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モンゴルに挑む
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 06 日 03:40:53: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 

モンゴルに挑む

(1) 商機秘める草原の国
食品・医療…中小が駆ける

 アジアの未開拓市場、モンゴルで首都圏の中小企業が先兵となって事業化に乗り出した。人口300万人強と市場規模が小さく企業の参入が厳しかったが、6月に日本と初の経済連携協定(EPA)を発効し両国のビジネスチャンスが広がった。一方で急速な民主化による政治の混乱や財政破綻懸念などリスクも伴う。大手に先駆けて、ビジネスの鉱脈を探る中小の姿を追った。


 首都・ウランバートルから北へ40キロメートル。遊牧民が暮らす大草原を車で走り抜けると、オレンジ色の小さな実を付けた木々が一面に広がる。モンゴル原産の果実、サジーだ。強い酸味が特徴で、ブルーベリーほどの粒にレモンの約8倍のビタミンCを含むとされる。


「必ず流行する」

 食品や飲料、化粧品原料などに用いられ「モンゴル人にとってはとても身近なフルーツ。栄養豊富な奇跡の実です」と栽培農家のスフバートルさんは顔をほころばせる。

 日本ではほとんど知られていないこのサジーを加工し、首都圏で販売する計画が着々と進行中。仕掛け人はモンゴルに進出する企業の支援を手がける加藤会計事務所(千葉市)の加藤武人代表だ。

 日本税理士会連合会の常務理事も務め、豊富な人脈を駆使して企業をマッチングする。2017年にも、サジーを使った食用オイルや焼き菓子などを企業と組んで順次商品化する計画だ。「健康志向が強い日本の消費者に必ず流行する」(加藤代表)と確信する。

 モンゴル発の商品を日本に輸出する一方で、同国のニッチ(すき間)市場を開拓し、日本の商品を売り込む企業も次々に登場している。

 睡眠時無呼吸症候群の治療用機器の販売を手掛ける小池メディカル(東京・江戸川)。同症候群はモンゴル出身の力士も悩んだといい「あごが小さくて体が大きい、同症候群になりやすい体形の人からの需要があるはず」(小池和夫社長)と商機をうかがう。モンゴル国内各地の病院で説明会を開催し、機器を売り込む。現地企業による代理販売も決まった。

 千葉県で50年以上フカヒレを製造する老舗の信和キンシ工場(館山市)は、ウランバートル市内に住む富裕層向けにフカヒレの煮付けなどの販売を検討中だ。別のモンゴル出身力士の好物がフカヒレと聞きひらめいた。調べるとモンゴルには隣国、ロシアのボルシチなど煮込み料理を食べる文化もあるという。「現地の企業と試食販売の機会を設けるなどして事業化につなげたい」(加藤公司社長)と意気込む。


日本で人材活用

 商品の輸出入だけでなく「モンゴルの人材を日本のサービス産業で活用できないか」と手探りする経営者もいる。

 埼玉県などに介護施設を展開するトミオケア(千葉市)は、高齢者の世話をするモンゴル人の技能実習生の受け入れを検討する。「モンゴル人は日本への留学経験者が多く、入居者やスタッフとのコミュニケーションがとりやすい」(親会社のトミオホールディングスの大沢成行社長)と考えた。専門組織を新設、早ければ来年5月にも受け入れを始める。介護業界の人手不足解消に向け「月に100人を首都圏の介護施設に送りたい」と将来図を描く。

 モンゴルは国土面積約157万平方キロメートルと日本の約4倍。一方、人口は300万人強と千葉県の約半分、1都3県の10分の1以下だ。規模が小さく大企業の進出が少ないぶん、小回りがきく中小企業が細かなニーズに臨機応変に対応できれば開拓の余地はある。

 日本の国内市場が少子高齢化で縮小に向かうなか、さまざまな企業が中央アジアの地、モンゴルでビジネスのタネを目を凝らして探している。


中国減速、影響大きく

 日本の中小企業の進出が相次ぐ一方で、足元のモンゴル経済は不透明さもある。資源国であるモンゴルは最大の輸出先、中国の経済減速によって打撃を受けた。モンゴルの実質GDP成長率(生産額による定義)は2011年の17.3%から15年に2.3%まで縮小。民間消費(平均世帯支出)も伸び悩む。

