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1人あたりGDPが世界1位の国 富豪の激白この国で税金を払う 最も困る部下は 日米のイノベーション力の格差
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/805.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 15 日 00:51:30: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

1人あたりGDPが世界1位の国
2016年07月14日(木)パスカル・ヤン (著述家)
 今回、英国のEU離脱から、欧州でにわかに注目されているのがジブラルタルだ。日本で言えば犬吠埼だけが米国の領土だと想像してみよう。とても奇妙だ。このジブラルタルは「山」という意味でアラビア語由来である。イベリア半島がイスラムに支配されていた頃、要衝の地であった岩山のことだ。スペインのものであったが、英国が奪取したままとなっている。スペインから水道電気が来ていると聞いたが、テンションが高まると心配だ。

 亡くなったダイアナとチャールズの新婚旅行のスタートはジブラルタルであったのは、英国のものだと言う示威行動だろう。平地がないので道路をまたいで滑走路ができている。定期便の中型旅客機はロンドンから飛んでいるが、離着陸の時は道路に遮断機が降りるスタイルだ。2キロ半四方の土地で英国の属領だが英国がEUのメンバーであればスペインも寛大な対応をしているが、今後はどうなることか。スペインの中にイギリスがあるのだから。


ルクセンブルク(iStock)
陸のジブラルタル

 ところで陸のジブラルタルをご存じだろうか。欧州の人は、ルクセンブルグを陸のジブラルタルと呼ぶことがある。天然の要塞という意味だろう。本来EUは、ベネルクス三国と独、仏、伊ではじめたものだ。その中で一番小さな国がルクセンブルグだ。大公が治める国で大公国が正式名称となる。

 日本人にはあまり知られていないが、知れば知るほど面白い国だ。一国としてEUのフルメンバーシップを持っている。さらにシェンゲンという言葉を知っているだろうか。ジャポニカの新聞でも少し出ている。書き手はたぶんシェンゲン村に行ったことがないのであろう。ルクセンブルグにある小さな村だ。

 欧州のメディアでは、この話で持ちきりだ。この村の名を知らないヨーロッパ人はいない。断言できる。日本人は知らない。知らないのにEU問題を論じるひとがいるが、鼻白むと言わざるを得ない。この村で調印されたシェンゲン条約のお陰で一旦域内に入ったならば、パスポート不要でどこでも好きに行ける。

 不思議な事に英国はこの条約に入っていない。したがって、空路はもちろん、列車でパリやブリュッセルからロンドンに入る場合、パスポートコントロールがある。英国はEUに参加していながらシェンゲン条約にもユーロゾーンにも入っていなかったのだ。下世話に言えば同棲中でいつでもお別れできる状態であったともいえる。逆にEUにも入っておらず、通貨ユーロとも無縁のノルウェーは、きちんとシェンゲン条約を批准している。この辺の機微はジャポニカにはわからない。

 シェンゲン村のあるルクセンブルグには数限りなく行ったことがあるが、シェンゲン村も訪ねたこともある。シェンゲン村に行ったことのあるジャポニカは少ない。新聞記者も行かずに記事にするから読者に伝わらないのだろう。
シェンゲン村は、右に石を投げるとフランスの村、左に空き缶を蹴るとドイツ領という場所。国境なんてやめよういう強い意志が見える場所だ。

甘いモーゼルワイン

 甘いモーゼルワインがとれる地域で風光明媚なところ。同じ設えの場所がスイスにもある。フランスとドイツがぶつかる場所にスイスが街を形成している。一般にバーゼルと言うが、バールと発音することも多い。かつては入国に厳しいスイスであったが、このシェンゲン条約を批准したお陰で、すいすい出入りできるようなった。パスポートもなくスイスに入国できてしまうのを知ると驚く人も多い。ジャポニカは旅情が失われると嘆くかも知れないが。

