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「4通貨パー」に向かう英離脱後の世界 G20財政支出拡大へ 安倍政権は保護主義に 豪州デフレの影 FRB改革、総裁ら抵抗
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/290.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 25 日 18:09:36: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

「4通貨パー」に向かう英離脱後の世界

斉藤洋二 経済研究所代表
[東京 23日] - 欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票から1カ月が経過し、金融市場は当初のパニックモードから脱却、凪(なぎ)に入った感がある。

欧州株は開票前の水準を回復し、米国株は史上最高値の更新を続けている。半年にわたって下値を探ったリーマン・ショック時に比べれば、英EU離脱(ブレグジット)ショックの震度はひとまず軽微だったと言えよう。

ただ、相場の経験則から言えば、今後、二番底を探る可能性は否定できない。特に震源地の英国では不動産市場の下落やファンドの解約が続き、また為替市場でも英ポンドが対ドルで31年ぶりの安値を更新するなど、混乱の火種は尽きない。しかも、その被害は震源地から周縁部へと拡大。今後、もぐらたたきのようにEU加盟各国で欧州統合とは逆ベクトルの動きが顕現化しそうだ。

こうした状況下、もぐらたたきの最初の対象となっているのが、イタリアである。ブレグジット以前からくすぶっていた同国金融機関の経営不安が高まるとともに、10月に憲法改正の国民投票を控えていることから、政治の不安定化も懸念されている。

ついては、次に欧州の台風の目となりそうなイタリアの現状を整理し、さらにポスト・ブレグジットにおける新たな為替の均衡水準について考えてみたい。

<イタリア発金融危機の可能性>

世界で最も古い銀行と言われるモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)は15世紀に設立されて以来、欧州の商業活動を支え、イタリア第3位の銀行として現在に至っている。しかし、長年にわたる経済低迷を背景に、近年(特にリーマン・ショックとギリシャ危機を経て)、不良債権比率が急上昇。そこへ、欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策導入(2014年6月)という収益圧迫要因も加わって、経営環境が一段と悪化している。

このような状況下、ECBは同行に対し今後3年で不良債権を40%削減するように求めており、その対応が不安視されている。しかも、追い打ちをかけるように、ブレグジットのあおりで、株価が急落し、経営不安が高まっている。

問題を抱えているイタリアの銀行はモンテ・パスキだけではない。同国最大の銀行であるウニクレディトや2位のインテサ・サンパオロも巨額の不良債権を抱え、株価急落に見舞われている。

イタリア政府は早期に不安の芽を摘もうと公的資金による資本注入を検討しているが、ECBやEUは政府による民間資本救済に当たって投資家にも一定の負担を求めるなど様々な規制を課している。したがって、イタリア政府がどのような救済策を打ち出せるかについて株式市場はその成り行きを注視し、株価は当面、神経質な展開を続けることになるだろう。

欧州銀行監督機構(EBA)はギリシャ危機以来、欧州主要金融機関に対するストレステストを継続的に行っており、次のテスト結果は7月末に公表される予定だ。イタリア政府はその結果を見て最終判断を下すとみられているが、同国政府の危機対応は今後、欧州の主要金融機関と金融システムを安定化に導くか、不確実性を増幅させるかの分岐点になる可能性が高い。

2012年の欧州債務危機の本質は重債務国ギリシャの国債を大量保有していた欧州金融機関の経営懸念にあった。したがって、ポスト・ブレグジットにおいてもイタリアをはじめとする欧州金融機関の経営が揺さぶられ、その不安が世界に伝播するか否かが今後の金融市場にとって、最大のテーマとなるだろう。

<EU離脱ドミノの発火点>

銀行経営不安の高まりにより、イタリアが俄然注目されるところとなったが、政治的には10月に予定されている同国の国民投票が欧州の今後を占う注目材料だ。

国民投票の功罪については、究極の民主主義などと言われる一方で、感情が理性を上回り、また将来的なビジョンよりも近視眼的な結論が導かれるリスクがあることは英国の例からも明らかだ。

