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地銀の半数超、25年3月期に本業赤字 金融庁が試算
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 9 月 20 日 03:57:46: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


地銀の半数超、25年3月期に本業赤字 金融庁が試算
人口減や低金利響く 「薄利多売」転換促す

 金融庁が全国106の地方銀行の貸出業務に伴う収益見通しを試算したところ、2025年3月期に赤字に転じる地銀が半数超にのぼることが分かった。人口減少に低金利が重なることで利ざやの縮小が加速。経費をまかないきれない地銀が相次ぐと予測した。預金を集めて貸し倒れリスクの低い取引先に貸し出す「薄利多売」の収益モデルからの転換を促す。


 金融庁はこれまで合併や統合などの再編を地銀の体質強化に向けた有力な選択肢として掲げてきた。財務基盤が弱い地銀にとってはなお有力な選択肢だが、「再編すれば収益力が高まるわけではない」(幹部)として、持続可能な収益モデルづくりを最優先にした行政に軸足を移している。近く発表する「金融レポート」で試算結果を示し、各行の取り組みを促す。

 試算では25年3月時点の人口予測に基づいて預金残高と貸出残高を算出し、預金を貸し出しに回して得られる預貸金利ざやを推計。手数料収入や営業経費を加味したうえで収益率を試算した。

 本業である貸出業務に伴う収益率がマイナスになる地銀が全体の半数超にのぼった。マイナス幅が0.2%以上となるのは10行程度。逆に収益が増える見通しなのは全体の4割程度だった。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では働き手となる15〜64歳の「生産年齢人口」は25年時点に7千万人に縮小する。金融庁はこれによって貸し出し需要が減少する一方、高齢化に伴い預金が減るスピードは緩やかにとどまるとみている。

 一般的に預金をどれだけ貸し出しに回しているかを示す預貸率(現在は約70%)が下がると利ざやの縮小傾向は強まる。預金残高が高止まりするなか、貸し出し需要が減るため二重に利ざや縮小の波を受ける。

 日銀のマイナス金利政策の影響もあり、レポートでは「足元、貸し出しと預金の金利差は限界まで縮小」していると指摘した。SMBC日興証券によると大手地銀18行の16年3月期の利ざやは前の期比0.08ポイント低下。マイナス金利が通期で響く今期はさらに低下幅が大きくなる見込みだ。

 金融庁は「今後、多くの地銀で従来のように貸出業務から収益を得ることが困難となるおそれがある」と分析する。地銀は利ざや縮小を貸し出し増で補おうとしてきたが、こうしたビジネスモデルが成り立たなくなることが浮き彫りになった。

 一方、地元の中小企業向け貸し出しが多い地銀などは利ざやの縮小幅が緩やかになるとの分析結果も併せて示している。貸し倒れリスクが低い代わりに利ざやも薄い大企業や自治体向けの融資競争に力を入れるのではなく、地域密着で中小零細企業にも積極的に貸し出すことが収益力の強化につながるとみている。

[日経新聞9月14日朝刊P.5]

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[創論]地銀、生き残りの条件は

 地方銀行が正念場だ。人口減少による市場の縮小が本格化してきたところに、日銀のマイナス金利政策が襲った。地域で生き残り、疲弊した経済を活性化するエンジンになるには何が必要なのか。10年前に県境をまたぐ再編に踏み切った山口フィナンシャルグループの吉村猛社長と、地域金融に詳しい地域の魅力研究所の多胡秀人代表理事に聞いた。

■金利競争より情報提供 山口フィナンシャルグループ社長 吉村猛氏

 ――山口FGは10年前、山口銀行と広島県を地盤とするもみじホールディングスの再編によって誕生しました。最近は地銀の再編が相次いでいますが、いち早く越境再編に踏み切った判断をいま振り返ってどう評価しますか。

 「ネットワークが広がり顧客も増えた。スケールメリットという意味でも再編は必要だった。定量的な効果は示しにくいが、総資産が10兆円を超え、規模の利益が働くようになったと思う。システム投資を含めた経費も総資産が大きい方が小さくて済む」

 「北九州、広島は100万人都市で市場として魅力がある。山口県を含む統合で地域経済の産業の中核を面でつなげられた。北九州経済圏から瀬戸内経済圏までを一つの金融グループでカバーできるようになり、再編によるプラスの効果は大きかった」

 ――日銀のマイナス金利政策の影響もあり、傘下銀行の資金利益は1年で計14%減りました。日銀は同政策をさらに深掘りする可能性もありますが、どう対処しますか。

 「マイナス金利は資金を設備投資に回してもらうのが本来の趣旨だ。資金需要をつくるお手伝いを地道にやっていくしかない。ただそうは言っても利ざやは縮まっているので厳しいのは事実だ。コスト削減を含め、体力を維持しながら、金利以外の収入の多様化など収益を確保できるしくみ作りを進めていく」

