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終身雇用希望が6割、その引き換えに長時間労働が常態化? ノルマを無くすとどうなるか 学校が残業サラリーマンを育てている 
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/248.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 11 日 00:26:44: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

終身雇用希望が6割、その引き換えに長時間労働が常態化?

2016.10.07 08:00
 終身雇用の制度は事実上崩壊していると言われてから久しいですが、一つの企業で長く勤めたいと望む労働者が約6割にのぼることが厚生労働省の調査で分かりました。終身雇用制度と長時間労働には密接な関係があるといわれていますが、終身雇用の希望者が多いということになると、やはり長時間労働やサービス残業の問題解決はなかなか難しそうです。


[イメージ写真]終身雇用希望が6割、その引き換えに長時間労働が常態化?(アフロ)
 厚生労働省が9月30日に発表した2016年版「労働経済の分析」(労働経済白書)によると、「出来るだけ1つの企業で長く勤めることが望ましい」「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者は60.7%に達する一方、「企業にとらわれず流動的に働けることが望ましい」「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者はわずか16.6%でした(労働政策研究・研修機構の調査をもとに厚労省が独自集計)。あくまで希望というレベルですが、多数の労働者が終身雇用を望んでいることが分かります。

 一方で多くの労働者が現実とのギャップを抱えていることも明らかとなりました。「1つの企業だけで一生働き続けることは可能」「どちらかといえばそう思う」と考えている人は35.8%しかなく、「倒産や解雇はいつ起こってもおかしくない」「どちらかといえばそう思う」と答えた人は38.8%とほぼ同レベルとなっています。6割の人は、終身雇用を望んでいるものの、その半数以上は、現実には難しいと考えているわけです。しかし逆に見れば、残りの半分は、終身雇用が望ましいと強く思っており、実際、1つの企業で働き続けることは可能だと考えていることになります。

 当然ですが、この傾向は年齢が上がるにつれて高くなってきます。「倒産や解雇はいつ起こってもおかしくない」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合は、20代は41%、30代は41.4%だったのに対して、40代は37.8%、50代は35.6%となり、65歳以上では27.4%まで減ってしまいます。

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 基本的に日本の労働者は終身雇用を強く望んでいるわけですが、こうした傾向は長時間労働の問題と密接に関係しています。日本では、企業と労働者が協定を結べば、事実上、無制限に残業を強要することができます(いわゆる36協定)。

 法定労働時間を厳密に適用してしまうと、企業は好景気の時にはたくさん人を雇い、景気が悪い時には解雇するという形で労働力を調整することになります。日本では、景気がよい時は全員が残業して業務をこなし、景気が悪い時に、正社員のクビを切らなくても済むように工夫しています。日本企業の多くで慢性的に残業が行われているのはこのためです。長時間労働やサービス残業を根本的になくすためには、ある程度の雇用流動化を受け入れる必要がありますが、終身雇用を強く望む風潮はなかなか変わらないようです。

(The Capital Tribune Japan)
https://thepage.jp/detail/20161006-00000008-wordleaf

 


 


 

学校が「残業するサラリーマン」を育てている?

AI時代に「勝ち残る子」を育てる

奈良市立一条高校 藤原和博校長×都立両国高校 山本崇雄教諭(3)
2016年10月11日(火)
藤原 和博、山本崇雄
 奈良市立一条高等学校の校長として新たな取り組みを始めた藤原和博氏と、東京都立両国高等学校で「教えない授業」を実践している山本崇雄氏の対談の3回目(2回目は「『メロスは走っていなかった』と言える子の育て方」。
 ロボットやAIが人間の仕事を代替する社会が現実的になり、親世代が受けてきた教育や価値観がこれからは通用しなくなるかもしれない今、親の役割も教師の役割も変わろうとしている。
 山本氏は近著『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』の中で、AIが台頭する時代、教師と生徒、親と子供の“新しい関係”について述べている。今回の対談では、先生にできてコンピューターにできないのは「『学ぶのが大好き』というオーラを出すこと」という点で藤原氏と山本氏の意見が一致。子供に勉強させたければ、教師や親が楽しんで学び続けている姿を子供に見せることが一番だという。
授業も「時短」を進めたほうがいい

