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(富士通)改革進まず10年間ゼロ成長 遅過ぎたPC事業売却の決断 日本でテレワークやフレックスタイムが進まない理由
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/551.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 10 日 21:32:16: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

 
財務で会社を読む
2016年11月10日 週刊ダイヤモンド編集部

【富士通】改革進まず10年間ゼロ成長 遅過ぎたPC事業売却の決断

同業他社がノンコア事業の切り離しなどに動く中、一人“不動”であり続けた富士通が、ついに動いた。10年来の懸案である事業構造改革は果たしてうまくいくのか。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

「ここで引き下がってはいけない。ユビキタス時代のソリューションを実現する上で、パソコン(PC)や携帯電話は不可欠なものだ」

 時計の針を巻き戻した2004年の年の瀬。米IBMが、PC事業を中国レノボに売却するというニュースに対して、当時の黒川博昭・富士通社長はこう言い、事業売却をきっぱり否定した。

 今年。富士通はPC事業をレノボと共同出資した合弁会社に移し、連結対象から外す計画を固めた。ライバルに12年も遅れての決断だ。

 2000年代初頭から今まで、IT業界を幾度となく襲った事業再編の大波の中で、まるでタイムカプセルに入っていたかのように“不動”だったのが富士通だ。


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 05年度の連結売上高は4兆7914億円。その後、07年に5兆3308億円のピークを記録した後は伸び悩み、前期15年度は4兆7392億円と、10年前とほとんど同じ水準に戻った(図(2)参照)。内訳を事業セグメントごとに見ても、構成比は10年前とほぼ同様だ(図(4)参照)。利益面でもぱっとしない。営業利益は07年に2049億円を記録した後は右肩下がりで、15年度は1206億円、今年度も450億円の事業変革費用を計上するため減益となり、1200億円にとどまる見込みだ。

PC事業に続いて
携帯と半導体事業を
切り離せるかが鍵

 富士通は2000年代から「ソフト・サービス事業への転換」を標榜し、海外事業会社の買収などにより事業の強化を行ってきた。この10年間でサービス事業の売上高は約20%増加。営業利益はこの3年間コンスタントに年1600億円以上稼いできた。

 ところが、連結業績はまったく成長していない(図(1)参照)。原因は昔からはっきりしている。コア事業ではないPC、携帯電話、半導体事業が足を引っ張っているからだ。

 ここ10年間のセグメント別の営業利益(図(2)参照)を見ると、サービス事業は安定して高収益だが、PC、携帯電話事業を含むユビキタスプロダクトソリューションは、ここ数年ほとんど利益を上げられない状況が続いている。半導体事業を含むデバイスソリューションも低空飛行だ。

 15年度のPC、携帯電話、半導体事業の売上高合計は約1兆6000億円と、富士通の連結売上高の30%を超える。その規模の大きさ故か、富士通は事業切り離しにとかく後ろ向きであり続けた。NECなど同業他社が相次ぎ分離に動いたPCや携帯電話事業も「IT全体のソリューションの中で必要」(山本正己社長、14年当時)と、維持にこだわり続けた。

 半導体も同様だ。三重と福島・会津の製造工場をファウンドリー(半導体製造受託会社)として分離、設計部隊をパナソニックとの合弁会社に移管することを13年に決めた。それにもかかわらず、三重の製造工場(富士通三重セミコンダクター)には依然84%を出資しており、今も連結対象となっている。

 富士通が足踏みを続ける中、ライバルは先に動いていた(図(3)参照)。IBMはPC事業のレノボへの売却を手始めに、サービス事業主体の事業構造への転換を推し進めた。10年間で見ると9%の減収だが、営業利益率は実に2倍超の19.4%となった。人工知能、ワトソンを核にした各種サービスで構成されるコグニティブ事業やクラウドプラットフォームなどの新事業が、連結売上高の半分以上を占める。事業構造の大転換によって、高収益企業へと生まれ変わったのだ。

 国内で富士通と鎬を削るNECは、半導体、PC、携帯電話といったかつてシェアトップだった事業を次々と切り離した。その結果、この10年間で売上高は40%減少し、営業利益も減少している。これらの数字を見る限り、同社の事業構造改革が成功したとは言い難いが、それでも営業利益率は10年前より1.8ポイント改善した。ずっと富士通の後塵を拝していたが11年に逆転、今に至る。

 今年、富士通がようやく重過ぎる腰を上げた。田中達也社長はユビキタスプロダクトソリューション、デバイスソリューションの各セグメントを「強い独立事業にする」と宣言、PCと携帯電話の両事業を今年2月に分社化した。

