の通信衛星やISR衛星に対し使用可能である。中国は、米国と同様にレーザー照準ステーションを運用し、米国の衛星をかく乱したり、衛星を追跡し他の攻撃方法を容易にすることができる。 
また、米国衛星の高度・数・衛星軌道、攻撃を受けた時の機能維持力により脅威は違ってくる。ジャミングに弱い通信衛星および4基と数が少なく低軌道を飛行するイメージング・システムに対する脅威は大きい。GPSやミサイル警戒衛星については衛星機能の改善や数の増加でリスクを軽減できるかもしれない。 
図11は「中国の対宇宙能力VS米国の宇宙システム」を示すが、2010年以降米中互角である。 
図11「スコアカード8」

スコアカード9:米国と中国のサイバー戦能力
中国のサイバー戦は、米国と同盟国の主要な懸念事項になっている。中国からもたらされる悪意あるサイバースパイ活動はPLAが発信源になっている。米国のサイバーコマンドの設立は2009年であるが、中国のサイバー部隊の設立は1990年代後半である。 
しかし、米国のサイバーコマンドは、サイバー戦分野で極めて能力の高い国家安全保障局(NSA)と密接に連携し、NSAの最先端の技術を活用する利点を有する。 
サイバー戦のすべての分野(攻撃・防御のスキル、ネットワーク管理、全般的な強靭性)において米国は中国を凌駕している。 
しかし、米国の兵站分野は脆弱である、なぜならインターネットにつながる秘匿されていない一般のネットワークに依拠しているからである。 
図12は「米国と中国のサイバー戦能力」であるが、全般的に米国が優勢であるが、中国の能力は逐次向上している。 
図12「スコアカード9」
スコアカード10:米国と中国の戦略核の安定
核スコアカードでは米中どちらの戦略核が優勢であるかではなく、米中間の戦略核の安定性を評価する。相手からの第1撃に対する第2撃能力の残存性を検証した。 
中国は、路上機動の「DF-31」、「DF-31A」(ICBM)と晋級弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN-Type094)(12発のJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルを搭載)の導入により残存能力を高めている。 
そして、「DF-5」ミサイルをMIRV化し、さらに次世代の路上機動ICBM、SSBN 、SLBMを開発中である。米国も戦略核の近代化に予算を投入しているが、START(戦略兵器削減条約)と新STARTの拘束を受け核弾頭と戦略運搬システムの削減を行っている。 
以上の状況ではあるが、2017年の段階で米国が核弾頭数において13対1で優勢である。中国の第1撃はどの年度においても米国の第2撃報復能力を無効化することはできない。 
2003年において米国の第1撃に対し残存できる中国の第2撃能力はほんのわずかであったが、2010年および2017年の段階で中国の核弾頭はより多く残存することになる。そのため、中国に対する第1撃能力を削減することは考えられない。 
図13「スコアカード10」
「米中軍事スコアカード」の結論
●1996年以来、PLAは長足の進歩を果たし、米軍の改善にもかかわらず、全体的な傾向としてはPLAが差を縮小させる方向に推移している。
●軍事的な趨勢は任務分野によって違い、中国の軍事的発展が全ての分野に言えるわけではない。ある分野においては米国の進歩改善が米国に新たな選択肢を提供しているし、少なくても中国の軍事近代化による相対的バランスの変化の速度を軽減させている。
●距離(比較的短距離でさえ)が緊要な目標達成のための両者の能力に主要なインパクトを与える。中国の戦力投射能力は改善しているが、PLAの事態対応能力と戦闘に勝利する能力は、ジェット戦闘機およびディーゼル潜水艦の無給油での行動半径を超えると急速に低下する。中国から長距離離隔して作戦することは常に中国にとって不利に働くであろう。しかし、この状況は数年後には変化すると思われる。
●近さの利点がPLAに大きな利点を与える一方で、米軍の任務遂行を非常に複雑にする。この点が本研究の中核となる発見であり、能力に関するより抽象的な評価よりも作戦分析の価値に光を与えるものである。
●PLAは、総合的な能力において米軍事力に追いつくまでには至らない。しかし、中国近傍を支配するためであれば米軍に追いつく必要はない。
●今後5年から15年、米軍と中国軍はおおむね現在の傾向のまま推移し、米国の支配する地域が次第に後退していくであろう。
●PLAは、紛争の初期において一時的局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有するであろう。特定の地域紛争における一時的または局所的な優勢により、PLAは米軍を撃破することなく限定的な目的を達成できるようになるであろう。
中国の指導者は、この一時的・局所的優勢により、周辺諸国との紛争に米国が介入することを抑止できると判断するかもしれない。このことは米国の抑止力を低下させ、危機に際し、北京の軍事力の使用に関する判断を左右することになるかもしれない。 
「米中軍事スコアカード」の提言
抑止力を強化し、紛争開始時の米軍の損害を減少させ、戦争が生起した場合には勝利を確実にするための5つの提言をする。 
(1)バランス・オブ・パワーの変化は米国に不利なトレンドではあるが、戦争は北京にとっても大きなリスクであることを明確に認識させるべきである。
(2)兵器調達の優先順位において、基地の坑堪性(余剰と残存性)、高烈度紛争に最適なスタンドオフ・システム、ステルスで残存性の高い戦闘機および爆撃機、潜水艦戦と対潜水艦戦、強力ない宇宙・対宇宙能力を優先すべきである。
