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世界に広がる生産性の危機、その原因は? The Economist  
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 10 日 15:07:02: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

世界に広がる生産性の危機、その原因は?

The Economist

2016年6月10日(金)
The Economist

 経済を成長させる主たる要因として、労働力の増大と労働効率の上昇(つまり生産性の向上)の2つが挙げられる。多くの先進国においてはこの先20年、ベビーブーム世代が引退を迎え、労働人口は横ばいにとどまる、または減少する見込みだ。経済の成長は生産性の伸び次第となる。


 先進国における近年の生産性の伸び具合は、深い失望をもたらしている。図が示す通り、生産性の伸びは20世紀末の水準をはるかに下回る。ドットコム・ブームの時期には米国及びカナダなどで上昇が見られたが、これも長くは続かなかった。労働人口が伸びないなか、生産性の上昇率が1%程度にとどまれば、GDP(国内総生産)成長は停滞することになる。

革新的技術が生まれていないのか?

 OECD(経済協力開発機構)が発表した新しい論文は、この不可解な生産性の低迷を解明しようと、いくつかの説明を紹介している。例えば、「進歩は終わった」という主張がある。今起きているIT(情報技術)の進歩は、電気や自動車の普及ほど革命的なものではない、とする説だ。

 経済の中心が製造業からサービス業に移行したことが原因だという可能性も取り上げている。サービス業における労働生産性は、多くの場合、製造業より低いかもしれない(しかも、その仕事は自動化が難しい)。

 さらに、測定方法の問題がある。無料のインターネット検索エンジンなど一部の活動は、GDP統計に表れないことがある。サービス業の生産性は測定が難しいのだ。

 技術の果たす役割が生産性の低迷という難題の中心にある。インターネットが取引コストを削減し,企業が売上高や在庫をリアルタイムで追跡できるようになったため、1990年代後半〜2000年代初めにかけて生産性は明らかに向上した。この先、3D印刷や自動運転車の技術を企業が採用すれば、さらなる向上が期待できるかもしれない。

 しかし、ドットコム・ブーム以来、ほとんどの国において技術に対する投資(対GDP比)が停滞している。金利が記録的に低い現在の環境にあっても、魅力的なハイテクプロジェクトを目にする機会は少なくなっている。

貿易と起業が縮小している

 1996〜2004年に米国の生産性を向上させた要因は技術だけではなかったのかもしれない。もう1つ考えられる要因は、「グローバル・バリューチェーン」――多くの国のサプライヤーを結びつけるビジネスネットワーク――の広がりだ。

 グローバル・バリューチェーンに加わりたい企業は、できる限り効率を高めなければならない。そうしなければ、ライバルに取って代わられる。バリューチェーンが形成されたのを背景に、1990年代後半から2000年代初めにかけてグローバル貿易が急拡大した。

 だが、金融危機以降、貿易が拡大する勢いはGDPのそれよりずっと小さくなった。貿易拡大の鈍りがバリューチェーンの形成を停滞させ、さらに生産性の向上を低迷させているかもしれない。

 さらなる要因として、新ビジネスが生まれるスピードが落ちていることが挙げられる。中期的な視点に立って見ると、新ビジネスは古いビジネスより効率的であることが期待できる。だが最新データによると(2012〜13年)、ほとんどの国で、新たに設立される企業の割合は、金融危機前よりもずっと少なくなっている。

教育は、企業が必要とする人材を生み出していない

 労働者が持っているスキルと産業が必要としているスキルがかみ合っていないのも要因だ。2008〜09年に景気が後退した結果、より賃金の安い職に就かざるを得ない労働者が多くいた。2013年に行われた調査によると、富裕国の労働者の20%以上が、自分は今の仕事が必要とする能力以上のものを身につけていると考えていた(英国と日本では、その割合が30%を超えた)。

 労働市場が買い手市場であるため、企業は資本投資よりも雇用数を増やす道を選ぶかもしれない。

 ただし、雇用側は同時に技能不足を訴えてもいる。恐らく、西欧諸国の教育システムは、現代のビジネスが求めるスキルを身につけた新卒者を養成していないのだろう。もしかすると各国政府は、職場での訓練を増やすよう働きかける必要があるかもしれない。

 OECDは生産性の低迷を説明する上で、これまでに述べた基本的要因が、生産性の測定が困難であること以上に妥当だと考えている。低迷が長期化していること、そして、先進国と同様に途上国にも影響を及ぼしていることを鑑みてのことだ。

 生産性の低迷は、富裕国が直面する最大の問題の1つだ。だが、この問題が公の論議に上ることはほとんどない。これは注目すべきことだ。

 ドナルド・トランプ氏などの政治家たちは、国内において生産性を高める方法を考えることよりも、外国からのモノやヒトを締め出すことに目を向けている。

 政府が本気で生産性を高めようとすれば(仏政府が現在達成しようとしている労働市場改革のように)、大きな抵抗に遭う。つまり、この問題を解決するのは非常に困難なのだ。

© 2015 The Economist Newspaper Limited.
June 4th 2016 | LITANG | From the print edition
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


このコラムについて

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http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/060800085/
 

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コメント
 
1. 2016年6月10日 20:22:12 : 2FbCg9vijk : ylRMDBXhDG8[62]
既得権 楯にお上は 邪魔ばかり

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