このようなリスクを内包しつつ行われるイタリアの国民投票は、上院の定数削減・権限縮小と県の廃止を柱とする憲法改正案の是非を問うことになる。国会・地方行政改革を目指すレンツィ首相は、国民投票で否決されれば政界を引退すると言明しており、事実上の首相信任投票と言っていいだろう。

現在のイタリアの政治情勢はその他の国々と同様に反移民感情が高まる傾向を示し、6月のローマ市長選で反体制派「五つ星運動」のラッジ氏が圧倒的支持を得て当選したように反政府・反EUの動きを強めている。この流れの中で国民投票がレンツィ首相に「否」を突きつければ、それは反EU運動としてオランダ、フランスなどへとドミノ化し、欧州を飲み込む大きなうねりとなる恐れがある。

マーストリヒト条約が調印されてすでに四半世紀近くが経ったが、この間のEUはロシアの勢力圏からの脱出を図ったバルト三国と東欧諸国の「なだれ現象」によって拡大過程をたどり、加盟国は今や28カ国まで膨らんだ。

しかし、今回英国が姿を消すことからEUは初めて縮小過程に入り、単一市場の縮小、拠出金の減少、さらには安全保障の弱体化など様々な問題が噴出することになる。その結果、ドイツはじめ加盟国の負担感が増すことから各国の不満が続出するのは必至であり、EUは従来同様に深化と拡大を続けるのは難しくなるだろう。

<1ユーロ=1ポンド=1ドル=100円>

ブレグジットにより政治・経済・安全保障などの観点から英国が大きな被害を受けることは明らかで、それに次ぐのがEUになるだろう。さらに、英国と「特別な関係」にあった米国、英国・EUに進出している日本なども間接的な被害者になるだろう。そして、逆に存在感を増すのが、EUの拡大によって、これまで圧迫されてきたロシアというのがポスト・ブレグジットの構図と言えよう。

このような図式を映して為替市場での主要通貨の動きは英ポンドが最弱で、その次にユーロが位置することになり、そしてドルと円の相対的評価は高まるだろう。その結果、ユーロドルは現行の1ユーロ=1.1ドル近辺から1.0ドル、つまりパー方向へと下落する可能性が高い。

また、ユーロポンドはユーロ買いポンド売りがさらに進んで現在の0.84ポンド近辺から将来的にパーを目指す動きを強めるだろう。つまり、ポスト・ブレグジットの為替市場は1ユーロ=1ポンド=1ドル=100円という、いわば「4通貨パー」の方向へと水準訂正を進めるのではないだろうか。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKCN10006Z?sp=true


Business | 2016年 07月 25日 11:26 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
G20、超低金利活用した財政支出拡大を議論

OECD事務局長
 
[成都(中国) 24日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務局長は24日、中国の成都で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議について、超低金利環境を活用して投資を増やし、経済成長を支援することが議論されたと述べた。会議の合間、ロイターのインタビューに応じた。

G20諸国では、一部中銀が導入したマイナス金利などの政策でも経済が上向かず、歳出拡大や構造改革に焦点が移っている。中国や日本、英国は既に財政スタンスを緩和、もしくはその意向を示している。

OECD事務局長はロイターに対して、G20ではインフラ支出拡大が活発に議論されたと指摘。そのうえで、各国政府は民間資本を導入することで、全体の投資額を膨らませることも可能との見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/g20-china-oecd-idJPKCN10505Y


FX Forum | 2016年 07月 25日 12:20 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:安倍政権は保護主義の誘惑に勝てるか=河野龍太郎氏

BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 25日] - 経済専門家のアベノミクスに対する一般的な評価は、「第1の矢の金融政策、第2の矢の追加財政は、限界に近いところまで発動されたが、潜在成長率の上昇につながる第3の矢の成長戦略は遅々として進んでいない」というものだろう。

