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身動き取れぬ日米欧の金融政策、中銀頼み限界に もたつく「大幅緩和からの出口戦略」 ポンド4日続落 EU離脱の合法性、裁判
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/296.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 12 日 01:05:58: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


岡部直明「主役なき世界」を読む

身動き取れぬ日米欧の金融政策、中銀頼み限界に

もたつく「大幅緩和からの出口戦略」
2016年10月12日(水)
岡部 直明
 日米欧の金融政策は身動き取れない状況に陥っている。デフレ脱却をめざす黒田日銀だが、マイナス金利拡大にも量的緩和拡大にも踏み込めず、長短金利操作のため国債購入の減額に動き出した。「ステルス・テーパリング」(見えざる量的緩和縮小)との見方もある。

 米連邦準備理事会(FRB)は9月の利上げをまた見送った。米国景気の減速気配のもと、FRBは出口で立ち往生している。マイナス金利導入を先導した欧州中央銀行(ECB)は、ドイツ銀行危機など影響が広がるなかで緩和拡大にも縮小にも動けなくなっている。緩和マネーが格差を生むなかで、中央銀行頼みの限界がはっきりみえてきた。


黒田日銀総裁による金融緩和は転機を迎えた。「総括的な検証」を実施し、「量から金利」への転換を図った。(写真:都築雅人)
黒田「総括」はテーパリングか

 アベノミクスの第一の矢を担わされた黒田日銀総裁による金融緩和は転機を迎えている。当初の異次元緩和は、市場へのサプライズ効果も相まって円安・株高をもたらし、デフレ心理を和らげた。しかし、ショック療法は長続きしなかった。とりわけ、マイナス金利の導入は、消費などマクロ経済、金融機関経営、金融市場に悪影響を与え、副作用が目立ってきた。

 黒田緩和が狙ったサプライズ効果は、財務省財務官時代に取った市場介入では定石だが、市場との対話が欠かせない金融政策では邪道である。マイナス金利の突然の導入は黒田緩和のマイナス面がはっきり表面化したことを示している。

 黒田緩和の「総括的な検証」が求められたのはこのためだ。物価2%目標の未達成では言い訳や相変わらずの強弁が目立つが、マイナス金利の副作用を認めたのは評価できる。この総括的検証を受けて、金融政策は「量から金利」へ転換することになった。

 「長短金利操作付きの量的質的金融緩和」への転換である。もっとも、この長ったらしい言葉から金融政策はいったいどちらの方向を向いているのか理解しにくい。マイナス金利を維持したうえで、10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する方針だ。そのために、年間80兆円の国債購入を減らすこともあるとしている。黒田総裁は否定しているが、これは事実上のテーパリングともいえる。

 日銀政策委員会内で岩田副総裁らいわゆるリフレ派が抵抗したとみられるのも、金融政策の転換を物語る。

「官製相場」の恐れ

 問題は黒田日銀が打ち出した「長短金利操作」が市場の自由を奪いかねないことだ。とりわけ長期金利の「コントロール」はむずかしいというのが金融の常識であり、かりに実現すれば「官製市場」の汚名を着せられることになる。物価上昇が2%を安定的に超えるまで「オーバーシュート型コミットメント」をするというのも違和感がある。

 市場はつねにオーバーシュート(行き過ぎ)しがちだが、それを冷静にみつめるのが当局の態度であるはずだ。その当局がアニマル・スピリッツを発揮してオーバーシュートするというのでは中央銀行の信認に響きかねない。

出口でもがくFRB

 FRBも出口でもがいている。9月には利上げできるというのが大勢の観測だった。イエレン議長も米国経済の底堅さを理由に早期利上げの可能性を示唆していた。

 ところが、9月21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も金融政策の現状維持を決め、追加利上げをまた見送った。

