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増税再延期を問う:経済成長が軌道に乗ろうとも増税が否応なく必要になろうとも消費税増税は国を衰退させる最悪の選択肢
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/493.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 6 月 06 日 04:51:24: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


※関連参照投稿

「日本はもっと活力のない国になる、子どもに割くお金はない:それはウソ、社会保障財源を消費税増税の人質にしているだけ」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/234.html

「民進 岡田代表 自民参院選公約は財源が不明確:書生レベルの岡田民進党では自民党に立ち向かうのは困難」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/233.html

「安倍首相記者会見:延期は公約違反:できる限り長く延期との考えも:解散も俎上:参議院選7月10日投票過半数61議席目標」


「消費税:民進党古川代議士「予定通りに上がるほうがサプライズ」「安倍総理はそもそも消費税を5から8に上げるのもイヤだった」」
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/588.html

「またも「ヘリコプター・マネー」論 日本、危ういタブー接近:ヘリマネは表立って必要ない一方、その実施は銀行に破滅的打撃」
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/400.html

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増税再延期を問う
(上) 出直し改革 覚悟はあるか

 安倍晋三首相が再び消費税の増税を延期する。力を欠く個人消費、中国ら新興国の不安といった逆風を受けた判断とはいえ、増税できる環境を整えられなかった首相の責任は重い。弱々しい日本の経済、財政、そして政治への信頼の回復へ時間の空費は許されない。

 「再び延期することはない。ここではっきりそう断言します」。2014年11月の安倍首相の言葉だ。この1年半は一体何だったのか。「こんな強い政権で増税できなければ、他ではおよそできない」。小林喜光経済同友会代表幹事の失望はもっともだ。

 市場は増税再延期を完全に織り込み、世論調査も増税反対の声が圧倒的に多い。今の景気では増税に耐えられないと多くの人が感じている。アベノミクスで強く経済を押し上げ、先進国で最悪の財政を徐々に立て直す筋書きは大きく狂った。

 雇用を筆頭に日本は改善しているが、世界の景気悪化が心配だ。そんな首相の論理はあべこべに聞こえる。日本の成長こそ主要国で突出して低い。国際通貨基金(IMF)は16年の実質経済成長率を0.5%とみる。危機に苦しんだユーロ圏の3分の1だ。

 日本が人材や設備を生かして得られる経済の底力、潜在成長力は0.2%程度に下がった。2年半後に本当に増税できる環境を整えるには、今すぐ底力を鍛え直す経済政策を幅広く動員しなければ、間に合わない。

 14年秋の増税延期の決定時より条件は苦しい。日本銀行が異次元緩和で買ってくれた「改革への時間」は空回りだった。黒田東彦総裁が引っ張る金融政策は明らかに余力が乏しい。第2の矢の財政は増税延期で年4兆円近い増収が見込めなくなる。大盤振る舞いの財政出動に動く余裕はない。

 第3の矢である構造改革の再点火が急務だ。環太平洋経済連携協定(TPP)を迅速に承認して海外の成長を取り込む強い経済・貿易の体制をつくる。外国人材を精力的に受け入れ、働き方改革で女性や高齢者の力を生かす。農業や労働、IT(情報技術)分野の規制緩和で成長源を育てる。全てに真剣に取り組まないと活路は開けない。

 日本の財政のゆくえも一段と不明瞭になった。

 来春に増税をして名目3%の成長を続けても、20年度に基礎的な財政収支を黒字にする財政健全化目標には6兆円足りない。増税がなければ現実味の乏しい一段と高い成長率を達成するか、別の収入を確保するか、歳出を削る必要がある。東京五輪前の特需で20年度の目標を一時的にクリアしても、長続きしない。

 消費増税を財源に少子化対策などの社会保障を充実する枠組みは事実上壊れた。高齢世代の増加で医療費や介護のコストは膨らみ、金利低下で公的年金の運用も苦しくなる。崩れる負担と給付のバランスにメスを入れずに社会保障制度を維持するのは一層困難になる。