株価は円安誘導で上昇していたが、円高の逆回転が始まると途端に、急低下した。一方で、過去2年間、経済は全く成長していないのに、有効求人倍率は四半世紀ぶりの高水準まで上昇している。この3年間で分かったことは、成長率が低いのは総需要が不足しているからではなく、潜在成長率そのものがゼロ近傍まで低下しているから、ということである。

だとすれば、マクロ安定化政策を追求するのはそろそろやめて、成長戦略に注力すべきという意見が広がっても良さそうなものである。にもかかわらず、金融市場では、ヘリコプター・マネー待望論が広がる一方、成長戦略に対する機運がむしろ萎えているのはなぜか。

それは、英国民投票における欧州連合(EU)離脱選択に象徴されるように、反グローバリゼーションのうねりが世界中で強まっているからに他ならない。世界的に経済構造改革を進めることが危険視されるようになっているのである。

つまり、先進各国で成長率が低迷を続ける中、潜在成長率の回復を狙って自由貿易や規制緩和を推進すると、その恩恵を享受できない人々の不満がさらに高まり、極右・極左勢力が台頭、政治的な不安定性が高まると懸念され始めている。

グローバリゼーションの進展を国民が比較的スムーズに受け入れてきた米英ですら、反自由貿易、反移民の政治的な大きなうねりが生じ、それが英国のEU離脱選択や、米大統領選でのトランプ現象やサンダース現象につながっている。

人々の怒りが募っている底流には、各国で潜在成長率が低下し、さらに労働分配率のすう勢的な低下によって、実質賃金が全く上昇していないことがある。インフレ率を高め成長を回復させようとした各国中央銀行の思惑は外れ、原油高や通貨安で人々の実質賃金はさらに低下、資産価格ばかりが上昇し、多くの人の目には、社会の奴雁(どがん、見張り役)であったはずの中央銀行が経済格差の拡大を助長しているように映る。

しかし、同じように成長率が低迷し、実質賃金の低迷が続く日本では、マイナス金利を導入した日銀への批判は激しいものの、政治の世界では、極右・極左勢力の台頭は見られず、安倍政権は先進国で最も安定した政権基盤を確保している。

ここで、懸念されるのが、日本の与党政治家が次のように感じているのではないか、ということだ。

「幸いにも成長戦略が進まず、日本では自由貿易や規制緩和などグローバリゼーションの影響が十分広がらなかったから、極右・極左勢力も台頭していない。人手は足りないが、移民政策も棚上げしたままである」

「一方で、事実上の中央銀行ファイナンスによる追加財政の継続によって、財政資金が多様な階層に行きわたり、社会の不満は和らげられている。米欧で観測されるような政治的不安定性を避けるには、今後も中央銀行ファイナンスによる追加財政を強化し、つまり事実上のヘリコプター・マネーに着手し、自由貿易や規制緩和、移民政策などの成長戦略については棚上げ、あるいは、保護主義的な政策に方向転換すべきではないのか」

もし、上記のような考えが広がっていれば、極めて由々しき事態である。

<新自由主義はどこを修正すべきか>

大規模な財政政策と反自由貿易路線は、まさに大恐慌後、各国で取られた政策パッケージだ。保護貿易的な政策は、他国からの安価な商品の流入をストップさせるため、物価水準を高め、インフレ醸成が可能となる。継続的な拡張財政が人々の職を生み出すだけでなく、保護主義的な政策の下で、生産拠点も国内に回帰するため、低所得者の賃金も相対的に回復する。経済格差も縮小するため、政治的には人々の支持が得られやすい政策だ。

しかし、安価で多様な商品が海外から流入しなくなると、実質購買力は大きく低下し、一国全体で見れば、人々は貧しくなる。自由貿易の下では、比較優位原則が働き、より高い付加価値を生み出す産業、つまりより高い賃金を生み出す産業に経済資源がシフトしていたが、その動きが逆転するのだから、潜在成長率は当然にして低下する。保護主義政策で、経済格差が縮小するといっても、それは縮小した一国全体のパイを皆で平等に分けるというのが実態だ。

