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タタ製鉄、独ティッセンと欧州事業統合交渉:欧州鉄鋼、再編加速も
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/876.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 7 月 17 日 05:54:35: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


タタ製鉄、独ティッセンと欧州事業統合交渉
英、合理化なら政治的圧力

 インド鉄鋼大手タタ製鉄は英国事業の完全売却の検討を中止し、英国を含む欧州事業をまとめて事業統合することで独同業ティッセン・クルップと交渉に入る。英国の欧州連合(EU)からの離脱決定で、事業環境の不透明感が強まったことが背景にある。交渉開始後も英国での合理化が浮上すれば政治的圧力を受けるのは確実。政治動向に左右される状況は続く。

赤字操業が続くタタ製鉄の英国のポート・タルボット製鉄所=ロイター

 「英国のEU離脱による不確実性などを勘案し、事業の継続可能性が高い代案を検討する」。タタ製鉄は8日夜、10時間に及ぶ役員会を経て、ティッセンとの事業統合案を軸に欧州事業の継続を模索すると発表した。

 英政府とは事前に入念な調整があった。英のジャビド民間企業・技術革新・技能相は8日朝、印ムンバイでタタ製鉄幹部らと会談。同社が新方針を発表すると「戦略的代替策を検討していることは心強い」と述べた。6月23日の国民投票前後にはタタ製鉄幹部が強行軍で渡英していた。

 同社は3月に採算が悪化した英事業の完全売却を検討すると公表。7社が買収に名乗りをあげた。だが、英のEU離脱決定で、欧州大陸への輸出関税や英国の景気など今後の事業環境が一気に不透明になった。事業を丸ごと引き受ける交渉からはすでに大半の候補が手を引いたもようだ。

 こうした状況を受け、タタ製鉄はティッセンとの交渉に軸足を移した。同社とは収益が安定しているオランダの製鉄所だけを対象に事業統合する案を検討していた。

 タタ製鉄は国民投票以前から、英政府との協議に追われてきた。同社のポート・タルボット製鉄所は英国で最大規模。その行方は英鉄鋼産業の今後を占うとされ、事業と雇用の存続を願う英政府は、年金債務の削減など様々な支援策を検討すると明らかにしてきた。

 タタ・グループは地域との共生や従業員の雇用を重視する社風で知られる。歴史的に英国とのつながりも深い。英政府による支援表明を受け、事業を継続する可能性も探ってきたとされる。

 だが、英事業が追い込まれているのは明らかだ。ポート・タルボット製鉄所は老朽化が著しく、高付加価値の製品をつくるには巨額投資が必要とされる。英政府が資金注入や年金債務削減で経営の負担を軽くしても、生産現場の競争力そのものは生み出せない。

 インド格付け大手インディア・レーティングス・アンド・リサーチのアナリスト、スダルシャン・シュリニバス氏は「タタの当初の目的は英事業の完全売却だったはず。状況が許せば決断していただろう」と話す。

 EU離脱決定後に進んだ英ポンド安が一時的に輸出の追い風になるが、今後は欧州大陸への輸出関税復活などで厳しい環境に継続的にさらされる恐れがある。

 英政府の支援方針は新首相への政権移行などで揺らぎかねない。事業が政治リスクにさらされる状況に変わりはない。

 英の鉄鋼組合は8日、タタ製鉄の新方針に対して「数千人の鉄鋼労働者やその家族の不透明感が続くことを意味する。タタは労働者のいらだちや怒りを認識すべきだ」という声明を発表した。

 統合交渉の過程で英製鉄所のリストラ案が表面化すれば、政治圧力に直面する可能性が高い。タタ製鉄は8日の声明で、新たな交渉について「協議の成功を保証するには時期尚早だ」と述べた。

 EUを巡る欧州の政治の混乱は続く見通しだ。タタ製鉄以外の企業もその動向の影響を受けるのは避けられない。

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欧州鉄鋼、再編加速も

 英国の欧州連合(EU)離脱は欧州の鉄鋼業界再編の引き金になりそうだ。タタ製鉄とティッセン・クルップが欧州の鉄鋼事業を統合すれば、アルセロール・ミタルとの「欧州2強」時代が来る。安価な中国産鋼材の流入で各社の業績は低迷しており、集約が一気に進む可能性が高まる。

 「域内の再編は避けられない」(ティッセンのハインリッヒ・ヒージンガー社長)。「欧州の競合は多すぎる」(ミタルのラクシュミ・ミタル最高経営責任者)。近年、欧州鉄鋼大手の首脳はこう訴えてきた。

 欧州での粗鋼生産能力は、タタ製鉄が主力製鉄所の合計で年1200万トン、ティッセンが同1500万トン。統合すればミタルの欧州域内の4500万トンに近づく。タタ製鉄のオランダの工場とティッセンは「自動車用鋼板を中心に競争力が高い」(日系商社)。ともに欧州大陸にあり、相乗効果は見込みやすい。

 一方、ミタルも6月30日、イタリア同業と共同で、同国最大手イルバの買収に乗り出すと発表している。ミタルは設備が老朽化したイルバを傘下に収め、最新の環境設備を導入して生産量も増やす構えだ。今年はミタル・スチールがアルセロールを買収し、今の会社が生まれて10年の節目。欧州での縮小均衡を転換し、拡大方針に転じる。

 EU発足以降の業界では、1990年代後半に欧州勢の集約、00年代半ばにミタルとタタ製鉄というインド人経営者の企業による欧州名門企業の大型買収が起きた。

 今回は再編の「第3波」。鉄鋼メーカーは「中国産鋼材への関税が低すぎる」(欧州鉄鋼協会)と主張し、欧州当局が米国に比べ中国に弱腰だと不満を強める。

 しびれを切らしたミタル、タタ製鉄、ティッセンの大手3社主導で統合に動く欧州鉄鋼業界。統合への懐疑派が勢いづく政治の流れとは逆の方向に走り出した。

 ムンバイ=堀田隆文、フランクフルト=加藤貴行、ロンドン=黄田和宏

[日経新聞7月12日朝刊P.10]

 

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