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電力 熱 交通のセクターカップリング  ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上 敦
http://www.asyura2.com/16/eg3/msg/111.html
投稿者 蓄電 日時 2017 年 4 月 19 日 07:06:14: TR/B2VKXCoTU6 kn6TZA
 

電力・熱・交通のセクターカップリング
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51992017.html

ドイツの新築における新しいエネルギー源とセクターカップリング
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51995818.html

40歳前後でピークになるドイツの上級管理職の給与
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51995817.html

ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51995816.html


中期的にはもともと予想されていなかった人口増加(南欧州からの大量の移住)、そして都市集中化、および経済活動の偏在化(南強)、出生率の上昇などの理由によって、2012〜14年ごろから急速に需要が増大し、2015年には大きな社会問題にまで表面化したドイツの新築需要の増大ですが、

各自治体の精力的な都市計画上の努力と市場によって、2016年の新築申請は32.9万戸までに上昇しました。

新築戸数が10年前の1.5〜2倍近くに大きくなったことで、省エネ改修のスピードが低下し続けているのは(建築市場がこちらに労力を割けず)、別の問題としてあるのですが…

ただし、住宅総数の4150万戸からみると、新築はまだまだ小さな割合でしかありませんし、今後もこの新築30万戸レベルが持続的に続けられるとはあまり考えられていません。 南欧州からの優秀な若者の移住という玉も、少子化が急速に進むギリシャやスペイン、ポルトガルなどではそもそも尽きようとしていますので、持ってあと10年というところ。

基本は、建物ストックの改修と価値を持ったままの中古住宅の流通が、今後も建築、不動産市場の中心です。

さて、今回は、まずはこれらの住宅におけるエネルギー源(主に給湯&暖房)について。

ドイツのストックにおいては、
・49.4%が天然ガス(その多くが潜熱回収型)
・26.3%がオイルボイラー(ドイツは灯油ではなく軽油)
・13.7%が地域熱供給
・6.1%がバイオマスなどその他(一部、ブリケットなど)
・2.7%が電気生炊き(別荘など年中使わないところ、他のエネルギー源確保が困難なところのみ残されている)
・1.8%がヒートポンプ(多くが地熱利用で電気式)

という形で熱源が使用されています(ここまで正確に統計が取られているのは素晴らしい!)。

ただし、2016年の新築においては、
・44.4%が天然ガス(すべて潜熱回収)
・23.8%が地域熱供給(凄いですね!)
・23.4%がヒートポンプ(地熱主体)
・5.3%がバイオマス(木質)
・0.9%が電気生炊き(別荘など)
・0.7%がオイルボイラー(軽油・潜熱回収)
・1.5%がその他

という形に変化しています。
https://www.bdew.de/internet.nsf/id/DE_Heizkostenvergleich

(今ではほぼ例外となったバイオマス、電気生炊きを除いて)、オイルボイラーは市場からほぼ消滅したことが分かります。

エネルギーシフトとセクターカップリングの話です。

基本的には、ドイツで2010年に策定されたエネルギーシフトのシナリオでは、熱セクターでは、熱消費の総量を迅速に減らし、再エネ由来の総量を上昇させることで、再エネ割合の持続的な上昇を目論んでいました。

ただし、すでに数年後には再エネ由来の要であるバイオマス資源量がこれ以上増大させられないことが露見し、(人口増加などの予定外もあって)熱消費量の総量についても、削減され続けてはいるものの、思うような削減スピードにはなっていません。

というところで2015年ごろから出てきたのがセクターカップリングのコンセプトです(電力・熱・交通の3つのセクターをカップリングすること)。


これは、

1)予想以上のスピードで上昇している電力セクターの再エネ由来電力を、高効率なヒートポンプで熱セクターで活用すること、そして、

2)地域熱供給をさらに強化し、そのヒートセンターにおいて、パワートゥーヒート(余剰電力を熱として巨大な蓄熱タンクに溜める)や各種の大型再エネ熱源、あるいは天然ガスコジェネなどを電力と熱と一体で供給運用し、それをIoT、VPPなどでつなぐことで電力系統の運用を柔軟化して、上記の電力セクターにおける変動性再エネ割合増加による影響を受け止める という形の取り組みが進められています。

ですから、まだまだ安価で、手軽な天然ガスボイラーを追い落とす勢いで、1)のヒートポンプと2)の地域熱供給が実際に急増しているのを確認できてよかったです。

ただ、まあ、民生家庭用はボリュームゾーンではないですから、これが大勢であるわけではないこともご理解ください(日本の方はこれを誤解されているケースが多いので)。 あくまで民生業務、産業などの大規模設備・消費場所が主戦場です。


ということで、VPPとは何ぞやの話もしたほうが良いのですが、

自分で書くよりも、電力の需給バランス、VPP、系統の柔軟化系のコンテンツについては、最近の環境ビジネスさんに掲載されている記事群が、ひと頃と比べると急成長して、有意義な記事が満載です。


稲垣さんナイス!
https://www.kankyo-business.jp/column/014483.php


西村さんもイイね!
https://www.kankyo-business.jp/column/014486.php


村谷氏のコラムは、村上が言い続けていることと重なりました(敬服)
https://www.kankyo-business.jp/column/014487.php


でも、以下のようなレベルの記事だった時代であると、情報格差が大きいので、村上の講演でも「スゲー!深ーい!」感を演出することは容易だったんですが、記事などでこうしたことが上がってくると、村上的にはちとやりにくい…
https://www.kankyo-business.jp/column/013208.php

でも、そんなことはどうでもよいとして、インバランスやVPPなどに対する正しい理解の情報が増えることは世の中のためにも素晴らしいことですよね。

ということで、VPPってスマートホームとか、スマグリとか、蓄電池万歳などを単に焼き直した流行の言葉だけっていう日本の状況とドイツの状況は違うんです…


そして、もう一つのセクターカップリング、電気と交通をつなぐのは当然こいつらEVで、ドイツでも、欧州でも、すでに(イスラエル、ノルウェー、中国などに比べて)遅すぎた感はあるけれども、これから快進撃が期待されています。

http://www.sonnenseite.com/de/mobilitaet/deutschlands-autobauer-wechseln-in-den-oeko-modus-54-prozent-mehr-elektroantriebe.html
 

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