 17年にはモンゴル政府が発行した国債「チンギス債」を含む外貨建て債券が償還期限を迎え、これも懸念材料だ。7月に発足した新政権はデフォルト(債務不履行)回避に向け、国際通貨基金(IMF)などに支援要請を検討中だ。

 新興国リスクは伴うが、日本企業が成功した事例が、KDDIと住友商事が95年に始めた移動通信事業「モビコム」だ。移住生活を送る遊牧民に携帯電話がヒット。現在もモンゴルでトップシェアだ。「眠れる需要を掘り起こせば大化けできる」(モンゴル事情に詳しいSTRパートナーズの田崎正巳コンサルタント)

[日経新聞9月27日朝刊P.35]


(2) 車ビジネス開花へ種まき まず整備実習生受け入れ

 「走行距離が10万キロメートルを超えた日本車がまだこんなに人気なのか」。9月中旬、モンゴルの中古車市場を視察した自動車販売業、湯浅(千葉県松戸市)の伊藤哲哉車両管理課長は、同行した社員と顔を見合わせた。「販売を軌道に乗せるには時間がかかりそうだ」


未舗装の道を走ることも多くランドクルーザーの人気が高い


低価格中古選ぶ

 同社は経済連携協定(EPA)を追い風に日本車の輸出を検討する。だが現地では製造後10年以上経過した低価格な中古車が売買の中心だ。「当社で扱う車は中古でも、もっと新しく高価格だ。もう少し経済が発展し所得が増えないと採算が合わない」

 モンゴルでは都市化に伴い急速なモータリゼーションが進み、なかでも日本車は性能面で高い人気を誇る。道路が未整備な鉱山地帯や草原を走るための(オフロード)四輪駆動車や、燃費が良いハイブリッド車(HV)が人気だ。だが新車を買うのは富裕層が多く、大半の消費者は低価格な中古車を選ぶ。

 湯浅は「あと数年は種まきを続けたい」と、長期戦を視野に入れる。来年から日本で運営するガソリンスタンドなどでモンゴル人の技能実習生を受け入れ、車両整備などのノウハウを教える。留学生が帰国後に事業を始めることで、ビジネスの足がかりになると期待する。

 遠回りな事業から参入機会をうかがうのが同業のオートウィル(千葉県茂原市)だ。年内に現地法人を立ち上げるが始めるのは本業の自動車販売ではなく観光業だ。

 同社は関連事業として貸し切りバスで日光などを巡る観光ツアーを日本で手掛けている。今回、モンゴル人向けに、内陸国では珍しい日本の海辺を巡るツアーや、富士山などの名所をまわるツアーを検討。同社の認知度向上や現地企業とパイプを作り、将来の自動車販売に結びつける。


レクサス店開業

 モンゴルでは2017年に新空港が開業する。「他社に先駆けて観光業から参入し、本業に関連する情報もリアルタイムで収集する」(飯田克美社長)と、虎視眈々(たんたん)とチャンスをうかがう。

 一朝一夕では攻略が難しい車ビジネスの市場だが、変化の兆しもある。ローンを組んで新車に手を伸ばす中間層や、資産として高級車を買う富裕層が増え始めている。

 トヨタ自動車の輸入代理店を務め、現地の自動車事情に詳しいタバンボグドグループのバータルサイハン社長は「日本車の需要はこれからも拡大する」と強調。来年にはウランバートル市内に高級車「レクサス」の販売店も開業する。

 首都圏の企業は人材や資金など投資のリスクに見合う利益を確保するため、市場を見極め、着実に地歩を固めている。

関税撤廃、細かい条件

 現在、日本からモンゴルへの輸出額の8割超を自動車や機械、船舶が占める。EPA発効でこれらほぼ全ての品目の関税撤廃が決定。日本企業では新車や建設機械の販売拡大に期待が高まる一方で、細かい条件に戸惑う声もあがる。

