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加工業者がマグロ船を建造、自ら漁に出た理由〈AERA〉
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/339.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 12 月 02 日 13:53:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「良栄丸」と船頭の東弘明さん(38)。東さんは水揚げした数百匹のマグロの鮮度を一匹ずつ確認するこだわりの持ち主(撮影/編集部・山口亮子)


加工業者がマグロ船を建造、自ら漁に出た理由〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161201-00000111-sasahi-ind
AERA 2016年12月5日号


 健康志向の高まり、高齢化、働く女性の増加など、食卓を取り巻く環境は大きく変わった。食品メーカーや卸業者など食に関わる会社は、こうした動きをビジネスチャンスと捉える。これからのニッポンの食卓とは? AERA 12月5日号では「進化する食品」を大特集。例えば、消費の減少で低迷する水産業。漁師から町の魚屋まで昔ほど儲からなくなった中、買い手のニーズをうまく取り込み成長を続ける会社が存在するという。

*  *  *
 名古屋駅からローカル線で2時間半の三重県尾鷲市。ここに養殖魚の加工度の高さで日本一の水産加工会社「尾鷲物産」がある。年商137億円(2015年度)。主にブリ、サーモンの2種で大手回転ずしチェーンの供給元となっているほか、多くの大手量販店と取引、コンビニにおにぎりの具材なども供給する。

 15〜17年の3年間で約16億円の設備投資を見込み、建設ラッシュの同社では11月8日に新しい加工センターが稼働したばかり。主にノルウェー産サーモンを月間130トン加工予定だ。

 サーモンはベルトコンベヤーに載せられ流れ作業で骨や皮を取って切り身にされ、真空パックに詰められる。その隣の部屋では白いエプロンに帽子、マスクに青い手袋をはめた従業員が慣れた手つきでサーモンを切り分け、はかりで量ってトレーに並べていく。壁にはメーカー名とグラム数を書いた一覧表が貼られ、1グラム単位で切り分けているというから驚きだ。
「スーパーのバックヤードの人員不足などで、加工度の高い商品の注文がどんどん入っている」

 と工場長の大谷誠さん(38)。

●安定供給のため川上へ

 養殖・加工部門の柱となっているブリも、三枚に下ろすだけでなく、カマ、トロ、頭肉、腹骨などあらゆる部位を、別個に販売している。顧客のニーズを取り漏らさず、かつ未利用だった部位を有効活用することで販売価格を抑えた。

 もともと魚の買い付けと包装や簡単な加工を行う程度だった同社は、05年に本格的な加工工場を整備。以来、業績は右肩上がりだ。07年には養殖を開始、続いて13年には近海マグロはえ縄漁船「良栄丸」を建造し、自ら漁まで始めた。なぜ「川中」の流通、加工から「川上」にまで進出したのか。

「漁業者がすごい勢いで減っている一方で、勝ち組のスーパーや回転寿司は巨大化し、量を求めている。加工だけに力を入れても、原料を安定的に調達する仕組みがなければ生き残れない」

 社長の小野博行さん(59)はこう話す。養殖業は年45万尾と国内有数の規模に発展。近海マグロはえ縄漁船も2隻目の建造を準備中だ。2週間から1カ月ほど出漁し、ビンナガマグロなどをとるこの漁は、仕事のきつさやもうけの減少で従事者が減り、船も減少の一途にある。そんな世の趨勢に逆らい「株主にバカかと言われ」(小野さん)ながらの建造は勝算があってのこと。

 船の断熱材を厚くし、より冷却効果の高い、太い冷却配管を導入。マグロは船上でえらと内臓を取って鮮度保持を徹底している。自社の加工にも回し、漁船の収益を下支えしてもいる。同種の漁船が減り続け、自分たちで売り先を選べる時代が来ればさらに利益を生むと見込んでいる。

「将来的に4隻つくり月に一度の水揚げが毎週できるようにしたい。マグロの買い付けには他地域の仲卸も来て、港にも活気が出る。水揚げを見に尾鷲に人が来るようになるかもしれない」

 小野さんは、かつての輝きを失ってしまった地元、尾鷲の復活にまで思いをめぐらせている。

●鮮魚流通の改革に挑む

 尾鷲物産がメガサプライヤーになって川下の巨大化に対応しようとしているのに対し、さまざまな魚種への需要に対応しようとしているのが都内にある「八面六臂」だ。独自の発注システムを通してスマホ、タブレット、PCなどから注文のあった品を1都3県の飲食店に納品している。鮮度がよく、合理的な価格で、かつ品ぞろえが豊富でほしい時間に届くサービスを目指し、売り上げを年々伸ばしている。

 その特徴は、産地市場や中央卸売市場の荷受けや仲卸、商社などさまざまなルートから仕入れを行うこと。漁獲量が日々変動し、入荷を予測しづらいうえに腐りやすい魚は、商材としてはかなり扱いづらい。多くの魚種を少量だけ鮮度の良い状態でほしいという飲食店側のニーズがあっても、仕入れ側の都合で応えきれない部分があった。

「今の流通は、売り手都合で魚種を絞っていたりする。インターネットをはじめさまざまな手段を使いながら課題を克服し、売り手都合から買い手都合に戻していくということをやっていますね」

 社長の松田雅也さん(36)はこう話す。漁獲量と魚価は日々の変動が激しい。しかも仕入れは午前中の一発勝負で、午後に買い足すことはできない。各地の魚価と漁獲の情報をにらみつつ、産地市場で買うべきか、築地のような大市場で買うべきかを判断、顧客の購買行動を予測しながら行う仕入れは「かなり難易度が高い」(松田さん)という。

 指針となるのが、仕入れ先や顧客からリアルタイムで上がってくる情報だ。メール、FAX、LINEなどで送られてくる。

「飲食店がそのときどきでほしいものをどう集めるか。ベンチャーとして、テクノロジーを使いながら大きい会社ができない面倒くさいことをいかにやるかですね」

●お客の満足度を最大化

 松田さんはもともとIT業界で働いており、たまたま接点を持った水産業界の非効率さに流通改革の必要性を痛感したのが創業のきっかけだった。

「生鮮流通以外の分野では、お客様の満足度を最大化するために、流通とサプライヤーが情報を共有し、在庫をしっかりコントロールするようになっている。お客様からサプライヤーまでの情報伝達を速くし、流通の効率をよくするということに水産分野でも取り組んでいこうと」

 目指すのが、漁師から仲卸、荷受け、料理人に至る鮮魚の流通に携わる人々の間で情報を共有するネットワークを形成し、仮想企業体をつくることだ。

「その連携をベースに1千億円とか3千億円とかの売り上げ規模を押さえられるまでいければいいなと」

(編集部・山口亮子)

 

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