 「銀行だけがもうかる方法はない。傘下の資産運用会社で商品をつくり、効率的な販路で保険や投資信託を販売する力を強める。企業や個人の問題を解決することによって関連する手数料と融資に伴う収入をセットで取りにいくビジネスモデルをつくりたい」

 ――経営方針に「コンサルティングファースト」を掲げているのはなぜですか。

 「企業の成長を支え、新たな資金需要につながる好循環をつくるのが地銀の本来の役割だ。企業の経営ニーズを聞き、それをサポートすることで新たな資金需要を生み出し、融資を伸ばす。経営の悩みを深掘りしないと目指す地域金融機関にはなれない」

 「従来は融資機会など金融ニーズ中心に話を聞いていたが、それだけでは不十分だ。そのため1月に事業性評価部という部署をつくった。各業種の5〜10年後の成長性や課題をまとめて営業店に伝え、企業との会話を通じて経営ニーズを幅広く聞き取れる体制にしようと考えている」

 ――付加価値の提供によって金利競争からも脱却できるということでしょうか。

 「そんなに甘くないが、顧客から『金利よりも情報提供の方が大事だ』と言ってもらえるくらい情報提供を徹底しろと指示している。各地区に課題解決部隊を配置しており、融資につながらなくても、手伝えることを拾い上げて提案する現場力を高めたい。今までは融資などの『量』をどう維持するかに目標の力点があったが、収益と、中長期的にどのような提案をしてニーズを把握したかの両輪で評価する仕組みに変えている」

 ――金融庁が実施した調査では、中小零細企業から「地銀は雨の日に傘を貸してくれない」との厳しい声もあがっています。

 「中小零細企業も当然、地銀の有力な取引先だ。問題はどこまで親身になって近づけるか。保証や担保がまるっきりゼロというのは極端だが、まず事業を見てリスクを洗い出す。コンサルティングでリスクをカバーできれば融資できる範囲も広がる。あたれていない需要はまだある。地元には技術力を持った企業が山ほどあり、販路拡大などのニーズは大きい。蓄積してきた地域情報やネットワークを提供できれば、人口が減っても地域経済の活性化は可能だ」

 ――さらなる再編は念頭にありますか。

 「10年かけてインフラ整備を進めてきた。同じ考えの銀行があれば色々な組み方ができる。銀行だけでなく様々な業態と提携して幅を広げ、ある程度の金融ビジネスがすべて完結できるようにしたい。『飛び地』の再編もありえるが、地続きのほうが効果は出やすいだろう。ただ現状は520万人を抱える既存市場の深掘りを優先したい」

 ――地元貢献と収益のバランスをどう考えますか。

 「東京にも拠点があり、ネットワークという意味で強い武器になるが、あくまで地元あっての東京だ。地元企業の成長に経営資源をすべて突っ込むという点は変わらない」
(聞き手は亀井勝司)

 よしむら・たけし 83年東大卒、山口銀行入行。今年6月に同行頭取と山口フィナンシャルグループ社長に就任。56歳。
◇     ◇
■中小零細再生が第一歩 地域の魅力研究所代表理事 多胡秀人氏


 ――地銀界はここ数年、再編が相次ぎました。なぜでしょうか。

 「再編する地銀は『人口減とそれに伴う地域経済の縮小、だから経営統合』というストーリーを作っている。ただ、大事な前提条件が欠けている。問題解決のために資本が足りないか否かという構造問題だ。大きくなる唯一のメリットは自己資本を統合し、よりダイナミックに投資できるようにすること。地域活性化のための投資をしたくても余力がない場合に限って筋が通っているし、むしろそういう地銀は経営統合すべきだ」

 「しかし、今は地域のトップバンクが経営統合のほうを向いている。多くは資本をフルに活用していないだけだ。業務提携の枠組みでできることはたくさんある。例えば地域の人口増を応援するファンドを立ち上げたり、IターンやUターンを促すための施策に資本を投じたりすることが先ではないか」

 「経営統合はコストが思いのほか大きく、成果が表れるまで時間もかかる。業務提携の方がスピードも速く、はるかに効果が大きいのではないか。千葉銀行と埼玉県の武蔵野銀行の包括提携は評価できる。今後は救済を除けば、この形が主流になるのでは」

 ――日銀がマイナス金利政策を発動し、英国による欧州連合(EU)離脱など世界経済も不安定になってきました。大きな地銀でも経営の先行きに不安を覚えるのではないでしょうか。