 例えば現状、関税撤廃の対象となる完成車は製造から3年以内に限定。そのため日本の中古車販売業者はどこまで恩恵を受けられるか不透明だ。

 また、撤廃の適用には産地偽装を防ぐため、原産地証明書の発行などが必要。だが単価が数円〜数十円の部品を輸出する自動車部品メーカーなどにとっては、証明書の発行はかえって費用や手間がかかる。利益が削られモンゴルへの輸出が進まない可能性がある。

[日経新聞9月28日朝刊P.39]


(3)厳しい環境、農業技術磨く 中国でも通用、じわり浸透

 害虫を寄せ付けない水を使ったトマトやジャガイモ、キュウリの試験栽培が今年からモンゴル北部・セレンゲ県で始まった。特殊な装置で生成した「電解水」を畑に散布したり、水耕栽培に用いたりすれば、防虫の農薬使用が抑制できる。

 装置を開発したのは無農薬農法の海外普及を目指すJWS(東京・豊島)。すでに麦では栽培に成功、生産品目の拡大に乗り出した。同社の荒木秀行営業本部長は、目の前に広がる金色の麦畑を眺めながら「最初の挑戦の地にモンゴルを選んで正解だった」と事業を始めた2年前を振り返る。

 「モンゴルは夏と冬の気温差が80度に達するほど厳しく、地面の下は硬い岩盤に覆われて水はけも悪い」。農業には過酷な気象と土地だ。だが「不利な条件がそろっている場所で当社の技術が通用すれば、他の国でも通用する」。実際、中国・北京や四川省など各地でも、同装置を使ったリンゴやインゲンなどの栽培が広がり始めた。


日本式で青果物

 遊牧民族が住むモンゴルは長い間、羊肉や馬肉、ジャガイモなどが主食だった。1992年の民主化で海外の食文化が流れ込み、野菜や果物が食卓に上る家庭も増えている。だがまだ栽培技術が未成熟なため、青果物の大半を中国からの輸入に頼っている状況だ。「食の安全に対する意識が高い日本の農業技術を導入し、モンゴルで野菜を作りたいという声は多い」(荒木本部長)

 不動産仲介業の光栄(千葉県市原市)は14年、モンゴル西部に1000ヘクタールの農地を取得。小麦やソバの栽培を始めた。異業種から参入したのは「広大な土地があるのに加え、現地の人からの地産地消の需要を感じた」(加藤栄社長)ためだ。現在日本の農業関係者などの指導を受け生産性向上に取り組んでいる。


インフラ課題

 野菜の生産・販売を手掛けるファームドゥ(前橋市)もモンゴル国内2カ所に計38ヘクタールの土地を取得。現地のスーパー向けに青果物を生産するほか、観光客向けのイチゴハウスなども展開する。

 ただ同国の未整備なインフラは農業事業者にとって高い壁だ。かつて千葉大学発ベンチャーとして注目を集めた植物工場の「みらい」(東京・中央)。13年にモンゴルに進出したが15年に民事再生法適用を申請、撤退した。「モンゴルは電力供給が不安定で急な停電も多い。植物工場を24時間安定的に稼働して生産し続けるのは難しい」(現地の農業関係者)

 少ない農地面積で効率性や安全性を磨いてきた日本の農業技術は、海外からも関心が高い。気候やインフラなどの条件が厳しいモンゴルでの挑戦は、日本の農業が世界に打って出る突破口になるかもしれない。


千葉の梨を試験販売

 モンゴルの食生活の変化に注目するのは企業だけではない。千葉県の白井市梨業組合と白井市は15年から、ウランバートル市内のスーパーで特産品「しろいの梨」の試食販売に取り組んでいる。今年は今月17日から開始。1カ月間、4カ所で計140個を販売する計画だ。

 現地でのナシ1個の価格は日本円に換算して約1000円。15年のモンゴル都市部の平均世帯支出が約4万5千円であることを踏まえるとかなりの高級品だ。スーパーを視察した白井市役所の山本敏伸農政課長は「初日だけで34個が売れた。順調な滑り出しだ」と店頭での売れ行きに自信を深める。