(3)米国の太平洋軍事作戦計画策定においては、アジアの戦略的縦深を利用し、米軍がこうむる当初の打撃を吸収し最終目標に向かって反撃を可能にする「積極拒否戦略」(active denial strategy )を考慮すべきである。中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう。
(4)米国の政軍関係者は、太平洋の島嶼諸国および南東アジア諸国との連携、戦時における潜在的アクセス権の拡大に努力すべきである。最も緊急なのはフィリピンおよびベトナムとの防衛関係を深化させることである。
また、インドネシアおよびマレーシアを含む南東アジアの南の部分の諸国との連携をしなければいけない。これは、米国により大きな戦略的縦深と米軍により多くの選択肢を提供することになる。 
(5)米国は戦略的安定およびエスカレーション問題において中国に関与する調和の取れた努力をしなければいけない。
ランド研究所の「米中軍事スコアカード」に対するコメント
以上で「米中軍事スコアカード」の紹介を終了するが、以下は筆者の本報告書を読んで気づいた点である。 
我が国の安全保障に与える影響
●本報告書には日本防衛に影響を与える記述が随所にあり、その記述を詳細に分析する必要がある。
例えば、「嘉手納基地(台湾海峡に最も近い米国の空軍基地)に対する比較的少数の弾道ミサイル攻撃により、紛争初期の緊要な数日間基地が閉鎖され、より集中的な攻撃の場合は数週間の閉鎖になる可能性がある。 
米国の対抗手段(防空の改善、飛行機格納庫の硬化、より迅速な被害修復、航空機の分散)により、その脅威を減少させることができる」などの記述である。 
特に台湾危機シナリオは日本防衛に直結する。台湾の紛争が在日米軍基地への攻撃などの形で我が国に波及したならば、日本有事になる。南西諸島の防衛をいかにすべきか、在日米軍基地を含む日本の防衛態勢をいかにすべきかを真剣に考える契機とすべきである。台湾や南シナ海の危機は日本の危機でもあるのだ。 
●ランドの研究グループは、作戦構想としてエア・シー・バトルを採用しているために、「アジアの戦略的縦深を利用し、米軍がこうむる当初の打撃を吸収し、最終目標に向かって反撃を可能にする「積極拒否戦略」(active denial strategy )を考慮すべきである。中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう」と提言しているが、この提言は重要である。
危機の当初において米空軍と海軍はPLAの打撃を避けるために後方に退避し、反撃を準備してから攻勢に出るという意味である。米国の同盟国である紛争当事国は米軍の反撃が開始されるまでPLAの攻撃に耐えなければいけない。 
「積極拒否戦略」にはそのような意味が込められている。このことは台湾やフィリピンのみならず、我が国にも当てはまることであり、米国に一方的に依存するのではなく自主的な防衛力整備や防衛努力が求められている。 
●我が国においてもランド研究所のシミュレーションを上回る分析が必要である。我が国において、どの程度の詳細かつ妥当な分析に基づき防衛力整備がなされ防衛諸計画が策定されているであろうか。
●米中の戦略核のバランスが詳細に分析されているが、我が国にとって米国の拡大抑止の信頼性の問題は重要であり、その信頼性向上の努力を今後とも日米で継続していくことが重要である。
●我が国では未だ宇宙ドメインでの作戦とサイバー戦についての認識が浅いが、米国での議論は5つのドメインすべて網羅した作戦が常態である。我が国における宇宙とサイバードメインでの作戦能力の向上が急務である。
「米中軍事スコアカード」の改善点
●現代戦は、陸・海・空・宇宙・サイバーの5つのドメイン(領域)でなされるが、それぞれのドメイン単独で作戦がなされるのではなく、すべてのドメインにまたがる作戦、つまりクロス・ドメイン・オペレーション(CDO: Cross Domain Operation)にならざるを得ない。
ランド研究所のスコアカード方式の分析を更に進化させるとすれば、CDOを考慮したよりダイナミックな分析が必要になる。 
●本報告書で取り扱わなかった陸上戦闘、情報戦、対潜水艦戦、上陸作戦、艦対艦戦闘の分析が必要である。
●米中以外の第三国(例えば日本や台湾)の作戦も加味しなければいけない。例えば、台湾シナリオで、台湾軍の作戦により米軍の来援のための時間を稼ぎ、米軍来援の有利な条件を作為することができる。
日本についても、有事における自衛隊の作戦も加味した分析が必要になってくる。なお、ランド研究所は特に日本の潜水艦戦、対潜水艦戦での協力を挙げている。 
以上のような改善点を指摘したが、膨大なエネルギーを投入して完成した「米中軍事スコアカード」を高く評価する。このようなシミュレーションなくして為政者が政策を決定することはできない。 
特に南シナ海での米中による不測事態の発生が懸念される時だけに本報告書の発表は非常にタイムリーであった。 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45158 

当面、米国核への依存は必然


3. 2015年11月05日 16:24:48 : 1BK8AtbIUI
「宇宙における電気は、私達の足の下、動物と植物や、私達の生物圏、そして宇宙の最も遠い処から確認されました。一般的に、電気は私達がプラズマを見つける何処にでもあり、そして目に見える宇宙の99.999%がプラズマの状態なので、磁気的なフィールド(磁場)と電気的な流れ(電流)は殆どあらゆる処にあります・・・」
http://chilledvodka.blog.fc2.com/blog-entry-433.html

さて、宇宙の99.999%がプラズマで、電気と磁気が何処にでもあるのに、原発を使用するのは何故でしょう?


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