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羽ばたくかインドネシア
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 11 月 03 日 02:10:04: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


羽ばたくかインドネシア
(上)大国への脱皮 足踏み
地域間で成長格差 ジョコ改革、徴税では成果

 世界第4位、2億5千万の人口を抱え豊富な資源も生かして高い成長率を実現してきたインドネシアが大国への脱皮に向け苦悩している。資源価格の下落で地域間格差が広がった。外交面では2年前に鳴り物入りで就任したジョコ・ウィドド大統領(55)の下、東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主と期待されながら調整力を発揮しきれない。インドネシアは羽ばたけるのか。

 「景気刺激策の効果が出始めた」。4〜6月期の国内総生産(GDP)が前年同期に比べ5%以上伸び、ジョコ氏は2年半ぶりの高成長に胸を張った。2016年通年の成長率は5%前後の見込み。世界経済が低迷する中で低くはないが、おおむね6%以上だったユドヨノ前大統領の2期目(09〜14年)に比べると足踏み感は否めない。


観光は活況も…

 海と伝統文化で人気の観光地バリ島のホテルは連日満室に近いにぎわいだ。同島の経済成長率は4〜6月期に7.3%に達した。ビザ免除の拡大や原油安による航空運賃下落が追い風で、中心都市デンパサールの8月小売売上高は前年同月比で38%も増えた。

 一方最近まで資源産業で活況だった地方が景気回復の足を引っ張る。石炭が豊富なカリマンタン島の都市バリクパパン。中心部にはショッピングモールが休業のまま放置されている。運営会社は「改装中だ」と言うが、再開のめどはたたない。同島の4〜6月期の成長率は1.1%に沈む。

 ビジネスマン出身のジョコ氏は、地方首長時代に徹底した現場主義と決定の早さで行政改革を断行し、14年10月に第7代大統領に選ばれた。持ち前の行動力で、外資の参入規制撤廃や燃料補助金の削減など大胆な改革を実行してきた。

 スハルト元大統領の息子で実業家のトミー・スハルト氏、大財閥のアンソニー・サリム氏……。9月に財界の大物が次々と名乗り出た。隠し財産を申告すれば多額の追徴課税や刑事訴追を免除する「租税特赦」に応じたのだ。国民のわずか1割しか納税しない現状を改め徴税強化に動く。

 陣頭指揮するのはスリ・ムルヤニ氏だ。7月の内閣改造で世界銀行専務理事から6年ぶりに財務相に復帰した。仕事が早く汚職追放でも成果を上げて一時は大統領候補とも言われたが、与党と対立して国を追われていた。ジョコ氏は同じ“におい”を持つこの剛腕女性に電話攻勢をしかけ、就任をのませた。


インフラに遅れ

 ジョコ改革に課題はないのか。看板政策として50兆円の目標を立てたインフラ整備には手間取っている。

 「計画通りやらないなら、カネを返してもらう」。いつもにこやかなジョコ氏が5月、ジャカルタに集まった地方首長に対し珍しく声を荒らげた。官僚主義がはびこる地方政府の多くが整備計画をスケジュール通り進めない現状に業を煮やした。

 最近の口癖は「常に尻をたたき、進捗をチェックする」。スピード感を持たせるのが自分の仕事だと言い切る。

 かつて貧しいアジアの代名詞だったインドネシア。GDPを購買力平価ベースでみれば、英国やフランスを抜き、15年には世界8位に達した。人口の多さも強みで、日本企業も有力投資先として熱い視線を注ぐ。

 ただ港や発電所などインフラ整備が遅れれば、資源産業から製造業やサービス業への産業転換も進まない。今は若者であふれるインドネシアも、いずれ高齢化の時代を迎える。残された時間は限られる。

[日経新聞10月29日朝刊P.6]
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(下) ジョコ外交、経済偏重 内政重視、盟主の顔見えず

 9月、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は20カ国・地域(G20)首脳会議や東アジア首脳会議などに相次いで参加し、日米中ロなど世界のリーダーと肩を並べた。

 こうしたイベントでは通常、並行して2国間会談が開かれ、むしろそちらの重要度が高いことも多い。しかしジョコ氏が会ったのはオーストラリアなどわずか3カ国の首脳。主要紙コンパスは「存在感を示せなかった」と酷評した。

 「各国で約200億ドル(約2兆1000億円)の契約を勝ち取った」。ジョコ氏は4月に欧州諸国を訪れ帰国すると開口一番こう話した。同氏が外交で重視するのは経済だ。各国に駐在するインドネシア大使には赴任国から自国企業が獲得すべき契約額のノルマを課しているという。

 短期的な数値にこだわるのは、ビジネスマン出身で地方首長として成果を出し、瞬く間に大統領に上り詰めたジョコ氏ならでは。だが、ベテラン外交官は「外交にはデータで見えないものもある」と嘆く。

 インドネシアは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内総生産(GDP)の4割を占め、人口も同じように4割に及ぶ地域大国だ。

 建国の父、スカルノ元大統領は1955年にバンドンでアジア・アフリカ会議を開き、非同盟諸国のリーダーとなった。後継のスハルト氏はASEAN結成に深く関わり、東南アジアの安定と成長に力を注いだ。

 そのASEANは2015年に経済共同体の設立を宣言。しかし次の目標を失い統合の勢いは衰えている。南シナ海での中国の海洋進出問題でもまとまれないでいる。

 タイやマレーシアは内政の混乱に悩み、フィリピンは不規則発言を連発する新大統領が就任。かつてのリー・クアンユー氏やマハティール氏のような巨星もいない。ASEAN域内で金融事業を展開するマレーシアのCIMBグループ、ナジル・ラザク会長は「インドネシアにもっと地域のリーダーシップをとってほしい」と注文を付ける。

 だがジョコ氏が関心を示すのは国内問題だ。発足当初こそ少数与党だったジョコ政権は、5月にゴルカル党を与党に取り込み、7月の内閣改造でも政敵やライバルを巧みに退けて安定した。

 ジョコ氏は就任早々「海洋国家の再興」という大方針を掲げたが、地方の港湾整備など内政課題にとどまっている。ジョコ氏のASEAN政策はみえないままだ。

 東南アジアが不安定になれば、インドネシアの成長もおぼつかない。「ASEANのリーダーという自負は多少なりともある」。日本経済新聞のインタビューでそう答えたジョコ氏。長期的な視野で地域をまとめ上げようと動き出すのか。近隣国は目をこらしている。

 ジャカルタ=鈴木淳、鈴木亘が担当しました。

[日経新聞10月30日朝刊P.5]


 

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