藤原和博(以下、藤原):山本先生は、例えば普通の先生が教科書と黒板で30分で伝える文法の知識があったとしても、もう板書もしないわけですよね。端的に言うと、30分かかることをもし10分で教えられるのなら、授業の時短が可能です。


藤原和博氏(写真:水野浩志、以下同)
 僕は授業の時短研究を若手の先生を中心にしてもらってるんですが、(教科書と黒板で30分かかっていた特定の知識を)10分ですり込める動画がネットのあちこちにあるはずなんです。

 例えば、太陽系というのは、太陽の周りを地球が回っていて、地球の周りを月が回っているのは分かるんだけど、そう教えられると太陽が静止しているように思えてしまう。でも実際には太陽系はすごいスピードでらせん運動している。そのらせん運動をどれくらいのスピードでしているかを実感できる映像というのがあるんです。

 著作権をクリアしなければいけないという問題を横に置いて考えれば、そういった映像を10分間生徒に見せると、すぐ分かる生徒と分からない生徒が瞬間的に分かれると思う。次の10分で分かった生徒が分からない生徒に教える。学び合いですね。それでも分からない子には、先生がフォローする。これもアクティブ・ラーニングになるんじゃないかと思うんです。

 知識的な素材は動画であらかじめ与えちゃって、そこから10分から15分学び合い。調べてもいいんだけどね。それで分かったやつが教える。教えるということは知識が定着したということ。最後に5分間スマホでテストして、知識が定着したかどうかを見る。

 授業時間は通常50分でしょう。でも、こういったアクティブ・ラーニングなら、授業は30分で終わるんじゃないかと思うんです。時間割を組んでみたら、7時半ぐらいに授業を始められれば、午後1時までに全部の授業が終わる(笑)。

山本崇雄(以下、山本):終わりますね。

藤原:そうすると、そこからさらにアクティブになれる。何をやってもいいんだもん。

山本:さらに知識を探求してもいいんですね。

藤原:部活も午後1時から思い切りやればいい。3時間から4時間はできるでしょ。芸術活動でもいい。部活を預かってない先生は3時半に帰れる。欧米の先生なんかみんなそうだから。それで自分の地域社会へ帰ってサッカーの指導をしたり。

 例えばフィンランドの先生なんて、だいたいみんなマスター(修士)だから、自分の地域社会で(例えば歴史の)講座を持っていたりする。それでお金を取ったりもしてる。ダブルインカムOKなんですよ。それから夏休みが2カ月はあるじゃない。その間、自分の住む地域社会の校外学習や合宿のアテンドをしてお金をもらったりもしている。

 いいと思うんです。そういうのがワークライフ・バランス。もしそうなったら女性の先生ももっと働きやすくなるでしょ。

 今、ワークライフ・バランスとかいって会社で残業をしないようにしようと言っているじゃない。だけど子供たちは小学校、中学校、高校で、目の前の先生がどういう状態かを知っている。

先生方はものすごく忙しくて、朝から夜遅くまで働いているということですよね……。

山本:日本の先生たちは、生徒が頑張るんだったら自分も頑張らないと、と無理しちゃうんです。僕はそれがいいか悪いかというと、働き方としては悪いと思っている。

藤原:難しいところですけどね。

先生の「教えるのが好き」が障害に?

山本:生徒が頑張るから休み返上で頑張るというのは、やっぱりバランス的にはよくないとは思うんですよ。だけど現実はそうですよね。日本の学校はそれで支えられている部分というのは、やっぱり強くある。


山本崇雄氏
藤原:確かに先生は忙しい。事務的にも忙しいし、夏休みも忙しい。土曜日も補習だし、部活をやっている先生は夜9時まで働いている。目の前で先生のあの忙しさを見せていたら、自動的に将来、残業するサラリーマン、残業する官僚を育てていることになります。

確かに……。

藤原:授業を何としても効率的にする必要があるんです。それがアクティブラーニングの究極の姿じゃないかと思う。誤解を恐れずに言えば、授業の時短です。動画の活用と、山本先生がやっている助け合い。最後は知識が定着したかどうかのテストもすごく軽くスマホでやる。それで30分。そうすると午後1時までに7コマ終えられるの。

