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サラリーマン 「定年ホームレス」の落とし穴  
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 9 月 24 日 23:10:56: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

サラリーマン 「定年ホームレス」の落とし穴
2016年09月20日 14時00分16秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO07234940U6A910C1000000/?dg=1

サラリーマン 「定年ホームレス」の落とし穴
(1/4ページ)2016/9/20 6:30日本経済新聞 電子版

日経ビジネス
 サラリーマン人生の終わりが見えてくると、多くの人は定年後の人生に悩む。趣味に生きる。田舎に移住する。社会貢献にいそしむ。働き続ける。起業する──。どの道を選ぶかはそれぞれだが、新たな一歩を踏み出すのは思いのほか難しい。住宅ローン、親の介護、経験への過信。思わぬ落とし穴も待ち受ける。平均寿命の伸長で、定年から死ぬまで約30年。自由な時間は10万時間を超える。「人生二毛作」はもはや願望ではなく必然。成否を分けるのは、現役時代からの準備だ。

■退職者400人が修行に殺到

兵庫県姫路市にある臨済宗妙心寺派の龍門寺。右から5人の修行僧は皆、企業で定年まで勤め上げたサラリーマンで、60歳を超えている(写真:菅野勝男)

 午前4時、まだ夜が明けぬうちに起床。「朝課」と呼ばれる読経をこなし、白湯で薄味のおかゆをかき込む。太極拳、座禅、作務(掃除)……と、午後9時の就寝までひと時も気が休まる暇はない。

 兵庫県姫路市にある臨済宗妙心寺派の名刹・龍門寺。ここで修行を積む「僧侶の卵」たちがいる。一見すると、普通の禅寺。だが、大きく異なるのが、住み込みで修行する5人全員が60歳を超える企業の定年退職者という点だ。化学メーカーや通信会社、建設会社など国内の名だたる企業でサラリーマンとして働き、定年後に仏門をたたいた。

 妻や孫らに囲まれてのんびりと余生を過ごすという道を選ばず、なぜわざわざ厳しい修行に身を投じるのか。ある修行僧はその理由をこう話す。

 「定年退職した翌日はよかったけれど2日、3日とたつと急に不安になりました。会社勤めをしている時にあれほど悩まされた電話が1本もかかってこないんですよ。あと数十年間もこんな生活が続くのかと思うとゾッとしました。少しでも社会の役に立ちたい。そんな思いで龍門寺の門をたたきました」。定年後30年も生きる時代。人は無為に過ごすことに耐えられるようにはできていないのだ。

 これは龍門寺が2014年から始めた、定年退職者だけを対象にした修行プログラムである。高齢に配慮し、町中で施しを受けて回る「托鉢」や、1日の座禅の回数を減らすなど、修行内容は“緩め”に設定されているが、1年間の修行期間の後、本山で読経などのテストに合格すれば、「看坊職」という肩書が得られる。仏教界で問題になっている、住職がいない「空き寺」の留守番役となれるのだ。

 プログラムを考えたのは、同じ妙心寺派で長野県千曲市にある開眼寺の住職、柴田文啓さん(81歳)。横河電機で米ゼネラル・エレクトリックと医療機器を扱う共同出資会社を立ち上げ、最後は横河の米現地法人社長まで務めた第一線のビジネスパーソンだった。定年退職後の65歳で出家し、13年間空き寺だった開眼寺の住職になった。「定年退職した人の多くが何をして毎日を過ごせばいいのか悩んでいます。目的を持って生活できる場が求められていることを強く感じました」(柴田さん)

 龍門寺が修行プログラムを始めて約2年という短期間に400人を超える応募者があった。定年までは会社という居場所があるが、そこから放り出されたとき、多くの人は気兼ねなく過ごせる“ホーム”がない現実に直面する。だからこそ定年退職者にホームを提供するプログラムに希望者が殺到しているのだが、人気の秘密はそれだけではない。

■田舎のコミュニティーに高い壁

 のんびりした生活を夢見て都会から田舎に移住する人は多い。しかし現実には地域社会にいきなり溶け込むのは容易ではない。ところが、「僧侶」という肩書さえあれば、地縁のない落下傘でも地域社会は受け入れてくれるのだ。

 日系グローバル企業の欧州子会社トップを務めていた川上和夫さん(仮名、60歳)。同世代の友人が相次ぎ倒れたことをきっかけに、ストレスの多い生活に見切りをつけようと決意した。

 トップの任期は1年残っていたが、会社が導入した早期退職優遇制度に手を挙げた。「田舎生まれだから東京のあくせくした生活はきつい」と伊豆半島に移住、農地を借りて野菜作りに精を出す生活が始まった。

 広大な集落に住むのは約30世帯。跡継ぎがいる家庭はほとんどなく、廃屋や荒れた農地が目立つ。「ならば自分が後継者に」と農地購入を申し出たが地元の農業委員会が立ちはだかった。隣接農地所有者が首を縦に振らないのだ。