本来、自由貿易や規制緩和で経済全体のパイを大きくするというのは、いつの時代であっても正しい政策のはずである。1980年前後にレーガン・サッチャー革命の下で開始された新自由主義的政策で修正を図るとすれば、一体どの部分だろうか。

例えばレーガン・サッチャーの新自由主義路線は、経済政策に限れば、以下の3つに分けられる。1)大きな政府の修正、自由貿易の推進、規制撤廃など、資源配分の効率化によって潜在成長率を高める政策、2)所得再分配を弱めることで、稼ぐ人のインセンティブをより高める政策、3)金融自由化によって、金融面でも資源配分の効率化を促す政策、の3つである。

まず、1番目の資源配分を効率化する政策については、時代がどう変わろうとも望ましい政策だ。限られた経済資源を、生産性の高い分野に振り向けるべく、市場メカニズムを機能させる。その過程で創意工夫が発揮され、人々が欲する新たな財・サービスが生み出される。その際、自由貿易を進め、規制撤廃を行って経済活動を自由にすることが、最も有効な手立てとなる。

ただし、自由貿易や規制撤廃を推進すると、スキルの高い人への経済的評価はより高まるが、スキルの低い人への経済的評価はより低下する。グローバリゼーションの影響だけでなく、スキル偏向型のイノベーションが世界的に広がっているため、スキルの高い人により有利に働き、所得格差が一段と広がる。

これにどう対応するか。経済学は、まず自由貿易や規制緩和の推進で、経済全体のパイを可能な限り高めた上で、その後、インセンティブを大きく歪めない範囲で所得再分配を進めよと教えてきた。しかし、この35年余り、各国で続けられてきたのは、所得再分配についても、より稼ぐ人のインセンティブを高めることで、全体のパイの拡大を狙った政策である。グローバリゼーションやスキル偏向型のイノベーションの進展によって格差が拡大するのに、所得再分配でそれをさらに助長した可能性がある。

この問題について、1990年代以降の日本では、低所得者も高所得者も全員が沈んでいるのであり、経済格差は拡大していないという主張もある。しかし、グローバリゼーションの進展で、もともと正規雇用でも解雇が容易であった米国を除くと、日本を含め世界中で非正規雇用が増大した。日本でも所得の分散が広がったのは間違いない。

また、多くの国では、増大する非正規雇用に対し、様々なセーフティネットが拡充されている。例えば英国では、ブレア時代にグローバリゼーションに対し、セーフティネットの拡充や人的資本を高めるニューレイバー政策が進められた。しかし、正規社員が転落しないように構築されてきた日本のセーフティネットは、非正規雇用のサポートが今でも十分ではない。

というのも、そもそもセーフティネットを供給してきたのが政府ではなく企業だったためだ。資本市場からの強いプレッシャーにさらされるようになった企業経営者は、労務コストの大きい正規雇用を絞り、セーフティネットを用意する必要のないコストの安い非正規雇用のウエイトを高めるようになった。

問題はマクロ経済にショックが訪れた場合、社会全体でリスク分担ができないと、リンクの弱い部分にばかり皺(しわ)寄せが行き、マクロ経済そのものもショックに対し脆弱になることである。不安を抱えた人が増えれば、消費が回復しないのも当然だろう。公共財としてセーフティネットを拡充する必要がある。

<豊かな高齢者は負担側に回るべき>

重要なのは、経済全体のパイを大きくするための規制緩和、自由貿易路線はあくまで維持し、その過程で生じるリスクを社会全体で分担するという視点である。そうした意味で、一億総活躍プランの方向性は妥当だが、問題は財源だ。現在の日本の社会保障制度は、高齢者へのサポートが優先され過ぎている。