山本:大きな障害は、先生は教えるのが好きだということです。

藤原:それ、分かるけどね。

山本:それから、「教えたい」から先生になったという人も多いのではないでしょうか。そういった先生は教える時間を奪われることを恐れているようにも感じます。

藤原:これが問題の本質かな(笑)。

山本:アクティブ・ラーニングを成功させるための究極の方法は、中間・期末考査をやめることだと思います。定期考査がなくても学び続ける生徒を育てなければいけない。

 ただ、決してテストがいらないと言っているわけではないんです。ペーパーテストも含めスピーチやエッセイなど多様なテストをそれぞれの教科の必要なタイミングで取り入れなければならないと思います。だけど今は、「テストに出るぞ」、が生徒の動機づけになっている授業があまりにも多すぎる。もしかしたらテストで点を取らせるために教えることが好きな先生が多いのかもしれなという気もします。

 テストをやめてみて、自分の授業の本質は何なんだろうとみんな考えだしたときに、多様な授業のアイデアが生まれてくる気がするんですよね。

藤原:日本の教育を次のステージに載せるのに何が障害になるかということについて、山本先生は誠に端的な話をされているのですが、ここを変えるのは結構大変ですね。

山本:テストも行事も去年もやったから今年もやるとか、例年やっているからやめられない、といったことが多いと思います。学校現場ではやることが目的化されていることが多い。藤原先生もおっしゃったように、前例があるからやるというのは僕はやめた方がいいと思っています。今、子供たちに本当に必要な力をつけさせるために、本当にそれが必要なのかどうかということを一つひとつ見ていかなきゃいけないと思うんです。

「分かりません」と言わない子を育てている日本

藤原:中間・期末をやめましょうなんていうのは、まずほとんど誰も賛同してくれないんじゃないかな。

山本:たった1個のテストをやめるのでさえ大反対が起きるわけです。なぜなら、今まで当たり前にやってきたものを、もしやめてネガティブな結果が出たらどうしようと思うからです。

 そう考えると、もう既存のものを壊していくということはもう限界に近いなとも思います。ゼロからつくっていくしかないかなと、本気で今思っているんです。

藤原:なるほどね。

山本:今までやってきたことを真逆にする学校というのがあっていいんじゃないかなと思っていて。何か時間割を壊したり、校則を壊したりとか。

 例えば今うちの学校はクーラーが壊れていて暑いんですよ。昼休みにサッカーしてきた子たちは汗だくになって戻ってきて、制服に着替えている。「お前たち、汗だくな上に制服着るの?」と聞くと、「着なきゃいけないルールで、怒る先生もいるので」と言う。

 先生、僕はこう思います、ということが言えない子が社会に出ていって、上司に、それ違います、と言えるようにはならないと思うんです。一斉授業で先生分かりませんと言わない子を育てている。それがたぶん、社会とのつながりをより悪くしていると感じることなんですよ。

成熟社会では「納得解」を導くことが大事になる

藤原:1997年が高度成長した成長社会の最後で、1998年から成熟社会に入っていったわけです。「みんな一緒」という感覚が強かった時代から「それぞれ一人ひとり」とバラバラに考える時代になっていく。もうみんな一緒には無理があるんですけどね。

 みんな一緒が当たり前だった時代は正解が多かったので、正解を速く正確に当てるという情報処理力偏重の教育でよかったし、むしろそれが大正解だった。それが1997年から1998年に入れ代わって、正解がどんどんなくなっていく時代に入った。自分が納得し、かつ、かかわる他者も納得できる「納得解」を導くことが大事になった。

山本:納得解ですね。

藤原:頭を柔らかくして、納得解を協働で導き出す技術が重視される時代にもう入っているんです。

 学校の一斉授業は結局、兵隊を育てるための授業手法として明治期に採用されました。大量生産の時代には、今度は良質な工員やホワイトカラー事務職が大量に必要だったから、やっぱり一斉授業が効いた。でも江戸時代の寺子屋はもっと縦横無尽だったようです。いろいろな世代の子がわいわい言いながら協働で学んでいた。しかも教材は手紙のやりとりだった。