 また、カーナビゲーション事業子会社、富士通テンへの出資比率を下げ、連結から外す。今後は、PC事業に加えて、携帯電話と半導体事業会社にも他社資本を入れ、連結から外すことができるかどうかが焦点になる。

 ノンコアの問題事業を切り離すことで、業績の悪化を食い止めることはできるかもしれない。しかし、それだけでは縮小均衡に陥るだけだ。コアであるサービス事業の利益率改善や競争力強化など、課題は山積している。

 20年付近をめどに「営業利益率10%、フリーキャッシュフロー1500億円」という高い経営目標を打ち出した田中社長。もはや課題を先送りすることは許されない。
http://diamond.jp/articles/print/106703


 

【第9回】 2016年11月10日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
日本でテレワークやフレックスタイムがなかなか進まない理由
 情報技術の発展に伴って、働き方の改革が可能になっている。柔軟な働き方の導入は、さまざまな利点を持ち、成長戦略の重要な課題と考えられている。
 ところが、日本の実態を見ると、導入が進んでいない。なぜ進まないのか?
柔軟な働き方を広げる
テレワーキングへの期待

 働き方の変化としては、第1に、企業に就業することを前提として就業形態をより柔軟にするもの、第2に、企業から独立して仕事を進めるもの、の2つがある。今回は、前者について見よう。
 就業形態をより柔軟にする改革として、第1に、テレワーキングがある。
 テレワークの普及は、従業員にとって、多様で柔軟な働き方を選択することを可能にするメリットがあるとされる。
 また、企業にとっては、コスト抑制や、雇用可能な人材の拡大などのメリットがあるとされる。とりわけ、高齢化による労働人口減少に対応して、女性や高齢者などの人材を活用することを可能にするとされる。地方における雇用機会の増大にも資するとされる。
 政府は、2015年6月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」において、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数が全労働者数に占める割合を、2020年に10%以上とする」ことを目標とした。
 総務省と厚生労働省が、それぞれ年間10億円の予算を組んで推進事業を行なっている。
 政府は10月に「働き方改革実現会議」を開いた。議長の安倍晋三首相は、柔軟な働き方を広げるため、ITを活用して職場以外の場所で働くテレワークや、兼業・副業の促進に向けて「ガイドラインの制定も含めて多様な政策手段について検討したい」と述べた。病気治療と仕事が両立できるよう新たな対策づくりに取り組むことも表明した。首相は、テレワークや兼業・副業に関し「普及を図っていくことが極めて重要だ」と強調した(産経新聞、10月24日)。
日本型組織の仕事の進め方に合わない?
テレワーク人口は減少している
 以上のように、テレワーキングに対する期待は強い。
 2011年3月に東日本大震災が発生し、企業の注目度も飛躍的に高まった。12年には国内のテレワーク人口が1400万人を突破し、就労人口の約20%が何らかの形でテレワークを行なうようになった。
 しかし、テレワーク人口は、その後減少している。図表1に示すのは、在宅型テレワーカー数の推移である。
 10年までは300万人台であった。それが11年に急増し、12年には930万人に達した。しかし、その後は毎年200万人程度ずつ減少し、14年には550万人となっている。
◆図表1:在宅型テレワーカー数
(資料)国土交通省「平成26年度 テレワーク人口実態調査」
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 図表2に示すのは、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー」の数である。13年には約260万人であり、全労働者に占める割合は4.5%であった。しかし、14年には、約220万人に減少し、比率は3.9%に低下している。
◆図表2:雇用型在宅型テレワーカー数
(資料)国土交通省「平成26年度 テレワーク人口実態調査」
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「平成27年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省)によると、制度を導入している企業は、図表3に示すとおりだ。調査対象企業893社のうち、在宅勤務制度等ありは709社で、在宅勤務制度等なしの184社を大きく上回る。しかも、在宅勤務制度等ありの場合、増やしたいとする企業が、41.9%を占める。
 しかし、15年において、全労働者数に占める週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数の割合は、2.7%でしかないのだ。
 このように、制度はあるが、利用されていないのが実態である。
◆図表3:企業の在宅勤務制度等の有無別
(資料)国土交通省「平成27年度 テレワーク人口実態調査」
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 総務省が中央省庁などの「テレワーク」の実施状況を調べた結果、首相官邸を除く22の政府機関のうち、ルールを決めて本格導入したのは13機関だった。9機関は試行段階にとどまっている。また、国家公務員(本省勤務)約4万8000人のうち、15年度の利用者は3%程度の1592人だった(毎日新聞、11月2日)。
 テレワーキングに対する期待は高いにもかかわらず、なぜ進まないのか?
「パソコンが足りないからだ」と言われることが多い。しかし、より基本的な問題は、日本型組織における仕事の進め方との兼ね合いの問題ではないだろうか?
 管理者は、目の前にいない部下を把握するのは非常に難しいと感じるのだ。
 この問題については、後で再び論じる。
フレックスタイム導入企業は
わずか5%程度でしかない
 企業での働き方を柔軟化させるもう1つの制度は、フレックスタイムだ。これは、1988年から導入が認められた。
 政府は成長戦略の一環として「多様で柔軟な働き方の実現」を掲げており、その中で、「フレックスタイム制度」も重視している。
 では、導入状況はどうか?
 図表4に示すように、2014年においてフレックスタイム制度を導入している企業は、従業員1000人以上の企業で約28%、300人から1000人未満の企業で約16%である。しかし、より小規模な企業での導入率が低いため、企業全体から見れば約5%でしかない。このように、産業界全体に広く定着しているとは言えない状態だ。
 業種別で見ても、情報通信産業では約24%、エネルギー関連産業では約12%、学術研究、専門・技術サービス業では10.4%と高いが、他の産業の導入率は一桁でしかない。建設業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉では、1%台である。
◆図表4:変形労働時間制の有無、種類別採用企業割合