医療、介護、年金を通じ豊かな高齢者までサポートを続けていては、セーフティネットの拡充を含め現役世代の困窮者をサポートすることができなくなる。高齢者へのサポートをスリム化し、それを財源に現役世代の困窮者のサポートに利用するのは不可欠だ。

例えば、基礎年金の半分は国庫負担で成り立っているのであるから、一定以上の所得がある人への減額は許されるはずである。本来の社会保障の趣旨に立ち返り、世代にかかわりなく困窮した人をサポートし、高齢者でも豊かな人は負担側に回るという制度に切り替えなければならない。

自由貿易や規制撤廃の推進は、既得権益層と闘うことを意味し、強力な政治基盤を必要とする。また、非正規雇用にセーフティネットを広げるなど、現役世代の困窮者をサポートすることには異論は少ないと思われるが、その財源として、豊かな高齢者への社会保障サービスの削減を求めると、政治的反発は高まる。打ち出した途端に、多くの高齢者が既得権益層に転じる。

しかし、強力な政権基盤が存在する安倍政権であるからこそ、そうした改革の推進が可能なのではないか。安倍政権は高い成長によって問題を解決するというが、この3年間を振り返っても、高い成長の達成は容易ではない。低い成長の下でも持続可能な社会保障制度、財政制度を構築するというのが筆者の持論である。

<学部教育ではもはや不十分>

自由貿易路線を推進するうえで、もう1つ重要な政策がある。それは、人的資本を底上げすることだ。自由貿易の進展やスキル偏向型イノベーションが続くことで、スキルの高い人の賃金は相対的に上昇するが、スキルの低い人の賃金は相対的に低下すると述べた。所得再分配である程度是正するとしても、インセンティブへの悪影響を考えると再分配を強化するにも自ずと限度はある。自由貿易やスキル偏向型イノベーションの進展でより大きなメリットを享受し得るスキルの高い人材を増やさなければならない。そのためには教育改革が必要である。

戦後、日本の教育制度はほとんど変わっておらず、学部までの教育で「一般知」の習得を終える人が今でも圧倒的多数である。しかし、より革新的な財・サービスを生み出すには、理科系のみならず、欧米のように文科系についても大学院教育を普及させ、人的資本を拡充する必要がある。

1950年代以降、平均寿命が20年以上も長くなり、人生における就業可能期間が長期化していることを考えると、学部教育ではもはや十分とは言えない。日本の場合、教育セクターは政府が強い規制を設けているため、広い意味で言えば、これは政府の失敗である。規制緩和、規制改革によって、時代の要請に応じた教育サービスの供給を可能とすることが、人的資本を高め、経済全体のパイを拡大させる。

マイナス金利やゼロ金利を活用した新幹線網の大規模な整備などが謳われている。中央銀行ファイナンスによる大規模財政、つまり事実上のヘリコプター・マネーで日本経済を活性化せよ、というのである。しかし、人口が減少し、社会インフラへの需要が減少している日本にとって、それらは喫緊の課題なのだろうか。そうした政策を進めることが、果たして潜在成長率を高めることにつながるのだろうか。答えは明らかだろう。

なお、金融自由化に関しては、貿易自由化とは全く性質の異なるものであり、その推進は、むしろマクロ経済に不安定性をもたらすと筆者は常々考えている。近年、金融イノベーションと呼ばれていたものの多くは、後知恵で考えれば、バブルの元凶となった。そもそも銀行業はシステミックリスクを内包するため、規制が不可欠である。

グローバリゼーションが貿易自由化、規制撤廃を意味するのなら、筆者は引き続きグローバリゼーション支持派である。しかし、それが金融資本主義の席捲を意味するのなら、支持はできない。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN1000LT


 


 
News | 2016年 07月 25日 11:48 JST 関連トピックス: トップニュース
アングル:豪州に忍び寄るデフレの影、小売店で値下げ常態化

[シドニー 25日 ロイター] - オーストラリアは小売店間の価格競争激化で値下げが常態化しており、デフレの影が忍び寄りつつある。オーストラリアはまだ物価が全面的に下落する完全なデフレ状態には陥っていない。しかし各種データからは大方の見方よりもデフレの危険が迫っていることが読み取れる。