 ところが、もう成長社会が成熟社会に入っているのに、学校の教育メソッドだけがまだ成長社会のままで一斉授業を続けている。産業界は、大量生産の時代から、多品種少量生産の時代を経て、今やあの名著『MAKERS』に描かれた個別生産の時代なんですけどね。

 これは暗示的だと思うの、すごく。大量生産から多品種少量生産、そして個別生産へ。同じように、授業メソッドも変わらなければいけない。一斉授業には、あちこちに無理がきているんです。習熟度別少人数授業も中途半端。

山本:中途半端ですね。

藤原:だって2つのクラスを3つに分けて、できる子と普通の子とできない子って分けちゃってやっている。できない方は15人まとめても無理ですよね。15人がわからない理由がそれぞれ個別だから。

情報の高速処理は東大法学部卒からAIに

藤原:これから10年の最大の社会変化は何かというと、ネットにAI、ロボットがつながるということでしょう。それによって税理士や弁護士や霞が関の官僚がやっている事務処理のほとんどがロボットができるようになっちゃう。

 優秀な官僚というのは、ある法案を通すために200、300の既存の法律を読み合わせて整合性を取らなければいけない。それには高速処理能力がいるので、東大法学部が強い。

 でも、あと10年ぐらいすると、AIが「お告げ」をするとか、ネットに神が宿るというようなことになると思う。人間を超えるかどうかは別として、専門家に聞くより、背後で膨大なビッグデータの分析をしているAIに聞いたほうが早くて正確だということ。

 そうなったとき、教師とは何か、という問題が残ります。一大問題です。知識はAIに任せたほうがいいかもしれない。進路指導すら、科学的なデータ分析を行ったうえで機械にできちゃうかもしれない。

 じゃあ、生徒の前に立っている教師にはいったい何が残るのか。それは、教えるということではないのではないかと僕は考えています(間違っているかもしれないが)。「Google」にできないこと。

 それは、先生が「学ぶのが大好き!」というオーラを出すこと。

 例えば生物の先生が出す「生物大好き!」というオーラは、「Google」からは出ないんですよ。

山本:できないですね。

教育は伝染、感染

藤原:そう。学ぶのが大好きというオーラがあるから、子供たちも勉強が好きになったり、調べたり、もっと知りたいと思ったり。

 国語でも古文が好きだとか、和歌が好きだという先生がいるでしょ。その先生がもう喜んでやっている。何でこんなものを学ばなきゃならないのかという子もいるでしょうが、やっぱり先生に影響されて、古文が好きな子が出てくる。

 教員に最後に残る役割は、「学ぶのが大好き」というオーラを出すこと。これはもう絶対人間は譲れないところで、AIにはできない芸当だと思う。

 学ぶのが好きというのが伝染、感染すること。

 僕は、教育は伝染、感染だと思っているんだ。だって本好きの人の息子とか娘はやっぱり本好きになりやすいでしょう。どう思います?

山本:それはすごくそうだと思います。うちの学年にはオーラ出しまくっている先生多いです。

藤原:でも先生、いまさら生徒に英語が好きかと聞かれたら困っちゃうでしょうね。

山本:英語はそもそもツールなので……。

藤原:そうなんだよね。道具だからね。

英語で話す喜びを人間的な温かさの中で体感させたい

山本:やっぱり隣の○○ちゃんに英語で話しかけたらその子が笑ってくれた、その人間的な温かさの中での喜びをたくさん体感させることが大事だと思っています。

 僕の授業では、席を移動しながらペアを変えていくのですが、あと何回やれば憧れの○○ちゃんと英語で会話できる、という男子がいるわけです。その女子と話すときはもう生き生きする。特に男子は多いです、それ。

 顔を寄せ合って、体温を感じるようなところで英語がツールとして媒介しているという喜びを子供たちにたくさん体感させることは、機械にはできないことですね。

藤原:なるほど、それは分かりやすいですね。アクセスポイントがあるわけですね。

山本:はい。あの子と話したいとどこかで思っているんです。男子同士の組み合わせになったときよりも、男子女子の組み合わせになったときの方が、男子はやっぱり一生懸命やります。

藤原:イケメン男子に対しての女子が一生懸命になるというのは?