 集落の寄り合いに参加してみた。「もっとこの地を盛り上げられないかと思っているんですよ」。酒を飲みながら思いをぶつけると、酔った地元住民にこう怒鳴られた。「昨日今日来たよそ者が何を言うかっ」。

 川上さんにとって幸いだったのは、意外にも就職した2人の子供の存在だ。移住するので都内にある自宅を売り払うことを考えたが、「会社に通うのに便利」という子供の願いを聞き入れて残した。おかげで今は1年の半分を東京で過ごす生活。難しい伊豆でのご近所付き合いに悩む日はそれだけ減った。

 「伊豆の家の近くに完全移住した人がいる。その人が言うんです。『川上さんはいいなあ。帰るところがあって』と」

■夫源病の恐怖、家も居場所なし

 もっとも川上さんのように、それまでの生活に区切りをつけて、セカンドライフを歩み出す前に、まずは、これまで空けっぱなしだったマイホームでの生活を満喫しようとする人も多いだろう。苦労をかけ続けてきた伴侶とのコミュニケーションを密にしようと考えるのは自然なことだ。

 しかし、事はそう簡単ではない。

 「夫が家にいるようになってから、頭痛とめまいがするようになった」と訴える50代後半の主婦。離れて暮らす娘に電話で相談したところ「それって夫源病じゃない?」と指摘された。ネットで調べると症状がピタリと合致した。

 夫が原因とは穏やかならざる病気だが、2011年に大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授が命名したもの。夫の言動や過度の依存、干渉に対する不平・不満がストレスとなって、妻の身体に起こるめまいや動悸、頭痛、不眠などの症状を指す。ちなみに、逆パターンで妻源病という言葉もある。

 では、退職後に居場所がない「定年ホームレス」はどこにいるのか。図書館と裁判所、そして公園。お金のかからないこの3カ所が“聖地”らしい。取材班はその実態を探ってみた。

平日朝の図書館。裁判所、公園と並び、居場所がない定年退職者たちの憩いの場となっている

 東京都下のある区立図書館。早朝、入り口前に高齢者がぽつぽつと姿を見せ、開館の午前9時には数人が集まる。門が開くとみな足早に閲覧室に向かう。ゆったりと過ごせる席を確保するためだ。ビニール袋などを置いて、席を押さえれば、閉館の午後8時頃までの過ごし方は決まったも同然だ。

 東京・霞が関の東京地方裁判所。「罪名は地味だけど、意外とこっちの裁判は面白そう」「次はあの裁判官の単独審だから説諭が期待できるな」。所内に置かれたベンチで高齢者らが談笑している。彼らが突き合わせるのは、面白い裁判に関する情報。裁判所通いがもう何年にも及ぶからなのか、極めて専門的な会話が飛び交う。

 「東京都シルバーパス」を使い、始発から最終便までひたすらバスに乗り続けている男性を発見した。家には妻がおり、息子も家族を関西に残して東京に単身赴任しているという。だが、「家にいても気詰まりなだけ。バスに乗っていたら色々な人の身の上話が聞ける。自分が外とつながっていることを実感できるのです」。

■自覚なきナルシストたち

 定年ホームレスを回避しようということなのか、起業を目指すシニアが増えている。中小企業白書によると、60歳以上の起業家が全世代に占める割合は、1992年の14.2%から2012年に32.4%と倍以上に増加。それまでの職歴を生かした経営コンサルタントや営業代行といった業種が目立つという。

 培ってきた経験や人脈、ノウハウを生かして会社を立ち上げ、社会の役に立ったり年金以外の収入を確保したりするのは、有効な選択肢に見える。だが、ここにも落とし穴がある。自分の実力を過信するあまり、現実を直視できない人が案外多いのだ。

 そんな「自覚なきナルシスト」の一人が、大手広告代理店に勤めていた50代後半の田中顕助さん(仮名)だ。退職後に起業してパソコン教室の運営を始めたが、広告代理店勤務というキャリアが失敗のもとになった。

 「質の高い広告の投入こそが顧客獲得につながる」。ビジネスパーソン時代の信念を貫き、パソコン教室の生徒募集チラシの完成度などにこだわり抜いたせいで、広告宣伝費が法外な額に膨れ上がった。仕方なく受講料を高めに設定した。1人当たり10万円以上。当然、生徒は集まらず、パソコン教室は大赤字になってしまった。広告の売り手としてのビジネス経験は豊富だが、経営は素人だったことを露呈した。

 中高年の起業をサポートする銀座セカンドライフ(東京都中央区)の片桐実央社長はこう言う。「前職の経験を生かした起業は、満足度の高い仕事を自分のペースで続けられる点で利点は大きい」。しかしクギを刺す。「事業規模や顧客のニーズを的確に把握し、コスト面も含めて柔軟に対応できるかどうかを考えなければ成功はおぼつかない」。