重要なのは値下げの拡散ぶり。価格低下は消費者にはありがたいことだが、買い控えが広がれば日本型のデフレに落ち込むとの懸念が一部で浮上している。

コモンウェルス銀行のチーフエコノミスト、マイケル・ブライズ氏は「まだデフレ状態ではないが、低インフレ状態があと数年間が続けば人々の物価見通しに反映され、デフレに陥る」と話す。

背景には外資系企業の市場参入による小売り大手間の価格競争激化がある。

複合企業ウェスファーマーズ(WES.AX)傘下のコールズや最大手ウールワース(WOW.AX)などのスーパーマーケットは値下げが当たり前になった。

コールズのマネジングディレクターのジョン・ダーカン氏は「今後5年間は値下げが続くだろう」と話す。

米インターネット小売り大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が来年、うわさ通りオーストラリアの食品サービス市場に参入すれば、値下げ競争は一段と激しさを増しそうだ。

オーストラリア経済は、表面的には問題はないようにみえる。今年3月までの1年間の国内総生産(GDP)は3.1%増と高い成長率を達成し、失業率は6%を割っている。

しかしインフレと賃金の伸び率はいずれも過去最低水準だ。1─3月期の消費者物価指数(CPI)は前期比でマイナスとなり、世界金融危機が発生した2008年以来で初の低下となった。小売売上高は低迷し、消費者信頼感指数も悪化している。

企業は販売価格の低迷で利幅が低下し、コスト削減を迫られている。経済全体に節約ムードが広がり、賃金、雇用、投資、調査、出張などの支出がすべて削られている。

27日発表の4─6月期CPIはインフレがさらに鈍化したことを示しそうだ。

シティのチーフエコノミストのポール・ブレナン氏は「労働市場からは低インフレ状態が根付いた兆しが読み取れる」と指摘。企業は世界的に価格競争力を失い、賃上げに抵抗しているとした。

その上で「既に債券市場は世界的に低成長、低インフレ環境を織り込んでおり、オーストラリアもこうした流れと無縁ではいられない。つまりオーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は景気が比較的良好であっても政策金利を世界的な水準まで引き下げざるを得ないだろう」と述べた。

(Wayne Cole、Swati Pandey記者)
http://jp.reuters.com/article/angule-australia-retail-idJPKCN10507B


 


FRB組織改革案、連銀総裁らが抵抗
ワシントンのFRB本部 ENLARGE
ワシントンのFRB本部 PHOTO: CHUCK MYERS/TRIBUNE NEWS SERVICE/ZUMA PRESS
By MICHAEL S. DERBY
2016 年 7 月 25 日 11:30 JST

 米国では、銀行出身者が連邦準備制度理事会(FRB)の運営や政策に影響を及ぼしている現状を見直す必要があるとして、100年の歴史がある連邦準備制度の改革を求める声が高まりつつあるが、これに地区連銀総裁らが抵抗している。

 大統領選挙の民主党候補指名が確定したヒラリー・クリントン氏と同党の政策綱領案も、左派活動家らが求めるFRBの組織改革を求めている。こうした動きは今週フィラデルフィアで開催される民主党全国大会で新たに注目される可能性がある。

 問題となっているのは12地区連銀における民間銀行の役割だ。連銀は金融機関の監督や金融サービスの提供を担当しているほか、FRBの金融政策判断に加わっている。

 法律に基づき、民間銀行が各連銀理事会の理事9人中6人(民間銀行と銀行以外から3人ずつ選出)を選出している。残りの3人はFRB理事会が選出する。

 この構成を巡っては、利益相反を生む恐れがあり、キツネに鶏小屋の番をさせるようなものだとの批判が出ている。FRB幹部の顔ぶれが多様性を欠くとの弊害を招いているとの声もある。