 たとえば、南フランスの最後の駅はマントンガラバンというが、そこからサンレモに向かって一駅でイタリアだ。あたかも井の頭線の神泉駅から乗って、渋谷に着く感じだが、すべてが違う。フランスの珈琲はおいしいが、さらにおいしくなる。映画「ジャッカルの日」では、逆にイタリア側からフランスに入国したが、車なので厳重な検問があったのを覚えているだろう。大陸ではジャポニカにとっては、感動すらあるこの国境越えが消えてしまった。おかげで、一旦EUに入った流民はどこの国へも流れてゆける状態なので、今回の大量移民騒動で、欧州は騒がしくなっているのだ。

 そんな条約(アグリーメント)のシェンゲン村どころか、ルクセンブルグを知らなければEUは理解できない。ルクセンブルグは、EU発起人の一人だ。属領ではなく、独立国だ。陸のジブラルタルと言われるだけあって、険しい崖の上にできた小国だ。国語はフランス語だが、家では別の言葉を話していると思う。ルクセンブルグにはいろいろな不思議がある。人口約50万人の小国とはいえ大学と中央銀行がなかったが銀行が200くらいある。

有価証券の源泉税が存在していない

 最近まで、有価証券の源泉税が存在していなかったので、近隣諸国からの利子配当受け取り客で銀行の窓口はいつも黒山であった。地下鉄はないが、バス路線は豊かで、その運転手は1000万円程度の年収だそうだ。1人あたりのGDPは世界1位なのでそんなものだろう。軍人最高位は大佐だと聞いた。兵隊の数が少ないのでそれ以上の位はできないと言うのだ。兵隊の総数を尋ねると、聞くなと言われた。もう一度聞くと、小声で450人と答えてくれた。

 それでもNATO軍の一員となっている。通貨ユーロが導入される前はルクセンブルグフランが流通していた。中央銀行がないのに、どのようにしていたのか興味がある。ルドルフ殿下の肖像の紙幣であったと記憶している。殿下が日本でネスカフェの宣伝に登場した時は驚いた。いわばおもちゃの兵隊のおもちゃの国が生き延びてゆくためにEUを作りシェンゲン条約を作っている。それぞれの国が自分の国益を最大化し、負担を最小化するところでユニオンを形成していることを忘れてはいけない。誰かが言った。学問とはダブルスタンダードにおける自己正当化だと。日本大丈夫か。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7254

 

富豪の激白「私はもう少しこの国で税金を払うと決めた」
2016年07月13日(水)桂木麻也 (インベストメントバンカー)
 「桂木さん、安倍政権の一連の内政外交の施策を見ましてね、私はもう少しこの国で税金を払っていこうと決めたんですよ」

 目の前の紳士が穏やかに語る。この紳士は個人資産1000億円を越す大富豪だ。穏やかな語り口とは裏腹に、この紳士の言葉の重みに私は震撼していた。個人所得と彼が支配する企業に課せられる税金は莫大で、私のようなサラリーマンの払うそれとは比べものにならない。


iStock
この国を見限ることを真剣に考えていた

 だが、彼が持つ票も私が持つ票も同じだ。だからこそ、税金の使い道に対する見方は当然に厳しい。使い道だけではない。自分の財産を守り子供達への資産承継に一番貢献できるのは誰か、彼はそんな目で政治家個人の能力やその集合体としての政権を見ている。安倍政権の政治を見てこの国でもうしばらく税金を払おうと決めたということだが、その前の政権ではこの国を見限ることを真剣に考えたということなのだ。自公が圧勝した今回の結果をみて、この紳士はさぞ安堵していることであろう。

 さて今から3カ月ほど前、パナマ文書が世界を揺るがした。富豪と呼ばれる人々が、多額の蓄財を税金のかからないタックスヘイブン(租税回避地)に置くことによってますます富を増やしていた構図が明らかにされたのだ。大手の金融機関には、プライベートバンキングという部署があり、プライベートバンカーと呼ばれる連中が富裕層個人やそのファミリーの資産運用の助言をしている。有価証券、不動産、金、時には絵画まで、世界には様々な投資対象物がある。お客様の求めるリターンと許容できるリスクの水準に応じて、投資対象物をアドバイスするのが仕事だ。