 それなのに与党も野党も「社会保障の充実」ばかりを唱える。財源のひとつと見込まれるのは、日銀のマイナス金利政策で市場金利が下がることで浮いた国債の利払い費だ。みんなが痛みに鈍感になっている。

 デフレ脱却の遅れで日銀が打つ苦肉の金融政策。副産物である利払い費の軽減を恒久的な支出にあてるのは、将来世代にツケを回す禁じ手にほかならない。

 増税延期は甘えの政策を許す露払いではない。摩擦やあつれきを恐れずに改革を進め、将来に安定した経済と財政を引き継ぐ覚悟があるのか。「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」と力説する首相に問いたい。

(編集委員 菅野幹雄)

[日経新聞6月2日朝刊P.1]

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(中) 民力高める工夫はいつ

 「風がやんで等身大の姿に戻った」。先月、2017年3月期に4割もの営業減益になると発表したトヨタ自動車の豊田章男社長は記者会見でこう語った。

 3年半にわたるアベノミクス。金融緩和に伴う円安の進行は企業活動に「追い風参考記録」(豊田氏)ともいわれる特需をもたらした。

 政府は法人税の実効税率も下げ、産業界が窮状を訴えた「6重苦」はかなり改善した。だが、アベノミクスは企業の創意工夫を生かす規制緩和や構造改革の勢いが不十分でもあった。

 企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)。安倍晋三政権になる直前の12年6月末は上場企業平均(金融除く株式時価総額で上位1千社)が5%弱にとどまっていたが、15年12月末には政府が「最低ライン」と言及した8%弱に改善した。だが欧米企業にはなお見劣りし「上昇分は円安と過去3年間の法人実効税率の引き下げ要因が大きかった」とSMBC日興証券の圷正嗣株式ストラテジストは指摘する。

 伸び悩んだ原因は何か。同社の分析によれば、「人手不足で人件費が高止まりし、企業再編の停滞から過当競争も続いて販管費が低下しなかったため」(同)だという。

 昨年起きた東芝の会計不祥事も元をたどれば企業再編の遅れが背景にあった。不採算事業を抱えつつ、問題解決を先送りする企業がまた現れるのは避けたい。企業が姿勢を正す一方で、再編を嫌がる会社や従業員をその気にさせるようなインセンティブを政府も考えてはどうか。「事業を売ったら法人税を減らすなどの制度があれば再編の起爆剤になる」と投資ファンド、KKRジャパンの平野博文社長はみる。

 シェアリングエコノミーや「インダストリー4.0」といわれるような新しい経済への対応もまだ足りない。

 民泊の予約仲介サイトを運営する百戦錬磨(仙台市)の橋野宜恭最高財務責任者は「政府の対応が各国に比べて遅い」と話す。民泊では規制緩和を待たずに事業を本格化している企業も少なくなく、「順法意識から政府の法整備を待つ企業が割を食っている」という。

 アプリで車の相乗りを仲介する米ウーバーテクノロジーズ。先月から自家用車で人を運ぶサービスを始めたが、認められたのは公共交通機関の空白地帯である京都府内の一部だ。タクシー業界の警戒感が強く、政府の対応もやはり後手に回る。

 民泊も相乗りも世界では成長産業だ。米国では株式未公開ながら斬新な発想で企業価値を10億ドル以上に拡大した「ユニコーン」と呼ばれる企業群が勃興している。代表例が民泊のエアビーアンドビーやウーバーであり、時価総額世界一を競うアップル、グーグルなど既存勢力を脅かす存在だ。

 日本でもそうした企業が次々に誕生し、新陳代謝を起こせば、稼ぐ力が増す。解雇規制や労働時間規制の見直しなども併せて進め、生産性の低い分野から高い分野に人材を移すような雇用改革にもつなげたい。