 「確かに人口減少と地元企業の経営不振という地域の問題を抱えている。放置すれば今年度決算で黒字を維持できなくなるところがかなり出てくる可能性がある。多くの地銀は(1)融資量の拡大(2)外国債券への投資(3)顧客に投資信託などを販売する――の3つを生き残り策に置くが、どれも解決策にはならない。マイナス金利で融資採算が悪化し、世界経済の変調で外貨調達コストも上昇した。国内の運用環境が悪く、『貯蓄から投資へ』も加速しない」

 ――経営環境が厳しいから再編になびきやすい空気があるのでしょうか。

 「本来やるべきことはまず第一に業況の厳しい中小、とりわけ零細企業に目を向け、しっかりと貸し出す本業支援だ。不良債権処理を済ませた地銀は財務内容に傷のない企業には積極的に貸し出す一方、少しでも傷があれば貸していない。今でも“貸し渋り現象”は零細企業になればなるほど起きている」

 「取引先企業の売り上げを増やす仕事も持ってこないといけない。売り上げが増えれば運転資金も増え、取引に安心感が出れば設備投資に向かう可能性もある。潜在的な需要に目を向け、新たな需要を作る努力が足りない」

 ――地銀は本来の使命を忘れているのでしょうか。

 「地銀が存在しているのは地元産業に資金を供給し、育成してきた歴史が土台だ。信頼感が醸成され、お金を預けた。蓄えた資本をテコに地域社会に貢献しないといけないが、内情を見ると『自己中心主義』に陥り、圧倒的多数の地銀が使命を見失っている」

 「実は業況が芳しくないときに貸し渋りや貸しはがしをした結果、『金融排除先』ともいえる企業群が潜在的に存在している。正確な統計がないのではっきり言えないが、彼らは企業間金融でやりくりしている。担保よりも借り手の事業内容や経営者の能力で事業性を評価して融資するイロハが雲散霧消した結果だ。まずは排除された中小零細企業の再生こそが第一歩だ」

 ――地銀が変革を競う競争環境が必要ですね。

 「金融庁がベンチマークと呼ぶ新たな行政手法を導入しようとしているのはその象徴だ。これは貸出仲介機能や中小企業への融資実績など国が示したテーマを踏まえ各行が数値目標をつくり、国は進捗を計測する仕組み。ただ、地銀の中には国の意向を詮索するような動きがある。チェックリストみたいに形骸化しかねないと心配している」
 「社会的責任を踏まえた持続と成長を両立する視点こそ、地銀の進むべき道だ。地元のためにしっかり面倒を見れば、長い目で見れば必ず業績に跳ね返るはず。株式市場を通じて資金が流入しない現実をどう受け止めるべきか。環境、社会性、企業統治の英語の頭文字をとったESG投資の視点で機関投資家が地銀株を買う環境づくりが必要だ。機関投資家に“地方創生銘柄”の選別を進めてほしい」

(聞き手は玉木淳)

 たご・ひでと 旧東京銀行出身。鹿児島銀行や山陰合同銀行の社外取締役、金融庁など政府委員も歴任。11年から現職。64歳。
◇     ◇
〈聞き手から〉廃業が映す小口切り捨て


http://www.nikkei.com/content/pic/20160911/96959999889DE2E5E2E4EAE4E1E2E2EBE2EBE0E2E3E4868893E2E2E2-DSKKZO0706891009092016TZA000-PN1-13.jpg

 「地域金融機関」の看板を捨てる道を選んだのか――。県境を越えた再編や大都市圏での融資強化という地方銀行の動きを見ると、地域を深掘りする伝統が崩れたのではないかと心配になる。

 多胡氏が指摘した「金融排除先」という企業の存在は象徴だろう。地銀の融資は伸び、倒産件数は過去最低。一方で2009年以降は年2万5千件以上の廃業が発生している。この不思議なデータの背後には小口先が切り捨てられたり、そもそも銀行と取引のない企業が廃業したりしている実態があるのではないか。

 吉村社長が強調する「地域の企業の悩みを深掘りする」という方針も、地元企業をもっと支えなければならないという危機感の裏返しだ。低金利などの政策が地銀を大都市や海外への出稼ぎに追い込んだ面もあるが、第2地方銀行や信用金庫はもっと厳しいはずだ。逃げるよりも、中小零細企業の衰退が地域経済の地盤沈下を通じて自らの首を絞める構図を見据え、今こそ企業再生に本腰を入れる時期かもしれない。

(玉木淳)

[日経新聞9月11日朝刊P.9]
 

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