 投資のアドバイスと同様に大切なのが、節税のアドバイスだ。投資に関わる税金の最小化は投資家全ての共通のニーズだ。脱税ではない。合法な中でいかに税金支払いを最小化するかがプライベートバンカーの腕の見せ所なのだ。世界中の金融機関の英知の結集が、パナマ文書で暴露されたようなタックスヘイブンを活用した投資ストラクチャーなのである。

 タックスヘイブンに資産を移すことを、キャピタルフライト(資産逃避)という。当然、自国の課税当局からしたら許しがたい行為であるが、違法でない限り罰することはできない。キャピタルフライトを防ぐ規制を作れば、必ず抜け道を造って別のやり方で逃げていく。いたちごっこは続く訳であるが、冒頭の紳士のような富豪が日本から逃げていくこと自体、国に取って大きなマイナスである。

 金持ちからふんだくればいい、という発想は大衆迎合的でどこかの政党が言いそうな事であるが、その結果として大規模なキャピタルフライトが発生すれば、残された人々が苦しくなるのだ。冒頭の紳士の肩を持つ訳ではないが、高額納税者が納得して税金を払い続けられるような政治、それを今回当選した先生方にはよく理解して実践してほしいものである。

グローバルの成長信仰を捨てた英国

 ところで、パナマ文書にあがっている富豪達の多くは、グローバル経済の中で成長し、その恩恵を受けた人々だ。冒頭の紳士もこのカテゴリーに入る。彼らはいきおい経済のグローバル化を是とし、その成長こそがさらに世界を豊かにすると信じている。このグローバルの成長信仰に飛び蹴りを加えたのが、英国のEUからの離脱、Brexitである。

 これに関しては様々な解説が既に与えられているが、グローバル経済を是とする支配階級に対して、ミドル階級以下が反乱したのだというコメントが多い。自ら資本を持たない者たちは、その労働力を提供することでしか生計を立てられない。しかし、経済のグローバル化が進行する中で、自分たちより安価な労働力が地球上の最も安価な市場で調達されてどんどん送り込まれてくる。経済的な基盤を脅かされた彼らがNoを突き付けるために立ち上がった、という訳だ。

 安価な労働力を形成しているのは移民であるため、彼らへの憎悪は激しく、排斥、暴力という連鎖にもつながる。そんな人々の気持ちを代弁する極右政党が、各国で支持を集めており、フランスやオランダでもEU離脱の国民投票を呼び掛ける声が高まっている。過去20年でEUという非常に大きな構造物ができたが、その構成要素が不穏な熱量を持って振動を始めているようだ。氷に熱が加われば水になってダラダラ流れだし、さらに熱せられれば水蒸気になってまさに雲散霧消してしまう。そんな不安定さがBrexitによって顕在化してきそうな予感がある。英国内においてもスコットランドはかつて英国からの分離独立を試みたことがある。彼らこそEUとの関わりを強めたいと願う人々であり、今回の「英国の総意」としてなされたBrexitの判断に到底納得できないであろう。

 Brexitにおいて、英国の一時的なリセッションを案じる声は多い。だが私がそれ以上に心配しているのは、ヨーロッパ全体でソサエティ分断・分裂の流れが本格化し、それに起因する混乱が長期にわたって続くことだ。アラブの春では、個々の国で独裁政権を倒すことでは成果を上げたが、民主的な国家と経済の基盤を作り上げるには程遠い状態が続いている。経済的に報われなければ不満がたまり、自分以外の誰かに向かってそのエネルギーを発散させたい衝動がつのる。

 そうした中でISのようなテロ組織が跋扈し、さらに不安定さを増長していく。Brexitに前後してトルコやバグダッド、それにバングラデシュで大変痛ましいテロが発生しているが、経済のグローバル化、独裁崩壊の混乱、宗教などの様々なイシューが複雑に繋がった結果として発生しているものだと言わざるを得ない。ヨーロッパがそこまでの混乱状態になるとは考えたくないが、ユーゴスラビア崩壊の混乱は確かに存在したことは忘れてはならない。