山本:あまりないように見えます。

藤原:エッ、ホントですか(笑)。


収録は2016年7月、奈良市内の登大路ホテルで
山本:女の子はそういうのを隠すのが上手なのかもしれないけど。誰に対してもやっぱり女の子はにこにこしてやりますよね。ただ、イケメンはコミュニケーション能力が高いことが多く、結局はコミュニケーション能力の高い子と話すと盛り上がるとは言ってました。

藤原:大人なんだな。

山本:そうなんです。安定しているんです。AKBじゃないですけど、誰が握手しに来ても同じ笑顔ができる。

藤原:そうか、やっぱり男子は子供なのね。

山本:普段、斜に構えている男子が、かわいい女子と話しをしながらにこにこしている姿を見ると、見ていて微笑ましいですよね。

(この項終わり)

山本崇雄さんの『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』好評発売中!

 2020年度から大学入試が大きく変わることを受け、学校教育が変わろうとしています。キーワードは「アクティブ・ラーニング」。先生が教壇に立って、大勢の生徒の前で一斉に講義を行う授業ではなく、生徒が主体となり、協働して課題に取り組み、解を探っていく授業のことです。
 本書では、山本さんが実践しているアクティブ・ラーニングの方法論を述べるとともに、自ら勉強する子供に育てるために、家庭ですぐに実践できる教育法についても具体的に解説しています。
 AIが台頭する社会で活躍できる子供を育てたい親だけでなく、企業で若い人材を育てているリーダーにもおすすめの一冊です。

このコラムについて

AI時代に「勝ち残る子」を育てる
AI(人口知能)が人間の仕事を代替する社会が現実のものになろうとしている。子供たちをAI時代でも求められる人材に育てるためには、どんな教育が必要なのだろう。親世代が受けてきた教育は、もはや時代遅れになっているかもしれない。このコラムでは、リクルート出身で「教育改革実践家」として活動を続けてきた藤原和博氏と、高校の英語教師で、アクティブ・ラーニングを授業で実践している山本崇雄氏の対談を通してこの問題について考える。企業や組織の人材教育にも必要な視点が見えてくるはずだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/081900007/082200004/

 


「ノルマ」を無くすとどうなるか実験してみた

横山信弘の絶対達成2分間バトル

2016年10月11日(火)
横山 信弘

 私は企業の現場に入って目標を「絶対達成」させるコンサルタントです。絶対達成というからには、達成させるための「目標」が存在します。言い方は色々あり、「計画」あるいは「ノルマ」と呼ぶこともあります。