 FRBはテーパリング(量的緩和の縮小)から利上げに移ったが、まだ利上げは1回だけである。市場は「追加利上げ」といううなぎの匂いをかがされるだけだ。「利上げ見送り」で失望する繰り返しで、そのたびに為替相場は大揺れになっている。FRBの出口戦略がもたつけば、もたつくほど市場の波乱が続くことになる。とくにFRB内ではタカ派、ハト派が入り混じっており、それぞれに発言するたびに市場は右往左往する。タカ派が「低金利が長引けば、不動産に過熱リスクがある」といえば、ハト派は「もう少しデータを見極めたい」と語る。その影響を最もこうむっているのが円高に悩まされる日本経済である。

 そうしているうちに、底堅かったはずの米国経済にも成長減速の気配がみえてきた。国際通貨基金(IMF)の改定見通しでは、2016年の米国の実質成長率は、2.2%から1.6%に減速する。


イエレンFRBのもたつきは、大幅緩和からの出口戦略がいかにむずかしいかを示している。(写真:Alex Wong/Getty Images)
 雇用の伸びも9月までの3カ月の平均で20万人と鈍ってきた。9月の失業率は5%に上昇した。完全雇用に達しておらず、賃金上昇にはつながらないという見方もある。

 ここまでくると米大統領選の行方も見守る必要が出てくる。ヒラリー・クリントン大統領の誕生は揺るがないとみられるが、なおリスクは残る。年内の利上げはせいぜい12月の1回だけというのが有力だ。

 イエレンFRBのもたつきは、かならずしも金融政策運営のまずさからきているわけではない。大幅緩和からの出口戦略がいかにむずかしいかを示している。比較的経済が底堅い米国でさえ、出口戦略をあせれば、影響は大きくなる恐れがある。それだけに、慎重な出口戦略が求められる。同時に緩和にあたっても、難しい出口戦略を念頭に置かざるをえない。それが米国の出口戦略が示す教訓といえる。

ドイツ銀危機で色あせる「ドラギ・マジック」

 ECBにドラギ総裁が登場したことで、深刻だったユーロ危機が収束に向かったのは事実だろう。「ユーロ危機打開のために何でもする」という姿勢は、「ドラギ・マジック」と呼ばれた。欧州委員会、IMFとのトロイカ体制の形成が、PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)と呼ばれる危機連鎖国を救ったのは間違いない。

 前任のトリシェ総裁がどちらかといえば、金融緩和に慎重なドイツ連銀寄りの中央銀行家だっただけに、その手腕が際立ってみえた。

 ところが、そのドラギ総裁にも勇み足はあった。いち早くマイナス金利を導入したことである。それは日本の金融機関と同様、ユーロ圏の金融機関の収益を悪化させることになる。盤石にみえたドイツの金融最大手、ドイツ銀行の経営を揺さぶっている。


欧州中央銀行にドラギ総裁が登場したことでユーロ危機が収束に向かったのは事実だが、そのドラギ総裁にも勇み足があった…。(写真:Bloomberg/Getty Images)
 米司法省はドイツ銀行が過去に住宅ローン担保証券の不正販売にかかわったとして140億ドル(約1兆4300億円)の和解金を要求した。ドイツ銀行は減額交渉に臨んでいるが、難航は避けられそうにない。

 ドイツ銀行の危機の背景にあるのは、マイナス金利による金融機関の収益構造の悪化である。マイナス金利で和解金支払いに応じる経営体力がなくなっているのである。

 こうしたなかでECBは難しい選択を迫られることになる。一部には、ECBもテーパリングに動くという見方もあるが、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響がユーロ圏に及ぶ恐れがあるなかで、緩和縮小には動きづらいはずだ。かといって緩和拡大も選択しくにい。とくにドイツ銀はじめ金融機関の経営を考えれば、マイナス金利の拡大はありえない選択肢だ。ECBもまた動くに動けないところにきていることになる。