 そのような地政学リスクは、投資家の最も嫌うリスクである。リスクが顕在化すれば新規の投資は行われないし、既存の投資も引き揚げられる。投資がなければ経済の成長もないし、雇用は生まれない。自らを守ろうとして他を排斥し続けることで混乱が続けば、そのつけは結局自分に戻ってきてしまうのだ。

60歳と、これから60年生きる人の1票が同じ

 ところで今回の参院選は、18歳からの投票が初めて認められた歴史的選挙であった。若者の様々な意見を各メディアが報じているが、7月11日の日経新聞の記事に次のようなインタビューの引用があった。回答者は19歳のアルバイトとある。

 「今の60歳とこれから60年生きる人間の1票が同じだなんて納得できない」

 率直な感想である。60歳の人編がこれまでこの国にどのような貢献をしてきたかなど考慮だにせず、これから社会のコストになって行く層と位置付け、それを支えなくてはいけない自分と対比する。そこに宿る不安と不満。そう、斯様に人間とは利己的なものである。富豪の節税ニーズも純粋な利己主義の賜物である。要は利己の塊である民意というものを、誰に託したら満足度の最大化が図れるかということだ。

 Brexitに関して最大のジョークがある。キャメロン憎しでEU離脱に一票を投じた人が、Brexitの意味ともたらす結果を理解しておらず、今になって後悔しているというものだ。これはジョークではなく、大衆迎合的なアプローチの結果がもたらした悲劇である。今の野党は力がなく、「安倍憎し」でしか攻められなかったが、それでも安倍政権の続投を支持した日本人は理性を持っているのだと安堵した。繰り返しになるが敢えて言う。当選した先生方、あなた達は利己の塊から満足を最大化する能力があると思って選ばれたのである。それを十分理解して実践して欲しいものである。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7279


 

最も困る部下は一生懸命仕事をするのに実績がさっぱりの人
2016年07月14日(木)吉田典史 (ジャーナリスト・記者・ライター)
 今回は、大手メガネメーカーで35年近く営業マンとして働き、つい最近退職した男性を取り上げる。年齢は、58歳。

 40年以上前から、厳しいノルマや・指導、育成などで知られる会社で生き抜いてきた男性がみた「上司と部下」の関係とは、どのようなものだったのか。「使えない上司」や「使えない部下」とは…。


iStock
部下のことが視界にない管理職

 部下からすると、「使えない上司」はたくさんいました。メガネメーカー業界で、首位を争う会社だったから人材の質は高いと思います。私が長年いた営業部も優秀な人が多かった。理解力も高いし、行動力もあるし、プレゼン能力も抜群。

 社員らの学歴はおおむね高く、上昇志向が強い。管理職は、本部長や役員たちのことばかりを見ていた。部下のことが視界にないのです。いざとなったら保身に走り、部下が犠牲になっていたこともあります。

 社長はカリスマ性があるし、実績はすさまじい。ワンマンだけど、抜群に優秀だから、管理職たちには神様的な存在。だから、上しか見ないという社風になってしまう。部長や本部長になると、目が上を向いて“ヒラメ顔”になっていく。

 もっとも使えない上司は、突然、「資料を出せ!」と命じる奴。会議で役員たちに見せるから、必要になるみたい。上のことだけを意識し、市場や部下の動きを日ごろから見ていない。我々、営業マンは1日に何件もの取引店などを回る。資料を突然、出せ! と言われても、アポイントメントがあるから、すぐには対応できませんよ。


大手メガネメーカーを退職した男性(筆者撮影)
ゴマすりと上の人を持ち上げる……
この2つができないと、出世はゆきづまる

 本来、管理職は、ふだんからマーケットを分析して、本部長や役員などから聞かれたら、すぐに答えられるようにするのが当たり前でしょう? だけど、そんなことができない管理職が結構いて、ゴマすり上司が出世したね。もちろん、ある程度は仕事ができるし、実績を残すことが前提ですよ。