 ところが「ノルマなどないほうがいい」「目標を達成させようとするから、かえって萎縮する」という声が出ています。

 本当にそうなのでしょうか。犬神専務と鷲沢社長の会話をお読みください。

●犬神専務:「社長、弊社のホームページの件です。この案でどうでしょうか」

○鷲沢社長:「うーん。なんか、しっくりきませんね」

●犬神専務:「え! またしっくりこない?」

○鷲沢社長:「こういうホームページじゃないと思うのですが」

●犬神専務:「うちのデザイナーには結構頑張ってもらっています。何度も聞いて申し訳ありませんが、社長はどんなデザインが好みなのですか」

○鷲沢社長:「私の好みは別にいいですよ。デザインのことはよくわからないので」

●犬神専務:「そうですか……。しかし、しっくりこない、と仰るので」

○鷲沢社長:「ええ、これじゃない、とは思うのです。といって、こういうデザインにしてほしい、という主張があるわけでもない」

●犬神専務:「うーん……」

○鷲沢社長:「もう一度、デザインしなおしてもらえませんか」

●犬神専務:「わかりました。しかし……。もうこれで4回目ですよ」

○鷲沢社長:「それはわかっていますが、ホームページはわが社の看板みたいなものです。しかも当社は広告代理店なのですから、それなりのデザインじゃないといけません」

●犬神専務:「それはその通りです」

○鷲沢社長:「それじゃあ、よろしくお願いしますね」

●犬神専務:「ちょ、ちょっと待ってください。このホームページは結局のところ、いつまでに作ったらいいですか」

○鷲沢社長:「それは前からお話しているとおり、いいものが出来上がったら、それでいいのです。いつまででも待ちます」

「せめて期限だけでも」

●犬神専務:「しかし、仰る通り、我々の看板ですから、あまり悠長なことを言っているわけには。せめて期限だけでも。いや、それからやっぱり、どういうホームページを作ったらいいのでしょうか。それを教えてくださいとデザイナーが言っています」

○鷲沢社長:「うーん……」

●犬神専務:「実はデザイナーがぼやいています。どうもモチベーションが上がらない、と。どんなに頑張っても駄目出しばかりですから」

○鷲沢社長:「ちょっと待ってください。専務のやりたいようにやってくれればいいのですよ。デザイナーも作りたいものを作ってくれれば」

●犬神専務:「そうは言われましても……。適当なものを作るわけにはいきません」

○鷲沢社長:「それはそうです」

●犬神専務:「ですから、どんなホームページを作ったらいいのか、何というか、基準みたいなものを教えてください。どのようなお客様に、どれぐらいの頻度で訪問してもらいたいのか。学生もホームページをよく見ますから、どんな人材を採用したいのか、当社をどのように見せたいのか。あるべき姿を示していただかないと」

○鷲沢社長:「そうですか」

●犬神専務:「……社長は前の会社で辣腕を振るっておられたと聞きましたが」

○鷲沢社長:「あるべき姿を明確に決めたうえで戦略や行動計画を立て、計画は絶対達成するように伝え、がんがんやっていました」

●犬神専務:「そうですよね。だったら」

○鷲沢社長:「専務。あなたのお父様が亡くなられる直前、私を指名されました。それで社長に就任しましたが、あくまでも暫定です。いずれはあなたが会社を継がなくてはいけません」

●犬神専務:「も、もちろん、わかっています。ただ、まだ私は27歳で……。今年の4月に、留学先のサンフランシスコから戻ってきたばかりです。父から専務をやれと言われましたが、組織の一員として本格的に働くのは当社が初めてですし」

○鷲沢社長:「でも、先代の社長が亡くなられて、あなたはすぐに方針を打ち出した」

●犬神専務:「ああ、ノルマ撤廃の件ですね」

○鷲沢社長:「シリコンバレーの企業から学んだやり方だとか」

「最悪なのがノルマ主義です」

●犬神専務:「シリコンバレーにある急成長企業数社でインターンシップをして、これがクリエイティブな働き方だと実感しました。自主性を尊重する、それが創造性豊かな結果につながるのです。その反対で最悪なのがノルマ主義です。失礼ですが、社長がお使いになる『絶対達成』という表現は体が受けつけません。たまたま昨日、シリコンバレーにいる友人とチャットをして、その言葉を紹介したら、彼は『インクレディブル!』と言って驚いていました。すいません、もちろん皮肉なのですが」

○鷲沢社長:「私は社長が遺した中期経営計画を絶対達成させるために当社へ来ました。絶対達成という言葉は使い続けます」

●犬神専務:「計画はあくまでも計画です。絶対に達成させなくてはならない、という表現が社員を苦しめるのです。当社は広告代理店ですよ。絶対達成と言われて、いいアイデアなど出ません。モチベーションだって上がらないですよ」

○鷲沢社長:「専務とバトルをするつもりはありません。ただ、今後も継続して話し合いをしていきませんか」

●犬神専務:「あなたが信頼できる人だということは父から聞いています。ですから、社長を拒否するつもりは毛頭ありません。ぜひ当社の発展に寄与していただければ……話がそれてしまいましたが、ホームページはどうしましょうか」