 「試食したお客さんからは甘くておいしいと好評だった」(同組合の谷嶋稔副組合長)といい、今後の追加販売を検討する。


[日経新聞9月29日朝刊P.37]


(4) 空港・鉱山、飛躍のバネに 物販など裾野分野に期待

 民主化から四半世紀、モンゴル経済はめざましい発展を遂げた。急激に変化するビジネス環境に対し、インフラをはじめ社会主義だった時代から取り残された感が強い分野も少なくない。最大輸出先の中国に左右される経済構造はジェットコースターに例えられるが、安定成長に不可欠なインフラ整備などは日本の中小企業にとっても大きなチャンスだ。


牧畜が盛んなモンゴルではカシミヤ産業も潜在力の高いビジネスだ


成田の経験活用

 空の新たな玄関として2017年の開業を目指す「新ウランバートル国際空港」。事業費約500億円の大半を日本政府の円借款でまかなう一大事業だ。三菱商事や千代田化工建設などの大手企業が受注した。「成田など空港周辺で事業を営む中小企業がノウハウを生かす機会は多い」と日系企業の現地駐在員は話す。新空港内や周辺での整備、物流、飲食などの関連産業に商機が眠る。

 16年に開発が再び動き出したオユトルゴイ鉱山。地下深くに眠る金、銅などの埋蔵量は世界最大級で、5000億円規模の投資が想定される。「道路などインフラ整備の入札案件は大企業が中心でも、鉱山周辺で働く人の生活物資など、細かな需要が次々と出てくる」。STRパートナーズ(東京・千代田)の田崎正巳代表の目には裾野分野で中小の出番が広がっていると映る。

 モンゴルで未公開企業が対象の投資ファンドを運営するバットサイハン代表は「土地が広く資源豊富なモンゴルと、技術や資金を持つ日本との相乗効果は大きい」と話す。

 同ファンドには大手商社なども出資。モンゴルの企業4社に投資し、3社を日本企業と引き合わせた。カシミヤなど「規模は小さくても潜在力の高い産業は多い」(同代表)と太鼓判を押す。

 ただ、一筋縄ではいかない。神奈川県の不動産業者は2000年代に同国で大型の商業・オフィス複合施設の建設を進めていた。だが途中から条件面などで食い違いが発生し計画が頓挫。結局、建設中の施設を現地企業に引き渡して撤退した。


異なる時間感覚

 「進出後に時間感覚や考え方の違いに戸惑う」との指摘もある。「まずウランバートルに3カ月間滞在してから進出や投資を決めてください」。エイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長が社長を務める沢田ホールディングス(東京・新宿)傘下の商業銀行最大手、ハーン銀行の神辺健アドバイザーは橋頭堡(きょうとうほ)を築こうとする経営者に忠告する。

 モンゴルがイデオロギーに翻弄されたのは20世紀のこと。遊牧民の悠久の歴史からみればわずかな時間だ。蒼(あお)い空と広い国土という「ゆりかご」に育まれた、心持ちにより添うことができれば、言語や習慣の違いを乗り越えて日本とモンゴルの未来に新たな扉が開けてくる。(おわり)

 佐藤初姫が担当しました。


地方の中小も可能性

 「首都圏だけでなく地方の中小企業にとってもモンゴルは可能性がある市場だ」。経営コンサルタントで、モンゴル国立大学で教授を務めた経験もあるSTRパートナーズの田崎正巳代表はこう指摘する。

 多くの地方企業は人口約300万人のモンゴルよりもさらに人が少ない地域で事業を展開してきた。こうした企業にとっては首都圏や、大企業の進出が相次ぐタイ、ベトナムなどよりもモンゴルの方が「適正な事業規模で一定の収益を確保しやすい」という見方もある。

 人口減少が深刻な地方企業にとって事業を発展・拡大するには、モンゴルは選択肢のひとつになり得るかもしれない。

[日経新聞9月30日朝刊P.35]

 

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