 会社員は、人事権を持つ役員たちにいかに気にいられるか、です。ゴマすりと上の人を持ち上げる……。この2つができないと、出世はどこかでゆきづまる。優秀な社員が並ぶ大企業の場合、実力だけで昇格できるのは部長までだね。

 私も、地方の営業所長や本社の課長のとき、部下がいた。ゴマをすられると、悪い気はしませんよ。たぶん、持ち上げられて、悪い気になる人はいないだろうね。

 人事評価をするときも、誰を自分の後任にするか、誰を昇格させるか……。いずれも、土壇場ではその人を好きか、嫌いかで選んでいくものです。そんな人事が日常茶飯事だった。だから、10年ほど前から、リストラを繰り返すようになったのだと思います。労使紛争も起きていました。

 ダメになっていく会社は、まず、人事からおかしくなっていく。「なんで、こんな人が本部長になるの?」「えっ!あの人が役員に?」といった疑問が社員間で話題になります。そんなことが繰り返される。

耳触りのいいことばかり受け入れる上司こそ
“頭の悪い、使えない上司”

 理想を言うならば、部下が意見を言ったり、反対をしても、管理職は冷静に対応するべきです。部下の言い分が理にかなっていたり、メリットがあると判断すれば、受け入れなきゃいけない。ゴマすりなんていらない。耳触りの良いことばかり受け入れる上司こそ、“頭の悪い、使えない上司”だよ。

 私は関西の支社で支社長をしているとき、猛烈にがんばってくれた男性を後任にしました。年齢は私よりも一回り上だけど、ひたむきでした。そんなところを評価したのです。もちろん、彼のことを好きでしたよ。「使える部下」だったから。

学歴が高いだけでは使えない

 「使えない部下」もいました。彼は慶應義塾大学の理工学部の修士課程を修了し、新卒で入ってきた。当時、24〜25歳。そもそも、このキャリアがおかしい。なぜ、大手メーカーの研究職とか、博士課程に進まないの?わざわざ、猛烈で知られる大手メガネメーカーの、しかも、営業部ですよ。

 いざ、仕事をさせるとやはり、できない。不平や不満、そして意見とはいえない意見ばかり言っている。入社し、わずか数カ月。この時期はまずは、覚えることがたくさんある。みんな、それをこなすわけだから……。おまけに得意先受けもすこぶる悪い。

 だけど、仕事をいつまでも覚えようとしない。みんなの輪に入ろうとしない。お酒を2人で飲んだけど、1つずつに反論をしてくる。からんでくる感じだった。こんなにつまらないお酒は、35年近く働いてたった1度。なんとなくわかりましたよ。こんな奴では、教授から推薦をしてもらったり、会社から内定をもらえないだろうな、と。

 半年も経たないうちに辞めた。法律事務所の職員になった、と聞いた。少なくとも、営業には向いていないね。彼を引き取る部署もなかった。あんなのを雇ったのは、人事担当者のミス。学歴は、そこそこに高い社員が多い。“慶應の理工学部大学院”というだけでは、認められない。仕事がもっとできないと……。

 私が、「使えない部下」と感じたのは、仕事を処理するのにスピードの遅い人。動きが鈍い奴は、いい仕事はできませんね。マイナス思考の部下もダメ。何度言い聞かせても、改善しない人もアウト。最も困る部下は、一生懸命に仕事をするのに、実績がさっぱりの人。これは救いようがない……。

 「能力がない部下」をいくら叱っても、仕事はできません。人間どこかに取り柄があるもの。そこを見つけて伸ばしてあげるのが、上司の仕事とわりきることです。だけど、限界があるだろうね。頭の悪い子どもをいくら厳しく叱っても、賢くならないのと同じです。

上司も部下も自由には選べない

 実際は、上司も部下を自由には選べませんよ。もちろん、部下も上司を選べない。バカな上司に仕えてしまったら、実績を上げて、その人を出世させて、他部署に行ってもらうようにしたいね。自分がその空いた席につくのが、摩擦を起こさずに出世する唯一の方法ではないでしょうか?