 立ち上げたビジネスをどれぐらい続けるのか。長期ビジョンの欠如が招く悲劇もある。

 「立ち上げ当初のような活動ができなくなってきた。そろそろ会の方向性を考え直す時期に来ている」。大手企業の社長を務めた後、幅広い知識を身につけさせようと、大学生向けの勉強会を始めた金子勝さん(仮名、73歳)。

 きっかけは、現役時代に感じた若手社員の物足りなさだった。「自分の興味がある事柄については語れるが、世界の動きや歴史などには無知だった」ことから、自分の人脈を使って講師を集め、大学生に様々な話をする場を作ることを決めた。

 だが、最近になって塾の活動に限界を感じ始めている。就職時期の後ろ倒しが決まり、学生が就活を優先、生徒が集まりにくくなった面があるが、別の理由もある。「社長」という肩書で集めてきた講師陣が一巡。時間とともに、肩書だけで講師の幅を広げるのが難しくなった。

 「昔取った杵柄で」という熱い思いが、かえって第2の人生の邪魔になっている。「年齢は背番号、人生に定年なし」を掲げ、シニア層の人材派遣を手掛けるマイスター60(東京都品川区)の三宮幸一社長はそんな人を多く見てきた。「昔の仕事を引きずっている人は失敗しがちだ」と語る。

 マイスター60は1990年の設立。再就労のサポートを専門に手掛け、現在では60歳以上の登録者数は約7000人に上る。施設・設備管理や経理総務、役員候補に至るまで幅広い業種に人材を派遣しているが、その同社がまとめた「使えるシニア」と「使えないシニア」の分類は興味深い。

 誰しも自分が蓄積した経験やノウハウには一定の自信を持っているだろう。だが、それは「全ての職場で同じように通用するわけではなく、環境に応じて柔軟に応用していくことが必要」(三宮社長)。自信が過信となり古巣での成功体験を押し付け始めた瞬間、その人は新たな職場でも不要な人材となりかねない。

■トリレンマの囚人

 今回の記事にあたり、日経ビジネスは約1800人を対象にアンケート調査を実施した。充実したセカンドライフを送れると思うかと問うたところ、30〜50代の4割前後が、「希望する生活を送れる蓄え」ができないと考えている。「資金的な余裕が想像以上にない」「生活費が年金だけでは枯渇する」。自由回答欄には、そんな声が多く寄せられた。

「定年後生活の思わぬ出費にも備えたい」とファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは指摘する(写真:陶山勉)

 晩婚化が進み、定年を迎えても教育資金が必要。住宅ローンも残っているし、親を介護しなければならないかもしれない。しかし60〜64歳は年金が受給できない。思い通りのセカンドライフなんて夢のまた夢。今のシニアがそんな三重苦に縛られた「トリレンマの囚人」となるリスクは高い。

 そこで、ファイナンシャルプランナーで経済エッセイストの井戸美枝さんの協力を得て、平均的なビジネスマンの世帯における収支と貯蓄の推移について検証した。

 グラフに登場する渡辺一郎(45歳)は、2016年時点で年間の手取り額が485万円。自宅の購入に当たりローンを2500万円(25年返済)で組み、専業主婦の妻と2人の子供を養っている。貯蓄残高は1500万円で、手取り額は年とともに多少上昇するものの、子供の進学などでそれ以上に出費も増えていくことになる。

平均的な会社員の家計収支

収支と貯蓄の推移シミュレーション(その1)

収支と貯蓄の推移シミュレーション(その2)

 結果は一目瞭然だ。渡辺一郎は60歳での定年後、再雇用により一定の収入は確保するものの、ローンの返済や教育費などの負担が重くのしかかり、年金を受給できる65歳までは家計はかなり圧迫された状態が続く。結局、69歳にして貯蓄残高はほぼゼロとなる。

 その後は妻の年金受給もあり何とか持ち直すが、「バラ色のセカンドライフ」とは言い難い。これは両親の介護や不慮の病気・事故による出費などは含まない計算であり、現実にはさらにシビアな状況が訪れる可能性もある。この試算結果を見て、どれだけの読者が人ごとだと笑えるだろうか。

 井戸さんは「晩婚化で子供の進学などが遅くなり、住宅ローンや介護に苦しむ一方、大手企業のビジネスマンには生活水準を落とせない人も多い」と指摘。「定年後は収入が大きく減る前提で、早くからキャッシュフローについて考えることが必要だ」と警告する。

 至る所に落とし穴がある。漫然と定年を迎えると、その穴に陥りやすい。セカンドライフの先輩が身をもって示している教訓は、「くれぐれも事前準備を怠るな」である。

(日経ビジネス 広岡延隆、林英樹、河野祥平)
http://blog.goo.ne.jp/kzunoguchi/e/536a03f22795f9d48f4f4a82b3504c4b
 

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