中央銀行依存に限界

 日米欧の金融政策が立ち往生しているのは、中央銀行依存が限界にきていることを示している。リーマン・ショック以降の緩和マネーの拡大は、世界のあちこちで格差を拡大させた。それが移民に対する排外主義やポピュリズムを生んだ背景にある。

 危機打開に金融政策が重要な役割を果たしたのは事実だが、そろそろそれは限界にきている。むしろ、これ以上、緩和マネーをまき散らせば、世界に大きな弊害をもたらすことなる。だからこそ、時間をかけて慎重に出口を探るしかないのだろう。

 金融政策依存が限界だからといって、財政出動にシフトするというのはいかにも安易である。保護主義の風潮を排し、環太平洋経済連携協定(TPP)などメガFTA(自由貿易協定)を実らせることが先決だ。第4次産業革命などイノベーションを競うのも重要である。

 日米欧の金融政策が身動き取れなくなっているいまこそ、グローバルな視野で通商政策、構造政策を打ち出すことこそ肝心である。


このコラムについて

岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/101100009/?ST=print

 
ポンド、4日続落−アナリスト相場予想引き下げ、当局者も一段安言及
Anooja Debnath、Charlotte Ryan
2016年10月11日 16:29 JST 更新日時 2016年10月12日 00:51 JST
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11日の外国為替市場で英ポンドは4営業日続落。先週のフラッシュクラッシュは単なる一時的な乱高下ではなかったと考える通貨ストラテジストらがポンド相場予想を引き下げた。
  INGグループとJPモルガン・チェース、ジュリアス・ベア・グループはいずれも、ポンドが2分で6.1%の急落を演じた7日以降に年末の相場予想を引き下げた。1985年以来の安値を更新した急落は誤発注やアルゴリズムが原因の可能性が指摘されたが、ストラテジストはより長期の予想を見直した。
  イングランド銀行の金融政策委員会メンバー、マイケル・ソーンダース氏ら当局者がポンドの一段安に言及したことも下げを拡大させた。
  ロンドン時間午後4時3分現在は1%安の1ポンド=1.2241ドル。対ユーロは0.3%安の1ユーロ=90.36ペンス。
  INGは年末予想を1ポンド=1.22ドルと従来の1.25ドルから引き下げた。
原題:Pound Slides a Fourth Day as Analysts Take Ax to Forecasts(抜粋)
Pound’s Decline Deepens as Losses Torpedo Analysts’ Forecasts
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-11/OEVGFX6JTSEE01

 

「EU離脱は決まったこと」の合法性、英裁判所が今後1週間で判断
Patrick Gower
2016年10月12日 00:03 JST

メイ首相ら、議会承認不要で離脱手続き発動狙う
裁判所判断次第で1年以上の離脱遅延や計画の完全な脱線も

欧州連合(EU)離脱は決まったことだと、英国のメイ首相は言う。だが首相に離脱時期を決定する権限があるのか、ロンドンの裁判所は今後1週間で判断する。
  首相の最高法務顧問であるジェレミー・ライト法務長官はこの裁判で、離脱手続きの正式な開始となるリスボン条約50条は首相が議会の承認なく発動できると主張する意向だ。主張が認められない場合は、50条発動の是非はEU残留支持派がいずれも多数を占める上下両院の審議に持ち込まれ、離脱の1年遅延や、離脱方針そのものが行き先を失う可能性もある。
  裁判所の審理は13日と17日に予定されている。
  マンチェスター大学のロブ・フォード政治科学教授は、議会審議に持ち込まれれば第一読会、第二読会があり、さらに上院の手続きが滞る可能性があると指摘。完了まで1年以上かかることもあるとの見方を示した。また与党・保守党は「上院の過半数からはほど遠い。従ってEU残留支持が圧倒的に多い労働党や自由民主党が、リスボン条約50条の発動阻止に動くことは完全にあり得る」と続けた。
原題:U.K. Court to Decide When Brexit Can Actually Mean Brexit (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-11/OEW06Q6JTSEQ01
 

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