 私が関西の支社で支社長をしていたときに、後任にした男性はその後も真剣に仕事に取り組みました。神様が応援してくれたのでしょうかね。運がいいことが次々とおきて、立派な成績を残しました。見事に本社の営業本部長に抜擢されましたよ。

 私はこの男性を「使える部下」と思っていましたが、私のことをどう見ていたのでしょうかね…。「使える上司」か、それとも「使えない上司」か……。彼は本部長を3年ほど務めましたが、病気になり、退職をしました。

 今、私がかつての部下と会って酒を飲むとき、「あの時は本当に(指導が)厳しかったですねぇ〜」って異口同音に言うんです。私はこう答えます。「悪かったね! でも、あの頃の私のマネジメントを真似しちゃだめだよ。“どう喝のマネジメント”は長続きしないから」。

 厳しかった元上司と30年近く経っても酒を飲んでくれる部下なんてかわいいじゃないですか……(苦笑)。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7249


 


【第5回】 2016年7月14日 鈴木智之 [スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員、三菱総合研究所研究員]

日米のイノベーション力の格差をどう克服するか

イノベーションについて日米で何が違うのか。今や大きな差となって見えるが、それはわずかな差が歳月を経て積み重なった姿でもあるだろう。シリコンバレーでの長年の経験を元に日本企業と現地の橋渡しをする架け橋ベンチャー・キャピタル、Draper Nexus(ドレーパーネクサス)の取り組みを通じて、日本人、日本企業が実践すべき、イノベーションのポイントを探る。

日米の違いとは何かを
日本企業に教える取り組み

「日本と米国の違いは何だと思いますか?」。シリコンバレーを訪れる日本人の多くが口にする、ポピュラーな質問である。しかし、この素朴で漠然とした質問に答えるのはとても難しい。少し考えれば違うことだらけ。けれども、その違いの根本にあるものは、一体何だろうか。
 創造的なオフィス空間で有名なGoogleのキャンパスを散策しながら、ある日本人がこんな疑問を口にした。「広い敷地、ゆとりのある建物、食堂、レクリエーションスペース、そういったものは、要素だけなら日本企業の地方工場などにはどれもあるように思う。これだけの違いはどこから生まれるのだろう」。

 案内するWasiq Bokhari(ワシーク・ボカリ)氏はこう言った。「大きな違いがあるとは限らない。日本人も米国人も同じように創造的だろう。ただ、1%の違いが20年積み重なれば、約20%の違いになる。3%の違いなら約80%。目に見える違いとなって初めて、人はその差を認識するようになるということだ」。
 その1%の違いには何があるのだろうか。シリコンバレーに人材を派遣する多くの日本企業は、目に見える違いを自社にもたらすことを意図している。けれども、1%×20年で積み重ねられた違いであれば、短期間で一気に追いつくのは大きなチャレンジだ。そんななか、目に見える成果を引き受けつつ、20年後のための1%の違いを日本企業にもたらそうとする取り組みが、シリコンバレーで長く活躍するベンチャーキャピタリストの中に増えつつある。

 彼らは日米架け橋ベンチャーキャピタルと呼ばれる。投資のためのファンドを日本企業からの出資で構成し、シリコンバレー流のノウハウで運用、金融的なリターンを出すほか、シリコンバレーのイノベーションに関するコミュニティーへのアクセスを提供し、出資企業の新しいビジネスへの挑戦を直接的にサポートする。
 さらに、そうした目に見えやすいメリットに加えて彼らが提供するものが、出資元の日本企業などに対して、シリコンバレーと日本の1%の違いを伝え、教育し、20年後の違いを生み出すことである。