○鷲沢社長:「ですから専務の好きにしていただきたいとお話しています」

●犬神専務:「さっき申し上げたように、ホームページのあるべき姿がわからないのであればデザインしようがないです。期限も明確ではありませんし」

○鷲沢社長:「実はですね、専務」

●犬神専務:「何ですか」

○鷲沢社長:「私の息子は以前から野球をやっておりまして今年高校生になりました」

●犬神専務:「……はあ」

○鷲沢社長:「野球部に入ったのですが、どうもやる気がしないと言っています。幼いころからやっていたのに、です」

●犬神専務:「何かあったのですか」

○鷲沢社長:「トラックを何周も走らされる、と言うのです」

●犬神専務:「足腰を鍛えるためですから、それはしょうがないでしょう。私もボート部にいましたが、走り込みからやらされました」

○鷲沢社長:「何周走ったら終わりなのか、何時まで走ったら終わりなのか。野球部の監督は何も言わないそうです」

●犬神専務:「えっ」

「ひどいじゃないですか」「そのほうがクリエイティブでしょう?」

○鷲沢社長:「なんだかだらだら走っているそうです。一事が万事で、練習も選手任せのようですね。監督は自分で考えろと言っているそうですが、息子は何をどう努力したらいいのか、よくわからない、とぼやいています」

●犬神専務:「その監督、指導者としてちょっとよくないですね。選手が伸びないですよ……ちょっと待ってください、それって、ホームページの話と同じじゃないですか」

○鷲沢社長:「そうです」

●犬神専務:「野球部の監督と同じことを私やデザイナーにしているわけですか。ひどいじゃないですか」

○鷲沢社長:「でもそのほうがクリエイティブなのでしょう。自主性を尊重すれば創造性豊かな結果が出ると専務は仰いました」

●犬神専務:「……え」

○鷲沢社長:「私の考えは異なります。明確な期限とノルマがあったほうが人は考える。創意工夫をして、やり切ろうとする。そうすることで創造力が鍛えられていく。そう信じています」

●犬神専務:「……」

○鷲沢社長:「あるべき姿を示してほしいと専務は言いましたが、あるべき姿とノルマは同じだと私は思います。表現が違うだけです」

●犬神専務:「……そ、そうでしょうか」

○鷲沢社長:「息子に『キロ5分ペースで400メートルトラックを30分走れ』と言えば、どうすればそのスピードでその距離を走ることができるか考えるようになるでしょう。やる気だって出るはずです」

●犬神専務:「何を仰りたいのかわかってきました」

○鷲沢社長:「それはよかった。では専務、いつまでに、何の目的で、どのようなホームページを作るのか、目標を定めてください。可能な限り、目標に数字を入れる。そのやり方でデザイナーがどう仕事をするか、しっかり見てください。モチベーションが上がるか下がるか。以前に増してクリエイティブな仕事をするかどうか」

●犬神専務:「やってみます」

○鷲沢社長:「できれば期限内に『絶対達成』と伝えてほしいですが」

期限とノルマがあるからこそ、人は考える

 家族旅行のために荷物をスーツケースに入れていたら多くて入りきらなかった。そのようなとき選択肢は二つしかありません。荷物を減らすか、スーツケースを換えるか。

 普通の人は荷物を減らすでしょう。どの荷物を残して、どの荷物を諦めるのか、考えるわけです。荷物が多いからといって、大きいスーツケースを買ったり、別のカバンも使ったりしていてはキリがありません。

 期限とノルマという制約があるからこそ、人は考えようとするのです。考える社員をひとりでも増やすために、明確かつ適切なノルマを設定していきましょう。


このコラムについて

横山信弘の絶対達成2分間バトル
営業目標を絶対達成する。当たり前の事です。私は「最低でも目標を達成する」と言っています。無論、そのためには営業目標に対する姿勢を変え、新たな行動をし、さらに上司がきちんとマネジメントしていかないといけません。本コラムで営業目標を絶対達成する勘所をお伝えしていきます。私は「顧客訪問を2分で終える“2ミニッツ営業”」を提唱しており、そこから題名を付けました。忙しい読者に向けて、2分間で読めるコラムを毎週公開していきます。毎回一つのテーマだけを取り上げ、営業担当者と上司と部下の対話を示し、その対話から読みとれる重要事を指摘します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258310/100500064/  

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