 クリントン陣営は5月、「連銀理事会から銀行出身者を排除するといった常識的な改革が長く手付かずのままとなっている」と指摘した。

 FRB幹部らは最近の講演やインタビューで現行制度は効率的との見方を示しているが、イエレン議長は2月の議会証言で「当然ながら、FRBの組織構造としてどのような形がふさわしいかを検討するのは議会に委ねられている」と語った。

 一方、連銀の当局者らは、利益相反が生じることはないとの考えを示してきた。連銀理事らは銀行監督業務には関与しておらず、民間銀行を代表する理事は連銀総裁の選出にも参加していないと指摘している。また、銀行業界と密接な関係を築くことは重要と当局者らは受け止めている。

 フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、同地区の銀行関係者の大半が所属しているのは中小銀行であり、規制当局の不安材料となりかねない大手金融機関ではないと述べた。

 同総裁は「ペンシルベニア州の小さな街の銀行関係者が(地域の状況について)大変重要な示唆を提供してくれている」とし、「そうした示唆を失うことを懸念している」と述べた。

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は5月、FRBの金融政策行動に関して独立性を維持することと、物価の安定および雇用の最大化というFRBの目標を実際に達成することの両面で、「現行制度は実にうまく機能している」と述べた。

 一部で改革を求める声が出ている別の問題は、連銀の半官半民という地位だ。FRB理事会は、連銀を最終的に監督する完全な政府機関だ。だが、民間銀行が連邦準備制度の加盟銀行となる場合、連銀の株式保有が義務付けられ、結果として連銀から配当を受け取る。そのため、民間銀行はある意味では連銀を所有していると言えるが、保有株式を移転ないし売却することはできない。

 左派系市民団体「フェド・アップ(Fed Up)」のアディ・バーカン氏は、米国の唯一の規制機関であるFRBが規制対象である(銀行)業界に所有されているという状況は全く弁解の余地がないと述べた。

 FRB当局者らは、批判的な向きはFRBの所有構造を誤解していると言う。クリーブランド連銀のメスター総裁はインタビューで、経済的に多様な国で優れた政策判断を行うために必要な独立性を確保する上で、連銀の準民間機関という地位が役立っていると述べた。連銀が完全に政府の一機関となった場合、政府・議会の影響力が強くなり、政策議論に政治的な影響が及ぶ恐れがあるとメスター総裁は警戒している。

 同総裁は「確かに、銀行は(FRBの)株式を保有している」とし、「だが、法人という意味でFRBを保有しているわけではないはずだ。それは、FRBがその構造の一部として地区代表者であることを確かなものにしている」と述べた。

 リッチモンド連銀のラッカー総裁も、連銀が純粋な政府機関になれば、政策判断に悪影響が及ぶとの考えが一時的に強まると懸念している。

 フェド・アップは、元FRB高官で現在は米ダートマス大学の教授を務めるアンドルー・レビン氏と共同で連銀の政府機関化案をまとめた。この提案は、銀行出身者に割り当てられた連銀理事ポストをなくし、連銀理事会とFRB理事会の全てのポストの選出過程を公表するよう求めている。

 レビン氏は、現在議論中の主要な改革案のほぼ全てをFRB当局者らが拒否しているように見られることは少し不可解だと述べた。当局者らが「この議論に携わるのを先送りしすぎれば、最終的な結果にあまり影響を与えることができないかもしれない」と忠告した。

 フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「何か変更するときには必ず意図せぬ結果が生じる」と懸念を表明した。

 だが、フェド・アップのバーカン氏は「(連邦準備)制度がいまよりも悪くなる可能性があるのは確かだが、われわれは良くなるだろうと思っている」と反論した。

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コメント
 
1. 2016年7月26日 01:16:08 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[806]
クリントンが言い出すのは、不思議だな〜

なんか意図があるのだろうか?


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