成功するスタートアップには
歯を食いしばる根性(GRIT)がある

Draper Nexusメンバーと同社のビジネスアクセレレーションプログラム参加者@シリコンバレー(提供:Draper Nexus)
 シリコンバレーと東京の双方に拠点を置くDraper Nexus(ドレーパーネクサス)は、代表的な日米架け橋ベンチャーキャピタルのひとつだ。2011年に立ち上げた1号ファンド、続く2015年の2号ファンドを合わせた総額は$200M(約210億円)にのぼり、創業初期の、シードやアーリーステージと呼ばれるスタートアップへの投資を行う。1号ファンドからはIPOとM&Aを合わせて8件のイグジットに成功している。
 成功するスタートアップは何が違うのか。同社マネージング・ディレクターの北村充崇氏は次のように語る。「投資を行う際に標準的にチェックする項目というものはありますが、そうした数字など客観的に評価できる項目以外にも、成功するスタートアップが持っている要素はあるはずです。例えばGRIT(グリット)。これは歯を食いしばって頑張る、根性のような意味の言葉です。GoogleやSkypeなど現在は大手となった企業も、創業当初、最初の投資家からお金をもらうまでに数十回以上、Googleの場合には350回ものプレゼンテーションを繰り返しています」。
Draper Nexusマネージング・ディレクターの北村充崇氏(提供:Draper Nexus)
 北村氏は他にも、投資家を説得するストーリーや、Grow Fastといった要素の重要性を指摘する。これらについては、同社が注目する4つの事業領域や、シリコンバレー村のおきて、といった内容も含めて同社のブログで公開されている。また、スタートアップと関わりの深いベンチャーキャピタルの仕事内容や、同氏がDraper Nexusを設立した経緯についても同じくブログに公開されているので、興味のある方は一読してほしい。
 ところで、こうした話はスタートアップだけでなく、イノベーションに取り組む企業にも当てはまるのだろうか。Draper Nexusではファンドへ出資する日本企業向けに、独自のアクセラレータプログラムを提供している。冒頭のワシーク・ボカリ氏も、実は同社のベンチャーアドバイザーの一人だ。連続起業家であり、現在はGoogle Xに勤めている。
 企業の人材を対象としたアクセラレータプログラムでDraper Nexusが重視していること、それは自分の価値を知ることだと北村氏は言う。「企業が市場に提供するべき価値というのは、近年大きく変化しています。イノベーションに取り組む時、従来認識してこなかった自らの価値に気づくことは非常に重要です。例えば金融業でも、今ではお金以外の何を提供できるか、が求められる時代になっています。自分の価値を知り、相手に何ができるかを考え、相手の目線で自分の価値を捉え直し、新たな価値を探し続けること。シリコンバレーのコミュニティーにプレーヤーとして参加していくうえで、大切なことだと考えています」。

明日の成功を決めるのは
日々のProof Of Concept(概念検証)

 自分の価値を探求し続けること。その旅は、それによってどのような課題を解決したいのか、というビジョンと密接に関わる。Appleのスティーブ・ジョブズ、Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、Facebookのマーク・ザッカーバーグ。シリコンバレーのイノベーションには常に、価値や課題を探求し続けてきた人々がその中心にいる。
 著名人でなくても、新しく生まれるプロダクトやサービスには、ある社会の課題を解決したいという、強い想いがある。先日Uber Poolで乗り合わせた韓国人の青年は、自らを自閉症だと語り、自閉症の人々がもっと受け入れられる世の中を創るためのスタートアップを立ち上げていた。スタンフォードの教授とアイデアを相談するために、シリコンバレーを訪れたのだと言う。
 こうした課題に対する個人の情熱は、スタートアップのエネルギーの源泉だ。しかし、「人が大切です」、という言葉は誰しも納得するものの、では自分の会社はどうすればよいのか、という答えを示してはくれない。だがもう一歩踏み込めば、情熱を持った人が日々実践していることから学ぶことはできる。それを実践することで、逆に社内に情熱をもたらすことができるかもしれない。
 その実践のひとつに、ビジネスにおけるProof Of Concept(概念検証)があげられる。Proof Of Conceptとはその名の通り、設定した課題や、それに対する解決策のアイデアが、ニーズに合っている、あるいは新たなニーズを掘り起こすようなものであることを、何らかの方法で検証することだ。勘違いしやすいが、必ずしもプロトタイプを作ることとイコールではない。インタビューで想定ユーザーに話を聞いたり、アプリで作りたい部分を人力で補って疑似体験させたりすることなども検証の方法である。
「まごチャンネル」のユーザー体験ビデオは、そのイメージとしてわかりやすい例だろう。2015年にクラウドファンディングのMakuakeに登場し、開始50分で目標額を達成したこの商品は、スマホで子どもの動画や写真を撮るだけで、離れて暮らすご実家のテレビにすぐに届くというサービスである。
 興味深いことに、このユーザー体験ビデオには製品本体や操作説明がほとんど出てこない。しかし、その製品を中心にユーザーがどのように反応し、喜び、涙を流すかが、とてもよく表現されている。コンセプトを検証するというのは、製品の見た目形や機能ではなく、それを利用する人々の体験を掘り下げる作業である。