(注)「変形労働時間制を採用している企業」には、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を採用している企業を含む。
(資料)厚生労働省「平成26年 就労条件総合調査」(資料)厚生労働省「平成26年 就労条件総合調査」 拡大画像表示
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 企業での働き方を柔軟化させるもう1つのものは、副業・兼業を認めることだ。これについては、週刊ダイヤモンド第825号(2016年10月1日号)「新しい情報技術が働き方を大きく変える」で論じた。
 そこで述べたように、日本でも「副業解禁」の動きが生じており、ロート製薬は、16年4月から社員の副業を全面的に解禁した。また、日産自動車、花王などは、以前から副業を認めている。
テレワークやフレックスタイムは
なぜうまくいかないのか
 テレワークやフレックスタイムがうまくいかない基本的な理由は、組織で仕事を進める方式を前提にして、その一部だけを切り離そうとするからである。
 協同して仕事をするには、そのための情報交換にコストがかかる。ところが、企業内で仕事を行なえば、こうしたコストを節減することができる。だから、企業という組織が必要になる。つまり、個人で仕事をせずに組織をつくるのは、協業のコストがあるからだ。
 ロナルド・コースが、『企業の理論』において指摘したのは、このことだ。
 いかに情報通信コストが低下したといっても、直接対面で情報交換するほうが協業のコストは低い。もちろん、そのためには、同一の事業所まで通勤し、同一時間帯に事業所で勤務しなければならない。それにはコストがかかる。
 したがって、問題は、直接対面による協業コスト削減効果と、通勤のためのコストの比較である。後者のほうが大きくなければ、テレワークやフレックスタイムは経済的に見て合理的なものにはならない。
 前者の協業コスト削減効果は、仕事の内容によってかなり異なるし、仕事の進め方をどうするかによっても異なる。
 テレワークやフレックスタイムが成功するためには、仕事がほぼ独立してできるようなものになっていなければならない。簡単に言えば、自営業的なものになっていなければならないのだ。そのためには、成果の評価を客観的に行なうシステムも必要である。
テレワークやフレックスタイム導入には
仕事の進め方改革が必要
 また、仕事の進め方は、アメリカの場合と日本の場合では大きく違う。だから、アメリカで導入できるからといって、日本でできるとは限らない。
 日本の多くの組織において、仕事は大部屋でなされている。部屋全体の雰囲気で、管理者が仕事の進捗状況を把握している。仕事の分担範囲や責任範囲も、あらかじめ明確に定められているわけでなく、その時々の事情で変わる。仕事の成果も、グループ全体に対して行なわれ、個人個人の寄与度が明確に測定されるわけではない。
 これがいいか悪いか、その評価は難しいが、現実の日本社会でこうした形態が主流であることは認めざるをえない。
 こうした環境では、テレワークやフレックスタイムを導入することは難しい。日本の組織の仕事の進め方は、テレワークやフレックスタイムにはなじまないのだ。
 公務員の仕事のように、成果をはっきりした形で切り離せない場合について適用できないのは、当然である。
 情報通信が進歩しコストが安くなったからといって、ただちに、離れても仕事ができるというのは、 実態を無視した空論にすぎない。テレワークやフレックスタイムの導入のためには、組織における仕事の進め方を全般的に改革することが必要だ。
http://diamond.jp/articles/-/107227    

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