 日本の企業には将来の成長に向けた原資がないわけではない。上場企業の手元資金はアベノミクス前後で3割以上増え、100兆円を超えた。

 ためるだけでは経済は活性化しない。政府が必要な成長戦略や構造改革を進めたうえで企業も技術革新につながる研究・開発や消費を促す賃上げ、投資を進める。

 手をこまぬいている余裕はない。消費税率を10%に引き上げる19年10月まで40カ月。それまでに生産性を向上させ稼ぐ力を伸ばさなければ、増税への道筋は整わない。
(編集委員 中山淳史)

[日経新聞6月3日朝刊P.1]

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(下) 「経済最優先」の旗は本物か

 消費増税の再延期を決め、安倍政権の幹部には達成感が漂う。「景気の先行きを心配する経営者らの声に応えることができた」。だが社会保障制度などへの国民の将来不安には、どう応えていくつもりだろうか。

 安倍晋三首相が2度目の増税延期に動く過程で、与党議員の関心は経済財政政策よりむしろ選挙戦略に向けられた。

 「首相が増税延期の表明とセットで衆院を解散する噂がある。7月は衆参同日選になる」。1月初旬に通常国会が召集されると、与野党でささやきが一気に広がった。

 首相は2014年秋に消費税率の10%への引き上げを17年4月まで1年半延期すると表明し、衆院解散に打って出て大勝した。同日選は「二匹目のどじょう」を狙う構想だと受け止められた。

 だが増税を再延期する今回の決断はいくつかの矛盾をはらんでいる。

 首相は1日の記者会見で有効求人倍率や賃上げなどのデータをあげ「アベノミクスは順調だ」と言い切った。増税延期の主な理由は「中国など新興国や途上国を中心とする世界経済の大きなリスク」と説明した。野党からの失政批判に反論するため、海外に責任転嫁した印象がぬぐえない。

 衆院解散・総選挙を最終的に見送ったのは「参院選単独でも与党は勝てる」との見立てに加え、4月に熊本地震が起きた影響が大きい。

 同日選の可能性をぎりぎりまで探った結果として与野党は浮足だち、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案や雇用の規制改革を含む労働基準法改正案などの成立が難しくなった。

 首相が重要な政策課題について自らの責任で判断し、指導力を発揮するのは重要である。しかし国会の会期末になって増税延期を表明し、与党内の調整や国会審議を軽視して選挙になだれ込む進め方は強権的だといわれても仕方ない。

 増税の再延期により12年の民主、自民、公明3党による「社会保障と税の一体改革」の合意はさらに空洞化する。

 新たに設定した19年10月の税率10%への引き上げは、18年9月末の安倍自民党総裁の任期切れより先になる。消費増税の方針を誰が引き継ぐのかは極めて不明確だ。

 7月の参院選は3年半を経た安倍政権の経済運営への評価が大きな争点となる。アベノミクスは円高是正や株高で日本経済を立て直す時間をもたらしたが、まだ十分な成長力の底上げにはつながっていない。

 首相は「経済最優先」の旗を掲げてきた。だが増税先送りだけで力強い個人消費や設備投資が戻るわけではない。「安倍1強」といわれる政治資産を何のために使うのかが問われている。政策の優先順位を明確にし、成長戦略や社会保障改革に本腰を入れるべきだ。

 民進党は増税延期を容認する一方で、社会保障の充実策は予定通り実施するよう訴える。2年間の財源は赤字国債の発行でまかなうという。

 成長力が鈍化して難しい課題が増えた先進国では、痛みを伴う政策を避け、大衆に迎合する政治の空気が強まっている。日本もポピュリズムのわなに落ちる懸念がないとは言い切れない。

 今回の参院選は18歳と19歳が新たに選挙権を得る。与野党は「次の世代」にどういう日本を引き継ぐのかという具体案をこれまで以上に積極的に競い合ってほしい。

(編集委員 坂本英二)

[日経新聞6月4日朝刊P.1]

 

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