ボトムアップで企業内にGRITを育てる

 企業内でProof Of Conceptを実践することの効果について、Draper Nexus(ドレーパーネクサス)の北村氏は次のように語る。「大企業が新規事業に取り組もうとする時、そこには本来、企業として目指す将来像に対するビジョンが必要です。新規事業はそのビジョンを実現するための手段であり、ビジョンに対する情熱はGRIT(グリット)を産みます」。
「しかし、多くの企業がこのビジョンを曖昧にしている、あるいはビジョンから作りなおそうとして苦しんでいます。Proof Of Concept(概念検証)の実践はそれ自体ビジョンとまではいきませんが、現場の社員一人一人が目指すコンセプトを日々考えることで、ボトムアップで事業に対するビジョンを作っていける可能性につながると思います」。
 今の自分の行動は、コンセプトの検証につながっているのか。そもそも検証しようとしているコンセプトとは何なのか。検証した結果、考えていたことが正しければ次は何をするべきか。間違っているとわかったら何をするべきか。
 一人一人がProof Of Conceptを日々繰り返すこと、その小さな積み重ねは、企業の中にGRITを育て、将来の大きな違いを生み出していく、大切な要素のひとつであるだろう。

【参考資料】
1)成功できるベンチャーはなにが違うのか?我々ができること,Draper Nexus,2016年5月, http://drapernexus.com/jp/blog/svif
2)自分たちを信じてサポートしてくれた人たちのために最後までやりきりたい,Draper Nexus,2016年6月,http://drapernexus.com/jp/blog/mitch-kitamura-interview
3)まごチャンネル:https://www.mago-ch.com/

http://diamond.jp/articles/-/95193 
 

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コメント
 
1. 2016年10月17日 11:47:36 : 2VW379cp1w : IPppcihHIxM[1]
国民一人あたりの豊かさランキング1位ルクセンブルクとは?

更新日: 2015年05月17日 watermelon3さん
http://matome.naver.jp/odai/2143149040505919501

なぜ「一人あたりGDP」世界1位がルクセンブルクなのか?

ヨーロッパの小国にすぎないルクセンブルクがなぜ「一人あたりGDP」世界1位になれたのか、その理由のまとめです。大きなカギを握っていたのは...ある産業でした!
更新日: 2016年10月12日 moshi88さん
http://matome.naver.jp/odai/2145110337100254901

研究論文 岐路に立つルクセンブルグの三言語主義 高橋秀彰
https://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/06/059takahashi.pdf#search='%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B0%E5%A4%A7%E5%85%AC%E5%9B%BD%E3%81%8C%E8%B1%8A%E3%81%8B%E3%81%AA%E7%90%86%E7%94%B1'

ヨーロピアングルメの交差点、美食の国ルクセンブルク
http://www.namur.jp/about/gourmet/index.html

ルクセンブルグ大公国ステファニー皇太子妃のカーテーシーの美しさと気品
2014.11.13
http://ameblo.jp/marquisedepompadour/entry-11951264061.html


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